DOCG発足時からの老舗「ラ ジェルラ」突撃インタビュー

2026/10/27

2026/09/09

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アルベルト・パッセリ氏 Mr. Alberto passeri

「ビオンディ サンティ」のBBS11クローンが育つ特別畑を継承!DOCG発足時からの老舗が南北のテロワールを融合させて醸す、これぞ王道ブルネッロ「ラ ジェルラ」突撃インタビュー

ブルネッロ ディ モンタルチーノの老舗ワイナリー「ラ ジェルラ」は、広告業界出身のセルジョ ロッシ氏によって1976年に設立されました。仕事でモンタルチーノを訪れて「ワインに恋をしてしまった」ロッシ氏。ブルネッロの生みの親「ビオンディ サンティ」が所有していた2haの実験畑を買い取るチャンスが巡ってきたことで、ワインの世界へと足を踏み入れます。

今や250軒以上の生産者がひしめく世界的な銘醸地ですが、当時はまだ30軒にも満たない時代。ロッシ氏のような先見の明を持った人物が外の世界から参入し始めた黎明期であり、ラ ジェルラはブルネッロが有名になっていく歩みをともにしてきた伝統派の筆頭です。

今回は長年ロッシ氏の右腕として活躍し、亡きロッシ氏の遺言により後継者となった現当主アルベルト パッセリ氏に突撃インタビュー!情熱を持ってワインの世界へ飛び込んだロッシ氏、その情熱と意志を受け継いだアルベルト氏が造る素晴らしいワインの数々についてお話を伺いました。

    目 次
  • ブルネッロの生みの親ビオンディ サンティから譲り受けた実験畑から始まった「ラ ジェルラ」
  • 「パーフェクトなブルネッロを目指す!」
    創業者が目をつけた北と南のテロワールの融合
  • ブルネッロと全く同じ畑から生まれる贅沢「ロッソ」、飲むことに喜びを感じるエレガントな「ブルネッロ」
  • 創業者が夢見た2つのクリュ ブルネッロ!
    驚異の熟成能力を備える北の「リ アンジェリ」、重厚で優美な南の「ラ ピエーヴェ」
  • イタリアワイン界の重鎮ルイジ ヴェロネッリとの賭けから生まれたスーパータスカン「ビルバ」

ブルネッロの生みの親ビオンディ サンティから譲り受けた実験畑から始まった「ラ ジェルラ」

広告業界の第一線で活躍していたセルジョ ロッシ氏は、1972年、カパルツォ、アルテジーノといったモンタルチーノの名門ワイナリーから仕事の依頼を受けたことをきっかけに、この地域との縁を持ち始めます。1976年、モンタルチーノで暮らす中で次第にワインの世界に魅せられるロッシ氏のもとに、ビオンディ サンティ家のテディーナ ビオンディ サンティ氏が所有する貴重な畑を買い取るチャンスが訪れます。
セルジョ ロッシ
(創業者 セルジョ ロッシ氏)

テディーナ氏は、当時の当主フランコ ビオンディ サンティ氏の妹で、父親の没後にモンタルチーノの街の北東部に位置する「ポデーレ コロンバイオ サンティ」の畑を相続していましたが、親族以外で畑を引き継いでくれる人を探していました。この畑はビオンディ サンティが実験畑としてBBS11のクローン栽培を行っていた貴重な畑で、この2haの畑を譲り受けたことで「ラ ジェルラ」は始まりました。

フランコ氏がその後も度々畑の様子を見にきてはワインを試飲して帰ったというエピソードからは、ビオンディ サンティにとってもいかに重要な畑だったかが伺えます。

*BBS11(Brunello Biondi Santi 11)とは・・・ビオンディ サンティが選抜し、イタリア史上初めて国家公認されたブドウ系統。厚い果皮と小粒の実がもたらす「強靭な酸」と「緻密なタンニン」が特徴で、病害にも強い性質を持ちます。若い時期は引き締まった味わいですが、大樽熟成を経て比類なき気品と数十年耐えうる超熟ポテンシャルを開花させます。
ヴィットリオ フィオーレ
(醸造家 ヴィットリオ フィオーレ氏)

