2025/11/17
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ロベルト ボッジョーネ氏 Mr. Roberto Boggione
バローロに革命を起こした立役者のひとり!現代クリュ バローロの先駆け「ブリック デル フィアスク」を生んだ偉大な造り手「パオロ スカヴィーノ」

パオロ スカヴィーノを革新的な存在へと導いた
クリュ バローロ「ブリック デル フィアスク」
バローロの改革者、3代目当主エンリコ・スカヴィーノ氏
3代目当主エンリコは、パオロ スカヴィーノに大きな変革をもたらした人物です。82年の生涯のうち、70回もの収穫を経験し、新たな畑への挑戦を重ねながら、バローロが唯一無二の存在であることを知らしめてきました。そのエンリコの想いは、現在、二人の娘であるエリーザとエリカへと受け継がれています。

スカヴィーノ家を象徴する偉大なクリュ
「ブリック デル フィアスク」
クリュ バローロ「ブリック デル フィアスク」は、スカヴィーノ家を象徴する畑です。1920年までは、より広い区画でしたが、家族内で畑を分割したことをきっかけに、その翌年1921年、スカヴィーノ家はワイナリーを設立しました。ブリック デル フィアスクは、その原点とも言える存在です。
1978年にクリュ バローロとして初リリース
「常に最も高いクオリティを示してきた区画」
この畑は、私たちが所有する区画の中でも、さまざまなヴィンテージを経験するなかで、良い年も難しい年も含め、常に最も高いクオリティを示してきた区画でした。そのことを踏まえ、エンリコは父パオロに「この畑を単一で造りたい」と提案しました。その決断により、1978年にクリュ バローロ「ブリック デル フィアスク」が初めてリリースされました。
「ブリック デル フィアスク」をきっかけに、エンリコは自ら責任を引き受け、カンティーナへの投資を含めた新たなワイン造りに踏み出しました。結果として、その選択は正しく、今振り返ると、このクリュ バローロの誕生こそが、パオロ スカヴィーノにおける新時代の幕開けとなった歴史的な転換点だったと言えるでしょう。
ブリック デル フィアスク
30haの自社畑はすべて、バローロDOCG内8つの村に位置
ブリック デル フィアスクが位置するカスティリオーネ ファッレット村を中心に、所有する畑はすべてバローロDOCGの認定を受けるバローロエリア内にあります。総面積は30ヘクタールで、11ある村のうち8つの村(コムーネ)に畑が点在しています。
年間生産量は約18万本。そのうち、およそ60%をバローロが占めています。30ヘクタールという広さがあれば、理論上はさらに多くの生産も可能ですが、品質を最優先とし、畑とカンティーナの両方でセレクションを行うことで、この生産量に抑えています。
また、広範囲に畑を所有している特性を活かし、収穫も醸造もすべて区画ごとに分けて行っています。区画が大きい場合は、さらに樹齢や標高、方角ごとに細かく分けています。その結果、1年を通して醸造回数は60回を超えます。
30弱に及ぶ区画(濃い紫)
「テロワールの純粋さをボトルに表現すること」
時代を超えて貫くワイン造りの哲学
私たちのクラシック バローロは、3つの村、8つの畑で構成されています。内訳は、カスティリオーネ ファッレット村から3区画、セッラルンガ ダルバ村から2区画、バローロ村から3区画。この構成になったのは、2010年頃からです。
クラシック バローロは、大樽のみを用いた20か月間の熟成を経て仕上げられます。クリュ バローロ「ブリック デル フィアスク」も、醸造と熟成の考え方はまったく同じです。理由は「テロワールの純粋さをボトルに表現すること」が一貫した目的だからです。それがパオロ スカヴィーノにとっての最大のスタイルです。
クリュ バローロの畑だけで造る贅沢なランゲ ネッビオーロ
ランゲ ネッビオーロは、クリュ バローロの区画だけで造ります。その畑が、ラ モッラ村の「アヌンツィアータ」と「ブリッコ マネスコット」。いずれも、ランゲ ネッビオーロ専用の畑です。クリュ バローロのブドウを、あえてランゲ ネッビオーロとしてリリースしています。
今や、「パオロ スカヴィーノにおけるレッドカーペットの最初の一本」とも言える存在です。木樽熟成は大樽、トノー、バリックを使用して6か月のみ行います。いずれも旧樽で、木のニュアンスを与えることが目的ではありません。

大樽熟成に回帰したバローロ
――いつ頃から、バローロは大樽100%に移行したのでしょうか?
2017年、2018年頃ですね。エンリコはバローロ ボーイズの一人として、1990年代にはバリックを多用していましたが、そこから徐々にバリックの使用比率を減らしていきました。「伝統に戻る」と決断したのは2016年頃ですね。
その理由は、市場の要求というよりも、温暖化の影響が大きかったです。もともとバリックを使用していたのは、荒々しいタンニンを柔らかくするためでした。しかし、気候が温暖になるにつれ、ブドウは自然と成熟し、タンニン自体も柔らかくなってきたのです。
その結果、ワインの飲み心地も向上しました。最終的に、大樽で熟成させたほうが、ネッビオーロ本来の純粋さをより正確に表現できる、という結論に至りました。

