「モスカートは、カ ド ガルか、それ以外か。」モスカート一筋!現地生産者が畏敬の念を抱く、唯一無二の頂点。食中酒としても楽しめる高い酸とミネラルのモスカート ダスティ。

2026/06/30

2026/05/20

アレッサンドロ ヴァラニョーロ氏 Mr. Alessandro Varagnolo

「モスカートは、カ ド ガルか、それ以外か。」モスカート一筋!現地生産者が畏敬の念を抱く、唯一無二の頂点。食中酒としても楽しめる高い酸とミネラルのモスカート ダスティ。

カ ド ガルは、イタリア・ピエモンテの地で高品質なモスカート ダスティを生み出すことで知られる生産者です。1989年に創業したアレッサンドロ ボイド氏は、一代にして、現地ピエモンテの生産者たちに「モスカートの話をするなら、カ ド ガルか、それ以外のワイナリーかで話が変わってくる」と言わしめるほどの圧倒的な地位を築きました。

今回は、そんな職人気質の先代が培ってきた高品質なワインに惚れ込み、経営コンサルタントから一転してワイナリーを継承した現当主アレッサンドロ ヴァラニョーロ氏にお話を伺いました。

    目 次
  • 100万年前の「海の記憶」と標高400mのテロワールが育む、甘味、酸味、ミネラルの究極のバランス
  • モスカートに「クリュ(単一畑)」の概念を導入した先駆者
  • 唯一無二の熟成方法!5年以上もの砂中熟成による「完全な暗闇」「振動の遮断」「完璧な湿度管理」がもたらすアロマ豊かなモスカートダスティ
  • お寿司からエスニック料理まで!食事に寄り添う万能の食中酒
  • 伝統と最新設備が融合する新プロジェクト

100万年前の「海の記憶」と標高400mのテロワールが育む、甘味、酸味、ミネラルの究極のバランス

大規模なワイナリーが主流を占めるモスカートの生産者の中で、カ ド ガルのモスカートはわずか7.5ヘクタールの自社畑から生まれます。手作業での丁寧な栽培にこだわる極小規模な生産者です。

彼らのワインを一口飲んでまず驚くのは、「美しく生き生きとした酸」と「豊富なミネラル」です。その秘密はテロワールにあります。

彼らの畑はモスカートとしては異例の「標高400m」に位置します。標高の高さによる冷涼な気候のおかげで、周囲のワイナリーよりもブドウの収穫をギリギリまで遅らせることが可能になり、豊かな糖分と高い酸がベストなバランスに達するまで、じっくりと完熟を待つことが出来るのです。

そして、このエリアは100万年以上前には海底だった場所でした。表土の下に広がる海洋堆積物と石灰岩が織りなす土壌から、ブドウの根が「海の記憶」である豊富なミネラルを吸い上げ、ワインに別格の骨格を与えています。

モスカートに「クリュ(単一畑)」の概念を導入した先駆者

カ ド ガルは、単一畑の個性をワインに映し出す「クリュ」の概念をモスカート種に初めて持ち込んだパイオニアでもあります。畑ごとの土壌、日照条件、樹齢の違いを尊重し、クリュごとに醸造を行っています。

「収穫が1日ずれただけで、理想の糖と酸のバランスは崩れ、取り返しのつかないことになる」とアレッサンドロ氏は言います。カ ド ガルではタイミングを厳密に見極めてブドウを全て手摘みで収穫し、ソフトプレスで抽出された最も贅沢な一番搾り果汁「モスト フィオーレ」のみを使用します。

そして特徴的なのは、この果汁をマイナス1℃〜マイナス2℃という超低温で、澱とともに最長6ヶ月間ものあいだ寝かせる点です。発酵前のこの「超低温シュール リー」とも言える贅沢なプロセスを経ることで、固有クローンである「モスカート ビアンコ カネッリ」が秘めるアロマと深みが最大限に引き出されます。

唯一無二の熟成方法!5年以上もの砂中熟成による「完全な暗闇」「振動の遮断」「完璧な湿度管理」がもたらすアロマ豊かなモスカートダスティ

カ ド ガルを最も象徴する造りが、上級キュヴェ「ヴィーニャ ヴェッキア」(※現在は日本未入荷)における熟成方法です。樹齢70年の単一畑から生まれるこのワインは、ボトリング後にカンティーナ内の砂の中に埋められたまま、最低でも5年間の歳月を過ごします。

この方法は、まだ冷蔵設備がなかった時代に、先祖たちが丘をくりぬいた洞窟を天然の冷蔵庫代わりにし、ワインやサラミ、チーズを砂に埋めて保存・熟成させていた伝統の知恵から着想を得たものです。現在この手間のかかる砂中熟成を実践しているのは、ほぼカ ド ガルだけなのだそうです。

砂で覆うことにより、「完全な暗闇」「微細な振動の遮断」「完璧な湿度管理」といった理想的な環境でワインを熟成させることができます。この「大地のゆりかご」で静かに眠ったワインは、モスカート本来のみずみずしいフレッシュな果実香を保ったまま、他にはない妖艶で複雑なアロマと官能的な深みが宿る、芸術品のような仕上がりになります。

