『ガンベロロッソ』最優秀栽培家!「カ デル バイオ」が造るエレガントバルバレスコ

2018/02/26
突撃インタビュー
 
2018年2月16日 株式会社モトックス 市橋 孝浩氏

「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏に聞く『ガンベロロッソ』最優秀栽培家に選出!標高の高いトレイゾ地区でエレガントバルバレスコを追求する「カ デル バイオ」

カデルバイオファミリー
『ガンベロロッソ』2016で最優秀栽培家賞を受賞したバルバレスコ南部「トレイゾ」の
造り手「カ デル バイオ」。「リースリングから単一畑のバルバレスコまで、常に説得力のあるモスカートも含めて全てのワインは他には無いほどコストパフォーマンスが高い」と絶賛されています。バルバレスコ村やネイヴェ村よりも標高が高く、時間をかけてゆっくりとブドウが熟していく「トレイゾ」のバルバレスコは極太なスタイルのワインでは無くて、ネッビオーロらしい繊細さ、細やかなタンニンがずっと続いていく味わいがあり、イタリアワイン好きな方ほど是非試して頂きたい円熟感に満ちた味わいがあります。イタリア現地でワイナリーに赴き、試飲を重ね、綺羅星の実力を持つ新世代ワインを発掘している「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏と試飲をしながら、カ デル バイオの魅力についてお話を聞きました。

「イタリアワインの達人」市橋 孝浩氏

市橋氏イタリアワイン好きから絶大な支持を得る「イタリアワインの達人」市橋氏
本場イタリアで伊ソムリエ協会認定ソムリエを取得し、日本ではワインスクール「アカデミー デュ ヴァン」でイタリアワインの講師も務める、「イタリアワインの達人」。

彼の情熱的なトークと関西出身の明るい人柄はファンが非常に多く、イタリアワイン好きから絶大な支持を得ています。

イタリアに情熱を注ぎ、イタリア文化とイタリアワインの魅力について熱く語る市橋氏はイタリアに毎年のように足を運び、生産者からの信頼も絶大です。

現地イタリアでは高く評価されている生産者の一つ「カ デル バイオ」

現地イタリアでは高く評価されている生産者の一つ「カ デル バイオ」
カ デル バイオのお話をさせて頂ければと思います。(弊社で)取り扱う前からカデルバイオのワインはとても好きだったんです。現地イタリアでは高く評価されている生産者の一つです、ただワイナリーの規模自体は大きくはなく、家族経営の「農民」という雰囲気ですね。

夫婦「カ デル バイオ」と「デルテット」は親戚関係
2015年に弊社が取り扱いを始めた「デルテット」というロエロ地区の生産者がいるんですが、そのデルテットの息子カルロの奥様パオラさんが「カ デル バイオ」のオーナー、ジュリオ グラッソ氏の娘だったんです。その話を聞いて「良いワイナリーの方と結婚しましたね!」とお伝えしたんです。

その話をした3年前からデルテットには毎年のように通っていました。美味しいワインもそうですが、そこで食べるインサラータ ルッサ(イタリア風ポテトサラダ)がとっても美味しんですよ。ワインの試飲とご飯を食べに行くような(笑)。

その時もずっとデルテットに「カ デル バイオ いいなァ」と伝えていたんです。僕の想いを(デルテットが)カ デル バイオに伝えてくれて、大変珍しい事だと思うのですがカ デル バイオから「逆オファー」を頂いた形になりました。

ヴァッレグランデ

地図 バルバレスコエリアの南部の「トレイゾ」にワイナリーを構える
カ デル バイオの畑はバルバレスコエリアの南部の「トレイゾ」にあります。煌びやかな生産者が集まる「ネイヴェ」や「バルバレスコ」地区に比べると「トレイゾ」って地味に見えるんですよね。

「ガヤ」、「プロデュットーリ デル バルバレスコ」がいるような人気バルバレスコ村のエリアではなく、カ デル バイオは「農民が造るワイン」としてトレイゾという地でブドウを育てていたのは適切だったのではないかと思うんです。

他のバルバレスコエリアより標高が高く、やや冷ややかな気候
所有している畑も「トレイゾ」が中心になってきます。他のバルバレスコエリアより標高が高く、やや冷ややかな気候となります。トレイゾ村のヴァルグランデ、マルカリーニと言ったクリュバルバレスコを生産しています。また、バルバレスコ村のアジリ、ポーラなど著名なクリュでもバルバレスコを生産しています。