ロッシ氏のワイン造りを支えたのが、ビオンディ サンティやカパルツォで経験を積み、自身もポデーレ ポッジョ スカレッテを手掛ける巨匠ヴィットリオ フィオーレ氏。創業から50年に渡りラ ジェルラの醸造責任者を務めました。1999年には農学博士を修めたばかりのアルベルト氏が加わり、ロッシ氏の右腕として長年活躍します。現在は、2011年にロッシ氏が他界した際の遺言により後継者に指名されたアルベルト氏が意志を引継ぎ、ロッシ氏の家族とともに共同経営者としてワイナリーを牽引しています。

「パーフェクトなブルネッロを目指す!」
創業者が目をつけた北と南のテロワールの融合

ロッシ氏は「パーフェクトなブルネッロを目指そう!」が口癖になるほど、常にブルネッロに情熱を燃やす人物でした。彼の目指した「パーフェクト」とは、「エレガンス」「喜びをもたらす飲み心地のよさ」「長期熟成能力」の3つの要素を兼ね備えるブルネッロです。そして高い品質のワインを毎年安定して生産できることも重要だと考えていました。

ラ ジェルラの目指すワイン造りの鍵を握るのが、モンタルチーノの南北に離れて位置する「対照的な2つの畑」の存在です。
モンタルチーノ地図

【北東部】ビオンディ サンティ由来のBBS11が植わる畑「リ アンジェリ」
モンタルチーノ市街から見下ろせる北東部の「リ アンジェリ(天使の畑)」は、1960年代末に植えられたビオンディ サンティ家由来の「BBS11」が残る貴重な畑(2ha)です。樹齢50年を超える古木畑で、ワイナリーの最上級キュヴェである単一畑ブルネッロが生まれます。

偉大なサンジョヴェーゼには欠かせないガレストロ(泥灰岩)土壌主体の畑で、北・北東向きの斜面が近年の過度に温暖な気候からブドウを守り、ワインに澄んだ酸味とエレガントで繊細なアロマをもたらします。「リ アンジェリ」の他にも、同じカナリッキオ地区に1976年、1982年に植樹した7haの畑を所有しています。
リ アンジェリ

【南東部】ワインに力強さを与える「カステルヌオーヴォ デッラバーテ」
北東部とは異なる個性を求め、ロッシ氏は南東部「カステルヌオーヴォ デッラバーテ」に目をつけます。主にシルト、砂質土、石灰岩からなる有機物が少ない痩せた土壌で、そこで南東~南を向く7haの畑を取得しました。ブドウがゆっくりとストレスを受けながら熟すこの畑では、力強い果実味とミネラル感、豊かな骨格を備えたブドウが育ちます。
カステルヌオーヴォ デッラバーテ

ラ ジェルラのブルネッロは、ヴィンテージごとの気候を踏まえて2つのエリアのブレンド比率を毎年見直すことで、目指す味わい、安定した品質の高さを実現しています。例えば、バランスのとれたヴィンテージでは2つの畑を半々にブレンドし、2026年のように猛暑に見舞われたヴィンテージでは比較的冷涼な北の比率が高くなります(予定)。

ブルネッロと全く同じ畑から生まれる贅沢「ロッソ」、飲むことに喜びを感じるエレガントな「ブルネッロ」

ラ ジェルラでは、熟成に50~100ヘクトリットルの大樽を使用しています。一般的な大樽(25~50ヘクトリットル)と比較しても格段に大きく、特に100ヘクトリットルもの大樽を用いるのは、ビオンディ サンティから受け継いだ伝統的手法です。

熟成期間はスタンダードのアンナータで36カ月、リゼルヴァでは48カ月もの長期間にわたりますが、これほど巨大な樽を用いることで木樽からの過度な影響を抑え、ブドウ本来のピュアなポテンシャルを引き出しながらゆっくりと熟成を進めることができます。そこには、「ワインが過ごす時間を尊重する」というワイナリーの哲学が息づいています。
伝統的な大樽

