「ポッジョ レ ヴォルピ」突撃インタビュー

2022/11/14
突撃インタビュー
 
2022年10月24日 ジュゼッペ ガブリエッリ氏 Mr. Giuseppe Gabrielli

ラツィオとプーリアで数々のコストパフォーマンスに優れたワインを生み出す「ポッジョ レ ヴォルピ」突撃インタビュー

生産者さん
ローマ南東部フラスカーティでメルジェ家によって設立された「ポッジョ レ ヴォルピ」。本拠地ラツィオとプーリアに拠点を構える同ワイナリーは、『リアルワインガイド』永遠の旨安大賞を受賞するなど爆発的な人気を誇るワインを数々生み出しています。多くの方から愛されるプリミティーヴォ ディ マンドゥーリアに始まり、王様&王女様ワインだというバッカロッサとドンナルーチェ、「マスカデルタッコ」による偉大なブティックワイン「ルリ アッパッシーテ」など。彼らが造るワインは、全てにおいて飲み心地の良さと優れたバランスが引き出されています。今回は、各ワインを試飲しながら、輸出マネージャーのジュゼッペ ガブリエッリ氏にお話を聞きました。

爆発的人気を誇るベストセラーワインを数多く生産!
フラスカーティで半世紀以上の歴史を持つ「ポッジョ レ ヴォルピ」

リピーター様続出の言わずと知れた大人気生産者「ポッジョ レ ヴォルピ」。1970年代にアルマンド メルジェ氏により設立された同ワイナリーは、ローマ郊外の丘陵地帯「コッリ アルバーニ」のモンテ ポルツィオ カトーネにあります。この地にキツネがよく現れていたことから、「ポッジョ レ ヴォルピ(キツネの丘)」と名付けられています。


『ルカマローニ』高得点常連の大好評ワインを生み出す「ポッジョ レ ヴォルピ」

――それでは、今日はよろしくお願いします。
今日はお時間をいただきありがとうございます。ポッジョ レ ヴォルピは、メルジェ一家が手掛ける家族経営ワイナリーです。(1970年代の)設立当初はボトリングしておらず、ローマのオステリア用に樽ワインを販売していました。1990年代になると状況が変わり、革新的な設備を導入するなどして、ポッジョ レ ヴォルピブランドを立ち上げました。

ワイナリーは、ローマ南東部のフラスカーティ(フラスカーティ スーペリオーレDOCGも含む)エリアに位置しています。古代ローマ人がワインを造っていた場所と言われています。ミネラルが豊富な火山エリアで、気候は典型的な地中海的気候です。夏は暑すぎず、冬は寒すぎず。標高は400メートルあり、程よく風が吹きます。それらの条件が重なり、フラスカーティはもちろん、フラッグシップでもあるドンナルーチェとバッカロッサが生まれます。それらは、『ルカマローニ』最高99点など数多くの高評価を得ています。

1990年代にプーリア州のポテンシャルを見出し、90年代後半にプーリアへ進出!
卓越した品質のワインを造り出す「マスカ デル タッコ」


その後、プーリアでマスカ デル タッコというワイナリーを始めました。ボトルに1949年と書いてあるように、古い生産者協同組合の施設を購入、改修してできたのがマスカ デル タッコです。

――マスカ デル タッコはいつから始められたのですか。というのも、昔Vinitalyに行った時に「これはなんだ!?」と思って問い合わせた記憶があるんです。
そうだったんですね。マスカ デル タッコという名前でボトリングしたのは2015年、2016年だと思いますが、それ以前からも造っていました(2010年に施設を購入)。最初は今のように大きく扱っておらず、徐々に広げていきました。

――ラツィオに拠点を置きながら、プーリアに注目し始めたのはいつ頃ですか。

1990年代です。当時、プーリアに畑を持っていませんでしたが、量り売りのワインを購入していて、プーリアのポテンシャルは理解していました。それで2000年頃に畑を買い、古いカンティーナを買い、マスカ デル タッコを設立しました。

――ラツィオとプーリア、合わせてどれくらいの畑があるのですか。
全体でおよそ300ヘクタール以上です。ラツィオが50ヘクタール、プーリアが250ヘクタールです。プーリアでは、プリミティーヴォをはじめ、ススマニエッロ、ネグロアマーロ、ピノネロも造っています。以前カンパーニャのサレントでアリアニコを生産していましたが、プーリア産に変わりました。

