2026/09/03
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サルヴァトーレ フェラガモ氏 Mr. Salvatore Ferragamo
フェラガモ家が惚れ込んだモンタルチーノ最古参!イル ボッロで培ったサステナビリティ哲学と品質重視のアルチザン精神で造り出すエレガントでクラシックなブルネッロ「ピニーノ」

- モンタルチーノ北部に1874年創業の最古参!
二つの対照的なテロワールを持つ「ピニーノ」 - 取得の決め手になったブラインドテイスティング
- フェラガモ家がもたらした「品質改革」と新しいアイコン
- タンニンと酸の完璧なバランスとエレガンスを追求して造るクラシックなブルネッロ
購入前に仕込んでいた2021年ヴィンテージもロットごとに試飲してセレクション - 1100ヘクタールの広大な敷地でサステナビリティ哲学の下で展開する複合施設の中のワイナリー「イル ボッロ」
モンタルチーノ北部に1874年創業の最古参!
二つの対照的なテロワールを持つ「ピニーノ」

2024年、フェラガモ家はモンタルチーノのワイナリー「ピニーノ」を取得しました。ピニーノは、1874年に創業した、モンタルチーノで最も古いワイナリーの一つです。モンタルチーノ中心部の北、標高約300メートルに位置する「モントゾーリ」という銘醸地エリアにあります。近所にはイル マッロネート、チェルバイア、アルテジーノなど名だたる生産者が集まっています。
このワイナリーの大きな特徴は、異なる二つのテロワールを所有している点です。カンティーナのある場所「ピニーノ」は岩が多く水はけが良い土壌ですが、そこから北東へ5キロ離れた「カンキ」と呼ばれる区画は粘土質土壌です。岩質土壌の力強さと、粘土質土壌の複雑性が共存し、ワインに素晴らしい多様性をもたらしています。

ピニーノの畑(PININO VINEYARDS)

カンキの畑(CANCHI VINEYARDS)
取得の決め手になったブラインドテイスティング
ピニーノについては10年前から継続的に検討が重ねられてきましたが、買収の最終的な決め手となったのは、他社のブルネッロ ディ モンタルチーノとのブラインドテイスティングでした。
専門知識を持つスタッフを含む18名が参加し、カサノヴァ ディ ネリやイル マッロネート、カナリッキオ ディ ソープラ、といった著名な生産者のブルネッロ ディ モンタルチーノ12種類をブラインドテイスティングした結果、ピニーノの3つワインが上位にランクインしたのです。(第3位: ピニーノ ヴィーニャ 2017 第4位: ピニーノ ヴィーニャ 2019 第5位: ピニーノ ブルネッロ 2017)。なお、1位はファットーイ、2位はポッジョ ディ ソットでした。
錚々たる顔ぶれの中でこの結果を残したことは、ピニーノのポテンシャルの高さを証明するものでした。また、北のブルネッロのエレガントさを皆が評価したことも良かったと思います。フェラガモ家は、いくつかの課題を修正すれば「モンタルチーノで最も重要な生産者の一つに育て上げることができる」と確信し、購入を決断しました。

フェラガモ家がもたらした「品質改革」と新しいアイコン
醸造面では、過度なオーク風味を避けてエレガンスを引き出すため、小樽(バリック)の使用を控えました。代わりに、500リットルのトノーや、10~20ヘクトリットルのフレンチオークおよびスラヴォニアンオーク製の大樽を中心に使用する方針へと移行しています。

さらに、フェラガモが長年培ってきたファッション業界の知見を活かしてラベルデザインを全面的に刷新しました。ワイナリー名の「ピニーノ(小さな松の木)」にちなみ、豊穣やエネルギーの象徴である「松ぼっくり」を新しいアイコンに採用し、消費者の記憶に残る洗練されたデザインへと進化させています。

妥協なき品質至上主義。2023年は「全生産を見送る」究極の決断
フェラガモ家の品質へのこだわりは徹底しています。2023年ヴィンテージは5月の多雨によるボトリティス菌の影響でブドウの80%を失いました。その結果、品質基準を満たさないと判断し、なんとブルネッロとロッソの生産をすべて見送るという決断を下しました。生産ゼロという年があっても、ブランド価値を守り抜くことが長期的な資産価値の向上に繋がるという、強い信念の表れです。
タンニンと酸の完璧なバランスとエレガンスを追求して造るクラシックなブルネッロ
購入前に仕込んでいた2021年ヴィンテージもロットごとに試飲してセレクション
2021年は、購入前の年に仕込まれているので、液体自体に手を加えることはできませんが、熟成させていたタンクをロットごとに試飲して、セレクションしました。
スタンダードキュヴェである「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」は、完熟した果実やドライアプリコット、スパイス、ブラッドオレンジなどの複雑な香りに、きめ細やかなタンニンとバランスの良い酸が特徴です。

また単一畑ブルネッロ「ヴィーニャ ピニーノ」は、岩の多い土壌に根が深く張ることで生まれる力強さと凝縮感があります。1980年に植樹された古いブドウの木から収穫されたブドウが約30%使用されており、ワインに深みと複雑な構造を与えています。