お寿司からエスニック料理まで!食事に寄り添う万能の食中酒

「私たちのモスカートは、食事の最初から最後まで通して楽しんでいただけます」。そんな当主アレッサンドロ氏の言葉通り、高い酸とミネラルに支えられたカ ド ガルのワインは、モスカート ダスティの「ちょっと甘いデザートワイン」のイメージを覆す、食事に寄り添う味わいが魅力です。

■シーフード・生魚:日本の「寿司や刺身」との相性は抜群です。

■アジアン・エスニック:タイ料理のような、スパイスや胡椒をふんだんに使った料理とも相性のよさを発揮します。

■肉料理・ピザ:サラミや、ソーセージをのせたピザのジューシーな脂の旨味を、ワインの美しい酸が綺麗に洗い流し、上質な調和を見せます。

■チーズ:ブルーチーズの塩気に、ハチミツを添えるような感覚で上品な甘みが寄り添います。

伝統と最新設備が融合する新プロジェクト

カ ド ガルは、3年前にランゲとモンフェラートを繋ぐ新たなエステート「テヌータ ラ コーヴァ」を取得しました。10年ほど放置されていた歴史あるカンティーナを再生させ、バルベーラやピノ ネロ、シャルドネなどの生産に乗り出しています。そしてモスカートで培った妥協のないワイン造りへのこだわりをこれらの品種にも応用させ、高品質なセレクションワインの生産に取り組んでいます。

さらに今後1~2年以内には、モスカートの醸造設備をこの新しい拠点「テヌータ ラ コーヴァ」に集約する計画を進めています。新カンティーナには、トップ生産者も採用する最新のプレス機を導入予定。極めて優しくデリケートな圧搾を可能にすることで、カ ド ガルのモスカートの品質のさらなる向上を目指しています。

今日の気候変動に対しても、「ルールに縛られすぎてブドウが収穫できなくなっては本末転倒」という現実的で柔軟な栽培哲学を持ち、専門のコンサルタントの指導のもとで将来のビオロジック認証取得に向けて準備を進めています。

最初の一杯から食後まで。
食卓に寄り添うモスカート ダスティ

モスカート ダスティ ルミネ

モスカート ダスティ ルミネ

「ルミネは一番フレッシュで、もっともトラディショナルなスタイルのモスカートダスティです。アルコール度数は5%、残糖は1リットルあたり120g。需要に合わせて年に2~3回、-1~-2度で保管していたモストを発酵させ、その都度瓶詰めしています。デザートワインと思われがちですが、実際はアペリティーヴォから食中まで幅広く楽しめる、とても万能なワインなんです。軽やかで爽やかな味わいなので、いろいろな料理に自然と寄り添ってくれます。おしゃべりしながら楽しめるワインとよく言っていますが、最初の一杯から食事の最後まで気軽に楽しめる存在ですね。甘さと塩味、そして豊かな香りが重なり合って、料理の味わいもより引き立ててくれます。」
試飲コメント:透明感と輝きのある麦わら色。白い果実や柑橘系の上品な香りに、キャンディのようなニュアンスが重なります。口に含むと、洋梨を思わせる白い果実や爽やかなハーブの風味が広がり、心地よい甘さに包まれた後、後口に全体を締める酸が訪れ、さらなる心地よさを演出します。

インタビューを終えて

現地の生産者たちが「モスカートを語るならカ ド ガルか、それ以外か」と口を揃える理由が、お話を伺い、そして実際に試飲してみて本当によく分かりました。

現当主のアレッサンドロ ヴァラニョーロ氏はとても論理的でありながら、ワイン造りへの情熱に満ちた方で、先代が築き上げた高いクオリティを大切に受け継ぎながら、さらに発展させていきたいという想いに溢れていました。

そして試飲して驚いたのが、「甘くて食後に楽しむデザートワイン」というこれまでのイメージを覆す、眩しいほどに生き生きとした酸と豊かなミネラル感です。この酸味こそが、お食事に寄り添うための大事なカギ!優しい甘みを酸が引き締め、くいくいとグラスが進んでしまう心地よい味わいでした。

アレッサンドロ氏は「僕の祖父母の世代は、パンにバターとアンチョビをのせたような、塩気のある朝食にこのワインを合わせたりして、今でいうエナジードリンク代わりに楽しんでいたんだよ」と、現地の暮らしを教えてくれました。モスカートがどれだけ彼らの生活に根ざしているのかがとてもよく分かる、印象的なエピソードでした。

5年ものあいだ砂の中で眠らせる「砂中熟成」など、どこまでも妥協のないこだわりから生まれるワインは、まさに唯一無二の芸術品。現在は「ルミネ」のみ日本に輸入されていますが、近いうちに別キュヴェも入荷検討中とのこと。これも楽しみなニュースです。

「ふだん甘口はあまり飲まないな…」という方にも、この美しい酸に支えられた素晴らしい飲み心地を体感していただきたいですし、今夜のごちそう(気軽なアペリティーヴォにも!)と合わせて、新しいモスカートの世界をお楽しみいただければと思います。