■ロッソ ディ モンタルチーノ
ラ ジェルラのロッソ ディ モンタルチーノは、ブルネッロと全く同じ畑、同じ収量制限の下で栽培されます。アルコール発酵後のテイスティングによって、若いうちから果実味が豊かに表現された樽がロッソとして仕分けられます。

規定では、ロッソはブルネッロよりもヘクタール当たりの収量が20%ほど多く認められていますが、ラ ジェルラではロッソ用とブルネッロ用で畑を分けることはしません。量を求めず質を追求する彼らのロッソは、ブルネッロの雰囲気を纏う、複雑さと重厚感を備えたロッソに仕上がっています。大樽で10カ月間熟成させ、瓶詰後3カ月寝かせてからリリースされます。

■ブルネッロ ディ モンタルチーノ(アンナータ)
ワイナリーのアイデンティティそのものと言えるブルネッロ ディ モンタルチーノは、北の繊細なエレガンスと南の重厚な力強さが見事に融合した1本です。法定規定(24カ月)を上回る36カ月の大樽熟成を経てリリースされます。ロッソと仕分けるテイスティングの際に、より酸が際立ち、長期熟成能力を備えたものがブルネッロに使われます。

今回試飲した2021年ヴィンテージはモンタルチーノの超優良年です。果実の凝縮度が極めて高く、今飲むにはタフでまだ早いと思われるブルネッロも多い中で、ラ ジェルラの2021年はすでに柔らかさと上品さが広がりを見せていました。ワイナリーが掲げる「エレガンス」「喜びをもたらす飲み心地のよさ」、そして「長期熟成能力」という3つの要素を、現段階から十二分に感じさせる説得力を持っています。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ

創業者が夢見た2つのクリュ ブルネッロ!
驚異の熟成能力を備える北の「リ アンジェリ」、重厚で優美な南の「ラ ピエーヴェ」

アンナータのブルネッロには、ラ ジェルラという造り手の哲学が存分に詰め込まれ、それを南北のテロワールをブレンドすることで見事に表現しています。同時に、創業者ロッシ氏、現当主アルベルト氏は、ワイン自体がどこからやってきたのかを語る「クリュ ブルネッロ」についても並々ならぬ情熱を持って取り組んできました。

「モンタルチーノの未来は、個々のテロワールを極限まで表現するクリュにある」
アルベルト氏が強く語るこの信念が結実したのが、ラ ジェルラが誇る2つのクリュ ブルネッロです。

■ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ “ヴィーニャ リ アンジェリ”
ラ ジェルラ発祥の地「リ アンジェリ」の厳選されたブドウから生まれるブルネッロ リゼルヴァは、品質の基準を満たす優良年にのみ造られます。創業当時からこの畑の優れたブドウからリゼルヴァを造っていましたが、1995年にシエナ県から畑名を名乗る許可が正式に下りたことで、ワイナリー初のクリュ ブルネッロとして誕生しました。

大樽で48カ月、瓶詰め後12カ月、計60カ月の熟成を経てリリースされます。今回試飲した2019年ヴィンテージはすでに7年ほどの熟成を経ていますが、今なお若々しい酸とタンニンの主張がしっかりとあります。アルベルト氏からは、このワインは今後数十年スパンでの長期熟成のポテンシャルがあり、2019年ヴィンテージについても最低でもあと5年は寝かせてからお楽しみいただきたいとお話がありました。
ヴィーニャ リ アンジェリ

■ブルネッロ ディ モンタルチーノ “ラ ピエーヴェ”
カステルヌオーヴォ デッラバーテの標高270~320mの丘陵畑「ラ ピエーヴェ」から生まれるブルネッロです。北の「リ アンジェリ」と並ぶクリュ ブルネッロを南の畑から造りたいというロッシ氏の長年の夢を、アルベルト氏たちが引き継ぎ実現させました。1997年植樹のブドウが樹齢20年を迎えた2017年がファーストヴィンテージです。

