2026/06/03
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マルコ パランティ氏 Mr. Marco Pallanti / アルトゥーロ パランティ氏 Mr. Arturo Pallanti
最上級クリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」のブドウもブレンドされた異例の傑作キャンティ クラシコ 2023年!45回目の収穫を迎える巨匠マルコ氏の哲学に迫る「カステッロ ディ アマ」突撃インタビュー

2025/06/17 カステッロ ディ アマ突撃インタビューはこちら>>
- 最上級クリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」のブドウもブレンドされた異例の傑作キャンティ クラシコ 2023年!
- 味わいのグラデーションを描く上級キャンティ クラシコ
- グラン セレツィオーネ制定の立役者マルコ氏
協会の方針転換で「カズッチャ」が2022年ヴィンテージからIGTに - ブドウ品種や造り手を越え「土地が語る」
アマが到達したテロワールワインの世界 - 「変わらないために変わり続ける」巨匠から次世代へのバトン
最上級クリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」のブドウもブレンドされた異例の傑作キャンティ クラシコ 2023年!
【第1層】ワイナリーの入口となるキャンティ クラシコ「アマ」
【第2層】十分な樹齢を重ねた単一畑のブドウを主体に造られる複雑さと深みを備えたリゼルヴァ「モンテブオーニ」
【第3層】ピラミッドの頂点であり、最良のサンジョヴェーゼから生まれるグラン セレツィオーネ「サン ロレンツォ」。良年だけ造られる単一畑グラン セレツィオーネ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」。

今回は「アマ」「モンテブオーニ」「サン ロレンツォ」に加え、ピノ ネロから造る「イル キウーゾ」を試飲しました。
従来の親しみやすさに重厚感が加わった「アマ」2023年ヴィンテージ
その中でも驚きの内容だったのが、キャンティ クラシコ「アマ」2023年ヴィンテージ。2023年は、春の長雨やベト病(ブドウの病害)の流行により、キャンティ クラシコ全体で生産量が激減した苦難のヴィンテージでした。アマでも例年に比べ3分の1にまで生産量が減少しました。
その状況下において当主であり醸造家のマルコ氏は、リゼルヴァ、グラン セレツィオーネとして別個に醸造していた上級キャンティクラシコの全てをベースの「アマ」としてリリースすることを決断。
ワイナリーの顔であり、すべての基礎となる味わいを何としてでも守り抜くという信念と、2023年の気候では上級のキャンティ クラシコに求める「フィネスとエレガンス」に到達しないと自らの基準に照らし合わせて判断した結果でした。
こうして、最上級クリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」のブドウをはじめ、最良のブドウがブレンドされた2023年の「アマ」。従来のフレッシュでピュアな果実味を持ちながら、果実の凝縮した重厚感とシルキーな口当たりが見事に共存した、マルコ氏も納得の素晴らしい味わいに仕上がりました。苦難のヴィンテージを乗り越え、名門としての誇りを貫いた異例の「超お買い得」かつ非常に贅沢な仕上がりの1本です。
味わいのグラデーションを描く上級キャンティ クラシコ
リゼルヴァ「モンテブオーニ」は、「アマ」と「サン ロレンツォ」の橋渡しをするワインです。ファーストヴィンテージは2018年と比較的新しく、1997年に取得した畑「モンテブオーニ」が植樹から20年を迎え、その個性を活かすためにリリースされることになりました。
高い標高、石灰質の土壌、サンジョヴェーゼ由来の酸とフレッシュさをベースにしたワインで、「アマ」に比べよりボディと複雑味があり、早くからでも楽しめますが5年から8年の熟成で真価を発揮します。香りの立ち上がりも豊かで、アマのキャンティ クラシコ像を示す役割も担っているとマルコ氏は話します。

