ブルネッロ ディ モンタルチーノの最大手「バンフィ」

2025/08/08

2025/06/10

パオロ ファッシーナ氏 Mr. Paolo Fassina

圧倒的な広さを誇る自社畑から選び抜いた最高のブルネッロ!欧州屈指のスケールと確かな品質でモンタルチーノを牽引する最大手「バンフィ」

1978年創業、ブルネッロ ディ モンタルチーノを世界に広めた最大手「バンフィ」。創業者のイタリア系アメリカ人マリアーニ兄弟が、高品質なワインを生産する世界的規模のワイナリーを目指して誕生させました。ワインビジネスという概念が存在しなかった時代に、世界市場の開拓に成功し、現在ではブルネッロ全体の約10%を生産するに至っています。今回お話を伺ったのは、ブルネッロ ディ モンタルチーノをはじめ、サンジョヴェーゼ100%で造られる各ワインについて。象徴的な畑「ポッジョ アッレ ムーラ」を筆頭に、近年は単一畑シリーズによって畑の個性を表現する「テロワール重視」のスタイルへと進化しています。広大な畑を活かした彼らならではのサンジョヴェーゼ哲学と、ワイン造りの真髄について、エリアマネージャーのパオロ・ファッシーナ氏に話を伺いました。

モンタルチーノ、ヨーロッパ最大規模を誇るワイナリー
数々の革新で造り上げた最高品質ブルネッロ

ブルネッロ黎明期からの代表的な畑「ポッジョ アッレ ムーラ」とともに発展
バンフィ社は、1978年にモンタルチーノで創業したワイナリーです。モンタルチーノは、世界でもっともサンジョヴェーゼに適した土地です。DOCGエリアの広さは2100ヘクタール。その中に、260のブルネッロ生産者が点在し、それぞれが独自の歴史や哲学に基づいてワインを生産しています。

1967年のブルネッロ協会設立当時は、わずか71ヘクタールしか栽培されておらず、生産者も数十軒にとどまっていました。当時もっとも知られていた畑(造り手)が、当時の全体の約3割を占める「ポッジョ アッレ ムーラ」でした。私たちはその畑を取得して、創業時から発展していきました。
バンフィを象徴する、城&単一畑「ポッジョ アッレ ムーラ」

先駆的に行ったテロワール研究
「ブルネッロ ディ モンタルチーノといえば、バンフィ」

私たちは、モンタルチーノにおける土壌や気候条件の研究をいち早く行い、テロワールの理解に努めてきました。畑には計測機器を設置し、気温や風速などの詳細なデータを収集。自社でテロワールに関する地図を作成しました。今となっては普通のことですが、当時このような取り組みを行う造り手はいませんでした。

「ブルネッロ ディ モンタルチーノといえば、バンフィ」と評されるほどで、(約20年前)バンフィのブルネッロ ディ モンタルチーノが『ワインスペクテーター』TOP100では3位に選ばれました。そして、2023年度版では、近隣のブルネッロが1位に輝きました。このモンタルチーノという土地で、世界No.1とNo.3が生まれたことは特筆すべきことだと思います。

大規模ワイナリーだからこそ可能にする、安定した高品質
バンフィはヨーロッパ最大規模のワイナリーです。モンタルチーノをはじめ、ボルゲリやキャンティ(クラシコ)、ピエモンテでもワインを生産。モンタルチーノ内だけで2800ヘクタールの土地を所有しています。大規模ゆえに「品質は二の次」と思われがちですが、それは違います。

第一の理由は、多様なテロワールの土地を所有している点です。バンフィのブルネッロ ディ モンタルチーノには、58種類もの異なる土壌、標高0~300メートルのサンジョヴェーゼで構成されています。多くの異なる区画を持つことで、安定した品質と複雑味のあるワインを生み出せるのです。

第二の理由は、生物多様性です。バンフィはブドウ以外にも、プラムやチェリー、穀物類などを広く栽培する農業企業でもあり、農地全体を守る環境保全活動を長年にわたり実施してきました。この包括的なアプローチが、土地を未来に継承する力にもなっています。

