繊細かつ重厚で心躍るようなにじみ出る魅力!テロワールを表現する「バローロの農民」カッシーナバラリン

2018/04/05
突撃インタビュー
2018年3月28日 カッシーナ バラリン社 アルベルト ヴィベルティ氏、アレッサンドロ ヴィベルティ氏

繊細かつ重厚で心躍るようなにじみ出る魅力!
テロワールを表現する「バローロの農民」カッシーナバラリン

カッシーナ バラリン社 アルベルト ヴィベルティ氏、アレッサンドロ ヴィベルティ氏と
カッシーナ バラリンはバローロエリアの中心部「ラ モッラ村」で代々農業を営む家族経営のワイナリーです。生産量も5~6万本と品質に拘った少量生産のカンティーナです。「伝統派」や「モダン派」というバローロの概念に囚われずに、「元来ある畑のテロワール」を忠実に活かす為、バリックと大樽を使い分け、自然を敬い堅実にワイン造りを続けるまさに「バローロの農民」です。繊細かつ重厚で心躍るようなにじみ出る魅力があり、『ジェームズサックリング』でフラッグシップバローロ「ブリッコ ロッカ」2012年が「凝縮した口当たりで熟したタンニン。退廃的な魅力がある」と絶賛されています。カッシーナ バラリン社のアルベルト ヴィベルティ氏とアレッサンドロ ヴィベルティ氏にお話を聞きました。

バローロエリアで100年以上の歴史を持つヴィベルティ家

父1928年にラ モッラ村で果樹農園とワイン造りを始める
私達2人は兄弟で、父は現オーナー、ジョルジョ ヴィベルティです。父はワイナリーのエノロゴであるジャンニと2人兄弟です。カッシーナ バラリンは代々家族経営のワイナリーで、畑は9ヘクタール、年間の生産量は5~6万本程の小さなカンティーナです。私達一族は100年以上前からバローロに住んでいます。農家として働いていた曾祖父と祖父が、1928年にラ モッラ村のブリッコ ロッカに家屋とセラー、納屋をつくりました。当初は果物や穀物、ヘーゼルナッツの栽培で生計を立てながら、そのかたわらで牛の飼育やワインを造り、出来たワインをバルクで売っていました。

ワイン1993年からワイン造りに特化1970年代にも一部自らワインのボトリングを始めていましたが、本格的なワイン造りに特化したのは今から25年前の1993年で、私達の祖父と父がワイン造りに力を入れ始めました。

農園はブドウ畑へ、作物の貯蔵庫はワインセラーへ、家畜の小屋と納屋はアグリツーリズモのための宿泊可能なゲストハウス(4部屋)へと改装しました。アグリツーリズモも同じく1993年から始めています。現在はワインだけを造っています。

大樽とバリック土壌、ブドウの特徴に応じて相応しい樽を選択
熟成には大樽とバリック樽を使っています。樽の使い分けは土壌の特徴によってチョイスしています。例えば、タンニンがしっかりとしているブドウであればフレンチオークのバリック(新樽比率は20%に抑える。主に「ブッシア」のブドウ)を使っています。大樽も10~20ヘクトリットルのスロヴェニア産オーク樽があり、それぞれの土壌、ブドウの特徴に応じて樽を使っています。

バローロエリアの中心「ラ モッラ村」

畑バローロの「畑」について話しましょう。バローロ、バルバレスコを中心としたエリアは「ランゲ」と呼ばれています。私達のカンティーナはバローロエリアのラ モッラ村にあります。ラ モッラ村はバローロエリア全体のほぼ中心に位置しています。

「ラ モッラ村」「モンテフォルテダルバ村」「ノヴェッロ村」に畑を所有
私達が所有する畑は3つに分かれています。その中で最も広い5ヘクタールの畑がラモッラ村の「ブリッコ ロッカ」です。私達の主要となるワインを産み出す畑です。続いて2ヘクタール所有している「ブッシア」の畑はモンフォルテ ダルバ村にあります。最後にノヴェッロ村の1ヘクタールの畑「パネローレ」です。パネローレはスタンダードバローロ(バローロ クラシコ)に使われています。近年新たにラ モッラ村の1ヘクタールの畑(ボイオーロ)を購入しました。

地図

代々所有するクリュ「ブリッコ ロッカ」と「ブッシア」

Q.ワイン造りはラ モッラ村の「ブリッコ ロッカ」から始まったのですか?

