ボルゲリで2番目に古い造り手!数々の「ボルゲリ初」を打ち立てるパイオニア「グラッタマッコ」

2026/10/13

2025/10/23

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ダヴィデ トルキオ氏 Mr. Davide Torchio

ボルゲリで2番目に古い造り手!ボルドー品種主体の地でサンジョヴェーゼにこだわり続け、数々の「ボルゲリ初」を打ち立てるパイオニア「グラッタマッコ」

2025年10月、イタリア トスカーナ州ボルゲリ地区にある「グラッタマッコ」を訪問しました。サッシカイアを擁するテヌータ サン グイドに続き、ボルゲリで2番目に古い歴史を持つ名門ワイナリーです。ボルドー品種中心のボルゲリにおいて、丘陵地のサンジョヴェーゼにこだわり、さらには「ボルゲリ初のヴェルメンティーノ」や「ボルゲリ初のアルベレッロ仕立て」の導入など、伝統と革新を止めることなく走り続けています。醸造担当のダヴィデ トルキオ氏にお話を伺いました。
    目 次
  • 1977年創業!サッシカイアに次ぐボルゲリで2番目に古い歴史!
    丘陵地の畑でサンジョヴェーゼにこだわり続ける
  • 数々の“ボルゲリ初!
    ボルゲリ初ヴェルメンティーノ&ボルゲリ初アルベレッロ仕立て
    テロワールの常識を変えた2つのイノベーション
  • ボルゲリにおいてサンジョヴェーゼにこだわり続ける稀有なスーパータスカン!
    フラッグシップ「グラッタマッコ」
  • 職人技とこだわりが宿る3つの赤「グラッタマッコ」「ラルベレッロ」「ボルゲリ ロッソ」

1977年創業!サッシカイアに次ぐボルゲリで2番目に古い歴史!
丘陵地の畑でサンジョヴェーゼにこだわり続ける


グラッタマッコの創業は1977年。ベルガモでレストランを営んでいたピエルマリオ メレッティ カヴァッラーリ氏が、自身で美味しいワインとオリーブオイルを造りたい、と友人のルイジ ヴェロネッリ氏に相談し、この地を訪れたことから始まりました。

当時のボルゲリは、1942年にカベルネ ソーヴィニヨンを植樹し、1968年に市場に登場したサッシカイアの造り手「テヌータ サン グイド」のみが存在する時代でした。カヴァッラーリ氏は、サンジョヴェーゼとトレッビアーノが植えられていた石灰質と泥灰土の、標高の高い丘陵地に2ヘクタールの畑を購入。ボルゲリで2番目となるワイナリーを創業しました。

創業の翌年に造った赤はサンジョヴェーゼ100%でしたが、1970年代の終わりに、カベルネ ソーヴィニョンを植樹。1982年、サンジョヴェーゼ85%にカベルネ ソーヴィニヨン15%をブレンドした、「グラッタマッコ」が誕生。以来、ボルドー品種が大部分を占めるボルゲリの中で、トスカーナを代表する黒ブドウ「サンジョヴェーゼ」の可能性を証明し続けています。

数々の“ボルゲリ初!
ボルゲリ初ヴェルメンティーノ&ボルゲリ初アルベレッロ仕立て
テロワールの常識を変えた2つのイノベーション

グラッタマッコには、地域の歴史を変えた2つの画期的な挑戦があります。

ボルゲリ初のヴェルメンティーノ(1986年植樹)

現在、ボルゲリの白ワインとして親しまれているヴェルメンティーノですが、その先駆者はグラッタマッコです。多くの生産者の畑が海に近い平坦な赤土・砂質土壌にあるのに対し、グラッタマッコはボルゲリで唯一「丘陵地」に位置します。石が転がる過酷な土壌ゆえにブドウの根が地中深くまで張り巡らされ、土壌の豊かなミネラルをしっかり吸い上げます。

グラッタマッコ ビアンコ ボルゲリ ヴェルメンティーノ

熟成の3分の1をバリック(小樽)、3分の2をステンレスタンクで6ヶ月間行いブレンド。一般的な軽いフレッシュな白とは一線を画す、芯のあるミネラルと深みを持った上質な白ワインに仕上がります。

