偉大なトスカーナの礎を築いた歴史的名門「カステッロ ディ ヴォルパイア」突撃インタビュー

2025/02/28

2025/02/18

ニコロ マスケローニ氏 Mr. Nicolo Mascheroni Stianti

標高600m超のラッダ イン キャンティに根付く独自サンジョヴェーゼクローン!スーパータスカン誕生の立役者として、偉大なトスカーナの礎を築いたキャンティ クラシコの歴史的名門「カステッロ ディ ヴォルパイア」突撃インタビュー

12世紀からワイン造りの歴史を持つ「カステッロ ディ ヴォルパイア」。標高650m、キャンティ クラシコ地区で最も標高の高いラッダ イン キャンティのヴォルパイア村に拠点を構えます。現当主のスティアンティ家がワイナリーを取得したのは1966年。独自のサンジョヴェーゼクローンと標高の高さが生み出すワインは、フレッシュでスパイシーなエレガントスタイル。その一貫したスタイルで、キャンティ、キャンティ クラシコ、スーパータスカンの先駆者として、偉大なトスカーナワインの礎を築いてきました。3代目当主ニコロ・マスケローニ・スティアンティ氏と、そのご息女である4代目オリヴィア氏をお迎えし、ワイナリーの歴史と哲学などについてお話を伺いました。

12世紀から続くワイン造りの歴史
ラッダ イン キャンティ頂上部のヴォルパイア村

——まずは、カステッロ ディ ヴォルパイアについて教えてください。

カステッロ ディ ヴォルパイアは、1172年から続くワイナリーです。1966年に私の祖父がカンティーナを取得し、私はその3代目にあたります。ラッダ イン キャンティの丘の頂上にある、ヴォルパイアという小さな村に位置しています。

ヴォルパイアは、かつてローマへの巡礼路であり、病院の役割も果たしていました。また、村の名前はかつてここに住んでいた家族に由来し、「キツネがいる場所」という意味も持っています。現在、ヴォルパイア家は存在していませんが、彼らを象徴する「丘の頂上に佇むキツネ」のマークを、ワイナリーのロゴに使用しています。

自然豊かなヴォルパイア村全体を所有
ヴォルパイアの村全体を所有し、ワイナリーのほか、宿泊施設やアパート、飲食店、料理学校まで幅広く運営しています。森や湖、ブドウ畑、オリーブ畑が共存する豊かな自然環境が広がっており、総面積365haのうち、42haのブドウ畑でキャンティ クラシコを中心に造っています。

「これはラッダのワインだとはっきりわかる」
標高の高さ由来のエレガンスが際立つスタイル

ヴォルパイアの畑は、標高617mにあり、マチーニョという砂岩質土壌です。これらの特徴が、非常にエレガントな個性を形作る要素となっています。ラッダ全体に言えることですが、他のコムーネと異なり「これはラッダのワインだ」と、はっきりとわかるスタイルを感じていただけると思います。

スパイシーでフレッシュな個性を持つ独自サンジョヴェーゼクローン25種を保有
ヴォルパイアでは独自のサンジョヴェーゼクローンを25種類保有しています。他の地域から持ち込んだものではなく、フィロキセラの被害を受けずに生き残った、アメリカ台木を使用していない古木から発見されたクローンです。ヴォルパイアのワインは、このサンジョヴェーゼクローンを基盤としており、スパイシーでフレッシュな味わいが生まれます。ピノ ネロにも似たスタイルだと評されています。

キャンティ、キャンティ クラシコ、スーパータスカン
トスカーナワインの歴史を築き上げた革新の立役者

キャンティ協会を設立し、キャンティ クラシコ会長を歴任
スーパータスカンを先駆けて生産

12世紀から続くヴォルパイアは、「キャンティ クラシコ協会」が設立される前に存在した「キャンティ協会」の24の設立者の1人でした。キャンティ クラシコの発展に貢献した歴史ある団体であり、私の父はそのキャンティ クラシコ協会長を務めていました。そして、ヴォルパイアは、いち早くスーパータスカンを生産した造り手でもあります。

