2015年2月20日 アヴィニョネージ社「改革への長い旅の始まり」 輸出部長ブレット フレミング氏来社

   
突撃インタビュー

2015年2月20日 アヴィニョネージ社「改革への長い旅の始まり」 輸出部長ブレット フレミング氏来社 

アヴィニョネージ社 輸出部長ブレット フレミング氏と
トスカーナの歴史的DOCGワイン、ヴィーノノービレディモンテプルチアーノの造り手アヴィニョネージ。14世紀から続く農園が起源という超名門ワイナリーは2009年、設立者のファルヴォ家からベルギー出身の実業家ヴァージニー サヴェリス氏へと経営が代わり、さらなる発展を続けています。以前のアヴィニョネージから何が変わったのか、輸出部長のフレミングさんに詳しくお話を聞くことができました。

新生アヴィニョネージの4つの挑戦

現オーナーのサヴェリス氏は実業家でアヴィニョネージの株主でした。2007年にアヴィニョネージの経営に参加するためにトスカーナに移住し、その後、2009年にファルヴォ家がアヴィニョネージを売却する際にすべての株を取得し、オーナーになりました。サヴェリス氏は有機栽培に対しては確固たる信念を持っていて、ワイナリー経営をスタートさせると同時に全て有機栽培に切り替えたのです。

有機栽培への切り替えとともに、新生アヴィニョネージは次の4つの改革を行いました。

  1. 自社畑のブドウだけでワインを造る
  2. 有機栽培とバイオダイナミックの導入
  3. モンテプルチアーノと言う呼称を世の中に広げたい
  4. サンジョヴェーゼ100%でヴィーノノービレを造る
 

品質向上のため自社畑のブドウだけでワインを造る

ワインの品質に絶対の自信を持つためにはどこでどのようにしてブドウを造ったのか、全て管理しなければならない、と言うのが私たちの考えです。だから自社畑のブドウだけを使ってワインを造ることを徹底しています。
アヴィニョネージの畑

有機栽培とバイオダイナミックを導入することで栄養分の高い、生物多様性の畑が再生

生物多様性が表れた畑有機栽培をしてこなかった土地から有機栽培に変えることは簡単なことではなく、私たちも一生をかけた取り組みとして覚悟をもってスタートさせました。有機栽培とは、栄養分を吸い取られた土地を緑の肥料を与えることで肥沃な土地に戻すこと。そのため、他の植物を植えて、それが土に帰り、栄養分として吸収されるようにもっていきます。

バイオダイナミックとは簡単に言うと、ブドウ樹に免疫力と抵抗力をつけさせることです。農薬は害虫だけでなく、ブドウ樹と共存でき、いい影響を与えてくれる動植物たちも殺してしまいます。その結果、生物多様性が失われ悪循環になっていきます。バイオダイナミックを始めてから今まで見られなかった昆虫や草花が見られるようになっています。

モンテプルチアーノは長い歴史を誇る土地。世の中にモンテプルチアーノを広げることが使命。

モンテプルチアーノの町モンテプルチアーノはキャンティクラシコやブルネッロにも負けない歴史がある土地です。残念ながら知名度が低く、モンテプルチアーノをアピールする生産者が少ないのが現状です。実はヴィーノノービレディモンテプルチアーノはDOCGに認定されたのは1980年と全DOCGの中でも最も古いんです。それほど歴史のあるワインをもっとアピールしていくことが私たちの使命だと思っています。

アヴィニョネージのヴィーノノービレは100%サンジョヴェーゼで造る

ヴィーノノービレのDOCG規定では、サンジョヴェーゼを70%以上使わなければならないことになっています。今造られている大部分のヴィーノノービレはサンジョヴェーゼにカナイオーロやマンモーロ、コロリーノなどの品種をブレンドして造っているのがほとんどです。

アヴィニョネージも2008ヴィンテージまではサンジョヴェーゼと多品種をブレンドしていました。改革を始めた2009はリリースせず、2010ヴィンテージからは、ノーマルタイプもグランディアンナーテもサンジョヴェーゼ100%で造っています。

全てはヴィーノノービレのナンバー1になるための改革

アヴィニョネージのオーナー、ヴァージニー サヴェリス氏例えばブルネッロにおけるビオンディサンティのように、それぞれのワインには絶対的なナンバー1の存在があります。一番美味しい、とかそういうことではなく、そのワインを語るには決して外せない存在の造り手。アヴィニョネージもヴィーノノービレにおけるビオンディサンティのような存在になりたいと思っています。

そのために選んだのが、自社畑であり、有機であり、バイオダイナミックであり、サンジョヴェーゼ100%。もちろんこれを全て実現するためには長い長い時間がかかります。正直私たちはそのゴールに向かって歩きはじめたばかりです。この信念をこれから何年も何年も持ち続け、お客様に伝えていくことが大切だと考えています。2009年に改革を始めて5年が経ちました。大変なことはたくさんありましたが、確実にいい方向へ向かっていることを実感しています。

