醸造担当アレッシオ プラネタ氏に聞く!シチリアワインの歴史を変えた「プラネタ」

2018/12/11
突撃インタビュー
 
2018年11月6日 プラネタ社 アレッシオ プラネタ氏

醸造担当アレッシオ氏に聞くシチリアワインの歴史を変えた「プラネタ」

プラネタ社 アレッシオ プラネタ氏と
1990年代、シチリアワインの歴史を変えた高品質生産者「プラネタ」。土着品種のみならず国際品種にもチャレンジし、シチリアでも素晴らしいワインが出来る事を世に知らしめた偉大な生産者です。1985年植樹の最も古い区画から産まれる最上級シャルドネ「ディダクス」を昨年リリースし、初ヴィンテージの2014年が『ワインアドヴォケイト』でいきなり95点を叩き出すなど、衝撃的なデビューから30年余り経った今でも進化は止む事がありません。プラネタを世に知らしめたディエゴプラネタ氏の息子で現在醸造を担当されているアレッシオ プラネタ氏と都内イタリアン「イルギオットーネ」さんでお食事をしながら、プラネタのワインについてお話を聞きました。

1985年メンフィ地区に最初のブドウを植樹

プラネタ家1985年メンフィ地区に最初のブドウを植樹
17世代にわたり、プラネタ家は、シチリアの複雑な土地での農業進化に関わり、柔軟に革新的に取り組んできました。祖父にあたるヴィト プラネタは、小さな家族経営のワイナリーを大規模な協同組合のワイナリーに変えました。そのワイナリーは、父ディエゴ プラネタの経営の下、プラネタ家が500年間農業を営んできたメンフィ地区、ウルモの土地で、今までの経験とアイディアの全てを結集させ、高い志のもと、ディエゴの娘フランチェスカ、従兄弟のアレッシオとサンティで新たに「プラネタ」プロジェクトがスタートしました。

「シチリアは山岳部もあり、海岸部もある一言では言い表す事の出来ない多様なテロワールがあります」
1985年、ウルモの地に新生プラネタとしての最初の畑にブドウを植樹しました。それ以来私達はここシチリアのテロワールに着目しています。シチリアは山岳部もあり、海岸部もある一言では言い表す事の出来ない多様なテロワールがあります。島というよりは「小さな大陸」と言えると思います。1985年ウルモ地区に初めて植樹した畑からスタートします。以降1997年にヴィットリア地区、1998年にノート地区、2012年にエトナ地区、2013年にカーポミラッツォ地区を購入し、現在総400ヘクタールの5つの全く性質の異なるテロワールでブドウ栽培を行っています。

プラネタ社の5つのテロワール

テロワール
プラネタ社の5つのテロワール
先ずはメンフィ地区ですが、この地のウルモでプラネタ社はスタートしました。メンフィでは260ヘクタールの畑があります。ワイナリーにはレストランが併設されています。37ヘクタールあるヴィットリア地区は赤い砂質土壌で主にネロダーヴォラとフラッパートを栽培しています。この地から産まれるワインはチャーミングでエレガント。独自の個性を持っています。シチリア唯一のDOCG「チェラズオーロ ディ ヴィットリア」の産地です。

51ヘクタールあるノート地区は石灰質土壌でネロダーヴォラの原産地であり高品質なネロダーヴォラが産まれます。36ヘクタールあるエトナ地区はエトナ山麓の火山性土壌で標高500~800メートルの畑に広がります。サッシカイア、オルネッライア、ティニャネロを産み出したジャコモタキスはプラネタと近しい友人関係であって、「エトナにピノネーロを植えると良い」とアドバイスを貰いました。ピノネーロの畑は僅かに0.5ヘクタールのみです。火山性土壌と相性の良いリースリングも植えています。8ヘクタールあるカーポミラッツォは海とオリーブ畑に囲まれた独特のテロワールです。この土地の最古のワインの一つであるマメルティーノの復活プロジェクトとして初ヴィンテージ2013を迎えました。

 

1985年植樹の最も古いシャルドネから造られる「ディダクス」

ディダクス1985年に最初に植樹したウルモ地区の最も古いシャルドネから造られる「ディダクス」
シャルドネという国際品種でワイン造りを行った背景には、シチリアで素晴らしいワインが出来る事を伝えたかったからです。