時代とともに変化する味わい、変わらないワイン造りへの想い
――私たちのお客様の中に、かつて飲んだクリュ バローロ「ブリック デル フィアスク」が美味しくて忘れられない、という方がいらっしゃいます。その方が、20歳になる息子さんと一緒に飲んだところ、記憶していたイメージのワインと違っていた、という感想を寄せてくださいました。
それも、やはり気候の変化が大きいと思います。1990年代から2000年代にかけては、飲みやすいバローロを造ること自体が難しい時代でした。今よりも、さらにがっちりとした骨格を持つワインが主流だったのです。
もし最近のヴィンテージを飲まれたのであれば、当時よりもエレガントさが前に出た味わいだと感じられたはずです。逆に言えば、それだけ飲みやすくなっているとも言えます。
ワインは時代とともに変化しますし、飲む人の嗜好や味覚も変わっていきます。ただ、その中で、パオロ スカヴィーノのワインを好きであり続けてもらえるように努めることは変わりません。
2つのクリュのみを用いて造るランゲ ネッビオーロ |
ランゲ ネッビオーロ 2023 |
| ロベルト氏: 「ランゲ ネッビオーロは、パオロ スカヴィーノのレッドカーペットの最初の一本と言えるワインです。それくらい非常に重要なワインです。使用する畑は、ラ モッラ村のアヌンツィアータとブリッコ マネスコットのふたつ。いずれもクリュ バローロの区画ですが、専属の畑として用いてあえてランクを下げてランゲ ネッビオーロとしてリリースしています。発酵は低温で行い、マセラシオンは5日程度の短期間。果皮からの抽出を過度に行わないことを重視しており、その結果、飲み心地がよく、アプローチしやすいスタイルにしています。ネッビオーロのアイデンティティであるフレッシュさやフルーティさ、エレガントさやフィネスを表現することを目的としています。木樽熟成は約6か月と短く、大樽やトノー、バリックを使用しますが、すべて旧樽で、目的はタンニンを柔らかくすることにあります。木のニュアンスを与える意図はなく、ニュートラルなタンク、ステンレスタンクで熟成させるような意味合いで使用しています。」 |
| 試飲コメント:ルビー色。赤い果実のピュアな香りとほのかな甘やかさがあり、フローラルなニュアンスも感じます。味わいは香りの印象と重なり、果実の甘やかさと心地よいタンニンが調和して持続します。華やかさもやってきます。 |
力強さと優美な味わいの調和
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バローロ 2021 |
| ロベルト氏: 「3つの村(コムーネ)、8つの畑で造るクラシック バローロです。カスティリオーネ ファッレット村から3区画、セッラルンガ ダルバ村から2区画、バローロ村から3区画。それぞれの区画は土壌、標高、向きが異なるため、すべて別々のタイミングで収穫し、別々に醸造されます。各区画の比率を決定し、その年にとって最良のバローロの形を導き出します。最終的なアッセンブラージュは各区画を大樽で1年間熟成させた後におこない、ブレンド後はすべて大樽で2年目の熟成に入ります。畑ごとの比率は毎年変わり、使用されなかったワインは毎年15~20%ほどありますが、それらはすべて他社に販売してしまいます。20か月の大樽熟成後、ボトリング前にステンレスタンクへ移し約3か月休ませ、沈澱を完全に落としてから無濾過で瓶詰めします。瓶内熟成は約1年2か月行ってからリリースされます。」 |
| 試飲コメント:やや淡いルビー色。繊細ながら芯を感じる香りで、赤系果実と花の印象があります。味わいは力強さと繊細さが同居し、しっかりしたタンニンが口中を覆い、優れた骨格と優美さが一体となって広がります。 |
「ワインの複雑さは土壌の複雑さそのもの」
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バローロ ブリック デル フィアスク 2020 |
| ロベルト氏: 「ブリック デル フィアスクは、スカヴィーノ家を象徴する歴史的な畑です。1921年に3代目当主エンリコが取得し、1978年にクリュとしてリリースされました。醸造はクラシック バローロと同様で、大樽熟成を20か月行います。目的はテロワールの純粋さをそのままボトルに表現することです。ブリック デル フィアスクは、バローロ地区に存在するトルトニアーノとエルヴェツィアーノという二つの異なる地質の境界にあり、両方の要素が混ざり合っていることが特徴です。マール土壌、粘土、砂、チョークなどが層を成し、地下水も非常に豊富で、畑の中央には鉄分を多く含む自然の源泉があります。この水は枯れることがなく、2022年や2023年のような乾燥した年でも水不足になることはありませんでした。ワインの複雑さは土壌の複雑さそのもので、エレガントさと力強さ、豊かな果実味に加え、チョコレートやスパイスのような要素も現れます。舌に長く残る余韻があり、長期熟成にも適したワインです。」 |
| 試飲コメント:ルビー色。エレガントで魅惑的な香りが立ち、凝縮した赤系果実の力強さや華やかさを感じます。やや濃密な果実感が上品に広がり、存在感のある引き締まったタンニンが凝縮果実やチョコレートやクローブやのようなスパイスと溶け合いながらふくよかに続きます。 |
インタビューを終えて







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