元祖キャンティ!黒い雄鶏のマークが目印の「キャンティ クラシコ」その特徴とおすすめ10選

2024/02/21

キャンティクラシコボトル
フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯をキャンティ地方と呼びます。古来より美味しいワインが出来ると評判の地域でした。1716年、トスカーナ大公コジモ3世がワイン産地の境界線を定めました。世界最初の原産地保護法と呼ばれており、キャンティもその名を連ねました。その人気の高まりからキャンティ以外の地域でつくられたワインが「キャンティ」として世に出回るようになり、人気が高まれば高まるほどワインの品質は低下していきました。

このことに危惧を感じた生産者たちが、1924年にキャンティクラシコ協会を設立しました。協会は、本来の産地であるフィレンツェとシエナでつくられるキアンティをキャンティ クラシコと呼びその品質を守っています。

黒い雄鶏のマークの話

ボトルに印された「黒い雄鶏」は、シンボルマークとして協会創設時より使われており、今ではキャンティ クラシコ協会の商標として登録されています。この「黒い雄鶏」には、ある逸話があります。

昔々、フィレンツェ共和国とシエナ共和国はキャンティの領土を巡って争いを続けていました。争いを終わらせる為、早朝、鶏の鳴き声を合図に領地を出発し、出会ったところを国境としようと取り決めます。シエナ軍は白い雄鶏を選びフィレンツェ軍は黒い雄鶏を選びました。フィレンツェ軍はエサをあげず、夜中のうちに鶏を鳴かせ早々と出発。こうしてフィレンツェ軍は領土を広げたというお話です。
シンボルマーク

キャンティ クラシコとキャンティの分岐点

伝統的な地区をキャンティ クラシコと呼びアイデンティティを守ってきたキャンティ クラシコ協会の躍進は目覚ましいものでした。中でも大きな転機となったのは、単独でDOCGを名乗れるようになった1996年です。遂にサンジョヴェーゼ100%の使用が認められました。当時、白ブドウの混醸が義務付けられていたDOCGキャンティとの大きな分岐点といえます。

現在のキャンティ クラシコは、サンジョヴェーゼ80%以上を条件にカナイオーロ、コロリーノなどの7つの推奨品種、カベルネ、メルロー、シラーなどの許可品種の使用が認められています。2005年までは任意だった白ブドウの使用は禁止されました。

サンジョヴェーゼ

キャンティクラシコの3つの階層

キャンティ クラシコ3つの階層

キャンティ クラシコには、3つの階級があり、それぞれのワインに良さがあります。

グラン セレツィオーネは、2014年に新たにつくられた最上級カテゴリーで、その数はキャンティ クラシコ全体の僅か5%ほどといわれています。厳しい認定条件は、テロワールの個性をそれぞれの生産者が最大限に表現したものと言えます。

キャンティ クラシコの8つのコムーネ

キャンティ クラシコは、8つのコムーネにわけられています。それぞれで特徴あるワインが造られてます。

8つのコムーネ

・グレーヴェ・イン・キアンティ/Greve in Chianti
コンカドーロと呼ばれる日当たりの良い盆地から、キャンティクラシコでもっとも標高の高いラーモレの丘と出来上がるワインのスタイルはバラエティにとんでいます。

・ラッダ・イン・キアンティ/Radda in Chianti
標高が高く、冷涼な気候が特徴です。伸びやかな酸を持つエレガントなスタイルのワインが産まれます。

・ガイオーレ・イン・キアンティ/Gaiole in Chianti
キャンティと呼ばれていたことを証明する最古の資料が発見された歴史的エリアで、伝統的生産者が連なる銘醸地です。古典的で長命なワインが有名です。

・カステリーナ・イン・キアンティ/Castellina in Chianti
標高の違いにより繊細な味わいからしっかりとしたスタイルに分かれます。

・カステルヌオーヴォ・ベラルデンガ/Castelnuovo Berardenga
最も南に位置します。力強さと飲み応えある味わいが特徴です。

・サン・カシャーノ・イン・ヴァル・ディ・ペーザ/San Casciano Val di Pesa
最も北西に位置していますが、気温は高いです。程よい酸とタンニンに強いミネラル感が感じられます。