1985年に最初に植樹したウルモ地区の最も古いシャルドネから造られる「ディダクス」は2014ヴィンテージが初リリースです。ディダクスは私の父ディエゴ プラネタに捧げるキュヴェです。ワイン名は幼き日の父のニックネームから名づけられています。父が幼い頃、祖父は普段「ディエゴ」と父に呼んでいましたが、ディエゴのイタズラが過ぎ、悪さをするディエゴを怒る時に「ディダクス Didacus」と呼んでいました。この呼び名は、実際にはディエゴ自身のお気に入りで自分のメールアドレスにも使う程。そこからこの特別な、ディエゴに捧げるワインにこの名前を付けることになりました。2014年は6996本、2015年は6930本のみ生産しました。

「エレガンスと伝統」「家族と未来」「シチリア」プラネタが目指すコンセプトを全て表現
ディダクスはプラネタが目指すワインのコンセプトが全て表現されています。「エレガンスと伝統」「家族と未来」そして、プラネタ家が愛してやまない「シチリア」です。ブドウは房で選りすぐったモノだけ使用しています。厳しく選ばれた樽で熟成しています。全ての工程においてまさに「テイラーメイド」のこだわりが貫かれています。

アレッシオプラネタ氏2015年は畑のコンディションが至極良好
2015年は、シチリア全土で比較的気候は同じ状況でした。冬は寒すぎず、春には十分な雨が降りました。湿気が無かったため病原菌や害虫に悩まされることもなく、とても好ましい春のお陰で、畑は非常に良い状態に整いました。その結果、2015年は畑のコンディションが至極良好だったため、ワイン造りに困難が無かったヴィンテージとなりました。夏、特に初夏は乾燥しており、過度に気温が上がることもありませんでした。しかし、徐々に気温が上昇しましたが、イタリアの他の地域と比べるとその暑い時期は8月初旬までの2週間ほどで短期でした。そして収穫前にはほぼシチリア全土が雨に恵まれ、収穫に備え、ブドウの木と、畑と、そして人々がリフレッシュ出来ました。

「和」の食材をイタリアンの調理法で。美しい盛り付けのお料理

料理

「和」の食材をイタリアンの調理法で。美しい盛り付けのお料理
アレッシオ氏と頂いたイルギオットーネさんの美しいお皿の料理は、素材の味わいが活かされ繊細で味わい深いお料理でした。アレッシオ氏もお皿の美しさ、食材の調理法にも興味津々で、プラネタが経営しているレストランのシェフにも見せたいとおっしゃっていました。竹炭を使った舞茸、戻りカツオのカルパッチョ海藻のデトックスサラダ、キタッラ(天使の海老、水菜、ボッタルガ)、鶏ローストさつまいものピュレと季節の野菜、柿を使ったティラミスと和の食材をイタリアンの調理法で見事に仕上げられ見た目も味わいも素晴らしかったです。

清々しいミネラルに溶け込んだ細やかな瓶内二次泡
ブリュット メトド クラシコ NV
ブリュット メトド クラシコ NV


気候的にこの環境で最適な状態で育つ土着品種カリカンテ100%使用した「メト ド クラシコ」(瓶内二次醗酵)による伝統的製法のスプマンテです。エトナの黒い土い大地を表現するこのブリュットの全ての工程は手作業にて行われます。
試飲コメント:火山性土壌由来清々しいミネラルに溶け込んだ細やかな泡があります。果実味とボディのある豊かな味わいですが、シャープな酸が 引き締める締まった旨みがあります。野菜を使ったフリットやサラダ、カルパッチョと。

アロマティックでイキイキとした味わい
テレビント 2016
テレビント 2016


私達の新しいワインです。メンフィで造られる土着品種グリッロ100%の白ワインです。初リリースは2015ヴィンテージです。グリッロは国際的にも近年非常に注目を集めています。アロマティックでフレッシュ、イキイキとした味わいがあります。10年前からグリッロに注目し、メンフィで栽培を続けて来ました。テレビント(テレビンノキ)は大きな葉を持つ低木で、シチリアのみならず、地中海圏各地でとてもなじみの深い木です。
試飲コメント:ピンクグレープフルーツの香りが印象的で、バランスの取れた複雑味を持ち合わせるワインです。アプリコットやライチ、トロピカルフルーツなど、とてもアロマティックなシチリアの土着品種から造られています。緑がかった明るい黄色、フレッシュで活き活きとした味わい、アルコールのボリューム感もしっかり感じることができます。