かつてキャンティには、白ブドウを使用する規定がありました。それとは違う路線で「より品質の高いワインを造るべきだ」という考えに至った一部のキャンティ クラシコ生産者が、規定にとらわれないワイン造りを始めました。これがスーパータスカンの起源です。

主なスタイルとしては、サンジョヴェーゼ100%やサンジョヴェーゼ主体に国際品種をブレンドしたもの、国際品種100%のワインです。代表的なものに、アンティノリのティニャネロ、カステッロ ディ アマのラッパリータ、イゾレ エ オレーナのチェッパレッロ、そして私たちヴォルパイアのコルタッサーラなどがあります。

1965年以降の各クリュが150本ずつ貯蔵され、それぞれ試飲可能

名だたる造り手で構成される「歴史的スーパータスカン委員会」を発足
スーパータスカンの誕生は、単なる革新ではなく現在もトスカーナワインに強い影響を与え続けています。その歴史を守り普及していくため、1994年以前からスーパータスカンを造ってきた16の生産者が集い、2021年に「歴史的スーパータスカン委員会」を発足しました。ヴォルパイアもその一員です。

ミネラル豊富なヴェルメンティーノの名産地
かつては海湾だった土地マレンマ「カステルプリーレ」

——マレンマで手がけるカステルプリーレについても教えてください。

私たちは、2005年にカステルプリーレの畑を取得しました。当初は多くの国際品種が植えられていましたが、15年間の土壌研究によるブドウ樹の植え替えを行い、特に品質の高いカベルネ ソーヴィニヨンとヴェルメンティーノなどを植えています。

この土地はエトルリア時代(紀元前8世紀~)、かつては海湾だった場所でした。その後、魚を獲るために閉じられて湖となり、さらにムッソリーニが干拓を行い、最終的に陸地へと変わりました。現在では自然公園エリアとなっており、野鳥などが集まる場所として知られています。

そのような土壌背景もあり、カステルプリーレのワインは、海のミネラルを強く感じられます。特に「海のブドウ、海のワイン」を表現するヴェルメンティーノに最適な場所です。

海湾→湖→陸地へと変化

キャンティ クラシコの名門たちが進出したマレンマの魅力
——マレンマに進出した理由は?

実のところ「海に近い家が欲しかった」というのが本音です(笑)。実際に土地を探していると、畑もあるし、ただ海水浴のためだけに家を買うのはもったいないと考え、ワイン造りも兼ねた進出となりました。マッツェイやアンティノリ、フレスコバルディなどキャンティ クラシコの生産者たちは、みんな進出していますしね。

マレンマは美しい自然に恵まれ、素晴らしいワインが造れる土地です。ミラノからもローマからも離れているため、人も少なく静かで落ち着いた環境が広がっています。また、コストも比較的抑えられ、美味しい食事を楽しめることも大きな魅力の一つです。

ヴォルパイアが一貫するワイン哲学
独自のサンジョヴェーゼクローン×標高の高さ

ビオンディ サンティ、リヴィオ フェッルーガで活躍した醸造家ロレンツォ・レゴリ氏
——ワインのスタイルについて教えてください。外部のコンサルタントはいますか?

外部のコンサルタントはいません。現在、ロレンツォ・レゴリがヴォルパイア専属の醸造家を務めています。彼はもともとビオンディ サンティの醸造家としてクローン選別にも携わり、フリウリのリヴィオ フェッルーガでも働いていました。

彼がヴォルパイアに来たのは、20~25年ほど前のことです。(グラン セレツィオーネ「イル プーロ カサノーヴァ」に使用する)ヴォルパイア独自クローンの選別にも携わっていますし、マレンマでのヴェルメンティーノ造りにも大きく貢献しています。