大樽で36カ月熟成、瓶詰め後12カ月寝かせてからリリースされます。南特有の凝縮した果実味と力強いタンニン、そして痩せた土壌がもたらす鮮烈なミネラル感を備え、重厚でありながらもどこまでもエレガントな余韻が続くブルネッロです。
ラ ピエーヴェ

イタリアワイン界の重鎮ルイジ ヴェロネッリとの賭けから生まれたスーパータスカン「ビルバ」

ラ ジェルラでは格付けの枠にとらわれない2つのIGTトスカーナも造っています。それがカジュアルに楽しめるトスカーナ ロッソ「ポッジョ リ アンジェリ」と、イタリアワイン界の重鎮ルイジ ヴェロネッリ氏との賭けから生まれたスーパータスカン「ビルバ」です。

■ポッジョ リ アンジェリ トスカーナ ロッソ
「飲み心地の良さ」を最も大事にして造られるのが、サンジョヴェーゼ グロッソ100%で造るポッジョ リ アンジェリ トスカーナ ロッソです。南部カステルヌオーヴォ デッラバーテの優れた畑のブドウを使用し、50ヘクトリットルの大樽で4カ月熟成して造られます。

アルベルト氏も「『IGTでこれほどのクオリティなのか!』と、良い意味で驚きと感動を味わっていただける自信作です。搾りたての果汁のようなピュアな果実感をぜひ体感してください」と太鼓判を押しています。

■ビルバ
1988年に誕生したサンジョヴェーゼ グロッソ100%で造られる傑作スーパータスカン。北部カナリッキオ地区の厳選されたブドウを使用し、伝統派ラ ジェルラにおいて唯一フレンチオークのバリック(小樽)熟成を採用している特別な1本です。
ラ ジェルラ ワイン

事の始まりは、著名な評論家ルイジ ヴェロネッリ氏と同席した夕食会での一幕でした。1980年代初頭からブルネッロで成功を収めていたラ ジェルラに対し、ヴェロネッリ氏は「君たちは根っからの職人だし、十分な成功も収めた。新しいワインなんて造らない方に私は賭けるよ。これからもずっと、伝統的なブルネッロ一筋だろう?」とはっぱをかけたそうです。

ロッシ氏は「すぐにでも新しいワインを造ってやろうじゃないか」と意気込み、モンタルチーノへ戻るとすぐさま醸造家ヴィットリオ フィオーレ氏と新しいワインの構想を始めます。そして、当時はサッシカイアを筆頭にスーパータスカンブームだったこともあり、自慢のサンジョヴェーゼに国際品種をブレンドしたワインを1樽だけ試験的に仕込みました。

自社畑のサンジョヴェーゼ40%に、買いブドウのメルロー30%、カベルネ ソーヴィニヨン30%をブレンドした最初のヴィンテージの出来栄えに手応えを感じたものの、さらに良いものを目指し試行錯誤を重ねた結果、3ヴィンテージ目の1990年にサンジョヴェーゼ100%のワインとして完成しました。現在は造りを更に発展させ、樽のニュアンスが出過ぎないよう7~8年使った古樽を少量混ぜるなど、ラ ジェルラらしい緻密なワインに仕上げています。

その後、1996年にヴェロネッリ氏自らが主催したブラインドテイスティング セミナーにおいて、ペルゴーレ トルテやフラッチャネッロといった並み居るスーパータスカンを抑えてビルバが見事優勝を果たすという、痛快な後日談まで残されています。
セルジョ ロッシ

