2009年3月16日 ヴィッラ ブッチ オーナー、アンペリオ・ブッチ氏来日

2009/03/16
突撃インタビュー

■2009年3月16日 ヴィッラ ブッチ オーナー、アンペリオ・ブッチ氏来日






ヴィッラ ブッチの試飲会に行ってきました!


 

 

 

ヴィッラ・ブッチのヴェルディッキオは、『ガンベロロッソ』で年間最優秀白ワインに選ばれたり、『イタリアを変えた50本』にも選出されたりと、イタリア国内外で高い評価を受けている、まさしくイタリアを代表する白ワイン。私もどんな方が造っているのだろうかと興味津々でお目にかかってきました!
 

アンペリオ・ブッチ氏(以下ブッチ氏):本日はお目にかかれて嬉しいです。短い時間ですが私たちのワインについてご説明させていただきます。ヴィッラ・ブッチは、中部イタリアのマルケ州にある大農園で、ブドウだけでなく麦や豆なども造っています。マルケは知名度は低いですが、農業が非常に盛んなところで、まだまだたくさんの驚くようなものを生産している土地です。
  
  
ブッチ氏:ワインについてですが、私たちは国際品種は造っていません。白ブドウのヴェルディッキオ、そして赤ワイン用にモンテプルチアーノとサンジョヴェーゼ。そのブドウを使って、伝統製法を尊重しながらもモダンな技術を取り入れてワインを造っています。
  
ブッチ氏:私たちのヴェルディッキオは、このように5つの畑で造っています。(畑の地図を見せてもらう)それぞれの畑は、標高が160mから360mと異なり、向きも違うため、土壌の特徴やテロワールが変わります。
それぞれの畑から収穫したヴェルディッキオをその年の出来具合に合わせて、毎年一定の仕上がりになるようにブレンドします。収穫年によってできにばらつきがないようにすること、それを重要視しています。 
  
  

  




(ここでスタンダードのヴェルディッキオである「ブッチ2007」の試飲が始まる)



ブッチ氏:
ぶどう栽培において大切にしていることは3つあります。
土壌、ブドウの樹齢、そして有機栽培です。土壌については、先ほど申し上げたとおりですが、ヴェルディッキオが育つのは石灰分が多い場所で、これはワインにミネラル感をもたらします。ワインを飲んでいただくとそれが分かります。また、粘土質も重要です。ここは夏が暑いため乾燥するのですが、粘土質は雨などをためておくことが出来るので非常に効果的です。

ゴローザ:本当ですね。すごいミネラルを感じます。
 
 
 
 
 
 
 

ブッチ氏:次に、樹齢ですが、私たちは古い樹をとても大切にします。なぜなら、古いブドウの樹は地下深いところにまで根をのばし、土壌の中のミネラル分をたくさん吸収してくれます。その結果、ワインの味わいに深みと複雑味を与えます。古い樹は世話をするのは大変ですが、出来るだけ長生きしてもらうように大事に面倒を見ています。

そして、有機栽培。これは「健康なブドウを育てる=いいワインができる」と考えているからです。化学的な農薬などを使わず、雑草も生える自然な土壌こそが一番なのです。公的な有機認定をとるのに3年かかります。私たちは1999年から取り組み始めて、2002年に認証を受けています。

ゴローザ:ワインのラベルには有機栽培については書かれていないようですが・・・?

ブッチ氏:はい、書いていません。有機栽培はブドウの樹を大切にするために採用しただけのことですから。


さて、この3つのことを大切にしながら、さらに収量をDOCの規定の半分に落とすことで凝縮感のあるワインを造っています。非常に多くのヴェルディッキオのワインが造られていますが、ヴィッラ・ブッチが高く評価を受けているのもこの違いを人々が理解しているからでしょう。

ゴローザ:規定の半分の収量と言うことですが、具体的に教えてください。

ブッチ氏:DOCの規定では1ヘクタールあたり14トンですが、ヴィッラ・ブッチは7トンです。 




(続いて、リゼルヴァタイプの「ヴィッラ・ブッチ2005」の試飲)




ブッチ氏:
さて、ワイン醸造で工夫していることは熟成の方法です。
7~80年という古い樽を使って熟成させています。
新樽のように木のニュアンスが付きすぎると言うことが決してあり
ません。

古い樽の、目に見えない小さな穴を通して微生物や空気が入り込み、ゆっくりゆっくりいい具合に酸化が進みます。

このように時間をかけて熟成させるとワインが安定し、長期熟成が出来る白ワインになることができます。

ブッチは3,4ヶ月間、ヴィッラ・ブッチは2年間、古樽で熟成させています。だからヴィッラ・ブッチのほうは、10年以上熟成できるんですよ。



 ~お話を聞いて~

オーナーのアンペリオ・ブッチ氏は、ファッション関係のマーケティングの仕事に携わったり、大学で経済学の教授として教壇に立ったりと非常に理知的な紳士。落ち着いて理路整然とワインの説明をする様子からもそれがうかがえました。
 
 
1時間ほどの説明が終わり、最後の最後に「今、もう一度ヴィッラ・ブッチを飲んでみて」とブッチ氏から言われ、グラスを手に取って驚きました。まさに香りの花が開いた、という感じ。飲んでみるといっそうコクと厚みが増していてまさに濃密な官能的な味わいになっていました。
 
 
以前から個人的にも、ヴェルディッキオは造り方によって表情を変える、実に不思議で魅力的なワインだと思っていましたが、特にこのヴィッラ・ブッチには驚かされました。「我が家は農家です」と断言するブッチ氏の古いブドウの樹を大切に守り続ける姿勢、ブドウの健康のために有機農法を取り入れるというその考え方。そのひとつひとつがこの桁外れなレベルのワインにつながっているのだと、あらためて実感できました。