長年愛され続ける超コスパのラインナップ!
ジュゼッペ ガブリエッリ氏によるワイン解説


ラツィオとプーリアに拠点を構え、両州で抜群のコストパフォーマンスを誇るワインを数々と生み出す「ポッジョ レ ヴォルピ」。『ルカマローニ』最高99点常連のドンナルーチェとバッカロッサ、人気ランキングで常にトップに立つプリミティーヴォ ディ マンドゥリア、プーリアで手掛ける「マスカ デル タッコ」のルリ アッパッシーテなど、そのラインナップは非常に豊富です。そして、どれも大変人気。そんな各ワインについて、輸出マネージャーのジュゼッペ ガブリエッリ氏にお話していただきました。

『ルカマローニ』最高99点常連の極上エレガント白「ドンナルーチェ」

「私たちのラツィオのワインの中で最も重要なワインです。個人的には、名前の通り女性的なワインだと思います(ドンナは女性の意)。香りもいいしデリケートですしね。マルヴァジア デル ラツィオという、マルヴァジアの中でも高貴なものとして知られる品種が主体です。華やかでアロマティックなマルヴァジアに、グレーコとシャルドネを加えることでバランスを取っています。1杯で終わるのではなく、飲み続けられる心地よさを表現しています。

香りだけなら北イタリアのトラミネルのような印象を持たれるかもしれないですが、その香りに反して味わいがしっかりと辛口になっています。花や果実のアロマティックな香りがあり、味にも厚みがあります。フレッシュさだけでなく熟した香りも感じられる複雑なワインです。余韻には苦みも感じます。普通のパスタやお肉料理にも合わせることができます。まさにこのワインのお得意様は日本です。イタリア料理だけでなく、和食にも合わせられます。ローマだとカーチョエペペがいいですね」

プーリアのピノネロ100%で造るロゼ「ローズィ」

「プーリアのピノ ネロで造るロゼワインです。(なぜピノ ネロかというと)プーリアという地でプリミティーヴォを造るのはシンプルすぎるということもあり、チャレンジングなワインです。ピノ ネロは暑い地域では難しいので、赤ワインではなくロゼにしました。2万本くらい生産しています。スイカやイチゴ、メロンなど夏の果実の香りがプーリアのワインからは感じますよね」

人気ランキングNo.1!プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア

「ベーシックラインのプリミティーヴォ ディ マンドゥーリアです。このワインは、1杯目にも最適です。品種特有の甘やかさ、滑らかさ、エレガントなタンニン、柔らかな果実味、赤い花が感じられます。ブドウの品質や熟成の違いによって、同じプリミティーヴォでも味の違いが生まれます。実は、このワインの2番目の市場となっているのが日本です。1番はスイスです。イタリア人が大変多く住んでいますし、低価格ですしね」

マスカ デル タッコが手掛けるフルボディで複雑なプリミティーヴォ「ル ラッパイオ」

「マスカ デル タッコとして造っているプリミティーヴォ ディ マンドゥーリアDOCです。ラッパイオという名前は、プーリアの方言でブドウの房を意味しています。プーリアでは多くのIGTワインを生産していますが、IGTはDOC(DOCG)よりも生産における制限が少ないです。そのため、ラッパイオは、マスカ デル タッコとして生産するワインの中では数少ない制限の厳しさを持つワインです」

偶然の産物によって生まれた希少古代品種ススマニエッロ

「古代品種と言われるススマニエッロです。実は、プリミティーヴォだと思われる約10ヘクタールの畑を購入した際、“これはプリミティーヴォではない!”と気づいたことがあったんです。そこに植えられていたのはススマニエッロだということで、“じゃあ造ってみようか”となりました。そういった経緯もあり、特殊なボトルにしました。私たちが、このボトルを最初に採用したのがススマニエッロです」

豊満で濃密な味わいに満ちた上級プリミティーヴォ「タトール」

「タトールは、(プーリアの新ワイナリー)マスカ デル タッコができる前から造っていました。新ワイナリーができてからは、少しだけラベルデザインも変えて、タトールはタトールとして独立した形でリリースしています。名前や手のデザインは作業している農夫を表しています。私みたいにオフィス仕事をしてきたような手ではない力強い手です(笑)。ラベル下にある赤文字の“METODO PASSULE”はアパッシメント手法の意味です。このワインにとって特に大事な要素である甘やかさが引きだれています」

抜群のコストパフォーマンス!
土着品種と国際品種ブレンド&乾燥ブドウが引き出す濃密な深みの赤「ルリ アッパッシーテ」

「ネグロアマーロ、シラー、カベルネソーヴィニヨンのブレンドです。ネグロアマーロはプリミティーヴォとは反対に、サグランティーノのようなタンニンの強さを持つ品種です。そのため、そのタンニンを緩和する意味で他の飲酒をブレンドしています。私たちのワインは、全体的にバランスを意識しています。甘さだけでなくバランスの取れた味わいにすることで飲みやすさを表現しています。ルリという名前は、ルチェップの畑と、リフィリティの畑と掛け合わせているところから取っています」