酷暑を乗り越えるボルゲリ初の「アルベレッロ仕立て」(2004年導入)

観測史上空前の酷暑と乾燥に見舞われた2003年。ブドウへのダメージを痛感したグラッタマッコは、南イタリア(プーリアやシチリア)で古くから用いられる伝統の「アルベレッロ仕立て」の導入を決意しました。海に近い平坦な土地を開墾し、カベルネ ソーヴィニヨンとカベルネ フランをアルベレッロで植樹。樹を低く仕立てて強い日差しから果実を守るこの畑から、単一キュヴェ「ラルベレッロ(L’Albarello)」が誕生しました。

ボルゲリにおいてサンジョヴェーゼにこだわり続ける稀有なスーパータスカン!
フラッグシップ「グラッタマッコ」

グラッタマッコの最初の畑にはサンジョヴェーゼが植えられていたことからわかるように、グラッタマッコはサンジョヴェーゼから始まったカンティーナと言えます。サンジョヴェーゼは本来、昼夜の寒暖差とある程度の標高を必要とする繊細な品種です。そのため、海寄りの暖かい平地ではサンジョヴェーゼの美点は発揮されません。

2007年に完全なオーナーとなったコッレマッサーリ・グループのもと、2013年にはさらに標高の高い「カーサヴェッキア」地区に畑を取得し、2016年にサンジョヴェーゼを植樹しました。

あえて日差しが強すぎない「北西向きの斜面」では、ブドウが急激に熟しすぎず、ゆっくりと完璧なフェノール成熟(果皮や種までの成熟)を迎えることができます。この美しい酸と引き締まった果実味が、現在のグラッタマッコの品格を支えています。

ボルゲリロッソは、グラッタマッコで栽培している黒ブドウ全てがブレンドされています。一方、グラッタマッコは、カベルネソーヴィニョン、メルロー、サンジョヴェーゼの3品種で造っています。

グラッタマッコのセパージュの変遷
■1982年~
サンジョヴェーゼ85%、カベルネソーヴィニョン15%

■1980年代終わり
サンジョヴェーゼ50%、カベルネソーヴィニョン50%

■1995年~現在
カベルネソーヴィニョン65%、メルロー20%、サンジョヴェーゼ15%

職人技とこだわりが宿る3つの赤「グラッタマッコ」「ラルベレッロ」「ボルゲリ ロッソ」

グラッタマッコでは、それぞれの赤ワインが持つ役割に合わせて醸造方法を明確に変えています。カジュアルに楽しめるフレッシュなスタイルのボルゲリロッソは木樽熟成6ヶ月と比較的短期間。ラルベレッロは、カベルネソーヴィニョンとカベルネフランを同日に収穫し、混醸。この収穫のタイミングを見極めることで豊かなアロマと濃密なストラクチャーに仕上げています。そして、フラッグシップのグラッタマッコは開放樽のティネッロで発酵させています。


グラッタマッコの醸造に用いるティネッロ

グラッタマッコ ビアンコ ボルゲリ ヴェルメンティーノ 2023

グラッタマッコ ビアンコ ボルゲリ ヴェルメンティーノ 2023

現在、ボルゲリの白ワインとして親しまれているヴェルメンティーノですが、その先駆者はグラッタマッコです。多くの生産者の畑が海に近い平坦な赤土・砂質土壌にあるのに対し、グラッタマッコはボルゲリで唯一「丘陵地」に位置します。石が転がる過酷な土壌ゆえにブドウの根が地中深くまで張り巡らされ、土壌の豊かなミネラルをしっかり吸い上げます。

熟成の3分の1をバリック(小樽)、3分の2をステンレスタンクで6ヶ月間行いブレンド。一般的な軽いフレッシュな白とは一線を画す、芯のあるミネラルと深みを持った上質な白ワインに仕上がります。

