本物のガヴィのスペシャリスト!こだわりの家族経営カンティーナ「ピッコロ エルネスト」

2018/06/28
突撃インタビュー
 
2018年5月30日 ピッコロ エルネスト社 エルネスト ピコッロ氏、ジャンロレンツォ ピッコロ氏

ガヴィのみを造る本物のスペシャリスト!樹齢50~70年のコルテーゼで造る清らかな旨み!
こだわりの家族経営カンティーナ「ピッコロ エルネスト」

ピコッロ エルネスト社 ジャンロレンツォ ピコッロ氏
2018年5月27日~6月3日までワイナリー視察研修にイタリアに行ってきました!ピエモンテ、トスカーナの7つ生産者を訪ねて、カンティーナや畑を見学、生産者から直にお話を伺い、ワイン造りへのこだわり、思い等を聞きました!

訪ねたのはイタリア白ワインの代表的産地ピエモンテ州「ガヴィ」で最も歴史が古く、かつ高品質なブドウを生産するロヴェレート地区で1800年代からコルテーゼ(ガヴィ)だけを造り続けるガヴィのスペシャリスト「ピッコロ エルネスト」。畑のブドウ樹の殆どは50~70年以上の古木造っているブドウ。かつては栽培、収穫した全てのブドウを、すぐ近くの名門「ラ スコルカ」に販売していましたが、1994年より、自社ブランドでの瓶詰めを開始。

収穫したブドウの僅か約15%以下のファーストプレス果汁のみを醸造、残りのブドウはベルタ社(最高級グラッパメーカー)に売ってしまうというとてつもない高品質なワイン造りが貫かれているにも関わらず、2000円を切る価格は数多あるガヴィの中でも群を抜くコストパフォーマンスと家族経営の「良心」が貫かれています。

メジャーなワインガイドにも載らないとても小さな家族経営の生産者「ピッコロ エルネスト」の4代目のジャンロレンツォ ピッコロ氏にお話を聞きました。

ガヴィ11生産地域の中でも最も歴史が古いロヴェレート地区

カンティーナ外観ガヴィ11生産地域の中でも最も歴史が古いロヴェレート地区
初めまして。ジャンロレンツォです。ようこそ「 ピッコロ エルネスト」へ。私達がワイナリーを構えるのはガヴィの11生産地域の中でも最も歴史が古いロヴェレート地区です。ガヴィ全体だと200以上の生産者がいますが、ロヴェレート地区は10生産者程しかいない小さなエリアです。

ピコッロ家「栽培、醸造するワインはコルテーゼ(ガヴィ)のみです」
私達の家系は1800年代中頃よりブドウ栽培を続けています。私で4代目となります。父である3代目のエルネスト、母、私の妻、子供達(2人)の全くの家族経営でワイン造りを行っています。ワイン造りにはブドウ品種であるコルテーゼの個性を大切にする為、全てステンレスタンク醗酵、熟成を行っています。栽培、醸造するワインはコルテーゼ(ガヴィ)のみです。他のキュヴェは一切造りません。

畑大

リグーリアからの海風が吹き抜ける日当たりの良い畑
まずは畑に行きましょう。畑の周りを見て下さい。森が多いです。森の近くにある事で、多少暑い年でも自然なバランスを取ってくれます。

開花前のコルテーゼ「ほら見て下さい。ブドウはこれから花開こうとしています」
ピエモンテ一帯は先週ずっと雨がちでした。今は受粉の時期で、(ブドウが)結実をしてくれないといけない大切な時期です。ほら見て下さい。ブドウはこれから花開こうとしています。

私達の畑は標高300メートルで、約15ヘクタール程の広さで全ての畑がカンティーナからなだらかな斜面が続く1枚畑で繋がっています。一般的に「ガヴィ」の名前で販売されている殆どの畑は平地にあります。私達のワイン名にもなっている「レ リ―ヴェ」とは「坂道」を意味しています。私達の隣には生産者「ラ スコルカ」の畑があります。私達の畑は東向きで一日中、日が当たります。リグーリアからの吹く海風がぶつかるものが無く吹き抜ける微気候があり、ブドウ栽培に恵まれた場所にあります。

「化学的な薬品を使うとブドウは常に喉が渇いたような状態になるんです」

保湿性の高い粘土質土壌
土壌について話しましょう。私達の畑は粘土質土壌です。この土壌は保湿性が高く、灌漑も必要無く水分を貯めてくれます。畑には化学的な肥料や農薬は使いません。肥料となるのは自然に生える緑肥を使っています。

粘土質土壌「化学的な薬品を使うとブドウは常に喉が渇いたような状態になるんです」
化学的な薬品を使うとブドウは常に喉が渇いたような状態になるんです。僕らの畑は化学的な肥料や農薬を使わないビオロジック。暑さに耐える免疫力もある。土の表面を少し削っただけで、ほら、水分が出てくる。この分だと(今年は)収穫まで雨が降らなくても大丈夫でしょう。

