『ガンベロロッソ』最高賞を連発する驚異の実力派!「フィッリアート」

2018/10/18
突撃インタビュー
 
2018年10月5日 フィッリアート社サンドロ ランダッツォ氏

『ガンベロロッソ』最高賞を連発する驚異の実力派!
「高品質&コスパ」新たなシチリアワイン像を産み出した「フィッリアート」

フィッリアート社サンドロ ランダッツォ氏と
『ルカマローニ』で最高評価獲得、現代のシチリアを代表する造り手のひとり「フィッリアート」は1985年、シチリア西部トラパニに程近いパチェコでワイナリーを創業しました。シチリア固有の土着品種のポテンシャルを十分に引き出す事に注力しつつも、シチリアの土地に合った国際品種を見出し、新しいシチリアワイン像の産み出した代表格と言っても過言ではない程の最高峰に位置する造り手です。

気軽に楽しめるデイリーワインから『ガンベロロッソ』最高賞を連発する「サンタアゴスティーノロッソ」「アルモニウム」といった偉大なワインまで、常に安定した品質で、イタリア国内はもとより『ワインアドヴォケイト』『アントニオガッローニ』等国際的ワイン誌でも非常に高い評価を受けています。

僅か30数年で世界的ワイナリーへと上り詰め、まさに「シンデレラストーリー」を地で行くフィッリアート。輸出担当のサンドロ ランダッツォ氏にワイナリーの歴史、誰もがやらなかったファヴィニャーナ島でのワイン造り等、情熱的なワイン造りについてお話を聞きました。

1985年にサルヴァトーレ ディ ガエターノ氏がワイナリーをスタート

ガエターノ氏1985年にサルヴァトーレ ディ ガエターノ氏がワイナリーをスタート
フィッリアートはシチリア西部トラパニに程近いパチェコで1985年にオーナー、サルヴァトーレ ディ ガエターノ氏がワイナリーをスタートさせました。シチリアの3ヵ所でワイン造りをしています。本拠地のあるトラパニに一番大きな畑と醸造所、シチリア東部のエトナ山の麓に醸造所と畑を、そしてトラパニから船で20分ほど進んだ小さな島、ファヴィニャーナ島にも畑を持っています。3つの異なるエリアの畑、醸造所を2ヵ所、所有しています。

地図
トラパニ、エトナ、ファヴィニャーナ島に畑を所有
それぞれのエリアは土壌も違いますし、エリア独特の微気候が存在しています。エトナでは活火山として活動するエトナ山麓、標高800メートルに畑を所有しています。一方、ファヴィニャーナ島の畑は海抜0メートルで海から30メートルの場所に畑があります。トラパニは丘陵地帯で、標高300メートルの場所にあります。火山、海、丘陵地と同じシチリアでも全く異なるテロワールの畑となっています。シチリアでは土着ブドウ品種を数えると細かいものまで含めて70種を超えると言われています。その中でもワインに適したブドウで、その土壌に合ったブドウを選別し栽培しています。

Q.オーナーのガエターノさんはワイナリーを始める前は何をされていたのですか?

ガエターノ氏はシチリア王国から続く貴族であり、ガエターノ氏の祖父の時代からシチリア各地に土地を持つ地主でした。所有する土地でブドウを造りブドウをワイナリーに売っていたのですが、ガエターノの代になって、所有している畑のブドウを使い、自分たちでワインを造るワインビジネスをスタートさせることになります。

ペリグリーノ氏ペッペ ペッレグリーノ氏が創業以来30年エノロゴを務める
設立当初から有名なエノロゴがいた訳ではありません。ガエターノの知人でシチリアワインに精通した地元のエノロゴでマルサラ出身、ペッペ ペッレグリーノ氏に栽培、醸造を依頼しました。現在もエノロゴをお願いしています。ワイナリー創業当初からなのでもう30年の付き合いになりますね。認められた実力の持ち主でフランス、オーストラリアのワイナリーからエノロゴの依頼が来るほどです。しかし彼は30年間一度としてフィッリアート以外とは携わっていないですね。

フィッリアートではワインを造るだけではなくラベルデザインも自分たちで造ります。大手のワイナリーになると、外注で造ってもらう事が多々見受けられますが、私達は全て自分たちで「サンタアゴスティーノロッソ」や「アルモニウム」といったワインを産み出しました。

フィッリアート1社のみがワイン造りを行う小島「ファヴィニャーナ島」

ファヴィニャーナ島
フィッリアート1社のみがワイン造りを行うファヴィニャーナ島
それではまず、それぞれの畑についてお話しましょう。まずトラパニから程近い小さな島ファヴィニャーナ島についてですが、この島でブドウを栽培しているのは私達フィッリアート1社のみで、他の生産者は進出していません。

Q.ファヴィニャーナ島の人口はどのくらいですか?