長期的なビジネスとなるワイン事業を進める原動力は「職人技(アルチザンシップ)」
ワイン事業への投資回収には約30年を要する長期的なビジネスですが、フェラガモ家の原動力は「職人技(アルティザンシップ)」への純粋な情熱に他なりません。ピニーノの生産量は当面拡大せず、品質の安定とブランド強化を最優先していく方針です。
1100ヘクタールの広大な敷地でサステナビリティ哲学の下で展開する複合施設の中のワイナリー「イル ボッロ」
ワイン造りはとても面白いものです。「品種」「ヴィンテージ」「産地・テロワール」「醸造技術」という4つの要素で造られ、その組み合わせは無限にあります。一生をかけても飲み尽くせないほどの多様性が生まれ、常に新しい発見と学びがあります。
ワインは単なる飲み物ではなく、食事とのペアリングやお祝い事、また季節や気分に合わせて楽しむライフスタイルの一部になっています。その尽きることのない魅力が、ワイン事業に対するあくなき情熱の源です。

モンタルチーノ北部、異なるテロワールを持つ2地区の畑をブレンド!フェラガモ哲学を体現するスタンダードブルネッロ |
ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2021 |
| 2021年は、購入前の年に仕込まれているので、液体自体に手を加えることはできませんが、熟成させていたタンクをロットごとに試飲して、セレクションしました。
こちらのスタンダードキュヴェ「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」は、完熟した果実やドライアプリコット、スパイス、ブラッドオレンジなどの複雑な香りに、きめ細やかなタンニンとバランスの良い酸が特徴です。 |
| 試飲コメント:ピュアな果実にスパイシーなニュアンスを感じるアロマ。飲むとまろやかでしっとりとした芳醇な味わいで、粘性の高さも感じる。クリーンな酸ときめ細かなタンニン。凝縮感を伴う余韻の長さが印象的。 |
力強さ、複雑味、傑出したタンニンと酸!モントゾーリ地区ピニーノの単一畑で造るクリュ ブルネッロ |
ブルネッロ ディ モンタルチーノ ヴィーニャ ピニーノ 2021 |
| カンティーナのある「ピニーノ」地区の単一畑で造るクリュ ブルネッロです。30%は1980年植樹のもの、70%は2000年以降に新しく植樹したものを使っています。
スタンダードキュヴェのブルネッロより色味が濃く、より力強さと凝縮感があります。香りには完熟した果実味に加え、ハーブのニュアンスも感じられます。味わいはより広がりがあり、持続性もあります。力強いタンニン構造を持ちながらも、酸とのバランスが非常に優れています。この力強さと複雑味は、ピニーノの畑の岩が多い土壌に由来し、ブドウの根が深く張ることで生まれます。 |
| 試飲コメント:濃密で力強さを感じるアロマ。飲むとパワフルな果実味が一気に口中を満たし、タンニンの甘み、美しい酸が現れる。凝縮した力強さを兼ね備えた、思わずため息が漏れるほどの美味しさ。 |
目指したのは「トスカーナのシャブリ」!もともと海底だったテロワールを感じさせるフレッシュでミネラリーなシャルドネ |
ラメッレ 2024 |
| ラメッレは「トスカーナのシャブリを造りたい」という想いから生まれたワインです。このエリアはもともと海底だったことからラベルには貝をデザインしました。ステンレスタンクのみで醸造し、マロラクティック発酵も行いません。 |
| 試飲コメント:トロピカルフルーツ、柑橘系果実のアロマ。繊細な果実味と素晴らしいミネラルを感じる味わいで余韻に感じる程よい苦みが心地いい。 |
よりエレガントで洗練されたスタイルへ進化を続けるフラッグシップ スーパータスカン |
イル ボッロ 2020 |
| イル ボッロは2019年ヴィンテージから醸造スタイルを変えています。新樽100%から50%にし、メルローを20ヘクトリットルの大樽で熟成させています。よりエレガントで洗練された味わいへとシフトしています。
2020年はやや軽やかな仕上がりになっています。力強さとパワーがありながらも、タンニンはきめ細やかでエレガント。ダークチョコレートや甘いタバコのような香りがあり、酸とのバランスも非常に優れています。 |
| 試飲コメント:カベルネ由来の清涼感にチョコレートやスパイスのアロマ。甘やかなタンニンとスパイシーなニュアンス、まるみと力強さのバランスが取れたモダンな味わい。 |
インタビューを終えて
ピニーノ取得までに10年近くもの歳月をかけて検討を重ねたというエピソードからは、フェラガモの名にふさわしい至高のブルネッロを造り上げるための、妥協なき姿勢が伝わってきます。今回試飲した2021年ヴィンテージは、醸造自体は取得前のものですが、フェラガモ基準の厳格な品質管理が施されたことで、より洗練されたエレガントな仕上がりへと磨き上げられたのだと思います。彼らがブドウ栽培から一貫して手掛ける今後のヴィンテージがどのような進化を遂げるのか、今から楽しみです。








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