<グラン セレツィオーネ「サン ロレンツォ」>
アマが所有する複数の畑(ベッラヴィスタ、カズッチャ、サン ロレンツォ、モンテブオーニ)から最良のブドウを収穫し醸造されるのがグラン セレツィオーネ「サン ロレンツォ」です。「アマのテロワールを知ってもらうための、ワイナリーの名刺となるワイン」とマルコ氏は話します。ピュアな果実味と複雑なスパイシーさ、溶け込んだタンニンが調和するエレガントな味わいで、高い熟成ポテンシャルを備えています。
実はかつてキャンティ クラシコ協会長としてこの最高格付け「グラン セレツィオーネ」を構想し、制定までの道筋を立てたのがマルコ氏。その背景には、フランスで学んだ土地と強く結びついたワイン造りがありました。そのためグラン セレッツィオーネの規定の中には、「自社畑のブドウのみを使用すること」、といった規定があります。
マルコ氏にとって「サン ロレンツォ」は、まさにその想いが形になったワインです。

<グラン セレツィオーネ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」>
今回の試飲アイテムではありませんでしたが、アマのグラン セレツィオーネを語るうえでこの2つのワインは欠かせません。
「サン ロレンツォ」がアマのテロワールを網羅する名刺代わりのワインであるのに対して、単一畑グラン セレツィオーネ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」は、それぞれの畑の個性を追求し、アマの歴史とテロワールを極限まで体現した、ワイナリー最高峰の2大クリュ ワインです。
1978年に誕生した「ベッラヴィスタ」は、キャンティ クラシコにおける単一畑キュヴェの偉大なる先駆者。80年代のスーパータスカン全盛期にもブームに流されず、キャンティ クラシコの骨格に忠実であり続けました。そして1985年には、もう1つの傑作「カズッチャ」が誕生。
サンジョヴェーゼの力強さと気品、凛としたミネラル感が際立つ「ベッラヴィスタ」に対し、メルローをブレンドすることで、圧倒的なフィネスとシルキーな滑らかさ、重層的なスパイシーさを表現した「カズッチャ」。どちらも、テロワールの表現を最上位の価値として位置付けるアマの精神を象徴する、最高の作柄の年にしか造られない逸品です。
グラン セレツィオーネ制定の立役者マルコ氏
協会の方針転換で「カズッチャ」が2022年ヴィンテージからIGTに
しかし、マルコ氏が協会長を退き、グランセレツィオーネ制定から時が経った2021年、キャンティ クラシコ協会はグランセレツィオーネの規定を「サンジョヴェーゼ比率90%以上(それ以前は80%以上)、国際品種の使用を認めない」という内容に変更しました。
メルローをはじめ、国際品種もキャンティ クラシコのテロワールを表現し得ると考えるマルコ氏の考え方とは異なる方向に舵が切られてしまいました。
アマの最高峰にして、シンボルである単一畑グランセレツィオーネ「カズッチャ」はメルローを使用しているため、2022年ヴィンテージからはIGTとしてリリースされることになります。マルコ氏としては協会の方針に残念な想いを持ちながらも迎合することはせず、「カズッチャ」が表現する土地の個性を守ることに決めました。
アマのワインでは、全てのラベルに左方向に進む馬のシンボルがデザインされています。2022年ヴィンテージ以降の「カズッチャ」については、馬がそれまでと反対側に向かうデザインとなるそうで、マルコ氏のメッセージが込められています。

ブドウ品種や造り手を越え「土地が語る」
アマが到達したテロワールワインの世界
「Varietal Wine」は最も簡単で、ブラインドで飲んだりしてもその品種らしさが感じられる造り。「Wine Maker Wine」は造り手、またはミッシェル ロランやコタレッラといったコンサルティングした人物の個性が感じ取れるワイン。
「Terroir Wine」は、まさにテロワールが主役で、ひとは一歩後ろに下がらないといけない、最も表現が難しいワイン。誰が醸造家であるかも関係なく、テロワールの個性が明確に出ているワインというのが最高のワインであるとマルコ氏は言います。