ファヴィニャーナ島自体は人口600人の小さな島です。夏のバカンス時期になると人口の10~15倍の観光客が押し寄せます。しかしながら私達がファヴィニャーナ島に所有する畑は僅か5ヘクタール。沢山は造っていません。そして、ハイクオリティなワインを限定本数で生産しています。

ブドウの運搬海から僅か30メートルにある畑
ファヴィニャーナ島の畑は標高0メートル、海から僅か30メートルの場所にあるので、海風の影響を受けています。太古の昔は海で海底が隆起した島の土壌では魚の骨、貝殻の化石が畑を掘り返すとよく見つかります。この画像を見て下さい。太陽の光と海風に含む塩分の影響でブドウの葉が赤く焼けてしまうのです。土壌だけでなく、風からも海洋性の影響を大きく受けています。秋口になると海の海藻類が枯れ、畑に風にのって降りてきます。それが自然な肥料となりますので、有機でのブドウ栽培が可能となっています。

メルロー、シラー、シャルドネと様々なブドウを試してみたんですが、上手くは行きませんでした。このような環境に耐えたブドウは皮の厚いブドウであるグリッロ、カタラット、ジビッボ、ネロダーヴォラといった、シチリアの土着品種のみでした。ファヴィニャーナ島のワインからは自分たちの技術、テクニックを超えた「自然が織りなす味わい」が存在しています。

 

「あんな小島でブドウを育て、ワインを造るなんて!」とイタリア本土でも大絶賛の嵐

Q.非常に過酷な環境ですね。ファヴィニャーナ島には元々ブドウ畑があったのですか?

いいえ、ブドウ畑がありませんでした。もちろん住んでいる人はいましたが。元々漁師の島で、畑を耕してブドウを植えようとする人はいませんでした。他の生産者も「こんな小さな島でどうやってブドウ栽培をすれば良いのかと」というのが殆どだったと思います。

Q.「漁師の島で、ブドウ畑を造る」とても難行だったのでは?

そうですね。オーナーのガエターノがファヴィニャーナ島の地主で、この島に常日頃から出かけていて、「心の島」と呼ぶほど愛していました。心から愛している島でどうしてもブドウを育てたいという欲求に駆られ、畑を造る事に至りました。
私達は岩だらけのゴロゴロした土壌を切り出して、土壌を掘り起こし、畑を造ってきました。それこそ、最初は漁師の方から「何やってるんだ?」「ここでブドウ畑?君たち正気か?」と。ついには「ガエターノは気がおかしくなったんじゃないか」と言われた時期もありましたね。

インタビュー中「ファヴィニャーナ島のワインを求める方がとても増えました」
その後2~3年かけてブドウを栽培し、じっくりと研究しました。トータルして約10年近い準備期間を要して、やっと2011ヴィンテージを初リリースさせる事が出来ました。小さな畑で生産量も限定されているので「エクスクルーシヴ」というシリーズで赤、白、パッシート(甘口)の3種類しか造っていません。初ヴィンテージがリリースした時はシチリア島をあげてのお祭り騒ぎとなりましたよ。「あんな小島でブドウを育て、ワインを造るなんて!」と大絶賛されましたね。テレビ局のインタビューは来るし、新聞紙上でも大きく取り上げて頂きました。この報道もあり、シチリア島のみならず、イタリア本土からもフィッリアートが造るファヴィニャーナ島のワインを求めていらっしゃる方がとても増えました。

船収穫したブドウをトラパニまで船で輸送
ファヴィニャーナには醸造所がありませんので、収穫したブドウは船を使ってトラパニまで運びます。本当はファヴィニャーナ島にも醸造所を持ちたかったのですが、自然、景観を守る国の法律で醸造所施設を造る許可が下りませんでした。10~11隻の船を所有していますので、20人の職人が収穫したブドウは船でトラパニまで運びます。収穫から運搬には大体丸2日はかかるでしょうか。トラパニの港までは距離的には船で20分位で、それほど時間はかかりません。

