2025/10/16
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Mr. Pasquale Vallone, Ms. Francesca Vallone, Mr. Federico Vallone
モンタルチーノ南部カステルヌオーヴォ デッラバテの家族経営ワイナリー「テッレ ネレ」訪問インタビュー

カステルヌオーヴォ デッラバテ地区の南、オルチャ川に向かって下る斜面地

この土地は今は活動をしていないモンテ アミアータ火山由来の火山性土壌です。雨が降って濡れると土の色が真っ黒になるから「テッレ ネレ(黒い土地)」という名前にしました。
―こうして見ると、かなりの急斜面ですね
そう。だから畑の上の方とした都では土壌も変わるんです。上の方がミネラルが豊富で有機分が少ない。一方、下の方は粘土の比率が上がって、有機分が増える。上部と下部の特徴の違いがミネラルや塩味となってワインの味わいに複雑さやエレガントさを与えているんです。
雨の影響を受けるのも下部の方で、保水性があるのでたくさんの果実を付けるのと、少し気温が低いのでブルネッロではなくロッソに使うことが多いです。
山からの風、海からの風が絶えず吹くことで病気から守られる
風が良くふいているでしょう?海はここからは見えないけれどもティレニア海からの海風も来るし、見た通り山からの風も来る。これは雨が多い年に特にメリットがあって、例えば雨の多かった2018年はこの風のおかげで健康な状態のままブドウを収穫できました。
仕立てはコルドーネ スペロナートからグヨに移行

畑は全てビオロジックです。化学的なものは一切使わずに育てています。そのおかげか、野生のシカやイノシシにブドウを食べられることも多いんです。ビオロジックではない畑のブドウは食べずに私達の畑のを食べていく。よくわかっていますよね、動物も。畑の周囲には柵をしていますが、わずかな隙間を見つけて侵入されていまうことも多いです。
私達の畑の東端にある区画は「ヴィーニャ デル カプリオーロ(ノロジカの畑)」という名前を付けているのですが、ここが特にノロジカに好まれている畑だからなんです。この区画は南東向きで、森に一番近く、気候も土壌も独自性があって、そのためにこの区画で単一畑のブルネッロも造っています。

人の手が入っていない、ブドウ以外は何も育たないやせた土地を家族総出で開墾し植樹
痩せた土地なので小麦は全く育たず、わずかに大麦があったぐらい。でもブドウを育てるには最適な土地なんです。週末に家族総出で来て、ブドウの樹を植えていくことから始まったんです。
一番低いところにあるオルチャ川の支流近くにある区画は、もともとカベルネソーヴィニョンを植樹していました。でもここもブルネッロの認定区域内なので、サンジョヴェーゼに植え替えました。川の近くということで砂質土壌で、石も丸みを帯びています。この畑のサンジョヴェーゼは、ロッソ ディ モンタルチーノとトスカーナ ロッソに使っています。

畑の近くでカンティーナ建設を計画中
―前回ここに来た時、畑の近くにカンティーナを建設する計画を聞いていましたが、その後どうですか?
実はまだなんです。イタリアは手続きが色々と面倒で。でも前進しているのは確かです。今のところは醸造はモンタルチーノ北部にあるカンティーナで行っています。
(ということでモンタルチーノ北部のカンティーナへ移動)

発酵は全て自然酵母による発酵です。温度が30度以上にならないようには管理していますが、基本的には自然に任せています。100ヘクトリットルのステンレスタンクで発酵し、糖の値が0になったら発酵が終わって果皮と分離させます。果皮の成分を抽出させ過ぎないようにしているので、ブドウを100とすると60~65ぐらいがワインになっています。その後の樽熟成は大樽を使っています。
インタビューを終えて
「ワインはランチをとりながら飲みましょう」と、昼食は彼らが運営しているアグリツーリズモのあるポチャーノ農場でパスクアーレ氏の奥様のピエラさん手作りのご馳走でもてなしてくださいました。昼食をいただいた部屋は畑を見晴らす気持ちの良い場所に建つサンルームで、大きな窓からは10月後半とは思えないほどの太陽の光が差し込んできて、とても気持ちが良かったです。
テッレ ネレのワインはどれも、ピエラさんが作ってくださった、まさにマンマの優しい味の手料理に寄り添います。「この土地のサンジョヴェーゼの個性を最大限に表現する飲み心地の良いブルネッロ」を目指してきたパスクアーレ氏の想いそのままだと感じました。




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