2013年7月9日 イナマ社 マリアンナ カルペネさん来社

 
突撃インタビュー

2013年7月9日 イナマ社 マリアンナ カルペネさん来社

イナマとの記念撮影
ソアーヴェを代表する造り手として知られるイナマ。ソアーヴェクラシコ地区の中でも最高のクリュとされる「フォスカリーノ」に畑を所有、ここで3つの素晴らしいソアーヴェを造っています。今回はマーケティング担当のマリアンナさんから現在、イナマが何を考えながらワインを造っているかとか、新しく取り組んでいるカルメネーレのこと、そして独特なラベルデザインの話までたくさんの話を聞くことができました。

古代ローマ時代から評価されているソアーヴェクラシコエリア。火山性土壌のミネラル豊富な味わいは昔も今も変わらない

イナマは、アンセルミのマネージャーだったジュセッペ イナマがフォスカリーノに畑を購入して1960年代に設立しました。当初は協同組合にブドウを売っていて、その後カンティーナソアーヴェにワインを売るようになりました。そして今のオーナーのステファノの代になって自社でボトリングするようになりました。当時はソアーヴェの評判が非常に悪い時代で、というのも70年代から80年代にかけてアメリカでの需要が爆発的に増えたせいで政府と組合がソアーヴェのエリアを拡大して、結果的に品質がとても落ちてしまったんです。実際、クラシコエリアの9倍もの広さのソアーヴェ地区ができてしまったので当然と言えば当然です。だからステファノはソアーヴェではなく、シャルドネとソーヴィニョンから始めることにしたのです。

クラシコエリアは古代ローマ時代から評価されてきた土地で、火山性土壌から素晴らしいワインができることで知られてきました。この火山性土壌に最適な品種がガルガネガです。火山性土壌、とひと口に言ってもミネラルの成分は場所によって違います。そして特にフォスカリーノはクラシコエリアの中でも最高の場所だとされています。

 

10年前、赤ワイン用の畑から有機栽培を導入。今はソアーヴェの畑もすべて有機。

ブドウ畑 イナマは赤ワインも始めていますが、10年前、黒ブドウの畑から有機栽培に取り組み始めました。赤ワイン用の畑はコッリ ベーリチにあるのですが、周囲が森に囲まれていて、周りからの影響がほとんどなく、有機を導入しやすかったのです。今は白ワインもすべて有機栽培のブドウで造っています。最近ようやく所有している畑がひとかたまりになりました。

有機栽培の畑の土壌管理はマイクロフローラルと言ってハーブを植えて、その相互作用で土壌が複雑になっていく仕組みです。また、土の表面とそのすぐ下はハーブに埋め尽くされているので、ブドウの根はそのさらに地下深くまでおりないと地中の水分や養分を取り言えることができないため、どんどん根が深くなり、結果、ブドウはよりしっかりと成長することになります。

 

地図
 

フォスカリーノで造る2つのソアーヴェ。同じ丘の同じ土壌にありながら、向きが違うだけで個性が変わる面白さ

イナマは3つのソアーヴェを造っています。ステンレスだけで醸造するヴィンソアーヴェとフォスカリーノの南東斜面に育つ古い樹齢のブドウだけで造るヴィニェーティ ディ フォスカリーノ、そしてフォスカリーノの南西斜面の単一畑で造るヴィニェート デュ ロト。ヴィンソアーヴェはフォスカリーノとロトの選別に入らなかったブドウで造る、イナマのベーシックソアーヴェです。

フォスカリーノとロトは同じ丘にあるのですが、違いは樹齢と畑の向きだけです。ところがブドウの個性がまるで違います。その違う個性を生かすために醸造方法を変えて、それぞれの特徴がはっきりと出るようにしています。

ソアーヴェ協会を脱退!今は小さい造り手の集まりとして独自の活動をしている「VIGNAIOLI INDIPENDENTI」のメンバー
キャップシール トスカニー:ヴィンソアーヴェのキャップシールにあるこのマークはなんですか?

イナマ:これは「VIGNAIOLI INDIPENDENTI」という団体のロゴです。イナマは4年前に協同組合を脱退したのですが、その後、小さい造り手だけで造っているこの「VIGNAIOLI INDIPENDENTI」のメンバーになりました。
このグループは、すべて自社で栽培しているブドウでワインを造っていること、畑の最初からボトリングまで全て自社でやっていることなどが条件で、大手ワイナリーとは真逆の存在です。全国レベルの団体で、ソアーヴェだとピエロパンやタメッリーニもメンバーです。自分たちですべて管理をしているということは商品の品質を消費者の方々に保証できるということです。

トスカニー:つまり、信頼の証ですね。

完全に成熟したブドウで造るから収穫は遅め。ボトルで寝かせれば寝かせるほどふくよかさが出てくる


ヴィンソアーヴェ2011
ヴィンソアーヴェ2011
瓶詰して1年たっているので、今とても良い状態で飲み頃になっています。ボトリング直後はフレッシュさやシャープさが前面に出ますが、今はふくよかな果実味のとてもエレガントな味わいです。私たちもバックヴィンテージを飲みますが、最近飲んだ2007とか2008も、とても美味しかったですね。