プラネタが目指すワインのコンセプトが全て表現された「ディダクス」
ディダクス 2015
ディダクス 2015


1985年に最初に植樹したウルモ地区の最も古いシャルドネから造られる「ディダクス」は2014ヴィンテージが初リリースです。
ディダクスはプラネタが目指すワインのコンセプトが全て表現されています。「エレガンスと伝統」「家族と未来」そして、プラネタ家が愛してやまない「シチリア」です。ブドウは房で選りすぐったモノだけ使用しています。厳しく選ばれた樽で熟成しています。全ての工程においてまさに「テイラーメイド」のこだわりが貫かれています。
試飲コメント:ほれぼれしそうな隙の無い緻密な味わい。厚みは有りますが、シチリアで産まれたとは思えない程彫りの深いミネラルと純度の高さが非常に魅力的なシャルドネ。メンフィのテロワールを感じさせる塩味にオレンジピールや白い花のフローラルさ、伸びやかな酸味が美しく寄り添う極めて完成度の高い味わい。冷やし過ぎず大ぶりのグラスでゆっくりと味わいの変化を楽しみたいワイン。

火山性土壌由来のミネラル、エトナらしい伸びやかな酸が層を成す厳格さ
エトナ ロッソ 2016
エトナ ロッソ 2016


土着品種ネレッロマスカレーゼ100%のワインです。決してフレンドリーなワインでは無く、厳格さがありピエモンテのネッビオーロ、バローロを思わせる味わいがあります。このワインはエトナ山のブドウ栽培の中心部にあるフェウド ディ メッツォでのワイナリーで造られており、エトナのユニークなテロワールで栽培された高貴なブドウ、ネレッロマスカレーゼをモダンに表現するワインです。
試飲コメント:イキイキとした野生のベリーに仄かなスパイス、清らかなミネラルが溶け合うアロマがあります。飲むと純度の高い赤い果実、黒コショウ、ハーブの風味が広がるシンプルかつ深みのある味わい。火山性土壌由来のミネラル、エトナらしい伸びやかな酸が層を成し、厳格さがありつつも現時点でも既に楽しめる懐の深さがあります。

プラネタの素晴らしさが楽しめる唯一無二の個性を持つ赤
マメルティーノ 2015
マメルティーノ 2015


シチリアで最も重要な品種、ネロ ダーヴォラと、シチリア北東部はメッシーナでのみ栽培される土着品種ノチェーラをブレンドしています。古代プリニウスにより書物に残され、ジュリアスシーザーに愛されたというこのワイン、ミラッツォにおいてマメルティーノ人が造っていた史実がこの産地呼称の由来となっています。
試飲コメント:ブラックベリー、挽いたコショウの豊かなアロマにローズマリーを思わせるハーブの風味が感じられます。飲むと丸みのある果実感にジューシーなタンニンと深みのあるボディが美しく重なり合っていいます。力強くもエレガント。プラネタの素晴らしさが楽しめる唯一無二の個性を持つワイン。
インタビューを終えて
シャルドネという国際品種でワイン造りを行った背景には、シチリアで素晴らしいワインが出来る事を伝えたかったからとシチリアの地で情熱を燃やすアレッシオ氏の言葉が印象的でした。

さらに「僕にはシチリアの血が流れている。私達のワイン造りの哲学は「生産者とはその地と強く結びついているもの」だからです。そして、私達は急激な成長は好みません。確かに1990年代に国際品種で世界中から注目を集めましたが、私たちの哲学は「少しずつで着実に、しっかりと成長をしていく」事です。以来30年近く費やしてシチリアの5つの土地でその地に適合した土着品種の栽培を進めて来ました」と熱く語ってくれました。

『シチリアワインの歴史を変えた』として世界中から注目を浴び、その派手な部分ばかりが目立ちがちなプラネタ社ですが、土地にしっかりと根ざし30年かけてゆっくりかつ着実にシチリアの豊かなテロワールを表現し続けてきたプラネタ社の揺るぎない情熱を改めて知る機会となりました。

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