・バルベリーノ・タヴァルネッレ/Barberino Tavarnelle
豊かなタンニンと酸を基調とし、果実味に富むバランスの取れたワインが産まれます。

・ポッジボンシ/Poggibonsi
一番小さなエリアです。伝統的に軽やかでイキイキとした酸味とジューシーな果実感のワインが産まれます。
風景

キャンティ クラシコをより楽しむちょっとした仕掛け

キャンティ クラシコにも様々なタイプがありますが、選ぶ料理は少しだけ特別なものが良いと思います。ルネッサンス文化の中心として栄華を極めたフィレンツェを中心とするトスカーナ州には、キャンティは庶民の酒。キャンティ クラシコは、貴族のための酒としてつくられてきた歴史的背景が伺えるからです。

鶏や豚肉も良いですが、ここは牛肉のステーキと合わせてみます。家庭的なお料理には、香り高いオリーブオイルを使ってみたり、ハーブを添えてみたりと少しだけ特別感をプラスしてみてください。豆やホウレン草、キノコを合わせると一気に現地風です。お気に入りの生産者のオイルや緑の雄鶏マークをつけたキャンティ クラシコのオリーブオイルを探して見るのも面白いですね。

オリーブオイル、協会建物

トスカーナの名門貴族コルシーニ家最良畑からつくられるキャンティクラシコ!気品がありつつ身近に感じられる心地よい美味しさ

レ コルティ (プリンチペ コルシーニ)

キャンティ クラシコ 2020

キャンティ クラシコ 2020

コルシーニ家が1500年以上も前から所有している最良の畑の一つサン カシャーノ ヴァル デ ペサ村のブドウからつくられるキャンティクラシコです。気品がありつつ身近に感じられる心地よい美味しさです。洗練されていて隙の無いスタイルは、多くの愛好家を魅了し続けています。

大規模な協同組合ならではの安定品質&コストパフォーマンス!
レ キャンティジャーネの果実味とコクが魅力的なキャンティクラシコ

レ キャンティジャーネ

キャンティ クラシコ ロッジャ デル コンテ 2020

キャンティ クラシコ ロッジャ デル コンテ 2020

「キャンティ クラシコ」の中でも圧倒的なコストパフォーマンスを誇るのが、キャンティ地区最初の生産者協同組合キャンティジャーネ。2000もの組合員が参加しています。広大なエリアで生産されるぶどうは全て組合が所有する5つのワイナリーで醸造されます。お手頃価格なのはもちろん、満足感たっぷりの味わいは、さすがの実力です。

サンジョヴェーゼにこだわり、サンジョヴェーゼを究めた「フォントディ」だからこそできる完成した味わいのキャンティ クラシコ

フォントディ

キャンティ クラシコ 2020

キャンティ クラシコ 2020

フォントディは、サンジョヴェーゼだけでキャンティを造ることが許されなかった時代にもサンジョヴェーゼ100%にこだわり続けた造り手です。サンジョヴェーゼ100%のキャンティが許可されるまでは、製法を秘密にして販売していたそうです。フォントディのキャンティ クラシコは、サンジョヴェーゼを信じ、続けサンジョヴェーゼを究めた彼らだからこそできる完成した味わい。卓越したバランスがあります。畑はコンカドーロ(黄金の盆地)と呼ばれる場所の一等地にあります。

クラシコエリアを代表する3つのコムーネが見事に融合
複雑で陰影に富んだエレガントな味わい!クエルチャベッラのキャンティクラシコ

クエルチャベッラ

キャンティ クラシコ 2020

キャンティ クラシコ 2020

クエルチャベッラが所有するキャンティクラシコの代表的なコムーネ「グレーヴェ」、「ガイオーレ」、「ラッダ」の畑のブドウがブレンドされたキャンティクラシコです。エレガントな味わいを目指す彼らは、規定よりも長い熟成期間(リゼルヴァとしてリリースが可能)を設けています。ラベルに描かれたシェフは「料理に合わせやすい」と言うことを表現しています。テロワールの特徴を見事に融合させたエレガントでバランスのとれた美味しさをゆっくりとお楽しみください!

