2014年10月8日 ブランカイア社 マーティン クローネンバーグ氏来社

2014/10/08
突撃インタビュー
 
2014年10月8日 ブランカイア社 マーティン クローネンバーグ氏

ブランカイア社 マーティン クローネンバーグ氏 突撃インタビュー

スタイリッシュなラベルデザインが印象的なブランカイア。イラトライア、イルブルー、キャンティ クラシコ リゼルヴァ、トレ。キャンティクラシコ地区とマレンマの両方のエリアで完成度の高いワインを造り、長年、高い評価を受け続けています。1998年からマーティンさんの奥様バーバラさんが全面的に醸造を手掛けるようになり、ブランカイアの味わいにも変化がある、ということで、今回、改めてブランカイアのワインを試飲させて頂きました。

ブランカイアの歴史

ブランカイアはマーティンさんの奥さんのバーバラさんの両親がトスカーナに土地を購入して始まったワイナリーです。スイスから移住してきた彼らはトスカーナで高品質ワインを造り始めます。まず、カステッリーナ イン キャンティの「ブランカイア」と呼ばれていた畑、そしてラッダ イン キャンティにも畑を購入。ブランカイアのキャンティクラシコはこの2つのエリアのブドウから造られています。続いて、マレンマ地区にも畑を購入し、イラトライアを1998年にリリース。またたく間にマレンマを代表するスーパートスカンとしての地位を築きました。(詳しくは2005年の突撃インタビューをお読みください)

ぶどう畑風景

女性のバーバラさんが醸造を手掛けるようになり、女性らしさが味わいに出る

醸造担当のバーバラさんカンティーナはキャンティクラシコ地区とマレンマ地区の両方にあり、イラトライアだけマレンマで造っています。
ブランカイアのエノロゴはキャンティクラシコの第一人者のカルロフェッリーニですが、1998年からはバーバラさんが全面的に醸造に参加。それによって女性らしさが味わいに出てくるようになりました。ストレートな力強さの中に上品さとしなやかさが加わり、優しさが表現されています。
 

ジェームスサッカリンから「トスカーナでいい白を造れ」と言われて造ったビアンコ
イル ビアンコ 2012
イル ビアンコ 2012


ブランカイアにとっては新しいワインであり、唯一の白ワインです。90年代、当時のコンサルタントがソーテルヌのような甘口を造りたい、とソーヴィニョンとセミヨンを植樹したのですがうまくいかなかった。数年前にフリウリを訪問してそこで白ワインを造ってみようかとも考えました。でもワイン評論家のジェームスサッカリンから「トスカーナでいい白を造れ」と言わ、再びやる気になって完成させました。

トスカーナの白は重たくて酸がぼやけた感じのものが多い。そうではなくてキレのある酸のあるものが造りたかった。ソーヴィニョン、ゲヴルツトラミネル、セミヨン、ヴィオニエ、ミュスカデの5品種からブレンドして造っています。2012はソーヴィニョン、ゲヴルツトラミネル、セミヨンの3品種です。

試飲コメント:狙い通りのキレのある酸、柑橘系のニュアンスとミネラルがしっかりと感じられる。

デカンター誌で95点を獲得。コストパフォーマンス抜群のベイビースーパートスカン
トレ 2011
トレ 2011


カステッリーナインキャンティ、ラッダインキャンティ、そしてマレンマの3つの畑から、3種類のブドウを使って造っています。「トレ」というのはイタリア語で「3」の意味で、そのまま名前にしました。

サンジョヴェーゼを主体に、カベルネソーヴィニョン、メルローをブレンドしています。バランスが良く、毎日飲める、ベイビースーパートスカンと呼んでいます。コストパフォーマンスもよく、ワインスペクテイターでトップ100に入ったり、2011ヴィンテージはデカンター誌で95点を獲得しました。

試飲コメント:しっかりとした果実の香りが華やか。バランスのとれた味わいと心地よい凝縮感。高得点に納得の美味しさ。

伝統と最新技術が造り上げるキャンティクラシコの最高峰
キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2010
キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2010


ブランカイアのキャンティクラシコは「モダン」と言われますが、私たちは「モダン・トラディショナリスト」と考えています。畑仕事は伝統的、醸造は近代的な手法です。昔風のキャンティクラシコは、樽に長く浸けていて、不必要な要素までワインに抽出されたりしました。ブランカイアでは本来のサンジョヴェーゼの果実味を出すことを重視して、そのための醸造をおこなっています。

それと、2009ヴィンテージからリゼルヴァ表記になりましたが、実は造り方は一切変えてなく、もともとリゼルヴァの規定をクリアしていました。クライアントやマーケットの要望からリゼルヴァと表記してほしいと言われ、付けるようにしました。

試飲コメント:抜栓してすぐはとても濃密。ぐぐっとした力強さが一気に押し寄せてくる。時間とともにエレガントさが表れ、とてもクリーンな果実味を感じる。ゆっくりと味わいたい。

ブランカイアのフラッグシップ
イル ブルー 2010
イル ブルー 2010


1988が初ヴィンテージで当時からセパージュはほとんど変わらず、サンジョヴェーゼ、メルロー、カベルネソーヴィニョンのブレンドです。約18ヶ月間バリックで熟成、12ヶ月間ボトル熟成させています。1998年からバーバラが全面的に醸造を手掛けるようになって、年々女性らしさが表れてきています。
試飲コメント:濃密で複雑な香りがとても力強くて上品。濃厚な果実味とともに酸とミネラル、そしてタンニンが見事にとけこんだ素晴らしいバランス。堂々としながらもエレガントさを失わない、存在感あふれる美味しさ。

マレンマのテロワールを最大限に表現
イラトライア 2010
イラトライア 2010


マレンマ地区、モレッリーノ ディ スカンサーノエリアの畑で造るスーパートスカンで、2002年が初リリースです。マレンマは地中海性気候で温暖で、雨が少ないエリアです。サンジョヴェーゼよりもカベルネやプティヴェルドーに向く土地です。ボルドーではカベルネフランやプティヴェルドーは完熟しませんが、マレンマでは完熟できるということも特徴です。でもプティヴェルドー100%だとあまりに強すぎるワインになってしまう。だから現在ではカベルネソーヴィニョン、プティヴェルドー、カベルネフランの3品種をブレンドしています。

リリースから2008まではイラトライアだけ違うデザインのラベルでしたが、2009からブランカイアで統一したラベルにしています。

インタビューを終えて
ブランカイアを初めて飲んだのは私がイタリアに住んでいた2002年頃だったと思います。キャンティクラシコが勢揃いした試飲会で、ひときわ目を引いたボトルがブランカイアでした。伝統的ワインと言うイメージの強いキャンティクラシコの中、何これ?と思ったのを今でも覚えています。

当時からモダンで力強い記憶があり、これまでも機会があるごとに飲み続けてきましたが、今回改めて飲んでみて、より洗練されたバランス感が印象的でした。昨日、抜栓して1週間以上たったイルブルーを飲みましたがさらに美味しくなっていて、ポテンシャルの高さを実感。完璧を追求するブランカイア。期待を裏切らない美味しさです。

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