パレルモ大学から証明をもらった樹齢120~150年の非常に古いブドウ樹「エトナ」

エトナ
ヨーロッパ随一の活火山「エトナ」でのワイン造り
続いてエトナの醸造所と畑についてお話しましょう。エトナ山は現在も活動するヨーロッパ随一の活火山です。エトナでは6種のワインを造っています。ブドウ畑ですが、畑はエトナ北東部に位置しています。先程のファヴィニャーナ島の土壌とは違い色が濃く黒ずんでいます。エトナは火山灰が積もって出来た火山性土壌となっています。常に曇り空で日照量はそれほど多いエリアではありません。トラパニやファヴィニャーナ島と日照量を比較してみても、エトナは圧倒的に少ないです。シチリアは温かいイメージがあるかと思いますが、ここエトナでは冬には雪も降り積もります。ですが、そのような自然環境のお陰でトラパニやファヴィニャーナ島には無い個性のブドウが育ちます。

エトナのブドウ樹パレルモ大学の証明書が付けられた100年超のブドウ樹
エトナの畑で特に注目して頂きたいのが、プレフィロキセラの古木のブドウが今も活躍している事です。エトナには25ヘクタールの畑を所有していますが、内2ヘクタールのブドウがプレフィロキセラの120~150年の非常に古い古木です。もちろん新芽も出ますし、ブドウもしっかりと育ちます。そこは「特別なテロワール」と言えます。パレルモ大学の化学技術研究部と提携して、樹齢100年超のブドウ樹にはマークを付け、どのようにそだっているのか成長過程を調査しています。成長過程で特に問題が無ければ、大学お墨付きの証明書を1本1本ブドウ樹につけてもらっています。

トラパニ
フィッリアート全体の約90%のワインを造る「トラパニ」
本拠地であるトラパニではフィッリアート全体の約90%のワインが造られています。畑は約350ヘクタールを所有しています。畑は丘陵地帯でなだらかな坂があったり、谷があったりと起伏に富む特徴があります。場所によっては石灰性土壌であったり、海洋性のミネラルを土壌に豊富に含む海に近い畑であったりと、場所場所で異なる特徴を持ったワインが産まれます。トラパニでは国際品種とシチリアの土着品種の両方が共存しています。

「万能選手でありながら際立ったエリート」過去9回『ガンベロロッソ』最高賞!サンタアゴスティーノ ロッソ

サンタアゴスティーノロッソ「万能選手でありながら際立ったエリート」過去9回『ガンベロロッソ』最高賞!サンタアゴスティーノ ロッソ
フィッリアートを代表する一番人気のワインです。ワイナリー創業2年後の1987ヴィンテージから造り、ずっと高い評価を得ています。例えるなら「万能選手でありながら際立ったエリート」と言うべきでしょうか。なぜから今までに9回も『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリを獲得するイタリア有数のワインだからです。『ワインアドヴォケイト』『ガンベロロッソ』『ジェームズサックリング』『ワインスペクテーター』等世界的な評価も頂いています。

Q.今日本では2012ヴィンテージを販売していますが、リリースするまで時間をかけているのですか?

サンタアゴスティーノロッソは土着品種ネロダーヴォラ50%、国際品種シラー50%のブレンドです、ネロダーヴォラに見られる野暮ったさや土臭さのようなニュアンスは控えめでシラーの柔らかみのある存在感と上手く溶け合っています。約8~9ヶ月間フランス産バリック樽で熟成していますが、新樽は使いません。2回目以降の旧樽を使う事で樽の風味をダイレクトにワインに付けない事、タンニン質が柔らかくより円やかになります。そしてカンティーナの中で瓶内熟成を非常に長くとっています。出来上がったヴィンテージを直ぐには出しません。ゆっくりと寝かせてからリリースしています。2012ヴィンテージの次は2013ヴィンテージを出荷する予定です。