大樽熟成のキャンティ クラシコ、大樽&バリックのリゼルヴァ、トノー主体のクリュ
収穫は全て手作業です。畑ごとに熟成度が異なるため、最低でも2回に分けて収穫をしています。キャンティ クラシコに関しては、まず熟成前に全てのキュヴェを試飲し、使用する樽を決めます。スタンダードのキャンティ クラシコは大樽(約30hl)で熟成させていますが、リゼルヴァは大樽とバリックを併用しています。クリュはバリックとトノー(450L)で熟成させていますが、最近はバランスをより重視するためにトノーを主体にしています。

歴史的スーパータスカンにして、規定を先取りした元祖グラン セレツィオーネ「コルタッサーラ」
先駆的なスーパータスカンとして誕生したコルタッサーラは、最も古いグラン セレツィオーネとも言えます。先述の通り、スーパータスカンは独自路線を追求して生まれたワインで、サンジョヴェーゼ95%とマンモーロ5%で造られる、当時の従来のキャンティの枠を超えた存在でした。グラン セレツィオーネはもちろん、キャンティ クラシコの規定が決まる前から、このスタイルです。

いつの時代も揺るがないフレッシュ&スパイシーなエレガンス
——昔からグラン セレツィオーネの規格に沿った造りをしていて、いま時代が追いついてきたとも言えますね。

昔からこのスタイルを貫いています。多くの生産者が名高いスーパータスカンからキャンティ クラシコへ移行することをためらう中、私たちはコルタッサーラをキャンティ クラシコ(グラン セレツィオーネ)としてリリースしました。そういった経緯もあり、コルタッサーラは最も古いグラン セレツィオーネなのです。

また、味わいのスタイルも貫いています。かつて批評家たちが力強くどっしりとしたワインを高く評価していた時代もありましたが、私たちは「フレッシュでスパイシー」というヴォルパイアならではのエレガントスタイルを一貫しています。この個性は、独自のサンジョヴェーゼクローンと標高の高さが生み出すものです。

コルタッサーラ

フレッシュで複雑に入り組む風味に満たされるスタンダード キャンティ クラシコ

ヴォルパイア キャンティ クラシコ 2022

ヴォルパイア キャンティ クラシコ 2022

ニコロ氏:
「キャンティ クラシコ2022年ヴィンテージは、ガンベロロッソでトレビッキエリを獲得しています。ワインスペクテーターの全世界ベストバリューワインにも選ばれています。すべて約30hlの大樽で熟成され、フルーティでチェリーなどの赤い果実や熟したブラックベリーのニュアンスが特徴です。ブレンドするメルローが、まろやかさを与えています」
試飲コメント:輝くルビー色。赤いベリー系の小さい実の果実やスミレの華やかさに、森や土、肉のような香りが入り組んだ複雑なアロマ。心地よさがあります。口当たりはなめらかで、ほどよい力強さとタンニンがあります。最初から最後までフレッシュ、チャーミングな風味が持続します。

1965年から造り続けるサンジョヴェーゼ100%の歴史的リセルヴァ

カステッロ ディ ヴォルパイア キャンティ クラシコ リセルヴァ 2021

カステッロ ディ ヴォルパイア キャンティ クラシコ リセルヴァ 2021

ニコロ氏:
「キャンティ クラシコ リセルヴァ2021年ヴィンテージは、ワインスペクテーターで96点を獲得しています。100%サンジョヴェーゼで複数の畑のブドウをブレンドしています。実は1965年からリゼルヴァを造っていましたが、当時はほとんど造る人たちがいませんでした。スペクテーターTOP100に選ばれた実績もあります。2015年ヴィンテージは3位、2016年ヴィンテージは12位に選出されました。フレッシュで余韻の長さが特徴です。まろやかさは控えめながらもバランスが取れています。スタイルはボルドー的ではなくブルゴーニュ的ですね。かつては力強いワインが評価される時代もありましたが、ヴォルパイアのスタイルは一貫しています」
試飲コメント:やや濃さのあるルビー色。黒い果実とバニラやスパイスなどの樽の風味が溶け合う香り。味わいは香り同様で統一感があります。樽の風味に包まれながらも全体的にエレガントです。