僕が思うカ デル バイオの一番良い所は、極太なスタイルのワインでは無くて、ネッビオーロらしい華奢な部分と言うか、酸と細かいタンニンがずっと続いていく味わいがあって、栽培家兼醸造家のジュリオ グラッソ氏の「バルバレスコ像」がしっかりと感じられる事です。

筋肉質と評されるバローロと比べると、バルバレスコの繊細さというのは味わいからも十分に感じて頂けるのではと思っています。同じバルバレスコで「ブルーノ ジャコーザ」を取り扱っていますが、カ デル バイオは価格帯、ジャンルも全然違うところにいます。そして国際品種の白を造っているというのもカ デル バイオの魅力の一つです。

 

『ガンベロロッソ』で年間最優秀賞獲得!『最高のブドウ栽培者』に選出

ガンベロロッソ『ガンベロロッソ』2016で年間最優秀賞獲得!『最高のブドウ栽培者』に選出
現在カ デル バイオはバルバレスコ界でも卓越した生産者の地位を獲得。ヨーロッパをはじめ、世界中で傑出した生産者として、高く評価されています。バルバレスコDOCが誕生して50周年の節目にあたる2016年、『ガンベロロッソ』で年間最優秀賞獲得し、『最高のブドウ栽培者』に選ばれています。

ガンベロロッソ2016バルバレスコ地区でその地位を徐々にかためつつある
~『ガンベロロッソ』2016コメントより~
「グラッソ家では娘のパオラ、ヴァレンティーナ、フェデリカがワイナリーの運営全般にどんどん従事するようになってきていて、バルバレスコ地区でその地位を徐々にかためつつある。今年はジュリオ グラッソが今年最高のブドウ栽培者賞を受賞したので拍手を送りたい。ワインの特徴と個性がこのワイナリーのスタイルを明確にしていて、それを評価する国内外の忠実な消費者が増えている。リースリングから単一畑のバルバレスコまで、常に説得力のあるモスカートも含めて全てのワインは他には無いほどコストパフォーマンスが高い。バルバレスコ アジリ2012は優美で、深みと重層性を持ち、タール、タバコ、ユーカリのトーンがあり、トレビッキエリを獲得した。試飲したワインは全て目覚ましい品質で今回も驚かされた。バルバレスコ・ポーラ2011は、はっきりとした香りでタンニンは絹のようでうまく溶け込んでいる」

私がカ デル バイオと知り合ったのは2016年で、折しも『ガンベロロッソ』で年間最優秀賞『最高のブドウ栽培者』(Vitcoltore Dell’anno)をカ デル バイオが獲得した年。タイミングも丁度良かったです。

「理想的な酸を持ったイタリアワインらしいワインが出来ていると思います」

アジリは著名なクリュ「ラバヤ」の畑とも地続き
畑

現在日本ではバルバレスコ「ヴァルグランデ」と「アジリ」を販売しています。「ヴァルグランデ」はワイナリーが構える「トレイゾ」ワイナリーの隣にある畑です。バルバレスコ地区で有名なレストラン「ラ チャウ デル トルナヴェント」に向かう途中にある畑です。

もう一つの畑が「アジリ」です。こちらはバルバレスコ村に属する畑で、アジリは著名なクリュ「ラバヤ」の畑とも地続きです。

因みに「ヴァッレグランデ」は古い畑名で、今はヴァルグランデと呼んでいます。新しくこのワインをリリースする生産者は「ヴァルグランデ」と名乗らなければならないのですが、古くからこの畑でワインを造っている生産者は「ヴァッレグランデ」と名乗る事が出来、新しい名前も使用出来ます。

基本的に彼らの良さというのは、「トレイゾ」らしい酸がしっかりと乗った「ヴァルグランデ」なんですが、表現力の豊かさといった部分で言ったら、「アジリの酸と骨格のバランス」という所が個人的にも評価すべきところかなと思っています。

説明「標高の高い南のトレイゾから眺めると「谷の方に落ちていく」ような眺望があります」
トレイゾはバルバレスコエリアの南側にあたります。南に行くと温かいと思われがちですが、実際、畑の標高はバルバレスコ村よりも上がってしまう場所にある為「ヴァルグランデ」の畑があるエリアの方が寒いですね。この辺りの一番有名な生産者だとペリッセロが有名です。ペリッセロは近代的なワインの造りで有名です。標高の高いトレイゾではネイヴェ村やバルバレスコ村とは違う白ブドウが植えられます、例えば、ランゲビアンコでリリースされるリースリング等もそうです。