IGTの概念を覆す、軽やかな飲み口と骨格を備えたロッソ

ポッジョ リ アンジェリ 2023

ポッジョ リ アンジェリ 2023

「IGTでこれほどの品質なのか!と、良い意味で驚きと感動を味わってもらえる赤ワインです。初リリースは2014年のエントリーワインです。南部のカステルヌオーヴォ デッラバーテ地区の3ヘクタールの優れた畑を使用しています。チェリーの豊かな香りと心地よい飲み口を大切にしていて、軽やかに楽しんでもらえるスタイルを目指して造りました。それでいて、しっかりとした果実味とボディがあり、モンタルチーノのテロワールを存分に感じていただけますよ。」
試飲コメント:ガーネットを帯びた深いルビー色。力強く深みのある香りで、赤い果実の凝縮感がぎゅっと詰まっています。口当たりも香り同様に力強さがあります。心地よい酸を伴い、余韻が程よく持続します。

ブルネッロの畑で造る上質ロッソ ディ モンタルチーノ

ロッソ ディ モンタルチーノ 2023

ロッソ ディ モンタルチーノ 2023

「ブルネッロと全く同じ畑で、同じように収量制限を行ったブドウで造るロッソ ディ モンタルチーノです。単なるブルネッロの弟分ではありません。規定上限いっぱいの収量で造られることも多いロッソですが、私たちのロッソはブルネッロに引けを取らない骨格と品質を備えています。アルコール発酵が終わった後、各タンクの品質を厳密にテイスティングし、熟成の方向性を見極めた上でブルネッロにするかロッソにするかを決めています。2014年からはさらなる品質向上を目指し、樽熟成期間を従来の1~2ヶ月から10ヶ月まで延ばしました。自信を持っておすすめできる、非常にコストパフォーマンスの高い一本です。」
試飲コメント:深みのあるルビー色。力強さ、複雑さ、凝縮感、果実感がちょうどよく調和した香りです。味わいはバランスがよく、フレッシュでありながら香りの要素が綺麗にまとまっています。酸とタンニンが溶け合い、後からややコーヒーのニュアンスが現れます。余韻は長く、さらなる熟成のポテンシャルを感じさせます。

革新的なスタイルに挑み、実力を証明した
ラ ジェルラ唯一のバリック熟成サンジョヴェーゼ

ビルバ トスカーナ サンジョヴェーゼ 2022

ビルバ トスカーナ サンジョヴェーゼ 2022

「ビルバは、著名な評論家ルイジ ヴェロネッリ氏に挑む形で生まれたワインです。君たちはいつも伝統的なブルネッロしか造らないと言われたことが、きっかけでした。私たちはたしかに伝統を守る造り手ですが、バリック(小樽)で熟成させるこのビルバは、その例外です。当初はメルローやカベルネをブレンドしていましたが、試行錯誤を重ね、サンジョヴェーゼ100%に落ち着きました。1996年にヴェロネッリ氏が主催したブラインドテイスティングでは、ペルゴーレ トルテやフラッチャネッロといった並み居るスーパータスカンを抑えて優勝した実績もあります。現在は、樽のニュアンスが出過ぎないよう7~8年使った古樽を少量混ぜるなど、ラ ジェルラらしい緻密な造りをしています。」
試飲コメント:深みのあるガーネット色。力強く深みのある香りで、凝縮した赤い果実が複雑に重なります。味わいも香り同様に、フレッシュながら力強く複雑で、ぎゅっとした厚みが口中に広がります。タンニンと酸が溶け合い、凝縮した果実感と相まって、厚みのある心地よい余韻が持続します。ややバターのニュアンスも感じられます。

北のエレガンスと南の力強さが融合
ラ ジェルラの哲学を体現するブルネッロ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2021

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2021

「ラ ジェルラの哲学を最も体現するブルネッロ ディ モンタルチーノです。北の畑が持つエレガンスと、南の畑が持つ力強さを融合させています。南北のブレンド比率は毎年その年の気候特性に合わせて調整していて、バランスの良いヴィンテージなら50%ずつ、気候が極端だった年はそれぞれの特徴を補い合うように変えています。熟成は規定の2年を超える3年間(36ヶ月)、伝統的な大樽で行います。2021年ヴィンテージは春の霜害で生産量が落ちてしまいましたが、その分ブドウのエキスが凝縮し、極めて高い品質に仕上がりました。」
試飲コメント:深みのあるルビー色。凝縮した赤系果実、花、土、チョコレートの要素が重なり、力強さと濃縮感の中にフレッシュさが感じられます。口当たりは骨格を感じさせながらもエレガントで、タンニンと酸などの複雑な層が美しく調和した味わいです。

