イエルマンを20年支えた凄腕エノロゴと、巨匠ドナート ラナーティの元で研鑽を積んだ醸造家の夫妻が手掛ける「テヌータ ステッラ」

2026/09/24

2026/06/24

エリカ バルビエーリ氏 Ms. Erika Barbieri

イエルマンを20年支えた凄腕エノロゴと、巨匠ドナート ラナーティの元で研鑽を積んだ醸造家の夫妻が手掛けるワイナリー!白の銘醸地コッリオの丘でビオ栽培とこだわりの樽熟成を貫く「テヌータ ステッラ」突撃インタビュー

イタリア北東部、世界最高峰の白ワイン産地として名高いフリウリ ヴェネツィア ジュリア州コッリオ地区。スロベニア国境に接する美しい丘陵地ドレーニャ デル コッリオに「テヌータ ステッラ」はあります。

ワイナリーを担うのは、「イエルマン」で20年以上にわたりエノロゴを務めたアルベルト ファッジャーニ氏と、イタリア醸造界の巨匠ドナート ラナーティ氏のもとで研鑽を積んだエリカ バルビエーリ氏。この醸造家夫妻が、ビオ栽培で育まれたブドウから、豊かな果実味と力強いミネラルを備えた白ワインを生み出しています。今回はエリカ氏をお迎えし、主要な3つの白ワインの試飲を交えてお話を伺いました。

    目 次
  • イエルマンを20年支えた凄腕エノロゴと、巨匠ドナート ラナーティの元で研鑽を積んだ醸造家夫妻
  • ビオ栽培に最適なドレーニャ デル コッリオの恵まれたテロワール
  • 土着酵母による自然発酵と巧みな樽使いでブドウの個性を引き出す醸造
  • リゼルヴァをブレンドして造る贅沢な「リボッラ ジャッラ」
    最大22カ月の長期熟成で造る代表作「フリウラーノ」
  • ワイナリーの樽使いのこだわりが表れる「マルヴァジア」

イエルマンを20年支えた凄腕エノロゴと、巨匠ドナート ラナーティの元で研鑽を積んだ醸造家夫妻

テヌータ ステッラは、フリウリ ヴェネツィア ジュリア州の、スロヴェニアと国境を接するドレーニャ デル コッリオに位置しています。全部で40haの所有地に、15haのブドウ畑、あとの土地は森林という、自然豊かな丘の上にワイナリーを構えています。

ヴェネツィアでガラス工房を営んでいた一族の出身で、その後、医療用ガラス製品の世界的メーカー「Nuova Ompi」へと発展させたセルジオ ステヴァナート氏が2009年に設立。出発点でもある家族のガラス工房「Soffieria Stella」の名前にちなんでワイナリーを「テヌータ ステッラ」と名付けました。

フリウリに精通したアルベルト氏&土着品種の扱いに長けたエリカ氏
現在、ワイン造りを担っているのが「イエルマン」で20年以上エノロゴを務めたアルベルト ファッジャーニ氏とその妻・エリカ バルビエーリ氏です。エリカ氏はトリノ大の教授で数々の優れたワインを輩出してきた醸造家ドナート ラナーティ氏(*)の下で7年間研鑽を積んだ人物で、イタリア各地でラナーティ氏と仕事をともにし、数ある品種の良さをいかにして引き出すか、目指す「ワインの味わい」という結果を得るにはどうしたらいいのか、という研究を行ってきました。

テヌータ ステッラでは、フリウリに精通したアルベルト氏と土着品種の扱いに長けたエリカ氏が力をあわせ、フリウリの土着品種から透明感とたしかな骨格を備えたワインを造っています。

(左:アルベルト ファッジャーニ氏、右:エリカ バルビエーリ氏)

(*)ドナート ラナーティ氏
国際的に高く評価されているワイン醸造家であり科学者の一人。厳格な科学的研究と、産地やブドウ品種に対する深い敬意とを融合させたそのアプローチから、しばしば「醸造家兼科学者」と呼ばれています。1990年にブドウ栽培とワイン醸造を専門とする最先端の研究センター「エノシス」を設立。リブランディ、パラーリ、コルテレンツィオ、イエルマン、サンタ マルゲリータ、イゾレ エ オレーナなどを始め、イタリア国内外で醸造コンサルタントを行っています。

ビオ栽培に最適なドレーニャ デル コッリオの恵まれたテロワール

アルプス山脈とアドリア海から吹き抜ける風
彼らは自らを「Cultivators of Life(生命の耕作者)」と定義し、2016年には有機認証を取得。自然な栽培を徹底しています。