アルモニウム3つのクリュ的な異なる土壌から産まれる最高峰ネロダーヴォラ「アルモニウム」
「アルモニウム」は1988、89年あたりから造っている高級レンジのワインです。『ガンベロロッソ』最高賞の常連のネロダーヴォラ100%のワインです。ネロダーヴォラと聞くと、どうしてもシチリアで誰もが造っている一般的なブドウと認識されがちですが、「アルモニウム」は違います。トラパニの丘陵地帯に広がるバリオソリア、ボロネーロ、クルーダの個性の異なる3つの土地でネロダーヴォラを育てています。つまり3つのクリュ的な土壌から異なる性格をもったネロダーヴォラを手間かけて育て、醸造し最終的にブレンドしていきます。つまり100%ネロダーヴォラではあるのですが、ある意味3つの土地のワインを1つに纏めていると言えます。ラベルに描かれた3美神は3つの土地の一番良いブドウを合わせている事を表現したものです。3つ畑をブレンドする「アルモニウム」は色んな偶然が重なり、「旨いじゃいないか!」という事で出来たワインです。

「冬の寒い時にワイン単体で暖炉の前で音楽を聴きながら飲みたいワイン」
アルモニウムを造る時はそれぞれの畑のネロダーヴォラを試飲し、ブレンドを決めていきます。プルーン、黒スグリ、バルサミコ、リクイリツィア(甘草)の香りにタバコ、樽由来のスモーキーさが感じられます。チーズやお肉料理とは相性が良いですし、個人的には食事をとらなくても、冬の寒い時にワイン単体で暖炉の前で音楽を聴きながら飲みたいですね。

ブドウの質の高さが解る存在感のある味わい
サンタゴスティーノ ビアンコ 2016
サンタゴスティーノ ビアンコ 2016


名前の由来ですが、トラパニの守護聖であるアゴスティーヌ聖人の名前から付けられています。ラベル中央描かれた円形のデザインはアゴスティーヌ聖人を祀る教会の聖壇の背後に飾られたステンドグラスのデザインをモチーフにしています。ブドウという神の恵みに感謝を込めて付けられているのです。サンタアゴスティーノビアンコは白ワインの万能選手です。私も大変好きなワインです。土着品種カタラット、国際品種シャルドネの50%ずつのブレンドです。カタラットはステンレスタンク熟成、シャルドネはバリック樽熟成を6ヶ月間行い、ブレンドします。
試飲コメント:カタラットの方がフローラルな花の香り、飲みやすい柔らかさ、シャルドネのしっかりとした味わいが感じられます。口の中でカタラットとシャルドネが上手く引き立て合い、共存していますね。円やかで存在感のある味わいとなっています。飲んだ後もとても綺麗な余韻が残りますね、ブドウの質の高さが解って頂けるかと思います。前菜からパスタ、白身肉のメインディッシュと相性が良いです。

ジビッボの持つ本来の香りを活かしつつ、クリーンで綺麗な辛口
ジャスミン 2017
ジャスミン 2017


ファヴィニャーナ島のジビッボ100%で造られています。ジビッボはアロマティックで甘味のあるワインに仕立てられることが多いですが、ジャスミンは辛口でフレッシュなアロマが特徴です。香りからはマンゴー、バナナなどのトロピカルフルーツの印象があります。それとワイン名にもなっているジャスミンの花のニュアンスがあります。シチリアにもジャスミンの花が咲きます。このワインからまるで「ジャスミン」のようなフローラルで優しい香りが立ち上ります。
試飲コメント:飲むとアロマは感じられますが、過度な強さやキツさはなく、ほんのりと漂う綺麗な香りが感じられると思います。ジャスミンは「料理の味を損なわない」クリーンさを目指したワインです。ジビッボの持つ本来の香りを生かしつつ、決して強すぎない味わいが特徴です。生魚のカルパッチョ、お寿司、刺身は勿論の事、乾杯の一杯にも最適です。ジャスミンは2~3年以内に飲んで頂くのが最適かと思います。