『ルカマローニ』高得点の常連!ポッジョ レ ヴォルピの王様「バッカロッサ」

「ネーロブオーノ100%で造っている赤ワインです。私たちは、バッカロッサのことを“古い王様”と呼んでいます。王女様はもちろんドンナルーチェです。というのも、最近はローマロッソのほうが偉くなってしまっていて、そちらのほうが上級キュヴェと思われてきたからです。しかし、今年はガンベロロッソ2023でバッカロッサの2020ヴィンテージがトレビッキエリを受賞したので、真の王様として復活しましたね(笑)」

 

イタリア白ワインの頂点に輝く「ドンナルーチェ」
ポッジョ レ ヴォルピ(ラツィオ)
ドンナルーチェ 2021
ドンナルーチェ 2021


色調は光沢を帯びたイエロー。熟れた果実の香りの中にアーモンドの香ばしさとバニラの風味が感じられ、しっかりとした果実味があり力強くエレガントな味わい。クリームを使った料理などと相性が良いです。
試飲コメント:淡い麦わら色。甘やかでアロマティック、やや柑橘系のフレッシュな香り。ブドウをそのまま食べているようなフレッシュでジューシーな味わい。まろやかな酸味が舌を駆け巡ると同時に、やや苦みを伴う心地よい余韻。

プーリア特有の夏の果実の香りが漂うピノネロ100%ロゼ
マスカ デル タッコ
ローズィ 2021
ローズィ 2021


輝きを帯びた淡いピンク色。野イチゴのゼリーやスイカの香りに続き、バラやアロマティックなハーブの香りが続く。エレガントで柔らかくジューシーな味わい。フレッシュかつミネラル豊富。果実や花の香りが持続する。パキーノトマトとバジリコのパスタ、グリルしたサーモンやツナのタルタル、一般的なサラダによく合います。
試飲コメント:ボトルの色よりも非常に淡い玉ねぎの皮色。親しみのあるフレッシュな果実が香り、赤い花や白い花も感じるやや複雑なアロマ。口当たりはソフトかつ繊細でありながら、やや厚みのあるボディ。じわじわと華やかな風味が口中を満たす、デリケートですが骨格を感じます。

『リアルワインガイド』永遠の旨安大賞受賞の大人気プリミティーヴォ
ポッジョ レ ヴォルピ(プーリア)
プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 2020
プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 2020


ツヤのあるルビーレッド。いきいきとしたタンニンがあり、滑らかな口当たり。清潔感あるクリーンな仕上がり。プリミティーヴォの力強さがうまく表現された上質な味わい。リッチなソースのプリモやジビエ、スパイスを使った肉料理などに。
試飲コメント:ルビー色。赤い花、赤い果実、黒い果実を感じる柔らかくエレガントかつ複雑な香り。香りであったような柔らかく複雑な風味。非常にバランスの良さを感じます。余韻もほどよく持続し、飲み心地の良さがあります。

「マスカ デル タッコ」の複雑で濃厚なプリミティーヴォ
マスカ デル タッコ
ル ラッパイオ プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 2020
ル ラッパイオ プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 2020


畑の土壌は鉄やライムストーンを多く含む赤土。プーリア伝統のアルベロベッロ仕立てで、ブドウの木株は支えなしに自立している。凝縮感のある深い赤色。ブラックチェリーやイチゴ、ローズマリー、スミレや腐植土といった香りが特徴的。滑らかな口当たりの複雑な味わい。フルボディで後を引く余韻。お肉やキノコを使ったソースのパスタやポレンタ、肉のグリル、熟成チーズなどと好相性。ル ラッパイオは、プーリアの方言でブドウの房を意味する言葉。
試飲コメント:ルビー色。凝縮果実や、コーヒーやチョコなどの程よく甘やかなスパイス感。香りで感じた要素がそのまま味わいとして表現されています。一貫して、コーヒーやチョコといったニュアンスが長く持続します。