イタリア屈指の革新的な取り組みの数々
また、イタリアでもヨーロッパでも最も多く木樽を購入しているワイナリーのひとつです。2007年には、木樽メーカーとステンレスタンクメーカーに声をかけ、両者の利点を融合させた発酵槽「ホライゾン システム」を共同開発。世界で初めての導入に成功して、現在では他社でも使われるようになりましたが、もともとはバンフィ独占の技術でした。サステナビリティへの意識も早くから高く、サステナブル認証「Equalitas」の第一号認定を受けました。まさに「サステナブル=バンフィ」とも言えますね。

畑の個性を映す「テロワール重視」の造りへ
最高のブルネッロを表現した単一畑シリーズ

600種から3種に絞り込んだ、
バンフィ スタイルを体現するサンジョヴェーゼクローン

今回紹介、試飲するワインはすべてサンジョヴェーゼで造られています。テロワールの個性、ヴィンテージの違い、醸造方法の差異がはっきりと感じられるラインナップです。その前提として、バンフィが行ってきたサンジョヴェーゼのクローン研究について触れておく必要があります。

サンジョヴェーゼには非常に多くのクローンが存在し、私たちがモンタルチーノに進出した当時には、すでに600種以上が存在していました。そこで「自分たちの畑に最も適したクローンは何か?」と考え、1980年代初頭からミラノ大学、ピサ大学、そしてアッティリオ・シェンツァ教授とともに、17年に及ぶ共同研究を行いました。

その結果、600種の中から最適と判断した3つのクローンに絞り込み、現在のバンフィのブルネッロはこの3つを基軸に造られています。広大な所有畑と研究によって、バンフィは多様なスタイルのサンジョヴェーゼを表現できるようになりました。

小樽から中樽、大樽醸造に移行し、エレガントスタイルへ
現在私たちは、「土地を表現したテロワールを重視したワイン」へと舵を切っています。優れたワインは、外から手を加えなくとも美しいものになると考え、これまで主流だった小樽から、中樽や大樽へと使用比率を変えているところです。また、樽の形状や産地についても新たなアプローチを取り入れながら、どのような変化が生まれるかを注視しています。

――他のワインもそうですが、ポッジョ アッレ ムーラが非常にエレガントになった印象を受けました。スタイルの変化はいつ頃からでしょうか?

個人的な見解ですが、2015年以降に大きな転換点があったと感じています。それ以前は、凝縮感やパワーが高評価を受ける時代でした。たとえば、「偉大な年」とされる2010年や2012年は、ガイド誌も力強さを評価していましたよね。

一方で2015年は、色調にも凝縮感にも過度な重さがなく、開けてすぐに楽しめる飲み心地の良さが際立っています。そこから現在に至るまで、バンフィのワインはよりエレガントな方向へと進化し続けています。

「バンフィが表現する最高のブルネッロ」単一畑シリーズ
上級ブルネッロ「ポッジョ アッレ ムーラ」「ヴィーニャ マッルケート」「ポッジョ アローロ」は、いずれも畑のテロワールを表現するべく生まれたワインです。いわば「クリュ」の概念を取り入れたものであり、バンフィの未来を担う存在です。将来的には、こうしたスタイルのブルネッロがさらに増えていくと考えています。

ただし、これらのワインは生産量が少なく、それぞれ1万本程度。売上全体のごく一部にすぎません。それでも私たちは、これらのキュヴェによって「バンフィが表現する最高のブルネッロ」を提示したいと考えています。クラシックなブルネッロとは異なるアプローチと役割を持つワインです。

他にはない「畑の個性を反映したブルネッロ」
――こういったワインを造るに至った経緯を教えてください。

モンタルチーノは、大きく4つのエリアに分けることができ、それぞれ異なる個性のワインが生まれます。だからこそ生産者は、「自分たちの土地からしか生まれないワインを造りたい」と考えます。しかし、ラベルには「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」としか書かれず、その違いはわかりません。