南のテロワールを映す、力強くクラシックな単一畑ブルネッロ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ ラ ピエーヴェ 2019

ブルネッロ ディ モンタルチーノ ラ ピエーヴェ 2019

「ラ ピエーヴェは、南の畑カステルヌオーヴォ デッラバーテの個性を表現した単一畑のワインです。南のテロワールならではの力強さと優れた骨格があり、クラシックなブルネッロのスタイルを持っています。大樽で36ヶ月間しっかりと熟成させています。1997年に植樹したブドウが樹齢20年に達し、品質がしっかりと安定したことからリリースを開始したワインです。」
試飲コメント:深みのあるガーネット色。赤い果実と凝縮した果実感に、垂直的な力強さと樽の要素が綺麗に溶け合った香りです。味わいも香りと同じ要素が統一感をもって広がり、エレガントさとともに豊かな風味に満ちていきます。スパイスを伴った豊かな果実味、しっかりとした酸と厚みのある余韻が続きます。

ビオンディサンティ由来のBBS11が植わる畑「リ アンジェリ」
で造られる驚異の熟成能力を備える最高峰リゼルヴァ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ ヴィーニャ リ アンジェリ 2019

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ ヴィーニャ リ アンジェリ 2019

「私たちが造る最高峰リゼルヴァです。北部の畑リ アンジェリのポテンシャルを最大限に引き出すため、特に優れた年にしか生産しません。5種類の物質が混ざり合う特殊な土壌で、歴史的なクローンBBS11を半分残しつつ、残り半分で新たな5種類のクローンを試すなど実験的な取り組みも行っています。熟成期間は48ヶ月におよび、長期間の樽熟成を経てリリースされます。非常にエレガントで驚異的な長期熟成能力を秘めており、2019年ヴィンテージはリリースから6~7年経ってもなお若々しく、理想的な飲み頃を迎えるのはさらに5年後と言っても良いでしょう」
試飲コメント:深みのあるガーネット色。しっかりとした赤系果実が豊かながらエレガントに香り、力強い凝縮感も感じられます。口に含むと香り同様のエレガントな要素が広がります。果実感や酸、柔らかいタンニンとともにスパイスとチョコレートの余韻が心地よく長く持続します。

インタビューを終えて

ワイナリーの名前「ラ ジェルラ」は、かつてブドウ収穫の際に使われていた木製の背負いカゴに由来しています。機械化が進む前の時代は、この重たいカゴを背負い、険しい斜面の畑で汗を流すのが当たり前の光景でした。セルジョさんは過酷でありながらもやりがいに満ちた畑仕事を愛し、真剣な仕事の結果もたらされるワインというものをたたえて、「ジェルラ」をワイナリーのシンボルとしたそうです。

現当主アルベルトさんの言葉の端々からも、異業種から情熱一つでワインの世界へ飛び込み、偉大な伝統を築き上げたセルジョさんへの深い敬意がひしひしと伝わってきました。ビオンディサンティ家のテディーナさんも、そんなセルジョさんだから大切な畑を譲ったのだと想像してしまいます。

そのバトンを受け継いだアルベルトさんもまた、農学者として畑に寄り添い続ける人物です。近年、欧州全土で猛威を振るうブドウ樹の難病「エスカ病」の対策プロジェクトを牽引し有効な成果を導くなど、優れた科学者としての顔も持ち合わせています。外部環境が大きく変化する激動の時代に、いかに伝統を守り、発展させていくかという姿が印象に残っています。

彼らが丹精込めて造るワインを飲めば「エレガンス」「喜びをもたらす飲み心地のよさ」「長期熟成能力」という3つの美学を必ずや感じていただけます。ぜひモンタルチーノの老舗が磨き続ける伝統の味わいをお楽しみください。