バルバレスコ全体がブーメランのような形をしていますが、標高の高い南のトレイゾから向こう側(バルバレスコ、ネイヴェ)を眺めると「谷の方に落ちていく」ような眺望があります。ですのでバルバレスコ村の方が(ブドウが)良く熟しますし、川が近く(タナロ川)細かい石が多いので、(石が)確りと熱を吸収してくれる効果も認められます。

夜になって冷えても放射熱を発するのでブドウがしっかりと熟してくれます。標高が高くなるトレイゾに関しては熟すスピードが遅くなります。ゆっくりゆっくりブドウが熟してくれるので、理想的な酸を持ったイタリアワインらしいワインが出来ていると思います。イタリアワインが好きな方ほど、このワインを評して欲しいなと思っています。

「バルバレスコ」って僕の印象かもしれませんが、有名な畑の幾つかに人気が集中しちゃう部分があります。例えば「アジリ」とか「パイエ」とか。それって全部バルバレスコ村の方なんです。「ガヤ」、「プロデュットーリ デル バルバレスコ」等著名な生産者はバルバレスコ村の方にいますから。ブランディングが強いゾーンです。一方「カ デル バイオ」のような「トレイゾ」で農民の良さを感じさせてくれるバルバレスコは人気が弱いところがあるのも事実です。

バックラベル先ずはランゲ ネッビオーロから始めて頂いて、バルバレスコ ヴァルグランデ、バルバレスコ アジリと飲まれていくと味わいの階段を順序良く上る形になります。

~ラベルの裏にあるこのマーク「The Green Experience」は何ですか?~
グリーンエクスペリエンスは生態系や土壌の天然資源を保ち、ピエモンテの製品の品質を守り、更にはランゲ、ロエロ、モンフェッラートのブドウ栽培環境を保護するため、ユネスコの世界遺産に指定されているこのランゲの丘で産まれました。グリーンエクスペリエンスに関わるワイン製造業者は革新的かつ、自然にやさしい方法で畑の管理を行っています。花粉を受粉してくれる昆虫たちを畑に放ったり、ハーブや花を畑に植えたり、鳥が巣を作りやすい環境を作るなどの活動を行っています。(アルビーノロッカ、ブロビア、ブルーノジャコーザ。ラ カノーヴァ、サラッコ、ピラー、スキアヴェンツァなどが数多くの生産者が加盟しています)

力強いボディとミネラルの美しさシャルドネ100%「セルミネ」
セルミネ ランゲ シャルドネ 2016
セルミネ ランゲ シャルドネ 2016


彼らのワイナリーの良い所が出ていますね。樽を使っているのにボテッとし過ぎていないですね。「酸」を基調とするワイナリーの典型的な良い例だと思います。新樽100%使用してます。テクニカルシートだけ見たら濃厚な「トロン系」のイメージですが、標高が高い事、他のブドウより早めに収穫する事で全体的な酸はピリッとしている感じになります。それでいて飲み心地が良く、若いうちでも十分楽しめるスタイルとなっています。
試飲コメント:標高の高いトレイゾで栽培されるシャルドネ100%で造られる白。明るい麦わら色で綺麗なミネラルが主体に西洋梨やリンゴ、シトラスの清々しい香りが立ち上ります。飲むと凛々しい酸とミネラルに支えられた伸びやかなボディが躍動します。新樽100%と聞くと、濃密オイリーな舌触りをイメージしますが、ボディの強さと綺麗な酸が高い次元でマッチングしています。魚介類全般と。

緻密で目の詰まった果実感と美しい酸の洗練された調和!
「カ デル バイオ」のエレガントネッビオーロ
ランゲ ネッビオーロ ブリック デル バイオ 2016
ランゲ ネッビオーロ ブリック デル バイオ 2016


白ワインも良いですが、カ デル バイオはやはりネッビオーロがメインとなります。伝統的なネッビオーロに見られるガーネット色があります。近年流行りの濃厚な色調のネッビオーロではなく、滋味深い味わいがあります。カデルバイオにハマる要素があると思います。ネッビオーロの2016年では今飲むには若すぎないか?と思いますが、今飲んでとても美味しいと思います。タンニンも細く、がっつりと主張するタイプではありません。果実感は確りとしています。一般的にはバルバレスコにしてもおかしくない樹齢のブドウです。
試飲コメント:輝きのあるガーネット。クラシカルな造りのネッビオーロの良き雰囲気が見て取れます。ラズベリーの澄んだ美しい透明感あるアロマ。純度の高い果実味と伸びやかな酸、心地よいタンニンが舌の上で立体的に広がり、旨み酸がこのワインのスタイルを美しく保っています。一般的なランゲネッビオーロにありがちな浮ついたタンニンや酸が無く、見事な奥行きを感じます。緻密でエレガント。まさにミニバルバレスコ。一流の生産者が造ると「こうも違うのか」と驚かされるネッビオーロ。仔牛肉のグリルと。