歴史的スーパータスカンにして元祖グラン セレツィオーネ

コルタッサーラ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2021

コルタッサーラ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2021

ニコロ氏:
「コルタッサーラは1980年がファーストヴィンテージ。現在はグラン セレツィオーネとしてリリースしていますが、もともとはスーパータスカンとして生まれたワインです。現在もスーパータスカンですが、リリース当初から現在の規定で造っているため、最も古いグラン セレツィオーネとも言えます。優良年のみクリュ名をつけるため、コルタッサーラやバリフィコの単一畑のブドウは、条件を満たさない場合はキャンティ クラシコやリゼルヴァに使用します。畑は3.5haで、当初からコルタッサーラ専用として造られています」
試飲コメント:ややガーネットに近いルビー色。黒系果実、赤系果実、花、スパイス、ジャム、バニラ、黒胡椒を感じる複雑でやや濃厚な香り。口に含むと、バニラや胡椒のようなスパイスと果実が溶け合っています。優美で心地よい余韻が持続します。

ヴォルパイア独自のサンジョヴェーゼクローンで造るクリュ グラン セレツィオーネ

イル プーロ カサノーヴァ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2020

イル プーロ カサノーヴァ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2020

ニコロ氏:
「イル プーロはカサノーヴァという区画で造るグラン セレツィオーネです。ヴォルパイア独自の25種類のクローンを使用しています。年によりますが、生産本数は約8000本です。現在、バリックやトノーで熟成させていますが、現在はバランスを重視してトノーへの移行を進めている最中です」
試飲コメント:縁がオレンジ色がかったガーネット色。熟した果実や花、土や森のニュアンス、ドライフルーツ、ミネラル、ドライフラワーを感じる複雑な香り。フレッシュで、果実とスパイスが入り混じるエレガントな味わいです。全ての要素が綺麗にまとまっていて、優美な余韻が長く持続します。

標高の高い山のサンジョヴェーゼ&カベルネで造るスーパータスカン

バリフィコ 2021

バリフィコ 2021

ニコロ氏:
「バリフィコは、キャンティ クラシコ地区に根差したカベルネ ソーヴィニヨンとサンジョヴェーゼで造るスーパータスカンです。1980年代に植樹されたカベルネ ソーヴィニヨンです。海に近いマレンマはボルドーに似たカベルネが多いですが、こちらは標高の高い畑に植えられており、山のカベルネとも言えるスタイルです。よりしっかりとした印象のワインに仕上がっています。優良年のみクリュ名をつけるため、コルタッサーラやバリフィコの単一畑のブドウは、条件を満たさない場合はキャンティ クラシコやリゼルヴァに使用します」
試飲コメント:ガーネットに近い深みのあるルビー色。黒い果実、腐葉土、胡椒などのスパイスの香り。口に含むと凝縮感のある果実とスパイスが口中に広がります。華やかさとチョコのニュアンスも現れ、力強く複雑なだけでなく奥行きも感じさせます。優美な余韻。

軽やかでピュアな果実感のエントリー赤ワイン

チット 2023

チット 2023

ニコロ氏:
「主に買いブドウのサンジョヴェーゼとカベルネをブレンドで造る赤ワインです。チットは子どもを意味しており、ヴォルパイアの子どもという意味を持ちます。ブドウの比率は年によって変わりますし、メルローが入るヴィンテージもあります。フレッシュで持続性のある、スパイシーな味わいが特徴です。ラベルに描かれている時計は、かつてヴォルパイア家が所有していた、ロレンツォ・デ・メディチが作成した宇宙時計です。天体の動きを把握できるよう設計されています」
試飲コメント:ルビー色。チェリーやバラを感じさせるピュアでチャーミングな香り。香り同様の果実感が広がる味わい。軽やかで飲みやすさがあります。