 
土壌調査によってシャルドネに向く畑を選別して造った「トスカーナ産シャルドネ」
イル マルゾッコ シャルドネ 2013
以前は粘性の強い濃い印象のワインでしたが、今のマルゾッコはとてもクリーンでミネラル感があり、バランスのとれたシャープな味わいになっています。実は、これまでシャルドネを植えていた畑の土壌を調べるとシャルドネにはあまり向かないことがわかりました。そこで、2009年以降は適した土地の畑だけを使っています。

試飲コメント:際立つ酸と程よいコク。アルコール度数は14度と高めだがそれを感じさせないバランスの良さ。とても控えめでエレガントな印象も。


イル マルゾッコ シャルドネ 2013
 
上のキュヴェを造るためのブドウからその選別に漏れたもので造るコストパフォーマンスに優れた赤
カンタローロ ロッソ 2013
カンタローロは、このワインを造ろう、と思って造っているワインではありません。私たちは常に最高のブドウを造ることだけを考えています。最高のサンジョヴェーゼはヴィーノノービレに、最高のメルローはデジデリオに、最高のカベルネはグリフィに。その結果残ったワインからカンタローロは造られます。

試飲コメント:フレッシュな果実味、やわらかい味わいの中に心地よいタンニン。エレガントな口当たり。


カンタローロ ロッソ 2013
 
有機栽培にしたことで暑い2011年でもいいワインとなった
ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ2011
今までお話してきたアヴィニョネージのポリシーが込められたヴィンテージのヴィーノノービレで、サンジョヴェーゼ100%で造っています。2011年はトスカーナはとても暑く厳しい年で、雨が不足しました。有機栽培をに変えたおかげで干ばつでも根が深くはり、地中深くから水分を吸収することができました。ラベルデザインは2010ヴィンテージから新しくなっています。

試飲コメント:フレッシュな酸とミネラルを感じるエレガントな味わい


ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ2011
 
キアナ牛がトレードマークのデジデリオ。有機栽培に変え、新たなスタイルへ
デジデリオ2010
デジデリオはもともとパワフルなワインです。そこに私たちはエレガントさも表現していきたいと考えています。有機栽培とバイオダイナミックに変えたことがどのような形で現れるか、病気になったりしないかと不安もありましたが2010年は恵まれたビッグヴィンテージだったのでとてもラッキーでした。

ラベルに描かれているのはキアナ牛です。19世紀、アヴィニョネージはキアナ牛飼育のビジネスもしていて、そのうちの1頭の名前がデジデリオだったことからこの名前となりました。トスカーナ名物のビステカ フィオレンティーナはキアナ牛で造ります。キアナ牛は耕作用の牛のため筋肉質で固い。だからステーキは焼き過ぎは禁物なんです。

試飲コメント:濃密なアロマ、熟した果実やドライフラワーのニュアンス。熟成感とミネラルを感じさせるなめらかな味わい。


デジデリオ2010
良年ヴィンテージだけ造られるヴィーノノービレの最高峰
グランディ アンナーテ ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ リゼルヴァ2007
これは2007ヴィンテージなので、以前のスタイルで造ったヴィーノノービレです。サンジョヴェーゼとカベルネソーヴィニョンで造っています。2011が今年の夏にリリースされますが、そちらもぜひ飲んでいただきたいですね。

試飲コメント:しっかりとした熟成感とともにハーブやスパイスの香り。しっかりとした骨格の力強さのある複雑味あふれる味わい。


グランディ アンナーテ ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ リゼルヴァ2007
カパンネッレとのコラボレーションで造るメルロー&サンジョヴェーゼ
チンクアンタ エ チンクアンタ2010
カパンネッレとのコラボで造るスーパートスカンで、とても人気のあるワインです。アヴィニョネージのブドウだけで造っているワインではないので、今日お話ししたアヴィニョネージの方向性とは異なる次元に居るワインですが、私たちのメルローの繊細でエレガントな部分と、カパンネッレのサンジョヴェーゼの力強さが調和した、興味深いワインです。

試飲コメント:ふくよかで濃厚。こなれたタンニンが溶け込んだ優美で甘みを感じる味わい。


ネクターデイ2010
インタビューを終えて

フレミングさんが、「この改革は長い長い旅なんだ。決してすぐにつかないのは分かっている。でもそれに取り組んでいくのです。」と熱く語られた言葉がとても印象的でした。この4つの改革に対するアヴィニョネージ社の強い覚悟を感じることばが心の中にいつまでも残りました。
歴史のある名門で世界的にも評価の高いワイナリーを受け継いての大改革。経営陣が変わった際、畑や醸造などの部門の責任者も全員総入れ替えをしたとのこと。それだけの覚悟をもって取り組んだ改革は確実に花開かせていると感じました。

2015年には有機認証が取れる予定だそうですが、ラベルにそれを記載することはしないそうです。「有機だから買うのではなく、アヴィニョネージだから買って欲しい」と考えているから。ヴィーノノービレの歴史が変わる、そんな予感のするアヴィニョネージの今後に注目していきたいと思います。

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