ラ モッラ村の「ブリッコ ロッカ」は代々所有している畑で、モンテフォルテダルバ村の「ブッシア」(当時は1.5ヘクタール)は曾祖父の時代に購入した畑で、2000年に0.5ヘクタールを新たに買い足しました。ノヴェッロ村の「パネローレ」は15~20年前に購入しました。ですので「ブリッコ ロッカ」と「ブッシア」は古い畑となります。

インタビュー中Q.お二人ともとてもお若いですね。

私(アルベルト)が23歳で弟(アレッサンドロ)が21歳です。私は3年前からカンティーナで働いています。栽培から醸造まで全般を担当しています。弟はまだ学生です。卒業後、本格的に仕事に加わります。

「ダンスをするカップル」の印象的なラベル

コルクQ.「ダンスをするカップル」のラベルが良いですね

ありがとうございます。ダンスをするカップルはコルクにも印字されています。今から130年程前、私達のひいひいお爺さんが農園で働いていたのですが、その時働いていた農園の名前が「バラリン」でワイナリーの名前にもなっています。周囲からは「バラリンで働くおじいちゃん」の愛称で親しまれていたこともあり、ワイナリーを本格的に始めるにあたり「バラリン」の名前を付けよう、となったんです。

ピエモンテ方言でバッラーレは踊り子(バレリーナ)という意味があり、私の祖父がダンスが得意だったこともあり、ラベルを付けるときにダンスをする2人のデザインにしたんです。ピエモンテはフランスに近い事もあり、ピエモンテ方言はフランス語のニュアンス、アクセントも近しい言葉が多いように思います。だからフランス語を話すのは意外と苦ではありません。でも同じイタリアでもトスカーナの方言はさっぱり解らないけどね(笑)

小屋Q.2014年ヴィンテージはどうでしたか?

2014年は一般的には「難しい」と評価で、ややもすると批判的なヴィンテージとなっていますが、出来上がった私達のワインはとてもフレッシュな仕上がりです。収穫の時に少し雨が降った事もあり。良いブドウをしっかりと選別しなければなりませんでした。

これまでの品質と同じレベルをキープしようと思い、2~3割程生産量が落ちてしまったのですが、確りとした酸を持った長期熟成向きの良いブドウが出来ました。ランゲネッビオーロもバローロに関してもそれが言えます。フルーティーで花のようなアロマが特徴な事も2014年の特徴だと思います。2014年のバローロに関しては上級のブッシア、ブリッコロッカは造らずにバローロだけをボトリングしました。

それでは試飲しながら、それぞれのワインの特徴について話をしていきましょう。

全てバローロエリアのブドウを使用!飲み心地の良さと価格帯を超える味わいのランゲネッビオーロ
ランゲ ネッビオーロ2014
ランゲネッビオーロのブドウは全て自社畑でバローロエリアのブドウを使っています。バローロとは名乗れませんが「ベビーバローロ」と呼ぶべき味わいです。バローロに比べ標高が低いエリアのブドウが使われています。砂質土壌の軽やかな仕上がりとなりますので、出来上がるワインは心地よく飲めるスタイルです。年間1万2000本~1万8000本の生産量です。6ヶ月間だけ大樽で熟成させます。ネッビオーロの特徴を残した味わいとなっています。樹齢はバローロよりもちょっとだけ若く、樹齢20~30年のブドウでランゲネッビオーロを造っています。飲んで感じて頂いているとは思いますが、タンニンや酸も確りとしています。今飲んでも美味しいですが熟成できるポテンシャルも持っています。(一般的に樹齢20~30年はバローロレレベルの高樹齢のブドウ。彼らの造るランゲネッビオーロはまさに「ベビーバローロ」)

試飲コメント:鮮やかなルビー色。バラやスミレなどを感じさせるリッチでフローラルな香り。浮ついた感じはなくこのクラスでは秀逸とも言える層状の香りの深みがあり、印象的。飲むとエレガントで果実味あふれるジューシーな味わいでネッビオーロらしいフレッシュな酸とタンニンが果実味と溶け合い、飲み心地の良さと価格帯を超える味わいの深さが感じられます。甘く清らかな余韻が続きます。グリルやロースト料理、パスタ、チキン、熟成チーズと。

ランゲ ネッビオーロ2014
果実の自然な風味と新鮮味がしっかりと感じられるエレガントバローロ
バローロ2013
所有する「ブリッコロッカ」「ブッシア」「パネローレ」の3つのエリアのブドウを使っています。全て南東と南西向きの丘陵地の畑です。。26カ月間樽熟成(バリックと大樽の割合は半々)を行っています。2013年は既に楽しめる味わいとなっています。26ヶ月間樽熟成はしていますが、果実由来のフレッシュ感、甘やかさ、純度の高さが感じられます。またこれから10~20年熟成させる事も可能なポテンシャルも感じさせるワインです。私達は熟成してやっと飲めるようなバローロではなく、今からでも楽しむ事が出来るスタイルのバローロを造っています。2013年は典型的な「良いヴィンテージ」でした。適度な暑さ、涼しさがあり、2010年同様に理想的なヴィンテージとなりました。