だからこそ、明確な違いをワインで表現したいと考え、それらのワインを造りました。とはいえ、多くの生産者の所有畑は平均2.5ヘクタール前後で、クリュ的なワインを造るのは容易ではありません。しかしバンフィは、標高、向き、土壌、樹齢など、広大で多様な畑を所有するアドバンテージを活かし、他にはない「畑の個性を反映したブルネッロ」を形にすることが可能なのです。

高品質ブルネッロを造り続けるバンフィの真髄

「モンタルチーノで唯一、品質の高いワインを安定的に提供できるワイナリー」
――単一畑シリーズのブルネッロを造らない年のブドウは、クラシック ブルネッロに使われるのですよね。

そのとおりです。私がバンフィに入社した頃の話をひとつご紹介したいと思います。私は北イタリア出身なので、当時はモンタルチーノに精通しておらず、この土地のことを語れるようになりたいと考えていました。そこで、社内のエノロゴと親しくなり、彼の父親と夕食をともにする機会がありました。彼はモンタルチーノで生まれ育ち、ブルネッロ協会で役職を務めていた人物です。

私は彼に尋ねました。「これから働くにあたり、どのようにバンフィのことを伝えていけばいいでしょうか?」。すると彼はこう答えました。「バンフィはモンタルチーノで唯一、品質の高いワインを安定的に提供できるワイナリーだ」と。広大な畑を所有し、さまざまな条件下でも品質を確保できる体制があることが、バンフィの強みだというのです。

クリュのブドウで造るクラシック ブルネッロ
たとえば、2002年や2014年などは単一畑シリーズを造りませんでした。そうした年のブドウは、すべてクラシック ブルネッロに使われます。だから彼は、「バンフィは、評価されていないヴィンテージを買ったほうがいい」とも言っていました。そのほうが、品質の高いブドウを使用しているということです。

数年前に『Vinitaly』へ出展した際、あえて評価されていないヴィンテージだけを集めて垂直試飲を行ったところ、ジャーナリストから非常に高い評価をいただきました。優れた年は、どの造り手も素晴らしいワインを造ります。しかし、困難な年においても高品質なワインを届けられるという点で、バンフィはアドバンテージを持っているのです。

毎年50万本を生産し、各誌で高評価を獲得し続ける難しさ
現在、クラシックのブルネッロ ディ モンタルチーノの年間生産量はおよそ50万本です。これに対し、単一畑シリーズはそれぞれ1万本ほどに過ぎません。50万本という膨大な数量を生産し、毎年ガイド誌で90点超の評価を得ることは非常に難易度の高いことです。

ブルネッロ ディ モンタルチーノの名声や品質の高さを鑑みて、同じスコアの他地域ワインと比べると正直ブルネッロは安すぎるくらいだと考えています。だからこそ、私たちは多くのお客様に楽しんでいただけるように、価格を保ちながら、このワインの素晴らしさを伝えていけるように尽力していきたいです。

また、そのブルネッロの入り口となるのが、ロッソ ディ モンタルチーノです。今以上にロッソの生産に注力し、この土地の魅力をさらに多くの人に知っていただきたいです。

「毎日飲める高品質デイリーワイン」
最も知名度の高いロッソ ディ モンタルチーノのひとつ

ロッソ ディ モンタルチーノ 2022

ロッソ ディ モンタルチーノ 2022

パオロ氏:
「これは最も知られているロッソ ディ モンタルチーノのひとつです。人気に伴い、生産量を拡大しています。中程度の樽を使用して、クラシックなスタイルながら飲みやすさとエレガンスを重視しています。この2022年ヴィンテージは2017年や2021年と同様、非常に暑く乾燥した年でした。凝縮感のある味わいを想像されがちですが、実際に飲むとフレッシュで心地よい飲み口に仕上がっています。毎日飲める高品質デイリーワインであり、パスタ、豚肉、チーズ、牛肉など幅広い料理に合います。」
試飲コメント:ルビー色。赤い果実やプルーンのようなわずかに濃縮感のあるフルーツの香りがあります。味わいはフレッシュで、香りに感じた果実があり、タンニンは細やかです。じんわりと広がる余韻が長く持続します。