プーリア最高峰の凝縮感と優美さが引き出された希少品種ススマニエッロ
マスカ デル タッコ
ススマニエッロ 2021
ススマニエッロ 2021


ブドウのポテンシャルを全て取り込むべく絶妙のタイミングを見て手摘みで収穫。紫色の輝きを帯びた深く濃いルビーレッド。赤や黒の果実、柑橘系の果実、また花や香辛料のアクセントを思わせる香り。口当たり柔らかで心地よくこなれたタンニンと、フレッシュかつ満足感のある味わい。余韻も長く楽しめます。ハムやサラミ、パンチェッタやソーセージを使ったポルチーニ茸のプリモピアット、ジビエや炭火焼、中熟のチーズと好相性。
試飲コメント:紫に近いルビー色。フレッシュでジューシーな香り。アメリカンチェリーや胡椒などのスパイス。ソフトな口当たりで心地よく、ほどほどのタンニンがあり、様々な食事と相性の良さそうな印象です。味わいは、香りの要素に甘やかな印象が加えられた印象。程よい余韻が持続します。

ジャムや乾燥イチジクの熟した果実味あふれる上級プリミティーヴォ
ポッジョ レ ヴォルピ(プーリア)
タトール プリミティーヴォ サレント 2020
タトール プリミティーヴォ サレント 2020


ガーネットレッド色。シナモンやアーモンドの詰め物をした乾燥イチジクの印象を伴った熟した赤い果実のジャミ―なアロマに複雑で、豊満な風味の良い味わい。優れたボディがあります。TATORは昔からプーリアの人々に愛されてきた古代メッサピア(現サレント半島)の紙の名前。
試飲コメント:やや濃さのあるルビー色。力強く凝縮果実やスパイスを感じる香り。甘やかさ、凝縮果実、スパイスの力強いアタックがありますが、口当たりはソフト。じゅわーっと押し寄せる充実感のある風味が余韻として残ります。インパクトのある味わいながら、非常にバランスが取れています。

圧倒的なコストパフォーマンス!ネグロアマーロと国際品種で引き出す濃密な深み!
マスカ デル タッコ
ルリ アッパッシーテ 2020
ルリ アッパッシーテ 2020


深みのある濃いルビーレッド。野生のベリー、赤い花やアロマティックなハーブ、ユーカリを思わせる香り。果実味が非常に豊かでバランスが良い。口当たり滑らかで心地よい余韻が後を引く。アパッシメントの技法はワインが造られるようになる前から存在する古代の栽培技術で、実が完熟した後も樹に房を残し水分を失わせ、糖分、酸を凝縮させることでブドウの実を長期保存に耐えられるようにしたもの。ルリは丁寧に選別した実から造られたフルボディで長い生命を持ったワイン。
試飲コメント:綺麗な濃いルビー色。凝縮果実とスパイスの力強い香りがあり、奥のほうに若干の青さもあります。柔らかい口当たり。豊かな果実味と華やかさのある味わい。繊細かつ丸みのある風味が余韻として長く持続します。

希少品種ネーロブオーノで造るポッジョ レ ヴォルピのフラッグシップ赤
ポッジョ レ ヴォルピ(ラツィオ)
バッカロッサ 2019
バッカロッサ 2019


深いルビーレッド。ソフトでパワフル、ビロードのような口当たり。凝縮感のある味わいは2001年に初リリースされたと同時に脚光を浴び、現在ローマを中心にラツィオを代表する赤ワインとして有名です。肉やチーズを使ったパイ、ジビエや赤身肉のロースト、熟成チーズとともに。
試飲コメント:ルビー色。フレッシュ果実と凝縮果実が両立した香り。赤い花と赤い果実、ややダークな華やかさもあります。口に含むと非常に滑らかで柔らかさを感じます。ソフトな印象もありつつ、力強さにも秀でており、果実味豊かな味わい。
インタビューを終えて
イタリア随一のコストパフォーマンスを誇る生産者「ポッジョ レ ヴォルピ」。彼らが造るワインを試飲して改めて感じたのは、「全てのワインにおいて、色、香り、味わいに至るまで統一感があり、非常にバランスが優れている」ということです。お手頃価格で飲み心地が良く、そして高品質。まさにデイリーにピッタリです!

新登場したピノネロ100%ロゼ「ローズィ」も素晴らしかったです。フレッシュで親しみがありながらも、赤い花や白い花を感じるやや複雑で華やかなアロマ。繊細かつ厚みのある味わいで、じわじわと華やかな風味に満たされました!食前酒としても濃厚なソースの魚料理のお供としても最適な、汎用性の高さを個人的に感じました。

ベストセラープリミティーヴォをはじめ、上級プリミティーヴォ「タトール」、『ルカマローニ』で高得点を取り続ける偉大なブティックワイン「ルリ アッパッシーテ」など、多くの大人気ワインを生み出してきた「ポッジョ レ ヴォルピ」。ぜひ、彼らのワインをご堪能ください!

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