「イル カルボナイオーネ」のポッジョ スカレッテがつくる極上キャンティクラシコ

ポッジョ スカレッテ

キャンティ クラシコ 2021

キャンティ クラシコ 2021

「最高のものを一種類だけ」という信念のもとに、キャンティクラシコを名乗らない偉大なサンジョヴェーゼ100%スーパートスカン「イル カルボナイオーネ」のみを造リ続けていたポッジョ スカレッテが、2009年より自らの名でリリースしたキャンティクラシコです。今まではバルク売りしてきたワインでしたが、樹齢が上がりブドウの出来も満足のいく仕上がりになりました。キャンティで2番目に標高が高いグレーヴェ・イン・キャンティ地区ルッフォリに畑を構えます。

「フェルシナ」の哲学が詰まったキャンティ クラシコ!
「キャンティクラシコの頂点に立つ典型例」

フェルシナ

キャンティ クラシコ ベラルデンガ 2020

キャンティ クラシコ ベラルデンガ 2020

キャンティ クラシコエリア最南端に位置する「カステルヌォーヴォ ベラルデンガ」地区最高の造り手と称されるフェルシナのキャンティ クラシコです。カステルヌォーヴォ ベラルデンガの畑は石灰質と粘土質の土壌。ゴツゴツした岩があり、サンジョヴェーゼの樹は根を深いところまで伸ばします。その適度なストレスが影響して、ワインにしっかりとした骨格とミネラルが与えられています。

銘醸地ラッダ イン キャンティ最高のクリュ「セルヴァネッラ」で造るメリーニの歴史的キャンティ クラシコ リゼルヴァ

メリーニ

ラ セルヴァネッラ キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2019

ラ セルヴァネッラ キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2019

「メリーニ」のフラッグシップ、キャンティ クラシコ リゼルヴァ「ラ セルヴァネッラ」。キャンティ クラシコとして初めて単一畑のブドウだけを使ったリゼルヴァとして1969年に初リリースされて以降、その変わらぬ品質の高さと美味しさで愛され続けています。2019年ヴィンテージは、リリース50周年を記念した特別ラベルが施されています。気品に満ちた美しさを感じます。長期熟成への期待が高まります。

「キャンティ」の言葉を初めて記した先祖「セル ラポ」の名を冠したマッツェイの歴史を象徴するキャンティ クラシコ リゼルヴァ

カステッロ ディ フォンテルートリ (マッツェイ)

フォンテル-トリ キャンティ クラシコ リゼルヴァ セル ラポ 2019

フォンテル-トリ キャンティ クラシコ リゼルヴァ セル ラポ 2019

「キャンティ」というワインの名前ですが、これは1398年にラポ マッツェイ氏が最初に”wine of Chianti”という言葉を公の文書に使用し記録に残したのが由来といわれています。フォンテルートリは伝統を重んじる歴史的生産者でありながら、バリックの導入やカベルネなど国際品種の栽培にいち早く着手したパイオニア的存在でもあります。「セル ラポ」は、サンジョヴェーゼとメルローをフレンチオークの小樽(50%新樽)で行っています。しっかりとした構成。清涼感ある果実味とリッチなタンニンのある力強いエレガントな味わいです。

キャンティの礎を築いたバローネ リカーゾリのフラッグシップ「カステッロ ディ ブローリオ」厳選したサンジョヴェーゼをブレンドする伝統的な造り、キャンティクラシコ最上位グランセレツィオーネ!

バローネ リカーゾリ

カステッロ ディ ブローリオ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2019

カステッロ ディ ブローリオ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2019

統地区ガイオーレ イン キャンティにあるブローリオ城を拠点に1000年に及ぶ歴史を持つリカーゾリ家が、最高のサンジョヴェーゼを最適な土壌で栽培し、その中の選りすぐりの房をこのカステッロディブローリオのために選び抜きました。伝統的なスタイルのグランセレツィオーネです。まさにキャンティ クラシコの最高峰といえます。

名門カステッロ ディ アマが造るグランセレツィオーネ「サンロレンツォ」パワーと気品を兼ね備える洗練された味わい、アマを代表する1本!

カステッロ ディ アマ

サン ロレンツォ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2018

サン ロレンツォ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2018

カステッロ・ディ・アマの創業は1972年。トスカーナ初のメルロ100%で仕立てたキュヴェ、ラッパリータで注目を浴びます。その後彼らは、それまででは考えられないようなキャンティ クラシコの上級キュヴェを発表。キャンティ・クラシコの世界的な地位向上に大きく貢献、瞬く間に名門と呼ばれる存在となりました。綺麗な酸と豊かなミネラル感のある、生き生きとしたエレガントな味わいは、アマそのもの!至高の1本です。