「樹齢50~70年のブドウ樹は自然に収量が落ち、選果の必要がない」
何故水分が十分か?この結論には2つ理由があります。第一に樹齢50~70年のブドウ樹が多く、根が地中深くまで伸びている事、第二にビオロジック栽培で(ブドウの)免疫力が高く、暑さにも耐える力を備えている事です。

高樹齢のブドウ樹はこちらが手を入れなくても自然と1株6房くらいしか成りません。自然なバランスが成り立っているので選果の必要がありません。家族全員(父、母、妻、娘、息子)で全て手作業で収穫をしています。収穫に機械を使ったことはありません。

 

ブドウ栽培において一番大切な事は「樹の声に耳を傾ける事」

有機栽培の畑「数値だけでは測れない酸の質に拘る」
1993年まではガヴィの生産者「ラ スコルカ」にブドウを売っていました。1994年から自分たちでボトリングを始めました。コルテーゼというブドウ品種は「酸」が大切な品種で、他の生産者は割と早めに収穫を行い、フレッシュな酸の特徴を出すのですが、私達は数値だけでは測れない「酸の質」に拘ります。収穫を待ってちょっとくらいアルコール度数が上がっても、酸の質が良いものであれば、確りバランスを保ってくれます。酸と果実のバランスがキチンと成り立って美味しいワインとなるのですから。今の様子だと今年の収穫は9月10日~9月末の頃になりそうですね。

ブドウ栽培において一番大切な事は「樹に耳を傾ける事」
収穫のタイミングは(ブドウの)酸度や糖度の数値ばかりに頼らず、木、葉の状態を細かく見るようにしています。つまり、「樹の声に耳を傾ける」ような仕事でしょうか。決められたメソッドはさほど重要ではありません。本当にシンプルな事ですがブドウ栽培において一番大切な事は「樹に良く聞く事」だと思います。葉が喜んでいる様子が見えてきますよ。

「全体の僅か15%以下のファーストプレス果汁しか使いません」

バルーンプレス最新のバルーンプレス機を導入
では醸造について話しましょう。1999年に収穫したブドウを空気圧で優しく絞る最新のバルーンプレス機を導入しました。よりクリアーな果汁を得る為です。私達のような小さな生産者で導入している所は少ないでしょう。なおかつ、私達のような生産規模から言えばこのプレス機の1/3の大きさがあれば十分だと思いますが、収穫期はブドウの状態を見て1日に3回に分けて収獲する事もあります。それが10日間続く事もありますので、収穫したブドウはなるべく直ぐにプレスしたい。そういったことから1800キロの大型のバルーンプレスを2台使っています。

カンティーナ内Q.果汁はどのくらいプレスしますか?

「私達のガヴィとしてボトリングするのはフリーランジュースのみ。全体の僅か15%以下のファーストプレス果汁しか使いません」
(一同その少なさに驚く!)

Q. プレスで残った二番しぼりはどうするのですか?

「あぁ、残ったブドウはベルタ社(最高峰グラッパメーカー)に売っているよ。」
(あっさり凄い事を言うジャンロレンツォさんにまたまた驚きです!)

樹齢50~70年の古樹が織りなすピュアで染み入るような味わいの「ガヴィ」

ランチ私達家族はロヴェレートの伝統、土地と畑を守らなければならない
ワイナリーの説明を一通り聞いた後はワインを試飲しながら、先代のエルネストさん(74歳)、ジャンロレンツォさんのお子さん(双子)のアリアンナちゃんとロレンツォくんも交え、ご家族とランチを楽しみました。

「何より畑にいる方が一番リラックス出来まるよ」
先代のエルネストさんは毎朝6時には畑に出て、日が暮れるまでずっと畑仕事に精をだしているそう。エルネストさんにワイン造りにポリシーについて尋ねると、「私達が若い頃は色んな世代が他所へ働きに出て行ってしまった。私達家族はロヴェレートの伝統、土地と畑を守らなければならない。家族にも他の仕事はさせていませんし、畑を見なければならないので長い休暇も取った事がありませんね。遠い所では隣のリグーリア州に行った位でしょうか。

わざわざバールにエスプレッソを飲みに行くより、(畑に近い)ここでエスプレッソを飲んだ方が気が楽ですね。何より畑にいる方が一番リラックス出来るよ。」とエルネストさんの優しい笑顔と力強い言葉が印象的でした。

コルテーゼ100%で造る瓶内二次醗酵スプマンテ「ロヴェリーナ」
彼らがコルテーゼ100%で造る瓶内二次醗酵スプマンテ「ロヴェリーナ」(限定品)を飲ませて頂きましたが、泡立ちが細やかで爽やかなブドウの香りが優しく立ち上ります。飲むとピュアな果実の旨みが泡と共にじっくりと広がっていきます。白ワイン「ガヴィ」同様に、瑞々しくてとっても飲み心地の良さがあるスプマンテです。引っかかるものが無く実に清らかな味わい。「ロヴェリーナ」はエルネストさんの奥様の名前から付けられたそうです。