ボルゲリ ロッソ 2024

ボルゲリ ロッソ 2024

ボルゲリロッソは、グラッタマッコで栽培している黒ブドウ全てがブレンドされています。フラッグシップのグラッタマッコに使われない、最良のカベルネ フランが入っていて、スパイシーで華やかなアロマをもたらします。熟成は木樽で6ヶ月間。フルーティーで瑞々しい酸があり、重すぎずお食事に非常に合わせやすいフレッシュなスタイルです。

ラルベレッロ ボルゲリ ロッソ スペリオーレ 2022

ラルベレッロ ボルゲリ ロッソ スペリオーレ 2022

観測史上空前の酷暑と乾燥に見舞われた2003年の後、その対策として、南イタリアで古くから用いられる伝統のアルベレッロ仕立ての導入を決意しました。海に近い平坦な土地を開墾し、カベルネ ソーヴィニヨンとカベルネ フランをアルベレッロ仕立てで植樹。樹を低く仕立てて強い日差しから果実を守るこの畑から、単一キュヴェ「ラルベレッロ」が誕生しました。

品種ごとに収穫時期を分けるのではなく、2品種のブレンドバランスが最も完璧になるタイミングを厳密に見極め「同一日に収穫して一緒に発酵(混醸)」させています。熟成は木樽で18ヶ月間で、新樽50%、旧樽50%です。アロマティックで野生味のある、密度の高いストラクチャーのあるワインです。

2022年は暑く、8月中旬以降、雨の多い年でした。ワインとしては例年に比べると繊細なスタイルに仕上がっています。

グラッタマッコ ロッソ ボルゲリ ロッソ スペリオーレ 2021

グラッタマッコ ロッソ ボルゲリ ロッソ スペリオーレ 2021

グラッタマッコの最初の畑にはサンジョヴェーゼが植えられていたことからわかるように、グラッタマッコはサンジョヴェーゼから始まったカンティーナと言えます。サンジョヴェーゼは本来、昼夜の寒暖差とある程度の標高を必要とする繊細な品種です。そのため、海寄りの暖かい平地ではサンジョヴェーゼの美点は発揮されません。

カベルネ ソーヴィニヨン65%、メルロー20%、サンジョヴェーゼ15%のセパージュです。発酵はティネッロという樽で行い、2人の職人がかかりっきりで手作業で棒を使いピジャージュを実施。熟成は木樽で18ヶ月間(旧樽70%、新樽30%)です。トスカーナらしいサンジョヴェーゼの美しい酸と、ボルドー品種の骨格が見事に調和した、エレガントな味わいです。

2021年は素晴らしいヴィンテージです。適切な時期に雨が降り、日照量もあり、健康なブドウができました。発酵が終わった時に果皮を食べた時、「このワインは完璧になる」と確信しました。そして、2022年はグラッタマッコの初ヴィンテージ1982年からから40周年となるヴィンテージで、ボトルに40の刻印があります。ヴィンテージ的には2021年に比べると繊細なスタイルです。

インタビューを終えて

これまでに何度か突撃インタビューをさせていただいたグラッタマッコを、今回ようやく現地訪問することができた貴重な機会となりました。

創業当時、サッシカイアとグラッタマッコしかなかったボルゲリも、いまではボルゲリ協会に加入するワイナリーが78社にまで増加しています。グラッタマッコは、ボルゲリをこれほど多くの生産者とワイン愛好家を魅了する銘醸地に成長させた立役者です。

今回はワイナリーの歴史をおさらいしながら、醸造担当のダヴィデ氏とともに試飲をさせていただきました。創業者のカヴァッラーリ氏がヴェロネッリ氏の助言もあってボルゲリの「丘陵地」を選んだこと。他のボルゲリのワイナリーとは異なり「まずサンジョヴェーゼありき」という姿勢を持ち続けていること。そして、ボルゲリ初のヴェルメンティーノや、酷暑に対抗するアルベレッロ仕立てをいち早く導入したことなど。あらためて現地でダヴィデ氏のお話を伺うことで、彼らの歩みがいかに挑戦に満ちていたかを臨場感を持って実感できました。

今回テイスティングした4種類のワインは、そうした改革やチャレンジ精神の歴史が造り出したもの。グラッタマッコの畑を臨む試飲ルームでその歴史を噛みしめながら味わうことができた、素晴らしい時間でした。