海のミネラルとフレッシュ果実があふれるヴェルメンティーノ

ヴォルパイア ヴェルメンティーノ 2023

ヴォルパイア ヴェルメンティーノ 2023

ニコロ氏:
「私たちがマレンマで造る重要なヴェルメンティーノです。ヴェルメンティーノは海のブドウ、海のワインとも称される品種で、そのミネラル感を存分に味わっていただけると思います。現在、白ワインを造るためのカンティーナを建設する計画が進行中です」
試飲コメント:麦わら色。フレッシュかつネクターのようなとろける黄色と白の果実。小石のようなミネラル香も感じます。白い果実の爽やかなフレッシュ&フルーティな味わい。

凝縮果実と海のミネラルが溶け合う上級ヴェルメンティーノ

カステルプリーレ ヴェルメンティーノ スペリオーレ 2023

カステルプリーレ ヴェルメンティーノ スペリオーレ 2023

ニコロ氏:
「バリックで熟成させた上級クラスのヴェルメンティーノです。もともとリゼルヴァとしていましたが、マレンマの規定変更により、2022年からスペリオーレとなりました。私はこのワインをあらゆる料理に合わせますが、基本的には単体で、ただひたすら飲んでいることが多いですね(笑)。南国果実のパイナップルやバナナのニュアンスがあり、スタンダードなヴェルメンティーノよりもフルーティな印象です」
試飲コメント:黄金に近い麦わら色。黄桃のような凝縮感のある黄色い果実、海のミネラルを感じる香り。心地よい口当たりで、フレッシュな酸と塩味が口中に広がります。

マレンマの有機栽培カベルネ ソーヴィニヨン100%赤ワイン

プレリウス カベルネ ソーヴィニヨン 2022

プレリウス カベルネ ソーヴィニヨン 2022

ニコロ氏:
「マレンマのカベルネ ソーヴィニヨン100%で造る赤ワインです。(キャンティ クラシコで造る)ヴォルパイアのカベルネとは全く異なる個性を持っています。トスカーナ、ビオロジック、カベルネ ソーヴィニヨンと、非常にわかりやすい味わいのワインだと思います。タンニンは控えめで、多くの方に親しまれています」
試飲コメント:ルビー色。潰した花、黒い果実、黒胡椒のようなスパイシーな香り。香り同様に花や黒系果実とスパイスの味わいで、徐々にバニラのニュアンスが現れます。ほどよいタンニンが心地よい余韻を演出しています。

柔らかなタンニンと樽のニュアンスが溶け合うカベルネ主体のロッソ リゼルヴァ

カステルプリーレ ロッソ リゼルヴァ 2019

カステルプリーレ ロッソ リゼルヴァ 2019

ニコロ氏:
「カベルネ ソーヴィニヨン主体に、サンジョヴェーゼとメルローをブレンドして造るロッソ リゼルヴァです。ヴィンテージによって比率は異なります。甘いスパイスや煮詰めた果実の風味を感じさせます」
試飲コメント:深みのあるルビー色。黒い果実、スパイス、土のニュアンスが混じる香り。香り同様の味わいがあり、徐々にタンニンと樽のニュアンスが現れて、心地よい後味を感じさせます。

インタビューを終えて

ヴォルパイアが偉大なトスカーナワインを築き上げてきた歴史の深さを実感できるインタビューとなりました。独自のワインスタイルを貫きつつ、スーパータスカンのような革新的なワインを生み出しながらも、キャンティ クラシコの伝統を大切にする姿勢には、強いこだわりを感じました。元祖グランセレツィオーネとも言える「コルタッサーラ」には、その魅力が詰まっていると思います。

試飲したワインはすべて、ヴォルパイアスタイルの「フレッシュでスパイシーなエレガンス」が見事に表現されていました。最初に試飲したスタンダードのキャンティ クラシコから素晴らしいバランスで、フレッシュで複雑な要素が溶け込む心地よい余韻に満たされました。

こぼれ話ではありますが、この翌日、バローロの造り手「ヴィベルティ ジョバンニ」にインタビューを行いました。彼はトスカニーのセラーに残っていたヴォルパイアのワインを見つけると、「おお!ヴォルパイアだ!私が大好きな生産者のひとつだ」と嬉しそうに話していました。