樹齢50~70年の古樹が織りなすピュアで染み入るような味わいの深み
ガヴィは2016年を頂きました。日本でもその美味しさ(2015年)が印象的でしたが、西洋梨やリンゴのクリーンな果実香、清々しさを感じさせる、ハーブやミネラルのニュアンスが。派手さはないものの、手を掛け過ぎていない瑞々しく純度の高いブドウのアロマが感じられます。ステンレスタンクのみで醗酵、熟成を行う「ガヴィ レ リ―ヴェブドウ」に使われるコルテーゼ種の質の高さ、清らかな味わいに驚かされます。樹齢50~70年の古樹が織りなす味わいはピュアでありながら、染み入るような味わいの深みは流石の完成度です。

「野菜料理とガヴィ」の抜群の相性、癖になる美味しさ「ガヴィのリゾット」
美味しい自家菜園の野菜料理、ガヴィのワインを使ったリゾットと彼らのガヴィを楽しみました。野菜料理と彼らのガヴィ、抜群の相性に思わず頬も上がります。ガヴィのリゾットは風味が豊かで心地よい酸味があり、濃厚ながら爽やかな風味があり、癖になる美味しさがありました。

本物のガヴィのスペシャリスト!最も歴史があり高品質な地区ロヴェレートの樹齢50~70年のコルテーゼで造る旨みと純粋な果実味
ガヴィ レ リーヴェ 2015
ガヴィ レ リーヴェ 2015


ガヴィで最も古く高品質なエリアのロヴェレートに育つ樹齢50~70年のコルテーゼ100%で造るガヴィ。ピュアで引き締まった果実味。ミネラル感が十分あり、爽やかで繊細な味わいです。除梗をしない状態で発酵。 収穫からプレスまでは1時間以内に行います。フレッシュさや酸のレベルを大切にするため、マロラクティックは行います。「Le Rive(レリーヴェ)」とは、ロヴェレート地区のピッコロが所有しているエリアの古くからの呼称です。
試飲コメント:(現地試飲は2016ヴィンテージ)西洋梨やリンゴのクリーンな果実香、清々しさを感じさせる、ハーブやミネラルのニュアンスが綺麗に重なります。派手さはないものの、手を掛け過ぎていない瑞々しく純度の高いブドウのアロマが感じられます。

飲むと、滑らかでクリーンな口当たり、程よいミネラルと酸がボディを締める溌剌したジューシーな果実味が感じられます。ステンレスタンクのみで醗酵、熟成を行う「ガヴィ レ リ―ヴェブドウ」に使われるコルテーゼ種の質の高さに驚かされます。

樹齢50~70年の古樹が織りなす味わいはピュアでありながら、染み入るような深みがあります。高品質でありながら、家族経営らしい良心的な価格。ガヴィのスペシャリストであるピッコロ エルネスト家の良心が詰まったガヴィ。グラスの中で少し温度を上げていくと、古樹ブドウの凝縮したタッチが楽しめます。この価格でこの品質は見逃せません。

インタビューを終えて
メジャーワインガイドにも載らない小さな家族経営の「ピッコロ エルネスト」。4代に渡って栽培を続けてきた歴史が産み出す樹齢50~70年の古樹ブドウを使ったガヴィは無理のない自然なブドウの厚み、胸に染み入るような深みに溢れていました。複雑な味わいを魅せる有機栽培のブドウ、そして日当たりが良く、リグーリアからの海風も入る特徴的な微気候、保水性に優れた粘土質土壌。「僕らの畑はビオロジック。暑さに耐える免疫力もある。土の表面を少し削っただけで、ほら、水分が出てくるでしょ」と嬉しそうに土壌を説明するジャンロレンツォ氏の笑顔が印象的でした。

醸造では全体量の僅か15%以下のファーストプレス果汁しか使わないこだわり。2000円でお釣りがくる価格ながら、そのこだわりは4000~5000円級の白にも匹敵。魅力的な価格と妥協の無い味わいには彼らのワイン造りへの強い思いがしっかりと詰まっていると感じました。

ご家族と一緒に頂いたガヴィのリゾットは風味が豊かで心地よい酸味があり、濃厚ながら爽やかな風味で忘れられない美味しさ。根っからの農民「 ピッコロ エルネスト」が造るガヴィ。胸をすくようなピュアで深い魅力がありながら、家族経営の実に良心的な価格。今回お話を聞いてますます好きになりました!!

ピコッロ エルネスト社 エルネスト ピコッロ氏、ジャンロレンツォ ピコッロ氏と
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