ワイナリーが位置するドレーニャ デル コッリオは、北側にはアルプス山脈がそびえ立ち、40km南にはアドリア海が広がるという、ワイン造りに非常に適したテロワールを持つ産地です。標高120~270mの丘陵地に広がるテヌータ ステッラの畑には、山と海から常に心地のいい風が吹き抜け、昼夜の寒暖差もあります。この気候のおかげでブドウは病害から守られ、ビオ栽培に最適な環境が整えられています。

ミネラルと果実の凝縮感をもたらすポンカ土壌
土壌に目を向けると、泥灰土と砂岩が層をなすコッリオ特有の「ポンカ土壌」があります。水はけがよく、ブドウ樹は地中深くまで水分を求めて根を伸ばします。そのため乾燥した天候が続いても十分な水分と栄養を地中から吸い上げることができ、ワインにミネラルとフレッシュさ、果実の凝縮感をもたらします。

テヌータ ステッラでは畑での仕事を最優先し、醸造過程では介入を最小限に抑えることをワイン造りの方針としています。健全なブドウを育むドレーニャ デル コッリオのテロワールがそうしたワイン造りを可能にしています。

土着酵母による自然発酵と巧みな樽使いでブドウの個性を引き出す醸造

醸造においては、土着酵母による自然発酵を厳格な温度管理のもとで行います。またシュールリーを長めに行うこと、白ワインにも樽を多用することが特徴として挙げられます。その結果、ブドウ本来の果実味の強さのバランスがとれ、長期熟成のポテンシャルを備えたワインが生まれます。

テヌータ ステッラでは、設立当初から栽培しているフリウリの土着品種リボッラ ジャッラ、フリウラーノ、マルヴァジアの3品種を重要なブドウと位置づけ、主に白ワインを生産しています。

ラベルの色が3つのワインでグラデーションになっており、色の薄い順から「フリウラーノ」、「リボッラ ジャッラ」、「マルヴァジア」と並びます。これはそのままワインの味わいの強さを表しており、「フリウラーノ」はステンレスタンクのみで仕上げるピュアな果実味を楽しめるスタイル、「マルヴァジア」は樽熟成を行う最も力強いスタイルになっています。

リゼルヴァをブレンドして造る贅沢な「リボッラ ジャッラ」
最大22カ月の長期熟成で造る代表作「フリウラーノ」

■リボッラ ジャッラ
ワイナリーにとって一番大事な品種と言われるリボッラ ジャッラは、最も生産量が多く、収穫時期が9月末と非常に遅い晩熟の品種です。アルコール度数が低めで酸味が強く、柑橘系の香りに加え、ミネラル感とタンニンの存在感があります。

醸造面では、ステンレスタンクと木樽を半々に使用し、約10ヶ月間熟成。いずれもシュール リーの状態でバトナージュを行いながら丁寧に寝かせます。ブレンド時には、リボッラ ジャッラのリゼルヴァを少量足して仕上げを行います。

その結果、オレンジがかった色調に、オレンジピールや熟した果実のアロマが香る、ボディのしっかりしたワインに仕上がります。

■フリウラーノ
「フリウラーノ」は、テヌータ ステッラの代表作ともいえる白ワインです。ブドウ品種としてのフリウラーノは、酸味が比較的穏やかで、高いアルコール度数による豊かなボディを持ったワインが造られます。

醸造においては、数時間だけマセラシオンを行い、発酵・熟成はステンレスタンクのみで実施。他のワイナリーが通常8ヶ月程度でリリースするのに対し、テヌータ ステッラでは18~22ヶ月の長期熟成を施します。じっくり時間をかけることで、品種本来のピュアな果実味と深みのある味わいを美しく引き出しています。

ワイナリーの樽使いのこだわりが表れる「マルヴァジア」

「私たちの白ワインは、白ワインでありながらも非常に高い長期熟成のポテンシャルがあります。」と話すエリカ氏。そう話す背景には、ドレーニャ デル コッリオのポンカ土壌で栽培された健全で凝縮感のあるブドウと、樽熟成へのこだわりがあります。

白3品種の中で最も力強く、樽熟成の比率が高いのが「マルヴァジア」です。

■マルヴァジア
テヌータ ステッラでは数あるマルヴァジア種の中でも、マルヴァジア イストリアーナという品種を栽培しています。マルヴァジアは地中海沿岸の産地で広く栽培されていますが、育つ土壌によって非常に違いが生まれるブドウです。