磯を思わせる香りと熟したトロピカルフルーツのニュアンス
ファヴィーニア ラ ムチャーラ ビアンコ 2014
ファヴィーニア ラ ムチャーラ ビアンコ 2014


ラベルは羽を広げた蝶のような形をしたファヴィニャーナ島の形をイメージしています。ワイン名の「ラ ムチャーラ」とはシチリアの方言で漁船を意味で、島産のジビッボ、カタラット、グリッロの土着品種をブレンドした白ワインです。
試飲コメント:しっかりとした黄色味がかった色調は恵まれた日照量による完熟ブドウのおかげですね。香りを探していると「海の近くいるような」磯を思わせる香りがありますね。その中にほんの少しのトロピカルフルーツのニュアンスが感じられると思います。つまり、味わいが豊かでありながら飲みやすさもキチンと存在しているのです。

チェリーや木苺を思わせるフレッシュな香りと円やかなタンニン
ソリア フラッパート 2015
ソリア フラッパート 2015


シチリアの土着品種フラッパート種100%のワインです。フラッパートはブドウの果皮が薄く、出来上がるワインの色調も澄んだ透明感のあるものとなっています。ステンレスタンクで熟成させます。
試飲コメント:チェリーや木苺を思わせる香りがあります。フレッシュ感がありタンニンが円やかです。まさに「赤いフルーツ」を思わせる印象です。少し冷やして飲んで頂くと、とても美味しく楽しめると思います。鶏肉などの白身のお肉、魚料理だとカジキマグロのグリルを引き立ててくれるワインです。

存在感のある味わいで、豊かな重み
ソリア ペッリコーネ 2015
ソリア ペッリコーネ 2015


シチリアの土着品種ペッリコーネ種100%のワインです。昔からシチリアに存在する伝統的な土着品種ですが、生育がとても遅く栽培が難しい品種であった事から、ペッリコーネ自体の栽培を止めて、ネロダーヴォラに切り替える生産者が次第に増えていきました。シチリアの生産者の中でも、「育てにくい」イメージがペッリコーネにはあると思います。テンレスタンクで熟成、少しフレンチオーク樽を使用しています。
試飲コメント:プルーン、黒スグリを思わせる黒い果実の香りで色調もしっかりとしています。口の中では存在感のある味わいで、豊かな重みが残ります。トマトソースと大変相性の良いワインで、トマトソースを使ったパスタ、煮込み肉料理、カジキマグロのトマト煮込みも良いと思います。子豚料理にも合うと思います。

「エレガントなブドウの糖分」を感じる新しいコンセプト
ベイ アモーレ 2015
ベイ アモーレ 2015


私達のオーナーは常に「画期的」で「新しい」モノ造りに挑戦する事が大好きです。他には無くてフィッリアートにしか出来ないモノ造り、新しいワインを皆様に飲んでもらいたいという情熱が産まれた根底にあるポリシーで目指したのは「エレガントなブドウの甘やかさ」です。このような思考でワイン造りを行う生産者はまず、いませんねワイン名は英語のBAY(湾)とイタリア語のAMORE(愛)を組み合わせたロマンティックな造語です。ラベルに描かれた人間に恋い焦がれる人魚姫と波打ちをイメージした模様がこのワインの甘美な味わいのイメージを表現しています。
試飲コメント:使うブドウはシラー、メルロー、フラッパートを約1/3ずつブレンドします。この品種のブレンドに決まるまでが非常に長い道のりでした。シラー、メルローは通常通り収穫醸造を行いますが、フラッパートは1週間前後収穫を遅らせて自然がもたらす糖度を高めます。過度な甘さではなく、ブドウの優しい甘味が得られます。シラー、メルローがブレンドされていますが、フラッパートの優しい個性が心地よく主体的に感じられます。このワインの特徴である柔らかい甘味を活かしてお料理を引き立てるならば、牛肉のステーキ、少し塩味のあるお肉料理等、どっしりとしたお肉料理が良いでしょう。

柔らかくエレガント、余韻で感じるブドウのデリケートな甘やかさ
ファヴィーニア レ シャビケ ロッソ 2012
ファヴィーニア レ シャビケ ロッソ 2012


ワイン名の「レ シャビケ」とは大漁を祈願した漁船を使った伝統的行事を指します。土着品種のネロダーヴォラとペッリコーネのブレンドです。年産6000本のみでとても生産量の少ない限定販売のワインです。
試飲コメント:ネロダーヴォラとペッリコーネの良さが一つになったワインです。香りは柔らかいエレガントな印象があります。飲むと余韻がずっと長く続くワインです、余韻で感じるブドウのデリケートな甘やかさがあります。ファヴィニャーナ島は元々漁業で栄えた島でこの海域は多くの地中海マグロが獲れます。マグロと非常に相性の良いワインです。