「ミニブロネッロ」とも呼べる少量限定ロッソ ディ モンタルチーノ

ポッジョ アッレ ムーラ ロッソ ディ モンタルチーノ 2020

ポッジョ アッレ ムーラ ロッソ ディ モンタルチーノ 2020

パオロ氏:
「ポッジョ アッレ ムーラのロッソ ディ モンタルチーノです。一般的なロッソより生産量が少ない限定キュヴェです。畑は本拠地であるポッジョ アッレ ムーラ城の前面に広がる区画。選果を徹底しバリック熟成で造られるので、まさにミニブルネッロと呼べる存在で、良年であればブルネッロと言っても差し支えないほどのクオリティです。凝縮感ある色調も特徴的です。2021年ヴィンテージは、ブルネッロ協会の5つ星評価が見込まれるほどの素晴らしい年です。年間生産量は1万5000本程度です。」
試飲コメント:やや濃いルビー色。黒と赤の果実がぎゅっと詰まったような香りに、チョコレートやレザーのニュアンス。どこか爽やかさも感じます。味わいは熟した果実と樽由来の甘さや柔らかさが絶妙に調和し、チョコやレザーの風味も溶け合っています。タンニンは細やかでありながら、しっかりとした余韻が持続します。

バンフィが誇るクラシック ブルネッロ
今まさに熟成ピークを迎え始めた2016年ヴィンテージ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2016

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2016

パオロ氏:
「完璧な年と称される2016年ヴィンテージの、ブルネッロ ディ モンタルチーノです。ちょうど今から熟成のピークを迎えていますね。今後の進化も期待できる1本です。ロッソ ディ モンタルチーノと比べて、余韻の長さに顕著な違いが感じられます。中程度に熟成したチーズなどとの相性が良く、イノシシ肉のパスタとも合います。」
試飲コメント:ガーネットに近いルビー色。赤い果実やドライフラワーの香りが穏やかに立ち上がります。柔らかな口当たりで、果実感と華やかさに深みがあります。全体的に優れたバランスを感じます。

バンフィが誇るクラシック ブルネッロ
フレッシュな魅力にあふれる2019年ヴィンテージ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2019

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2019

パオロ氏:
「5つ星を獲得した2019年ヴィンテージの、ブルネッロ ディ モンタルチーノです。全体的にエレガントさに寄ったタイプで、2016年ヴィンテージと比較すると、フレッシュさや酸が際立っています。第三アロマもしっかりしている印象です。ブルネッロ初心者には、この2019年のほうが飲みやすく、フレッシュな魅力を感じやすいでしょう。」
試飲コメント:輝くルビー色。豊かな果実感にスパイスが重なる、力強く複雑な香りです。フレッシュな酸と果実味、タンニンが調和しながら広がり持続していきます。

長期熟成ポテンシャルと力強さを秘めた歴史的な単一畑ブルネッロ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ ポッジョ アッレ ムーラ 2019

ブルネッロ ディ モンタルチーノ ポッジョ アッレ ムーラ 2019

パオロ氏:
「バンフィを象徴するポッジョ アッレ ムーラ城の周囲に位置する単一畑のブルネッロ ディ モンタルチーノです。2019年ヴィンテージ。クラシック ブルネッロが、58区画の畑であるのに対し、こちらは単一畑です。余韻は10秒以上持続し、ストラクチャーも段違いです。バリック60%、大樽40%で熟成されており、長期熟成型を目指して造っています。現時点ではタンニンがやや主張しますが、決してネガティブではなく、今飲んでも楽しめますし、熟成ポテンシャルを秘めている証です。ブラザートなどと合わせて楽しめます。生産量は5万本です。」
試飲コメント:ガーネットに近いルビー色。赤と黒の果実が混ざった豊かな香りにコーヒーのニュアンスがあります。味わいは力強く厚みがありながらもエレガントで、後味にコーヒーのような印象と存在感あるタンニンが重なり、長く続く余韻を感じます。

風味豊かな香りが際立つ、歴史的な単一畑ブルネッロ リゼルヴァ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ ポッジョ アッレ ムーラ 2017

