2021年9月16日 キアラ レオニーニさん Ms. Chiara Leonini
「ミスターサンジョベーゼ」ベルナベイ氏と共に世界に名を馳せた「フォンタローロ」「ランチャ」!サンジョヴェーゼ100%の不動の地位を確立する「フェルシナ」突撃インタビュー |
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「フェルシナ」は、カステルヌオーヴォ ベラルデンガとコッリ セネージの境界線に位置し、土壌の組成が異なる地域に自社畑を複数所有しています。名醸造家「ミスターサンジョヴェーゼ」こと、フランコ ベルナベイ氏と共に世界的躍進のきっかけとなる2本を輩出。単一畑のキャンティ クラシコの先駆け「ランチャ」、二つのアペラシオンが融合したスーパートスカン「フォンタローロ」は、ともにサンジョヴェーゼ100%で造られており「フェルシナと言えばサンジョヴェーゼ」という名声を手にします。異なる特性を持つ土壌や、代名詞サンジョヴェーゼについて、輸出マネージャーを務めるキアラ レオニーニさんにオンラインで伺いました。 | ||||||||||
「カステルヌオーヴォ ベラルデンガ」と「コッリ セネージ」の境界に位置する「フェルシナ」
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「フェルシナ」は1966年創業、ドメニコ ポッジャーリ氏によって設立されました。3世代にわたり単一品種、特にサンジョヴェーゼ100%にこだわる家族経営のワイナリーです。もともとは狩りのために土地を購入しフェルシナは創業しており、その土地で小麦なども作っていました。徐々にブドウ畑を買い足していき、1966年に創業した時は9ヘクタールだった畑が、今や72ヘクタールまで広げています。その広大な土地の中で明確に線引きされた土壌、23もの異なる畑で個性溢れるブドウを栽培しています。
サンジョヴェーゼを知り尽くすフランコ ベルナベイ氏と共に世界的躍進を遂げた偉大なワインを輩出 「他のワイナリーは他品種を植え始めていましたが、フェルシナは最初からサンジョヴェーゼに集中していました。もともとその土地で活躍していた農夫の方々から畑を受け継ぎ、フェルシナのアイデンティティであるサンジョヴェーゼを家族経営でここまで築いてきたことに誇りを持っています」 「明確に異なる個性を持つサンジョヴェーゼ“たち”を私たちは熟知しています」 私たちの代名詞であるサンジョヴェーゼも同様に様々なタイプが存在しています。二つのアペラシオンの特性や標高、土壌、ミクロクリマ、テロワール、クローン、ビオタイプ、房の特性など――あらゆることが明確に異なるサンジョヴェーゼを栽培しています。そのため、私たちフェルシナは、サンジョヴェーゼを複数形でサンジョヴェー“ジ”と呼んでいます。それはサンジョヴェーゼが一つではないと常に考えているからです。ですから、どの畑のサンジョヴェーゼがどういう風に育っていくかを私たちは熟知しているんです。 実はサンジョヴェーゼクローンの何パターンかは、畑を購入した時から存在していました。グロッソもありました。70年代に購入してマッサルセレクションを行ったクローンもあります。私たちは研究が大好きなので、どの土壌にどのサンジョヴェーゼが適しているかの研究を長年してきましたクローンは全部で20種類ほどありますが、それだけ適応させることができる土壌を持っているという証明でもあると思っています」 ソフトでフローラルな印象を与える砂質土壌の「キャンティ コッリ セネージ」 |
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フェルシナを代表するトップキュヴェ、キャンティ クラシコ リゼルヴァが造られる「ランチャ畑」
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20年以上の熟成ポテンシャルを秘めた、キャンティで最も古い単一畑の一つ「ランチャ」 「先日飲んだ95年のランチャはまだ生き生きとしていました」 「キャンティ クラシコ リゼルヴァはランチャ畑で造られています。ランチャ丘の最上部にあり、森に囲まれた一番標高の高い畑です。土壌は、このエリアの典型的なアルベレーゼ(炭酸カルシウムを含む泥灰土)や、ガレストロという石灰質を帯びた粘土の土壌が含まれています。現在のブドウは、過去にランチャ畑に植えられていたサンジョヴェーゼからマッサルセレクションによって純粋栽培された優良株です。9ヘクタールの畑には全てサンジョヴェーゼが植えられています。 ランチャ畑のブドウで造られたワインは、豊富なスパイス感、ミネラル、フェンネルなどのハーブ、黒系果実が引き出されます。バランスに優れ、エレガントでフレッシュな味わいも特徴です。20年でも30年でも熟成できるワインです。実は先日、95年のランチャを飲みましたが、まだまだフレッシュで生き生きとしていました」 フェルシナの傑作品「フォンタローロ」を生む二つのアペラシオンの融合 「サンジョヴェーゼ100% スーパートスカンの先駆けであるフォンタローロに使われるブドウ畑は3箇所あり、タイプの異なる畑のブドウがブレンドされています。一つはキャンティ クラシコエリア内のポッジョ アル ソーレ畑。残りはコッリ セネージエリアのアルチドッシーノとカザリーノ畑です。ポッジョ アル ソーレ畑のミネラル感、アルチドッシーノの砂質土壌由来のフローラル、カザリーノ畑のストラクチャーが表れており、それら全てを包括したようなワインになっています。 特にカザリーノ畑は、オリーブに囲まれている印象的な畑であり、美しいサンジョヴェーゼを造るためのかなり特別な畑です。骨格に加えて芳しい香りが与えられ、濡れた土のニュアンスを生むのが特徴です。カザリーノ畑から造られたワインはやみつきになります。味を落ち着かせるには、かなりの時間のボトル熟成が必要で、最低8~12ヶ月間は瓶の中で熟成させます」 |