「万能選手でありながら際立ったエリート」
サンタゴスティーノ ロッソ 2012
サンタゴスティーノ ロッソ 2012


フィッリアートを代表する一番人気のワインです。ワイナリー創業2年後の1987ヴィンテージから造り、ずっと高い評価を得ています。例えるなら「万能選手でありながら際立ったエリート」と言うべきでしょうか。なぜから今までに9回も『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリを獲得するイタリア有数のワインだからです。『ワインアドヴォケイト』『ガンベロロッソ』『ジェームズサックリング』『ワインスペクテーター』等世界的な評価も頂いています。
試飲コメント:香りには赤や黒のフルーツにバルサミコの複雑なニュアンスがあります。豊かな味わいながら非常にバランスが良いのであらゆる料理に合わせる事が出来ます。前菜~パスタ~メインディッシュまで。まさに「万能選手」です。飲んだ後の余韻の長さからも品質の高さが解って頂けると思います。畑はトラパニ、バリオソリアにある単一畑のネロダーヴォラ、単一畑のシラーを使っています。詳しい説明をせずとも飲んで頂ればその良さがどの国の方にもわかって頂ける。まさに「万能選手でありながら際立ったエリート」的存在です。

個性の異なる3つのネロダーヴォラのブレンド「アルモニウム」
アルモニウム 2013
アルモニウム 2013


ネロダーヴォラと聞くと、どうしてもシチリアで誰もが造っている一般的なブドウと認識されがちですが、「アルモニウム」は違います。トラパニの丘陵地帯に広がるバリオソリア、ボロネーロ、クルーダの個性の異なる3つの土地でネロダーヴォラを育てています。つまり3つのクリュ的な土壌から異なる性格をもったネロダーヴォラを手間かけて育て、醸造し最終的にブレンドしていきます。
試飲コメント:アルモニウムを造る時はそれぞれの畑のネロダーヴォラを試飲し、ブレンドを決めていきます。プルーン、黒スグリ、バルサミコ、リクイリツィア(甘草)の香りにタバコ、樽由来のスモーキーさが感じられます。チーズやお肉料理とは相性が良いですし、個人的には食事をとらなくても、冬の寒い時にワイン単体で暖炉の前で音楽を聴きながら飲みたいですね。
インタビューを終えて
試飲したワインの「ラ ムチャーラ ビアンコ」「サンタアゴスティーノロッソ」「アルモニウム」と、なんと3本も過去『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリを獲得する、偉大なフィッリアート。いかなるヴィンテージにおいてもイタリア最高峰のレベルに仕上げてくる卓越した醸造技術、人口僅か600人の漁師の島「ファヴィニャーナ」でワイン造りの第一歩を切り開いた情熱は、コスパワイン激戦区のシチリアにおいて、右に並ぶものがない別格の実力と、その並々ならぬこだわりを改めて知る非常に有意義なインタビューとなりました。

フィッリアートのみがワイン用ブドウ栽培を行うファヴィニャーナ島は20人の職人が在住して常に畑をケアしているとの事。収穫したブドウを船に乗せてトラパニに運ぶ、島ならではエピソードに、古き良き日本、瀬戸内海の漁業と重なりました。試飲した「ラ ムチャーラ ビアンコ」の海の影響を受けた圧倒的なミネラルにトロピカルフルのニュアンスが寄り添う味わいは他には思いつかない程独自の味わい。「サンタアゴスティーノ ロッソ」はいつ飲んでも安心できる抜群の安定感とコストパフォーマンスがあり、シーズン問わず幅広く楽しめそうです。「アルモニウム」の芳醇で完成された円やかさは、お肉料理との相性は勿論、ワイン単体でもしっかり楽しめそうです。

『ガンベロロッソ』最高賞を連発する確立した見事な個性がありつつも、非常に間口が広くお料理とも合わせやすいフィッリアートはワイン選びに迷った時の候補に入れておきたい、「万能選手でありながら際立ったエリート」と言うべき安定した素晴らしい品質が楽しめます。是非お試しください。

フィッリアート社サンドロ ランダッツォ氏とトスカニースタッフ
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