アマの名を世界に知らしめた、イタリアメルロー最高峰の一つ「ラッパリータ」がそうであったように、今回試飲したイル キウーゾも「トスカーナ、アマの持つテロワールを反映した最高のワインを造る」という哲学から生まれたピノ ネロです。マルコ氏がまだ若い頃に、温暖化前の涼やかな気候や石灰質土壌といったブルゴーニュとの共通点から発想を得て植樹しましたが、ブルゴーニュのピノ ノワールを目指すことは考えていませんでした。
結果として、トスカーナの温暖な気候を感じられる、それでいてピノ ネロらしい酸がある、エレガンスと調和のある「アマのピノ ネロ」が造られています。
「キャンティ クラシコのような「刻印力の強い産地」では、ブドウ品種云々ではなくテロワールが主役であるべき」というマルコ氏の哲学がとてもよくわかるお話でした。
「変わらないために変わり続ける」巨匠から次世代へのバトン
「ブドウの樹齢が上がることはとても重要なことですが、醸造チームの年齢が上がることも非常に重要」と笑いながら話すマルコ氏。彼の助手を長年務める方も、すでに32ヴィンテージをともにしています。
アマでは2000年頃から畑の新植、改植を本格的に行ったので、樹齢が上がり、その成果がいま出始めてきています。同時に、その歳月で人が畑やブドウの個性に対する理解を積み上げ、1年に1度の試行錯誤で、よりよい醸造を目指す。毎年毎年、少しずつ改善することが欠かせないとマルコ氏は話します。

そんなマルコ氏に、ご子息のアルトゥーロ氏をはじめ若い世代がチームに参画してきたことについてどう感じているかを伺うと、次の様に話してくれました。
「45年で気候も市場も技術も大きく変わりました。気候が変わったことでブドウの質も変わり、畑やセラーではそれに対応しないといけない。地球温暖化や技術の革新にあわせて、その時できる最善を長年目指してきた結果、私には「こういう時はこうしたらいい」という経験則があります。しかし、そうした経験が当たり前をつくり、見落としが生まれてしまうことがあります。
若い世代はそうした私の見落としを見つけてくれたり、気づきを与えてくれます。ワイン造りにおいて、1世代では十分ではありません。到達点というものはなく、常に長い道のりの通過点にいると思っています。」