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トスカーナでいち早く国際品種に着手しフェルシナ独自のテロワールを表現! |
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1980年代からフェルシナは国際品種にも焦点を当てており、長年の研究と実験により、この土地のさまざまな地形に最も適したクローンを特定しました。オンブローネ川沿いで造られるシャルドネ100%「イ シストリ」、ランチャに隣接した畑と「イ シストリ」と同じ畑のブドウをブレンドした「マエストロ ラーロ」を造っています。
数十年もの研究で導き出されたクローンで造られる海由来のミネラルを感じるシャルドネ「イ シストリ」 フェルシナは以前から偉大な白ワインを造りたいという思いがあり、1980年にフランコ ベルナベイ氏とともに近くのファルネテッラというワイナリーにあるフランスのクローンを移植しました。これがフェルシナにおけるシャルドネの始まりです。ファーストヴィンテージは1987年。オンブローネ川からポッジョロ畑までの地域に、数十年前からの研究を引き継ぐ形でさまざまなクローンと台木を使用し、2000年代に新しく接ぎ木がされています。 「畑は丸みを帯びた岩がある砂質土壌です。イ シストリには全て古樽が使用されており、樽のニュアンスが強く出ないようにしています。シャルドネの典型的なトロピカルフルーツの香りがあり、酸味と旨味が特徴的です。この旨味は海由来のミネラルで、それがこの畑が持つ土壌の特徴なのです。食事に寄り添うことを、このワインでは大事にしており、ほどよい力強さがあります。今すぐに飲んでも素晴らしいですが、4~5年は熟成可能です」 ごく少数生産のマスターピースワイン!カベルネ ソーヴィニョン100%の「マエストロ ラーロ」 「非常に生産量が少ないカベルネ ソーヴィニヨンを造っています。1987年がファーストヴィンテージです。他のワイン同様に樽のニュアンスがあまり出ないようにしています。それに加えて、カベルネ ソーヴィニヨン特有の青っぽさも出すぎないようにしています。わずか1.8ヘクタールの畑の典型的な要素として、バルサミックな風味も感じます。それがフェルシナのテロワールを表現しているものであり、どこかサンジョヴェーゼらしい、トスカーナのカベルネ ソーヴィニヨンだと言えます」 「一体全体いつのものかわからない」母なるヴィン サントと共に発酵して造る7年間熟成のクリーンなヴィン サント 「ヴィン サントは世界的に有名なトスカーナの伝統的なワインです。ヴィン サント ディ フェルシナの伝統は、母なるワインと呼ばれる“一体全体いつのものかわからない”ほどの古いヴィン サントと一緒に発酵させることです。そのワインは、この土地を買った時すでに農夫さんたちが造っていたもので、それをずっと大切にしながらヴィン サントを造り続けています。 熟成期間は造り手によりますが、フェルシナは熟成に7年もの時間を要しているため、造るには忍耐と情熱が必要です。トレッビアーノとマルヴァジアに加えて、バランスを調整したりフェルシナスタイルを特徴づけるために、一部にサンジョヴェーゼを使用しています。飲んでいただくと、非常にクリーンで甘すぎない味わいを感じ取っていただけると思います。それは、私たちのアイデンティティであるサンジョヴェーゼの個性が効いているからです。クリーミーなデザートやジェラート、青かびチーズとの相性が良いです。瞑想用ワインとしてもお勧めです」 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
3世代にわたり家族経営でサンジョヴェーゼ100%の精神を受け継いできたフェルシナ。そんなフェルシナがサンジョヴェーゼ100%で造る異なる4本は、どれも個性が違っており大変魅力的でした。中でもフラッグシップワインである「フォンタローロ」は常軌を逸した存在感を放っていました。果実、スパイス、ミネラルなど、あらゆる要素が見事に融合され素晴らしく調和のとれた味わいでした。
カベルネ ソーヴィニヨン100%で造られたマエストロ ラーロも大変興味深い1本で、品種由来の青っぽさがあまり出ておらず、エレガントで豊富なミネラルを感じる、どこかトスカーナらしさを感じる逸品でした。輸出マネージャーのキアラさん曰く「それがフェルシナスタイル」なのだそう。 ヴィン サントを除く6本のワインは共通して、不思議と白身肉やジビエと相性がよさそうだとも感じました。中でも「キャンティ クラシコ ベラルデンガ」を試飲した際、エレガントで柔らかい味わいで、合わせる料理として不思議と鶏肉のクリーム煮が思い浮かびました。マエストロ ラーロのペアリングを伺うと、牛肉ではなく「アヒルやカモなどのジビエですね」とキアラさん。また、どのワインも非常に洗練された印象です。ヴィンサントに関しては、ミネラルや酸も感じる複雑な味わいで、どこか軽やかささえ感じる甘さが印象的でした。 世界的躍進のきっかけとなったサンジョヴェーゼを中心に、単一品種でその土地の個性を引き出すフェルシナのワインをぜひお楽しみください! |
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「ミスターサンジョベーゼ」ベルナベイ氏と共に世界に名を馳せた「フォンタローロ」「ランチャ」!サンジョヴェーゼ100%の不動の地位を確立する「フェルシナ」突撃インタビュー
2021/09/29