試飲コメント
フルーティーな香りがぱ~っと広がっていやがうえにも期待が高まる。フレッシュなアタックから徐々にふくよかな果実のコクへと変化して、そして強いミネラル感がやってくる。とにかく飲み心地がよくて、飽きさせない。

 

同じフォスカリーノのクリュながら畑の向きによってブドウのキャラクターが違う、2つのクリュソアーヴェ。


ヴィニェーティ ディ フォスカリーノ2011
 
ヴィニェート デュ ロト2010
ヴィニェーティ ディ フォスカリーノ2011 ヴィニェート デュ ロト2010
フォスカリーノとロトは同じフォスカリーノにありますが、前者は南東向き、後者は南西向きです。それだけの違いですが、造られるブドウの特徴が異なります。それぞれのブドウの個性を引き出すような醸造を行って、クリュの違いを出しています。

フォスカリーノの畑の樹齢の古い(40~50年)ブドウを使います。南東向きで日照量が多く、太陽のワインと呼ばれます。このワインは中世に造られていた味を表現しました。当時はステンレスタンクなどありませんから全て古い樽を使っていました。だからこれも古樽で醸造しています。

一方ロトは南西向きで、とても力強いブドウができます。それをより引き立てるために30%をバリックの新樽で発酵と熟成を行っています。

試飲コメント
フォスカリーノはミネラル感が前面に出ていて、上品な印象。2010は力強いヴィンテージだったが2011はエレガントに仕上がったそう。熟成するとともに蜜のニュアンスが出てくる。ロトはクリーミーで厚みのあるまろやかな味。ほぼ隣どうしの畑なのにこの違いが面白い。

 

誰もが造るアマローネではなく、他の赤ワインを造りたいという気持ち。そしてカルメネーレとの出会いがイナマの赤の方向性を決めた。

赤ワイン畑 ヴェネトの白がソアーヴェなら、赤はアマローネです。多くの造り手が両方とも造っていますが、私たちは誰もが造っているアマローネではなく、他の赤を造りたかった。そこで、ソアーヴェよりも東のコッリ ベーリチの畑を購入しました。ここは、ボルドー品種に適した土地ですが、私たちはここでカルメネーレに出会ったことで、イナマの赤の方向性がはっきりしたのです。畑は元々修道院だった土地で、すり鉢状の谷になっています。ここは昼は日照がよく、夜は周囲の森から涼しくてミネラル豊富の空気が流れ込んでくる、素晴らしい場所です。広さは12haで、カルメネーレ単一畑としてはイタリアで最大です。
コッリ ベーリチのカルメネーレは200年以上前にフランスからの移民が移植したものですが、フィロキセラの後、ボルドーのカルメネーレは絶滅しました。暑くて乾燥しているコッリ ベーリチはカルメネーレに適してはいるのですが完熟させるのが難しいんです。そこでイナマではブドウが受ける日照量をできるだけ均一になるようにブドウの枝を曲げて同じ高さになるように剪定しています。

2002年の植樹後、4回目のリリースとなった2009ヴィンテージは納得の出来


オラトリオ ディ サンロレンツォ コッリ ベーリチ カルメネーレ リゼルヴァ
オラトリオ ディ サンロレンツォ コッリ ベーリチ カルメネーレ リゼルヴァ
オラトリオというのは畑のすぐそばにある小さな教会の名前です。畑の名前はこの教会が由来です。出来の良い年だけ造っている、カルメネーレ100%の赤ワインです。これまで2004、2006、2007と造ってきて、4ヴィンテージ目の2009でようやく納得のいくものができました。2009ヴィンテージからコッリ ベーリチ カルメネーレ リゼルヴァDOCになりました。このDOCはイナマしか造っていません。

試飲コメント
十分に熟したプラムやブラックチェリーの香り。甘い印象ですが上品でまろやか。パワフルというよりはエレガントな印象。カルメネーレの青っぽさはほとんどなく、リゼルヴァらしい落ち着いた熟成感がとても美味しい。

 

インタビューを終えて

90年代のイナマの白は今よりもずっと重たくて濃かった。それがオーガニックにしたことでより上品で軽やかなスタイルになっていったそうです。そして、オーガニックだと熟成に耐えるポテンシャルが上がったとのこと。イナマの白を飲んでいるとどんどん品質が上がって、研ぎ澄まされていると感じます。
そしてカルメネーレにこだわった赤。アマローネではなくカルメネーレを選んでいるのがイナマらしい。実際、アマローネの方が売りやすいはずですが、あえてカルメネーレにチャレンジしている姿、とてもカッコイイと思いました。
イナマと言えば独特のラベルデザインが印象的ですが、これはオーナーの友人のアーティストの方のデザイン。フォスカリーノとロトに描かれているバッカスをモチーフにした2つの表情、そして右と左に描かれている「S」と「V」の文字は新古典派達が使用していたもので、二面性を表しているそう。ワイン造りのポリシーも濃いし、ラベルの意味も深いです。

イナマとの記念撮影

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