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ ポッジョ アッレ ムーラ 2017

パオロ氏:
「バンフィのシンボル、ポッジョ アッレ ムーラ城周囲の単一畑で造るブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァです。全体で15ヘクタールほどの畑。2018年ヴィンテージは5つ星の年ではありませんが、今からすぐにでも飲める素晴らしいヴィンテージです。香りの広がりが特に印象的で、他のヴィンテージと比較しても際立っています。ガイド誌でもリゼルヴァのほうが高く評価されているほどです。年間生産量は1万~1万5000本ほどです。」
試飲コメント:深く輝くルビー色。グラスを飛び越えるような垂直的な香りがあります。赤と黒の果実、黒胡椒などのスパイス、爽やかさもあります。味わいはふくよかながらエレガント、口中に豊かな風味が広がり、細やかなタンニンとともに余韻へと続きます。チョコレートやコーヒーのニュアンス。フレッシュな酸が伴い、非常に長い余韻が持続します。

飲み手を魅了する複雑かつエレガントな単一畑ブルネッロ

ヴィーニャ マッルケート ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2018

ヴィーニャ マッルケート ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2018

パオロ氏:
「ヴィーニャ マッルケートは3つの畑で構成される、合計10ヘクタールの畑です。ヴィーニャ マッルケートというエリアの特性を表現するべく生まれたワインです。ファーストヴィンテージは2016年。生産量は年間1万~1万2000本で、裏にはナンバリングが施されています。飲み手を引き込むようなチャーミングな味わいです。甘みも感じられ、スパイスで煮込んだブラザートやストラコットといった料理に良く合います。」
試飲コメント:やや深みのあるルビー色。厚みがあり複雑な香り。熟した赤い果実、シナモンのようなニュアンス。口に含むと複雑味がエレガントに広がり、果実やスパイスなどが綺麗に溶け合っています。

クラシックスタイルが表現された最高峰クリュ ブルネッロ

ポッジョ アローロ ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2016

ポッジョ アローロ ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2016

パオロ氏:
「ポッジョ アローロはクリュであり、優良年のみ造られる特別なワインです。10~15ヘクタールに広がる、樹齢は40~45年の畑。2017年、2018年は造られておらず、次の2019年は今年9月にリリース予定です。初ヴィンテージは1985年。クラシックなスタイルで、玄人好みの1本と言えるでしょう。現在でも十分に楽しめますが、本当の飲み頃にはまだ到達していない印象です。年間生産量は1万5000本で、裏にはナンバリングが施されています。」
試飲コメント:ガーネット色。赤い果実に加え、ドライフルーツやシナモンのようなスパイスの香りがあり、全体としてエレガントな印象です。豊かな果実やスパイスなどが際立つ力強い味わい。バニラのような後味が余韻に現れます。

インタビューを終えて

今回は、贅沢にもバンフィのサンジョヴェーゼ100%ワインを、幅広く試飲させていただきました。最初に味わったロッソ ディ モンタルチーノから、どのワインも非常に完成度が高く、印象に残るものばかりでした。

なかでも印象深かったのが、単一畑シリーズ。とりわけ「ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ ポッジョ アッレ ムーラ」は圧巻の一本でした。香りの立ち上がりから、味わいの重層感、余韻の長さ、凝縮感、エレガンスに至るまで、すべての要素が際立ちながら調和していました。さらに、同じ「ポッジョ アッレ ムーラ」で造られるロッソ ディ モンタルチーノも驚きの完成度でした。凝縮感とフレッシュさ、複雑味が見事に溶け合い、まさに「ミニブルネッロ」と呼ぶにふさわしい味わいでした。

お話にもあったように、これほど完成度の高い多様なブルネッロ ディ モンタルチーノが生み出されているのは、バリエーションに富んだサンジョヴェーゼの表現によるものだと感じました。そしてそれを可能にしているのは、広大な土地に多様な畑を所有し、長年モンタルチーノを牽引してきたバンフィのスケール感と哲学があってこそだと強く感じました。モンタルチーノ随一の造り手、バンフィのブルネッロを、ぜひご堪能ください。