にじみ出るような優しさと美しさが感じられるエレガントバルバレスコ
バルバレスコ ヴァッレグランデ 2014
バルバレスコ ヴァッレグランデ 2014


バルバレスコの生産者達のワインが比較的表現力豊かな先方逃げ切るタイプだとすると、後から味わいがさしてくるのがカデルバイオのバルバレスコです。最初は大人しくて、後から滋味深さがやって来ます。アメリカやフランスワインが好きな方からすると「ちょっと頼りない」と言われがちなタイプですが、イタリアワインファンの方ならば「酸」から楽しんで頂く方が多いので、食べ方だったり、飲み方だったりをこのバルバレスコと楽しむ事が出来ると思います。ランゲネッビオーロより骨格がハッキリとしていて、タンニンもしっかりと後に残ってくれます。樹齢が上がっているから「味わいが濃くなる」「凝縮感」があると表現される事が多いですが、僕はカデルバイオのワインからは樹齢が上がる事で円熟感が増すと感じています。
試飲コメント:エッジにガーネットのグラデーションが混じる艶やかな色調です。赤いドライフルーツ、上品なスパイスにドライフラワー、紅茶葉の洗練されたニュアンスが美しい層を成しています。飲むとエキス分のある豊かな旨みがひろがりますが、重々しさはなくしなやかで流れるようなタッチがあります。タンニン質は非常に粒子が細やかで心地よく舌の上を撫でていきます。中盤から芯に感じる強さだったり、厚み、複雑な風味がありますが、総じてバランスが取れていて終始一貫優雅な飲み心地で喉元へ落ちていきます。若いネッビオーロにありがちな筋肉質でタニックなボディではなく、実にクラシカルでフェミニンなスタイルで、にじみ出るような優しさと美しさが感じられる実に優雅なバルバレスコです。

「ネッビオーロの真髄」
と言うべきエレガンス!
プロデュットーリ デル
バルバレスコにも卸していた高品質ブドウで造るクリュバルバレスコ「アジリ」
バルバレスコ アジリ 2014
バルバレスコ アジリ 2014


「ヴァルグランデ」とはコンセプトの異なるワインです。色合いを見て頂いても比較的凝縮感が見られるような感じで色合いも深くなっている印象です。しなやかさとグッと押し込んでくるような力強さが感じられます。先ほどの「ヴァッレグランデ」とは違う楽しみ方があると思います。「ヴァッレグランデ」と比べると圧倒的に濃いとなりますが、例えばこの後に「ラバヤ」のバルバレスコを飲むとすれば、圧倒的に「アジリ」が酸っぱいと感じられるでしょう。アジリにはフラワリーさとイチゴっぽさと言うか、ピノノワールを連想させるような風味があります。アジリは「フェミニンな」と表現される畑で華々しさが特徴です。
試飲コメント:アジリ畑から造られるワインにはエレガントときめ細やかなタンニン、デリケートなフルーツ感が感じら、ネッビオーロの真髄とも言うべきフィネスを感じます。輝きのあるガーネット色。レッドチェリー、スミレの花、スパイス、スミレの花の優美な香りが広がります。飲むと滑らかなタンニンと長い余韻があり、落ち着いた旨みと複雑な風味が寄り添う実にエレガントな仕上がりとなっています。
インタビューを終えて
『イタリアワインの達人』市橋氏が推薦するカデルバイオの自然なブドウの厚み、奥行きの深さ、中盤から舌に染みるような滋味深い味わいがとても印象的でした。バルバレスコといえばラバヤやアジリと言ったバルバレスコ村にどうしても行きがちですが、トレイゾの精緻で隙のない優美な味わいにすっかり虜になりました。

市橋氏が「トレイゾの「ヴァッレグランデ」にこそカ デル バイオのスタイルがあると思うんです。是非(アジリと)飲み比べてみて欲しいと思っています。彼らもそれがきっと嬉しいと思います」と話した理由も良く分かりました「ヴァルグランデ」のエレガンス、実に見事な出来映えです。

ガンベロロッソ最優秀栽培家賞も大・大・大納得といったところ。これまであまり騒がれていない方が不思議な位です。そしてその実力に反するかのような良心的な価格。カデルバイオの愛情がいっぱい詰まったエレガントバルバレスコ。是非ともお試し頂きたいワインです。

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