マルヴァジア イストリアーナは、コッリオからほど近いクロアチア領イストリア半島に起源をもち、この半島の海岸沿いで多く作られています。一般的にマルヴァジアはアロマティック品種とされていますが、マルヴァジア イストリアーナは比較的香りが控えめな品種で、ミネラル感やフレッシュな酸が特徴です。

新樽比率70%で仕上げる力強さと気品を兼ね備えるマルヴァジア
テヌータ ステッラでは、ワインのストラクチャーをより強固にするため新樽比率70%でマルヴァジアの醸造を行います。さらに、フレンチオークやジェルソ(桑の樹)といった木材の種類だけでなく、トースト具合の異なる樽まで、小規模の白ワイン生産者としては非常に珍しいほど多種多様に樽を揃えています。ブドウ品種やヴィンテージごとの個性をより引き出すため、その時々で最も適した樽を使用するのがテヌータ ステッラのアプローチです。

口に含むと樽由来の香ばしいニュアンスがしっかりと感じられ、それでいて長く持続する酸が全体の輪郭をきれいにまとめ上げる、力強さと気品を併せ持つワインに仕上がっています。

厚みとミネラルが調和する樽熟成リボッラ ジャッラ

リボッラ ジャッラ コッリオ 2023

リボッラ ジャッラ コッリオ 2023

「リボッラ ジャッラは、私たちの中心的な白ブドウ品種です。9月末まで収穫を待つ、とても晩熟なブドウで、アルコール度数は比較的低く、しっかりとした酸を持っています。柑橘やストーンフルーツの香りに加え、ミネラル感と心地よいタンニンもこの品種ならではの特徴です。品種特有のやわらかさを引き出すため、約半分を木樽で熟成し、バトナージュを行いながら約10ヶ月かけて仕上げています。」
試飲コメント:黄金色。メロンのような熟した果実と花の華やかさが柔らかく香ります。香りの印象がそのまま味わいへ続き、柑橘を思わせる果実感も加わり、厚みがありながらエレガントで、ミネラルと白胡椒のようなニュアンスが長く持続します。

長期熟成が引き出す、フリウラーノの奥深い味わい

フリウラーノ コッリオ 2023

フリウラーノ コッリオ 2023

「従来のフリウラーノよりも1年近く長く熟成して造る一本です。一般的には8ヶ月ほどで仕上げますが、私たちは18~22か月です。ステンレスタンクのみで発酵と熟成を行っています。酸は比較的穏やかで、アルコール度数がやや高く、豊かな味わいが特徴です。」
試飲コメント:黄金色。力強くフレッシュで、白や黄色の果実にミネラルが重なる複雑な香りが広がります。まろやかな口当たりに香りの複雑な要素がエレガントに感じられ、柔らかな味わいが感じられます。

約70%新樽熟成が生む、
凝縮感と気品を兼ね備えたマルヴァジア

マルヴァジア コッリオ 2023

マルヴァジア コッリオ 2023

「近隣地域とは異なる個性を持つマルヴァジア イストリアーナという品種で造っています。コッリオ特有の土壌によって、ワインにしっかりとしたストラクチャーを与えるため、長期熟成にも適しています。約70%を新樽で熟成し、フレンチオークに加えてジェルソ(クワ)木樽も使用しています。」
試飲コメント:透明感と輝きのある黄金色。力強く厚みのある香りで、フレッシュさと凝縮した果実感が同居します。香りの要素が口中に広がり、余韻には樽のニュアンスが現れ、甘やかなバターのような風味が残ります。

インタビューを終えて

テヌータ ステッラのワインを口に含むと、見事に成熟したブドウ由来の圧倒的な凝縮感が溢れ出します。ブドウの健全さ、それを育む土壌の力強さ、そしてエリカ氏とアルベルト氏の醸造哲学がひしひしと伝わってくる、非常に印象深い試飲となりました。

ステンレスタンクのみで仕上げる長期熟成フリウラーノ。ステンレスと木樽を半々に使い、リゼルヴァをブレンドして造る「リボッラ ジャッラ」。新樽比率70%ながら力強さとエレガンスを兼ね備える「マルヴァジア」。いずれも素晴らしい完成度の現行ヴィンテージですが、ここからの熟成のポテンシャルにも大きく期待が膨らみます。

イエルマンをはじめ、自然派の巨匠グラヴネルやラディコンなど、多種多様なトップワイナリーがひしめく白ワインの銘醸地コッリオ。その中にあっても決して埋もれることのない、「テヌータ ステッラ」ならではの個性を強く実感させられました。

ドレーニャ デル コッリオの大地と夫婦の情熱が生み出す豊かな味わいを、ぜひじっくりとお楽しみください。