これに対してアルトゥーロ氏も、
「父はすごい人です。その次世代である自分の役割として大切なことは、アマのアイデンティティを守るために、変わらないために変わり続けることだと思っています。
アイデンティティを守るとは、過去のやり方を一切変えずに踏襲することではありません。それでは環境の変化に置いて行かれ、結果としてワイナリーを守ることができなくなってしまいます。
父の築いたアイデンティティを保ちながら、自分なりの工夫を加えていく。それは急にビオディナミに転換するとか、アンフォラを使うとか、そんなことではなく、これまでの過程を尊重した工夫である必要があります。」と話してくれました。
名門の地位を揺るがないものにしてもなお上を目指し続けるアマ。「1世代では十分ではない」ワイン造りのバトンが、巨匠から次世代へ渡されようとしています。
トスカーナの陽光とアマの美学が生む、洗練されたピノ ネロ |
イル キウーゾ 2021 |
| 「トスカーナの温暖な気候を感じられる、それでいてピノ ネロらしい酸がある、エレガンスと調和のある「アマのピノ ネロ」です。温暖な気候といっても、ジャミ―なニュアンスはありません。昔は9月10日から20日ごろにブドウの収穫をしていましたが、今では8月10日から9月のはじめ頃に行っています。温暖化の影響もありますが、ブドウが過熟しないように収穫を前倒ししたり、抽出を優しく行うことで、変わらずエレガントなバランス感を生み出しています。」 |
| 試飲コメント:ルビー色。やや熟したチェリーなどの赤系果実の上品な香り。口に含むと柔らかな口当たりながら、フレッシュで持続性のある酸が広がります。香りで感じた果実味と繊細なタンニンが同時にやってきて、心地よさに包まれます。 |
カステッロ ディ アマの世界へ誘う渾身のエントリーキュヴェ |
アマ キャンティ クラシコ 2023 |
| 「これは私たちアマの世界への扉とも言えるワインです。若いうちから満足してもらえるようにシンプルに設計しており、手が届きやすい価格も特徴です。シルキーな飲み心地や軽やかなテロワールの表現という、アマらしさを体現しています。2023年は最上級クリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」をはじめ、最良のブドウをブレンドすることになり、従来のフレッシュでピュアな果実味を持ちながら、果実の凝縮した重厚感とシルキーな口当たりが見事に共存した味わいに仕上がっています。」 |
| 試飲コメント:ルビー色。ベリー系果実のフレッシュで上品な香り。綺麗でピュアな果実感が口中に広がり、フレッシュかつエレガントな酸が長く持続します。 |
“アマのキャンティクラシコ像”を体現するリゼルヴァ |
モンテブオーニ キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2020 |
| 「1997年に取得したモンテブオーニの畑は、今では樹齢20数年になりました。高い標高、石灰質の土壌、サンジョヴェーゼ由来の酸とフレッシュさをベースにしたワインです。ちょうどアマとサン ロレンツォの間に位置づけられるワインです。よりボディと複雑味があり、5年から8年の熟成で真価を発揮します。香りの立ち上がりも豊かで、アマのキャンティ クラシコ像を示す役割も担っています。」 |
| 試飲コメント:ガーネット色を帯びたルビー色。凝縮感とピュアな果実感が溶け合い、甘やかなスパイスもわずかに感じられます。口に含むと香り同様に統一感のある味わいが広がり、非常にフレッシュな酸が舌の上を駆け上がります。タンニンは繊細で、上品で優美な風味が長く持続します。 |
アマのテロワールを伝える「名刺」代わりのグラン セレツィオーネ |
サン ロレンツォ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2020 |
| 「サン ロレンツォは、アマのテロワールを知ってもらうための、ワイナリーの名刺となるワインです。偉大なワインとしての風格と、リリース直後から楽しめるエレガンスが感じられると思います。これはフランスのグラン ヴァンから学んだ美学です。サン ロレンツォは、スパイシーさと深みが重なり合った、複雑性の頂点にあるワインです。生産は6万から7万本、良い年には7万5千本ほどです。リリース直後から美味しく飲めますが、高い熟成ポテンシャルを備え、熟成させることでさらに複雑性が増幅します。」 |
| 試飲コメント:深みのあるガーネット色。上品でやや複雑な果実感があり、フレッシュな酸の存在も感じられる香りです。柔らかな口当たりで、優美かつ心地よいフルーツ感に満たされます。フレッシュな酸と上品な果実味が溶け合い、あとからタンニンが存在感を見せますが、非常に柔らかく上品で、エレガントな余韻を演出します。 |
インタビューを終えて
どのお話の根底にも通じていたのは、「キャンティ クラシコ、そしてアマが持つテロワールに対する絶対的な誇り」と、「それを最大限に表現するための妥協なき仕事」という強い信念です。醸造家であり、同時にテロワールを表現する芸術家でもあるマルコ氏が築き上げた、アマというワイナリーのあり方を深く理解することができました。
また試飲の場では、やはり2023年ヴィンテージの「アマ」の仕上がりに驚かされました。多くの生産者が「厳しい年だった」と口を揃えるヴィンテージだからこそ気になっていましたが、さすがはアマ。「今、何を守るべきか」を明確に見極め、「ベッラヴィスタ」や「カズッチャ」をはじめとした最良のブドウをすべてブレンドするという、異例の贅沢なキャンティ クラシコを誕生させていました。ぜひこの特別な1本をお楽しみいただきたいです。
キャンティ クラシコを代表するトップワイナリーとしての地位を確立してもなお、品質へのあくなき追求を止めないマルコ氏と、そのDNAを受け継ぐ次世代のアルトゥーロ氏。この記事を読んでくださった皆様にも、彼らのワインを通じて、アマの偉大なるテロワールを五感で感じ取っていただければ幸いです。








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