試飲コメント:オレンジがかったルビー色。バラやスミレ、レッドチェリーのニュアンスが溶け合うリッチでエレガントな香り。飲むと、タンニンの強さはあるものの豊かな果実感、美しい酸と調和を成し、非常にバランスのとれたボディ。粗さやブレがなく精妙で緻密。中盤から広がるスパイシーさと甘やかな風味が重なり、旨みを感じます。力強さや樽の風味で押すタイプではなく、果実の自然な風味と新鮮味がしっかりと感じられるバローロ。抜栓3日後も楽しめる。ブルゴーニュ型グラスで楽しむとよりその精妙さが味わえます。肉全般料理、熟成チーズとの相性抜群。

バローロ2013
しっかりとした骨格で力強いタンニンを感じる芳醇な味わい「ブッシア」
バローロ ブッシア2010
「ブッシア」の畑は石灰岩の多い土壌で、出来るワインは力強いタンニンが感じられます。ですので「ブッシア」にはしっかりとトーストを効かせたフランス産のバリック樽26ヶ月間熟成でタンニンを和らげていく必要があります。ただ新樽の使用は控えめで20%しか使いません。残り80%は2~3年使用した旧樽を使います。「ブッシア」からは非常に高い「熱量」や「力」のようなものを感じます。良年2010ヴィンテージという事もあるので、これからの熟成に期待出来ます。香りも力強く、少しだけバニラの甘やかなニュアンスもあります。他のバローロの比べ、スパイシーなニュアンスもはっきりと浮き上がってきます。2010年は「ワイナリー始まって以来」と言って良い位のヴィンテージでした。変な話ですが、父曰く「何もしなくても良い」と言える程全てが完璧に進んだ年。まさに「畑が造ってくれた年」。そう呼べる素晴らしいヴィンテージでした。父はそういう風に言っていましたが、勿論父は父で、一生懸命にブドウをケアし続ける姿勢は2010年も変わりませんでしたが(笑)

試飲コメント:かすかにオレンジが混ざったルビー色。トーストやスミレ、レッドチェリー、タバコなどの複雑で豊かな香り。飲むとしっかりとした骨格で力強いタンニンを感じる芳醇な味わい。厚みのある果実感、伸びるような酸とミネラルの強さがあり、凛とした美しさと力強さが共存する魅惑的な味わい。現時点ではパワフル。抜栓後3~4日楽しめます。20年以上の長期熟成可能。ビーフやポーク肉のロースト、トリュフやポルチーニを使ったリゾット、熟成チーズと共に。

バローロ ブッシア2010
香り高きブドウを産み出すテロワール!「ブリッコ ロッカ」
バローロ ブリッコ ロッカ2010
「ブリッコ ロッカ」はカンティーナから程近い場所にあります。畑には60~65年の古いブドウ樹もあります。土壌は泥土、粘土質、石灰質が混じります。出来上がるワインにミネラルが表れる特徴があります。生産量は4000~多くても5000本です。「ブリッコ ロッカ」はアロマティックな香りがあります。熟成には大樽のみ使用します。大樽でゆっくりとその香りを引き出していきたいからです。「ブリッコ ロッカ」が持つテロワール由来の香りの要素が大きいので「樽で何かをする」事は極力排除したいと思っていて、本来持つ素晴らしいアロマを活かしたまま、ゆっくりと熟成させるべきと思っています。飲んで頂いて力強い「ブッシア」との違いを感じて頂けていると思います。

試飲コメント:オレンジがかった濃いルビー色。バラやスミレ、レッドチェリー、赤スグリ、ミントのニュアンスが入り混じる華やかでリッチな香り。飲むと果実味のインパクトは円やかで柔和。しっかりとしたタンニンと酸味のバランスがとれ、心地よさと深みがあり、テロワール由来のエレガンスがしっかりと感じられます。中盤からは落ち着いた風味となり果実の繊細さや酸の美しさが際立ち、甘美な風味を残して喉元へ落ちていきます。長く続く余韻。長期熟成により、より深みある香りと味わいが期待できます。大樽熟成のエレガントバローロの典型ともいえるスタイル。肉料理全般や熟成チーズと。

バローロ ブリッコ ロッカ2010
極めて優美な風味があふれだす極上のエレガンス!極少リゼルヴァ
バローロ ブリッコ ロッカ リゼルヴァ2010
リゼルヴァは多くても2500本程しか造れません。毎年は造っていません。2004、2007、2010、2011はリゼルヴァをボトリングしました。樹齢70年の限られた区画良い年のブドウを更にセレクションします。通常の「ブリッコ ロッカ」と同様、2年間大樽熟成を行いますが、その後試飲を重ねて、「これぞ」と思える品質と長期熟成が可能であると判断した場合にのみリゼルヴァとしてリリースさせます。それ以外は「ブリッコ ロッカ」としてリリースします。リゼルヴァはその後1年間バリックに移し替えてから熟成、リリースさせます。このワインには「ティストット」という名前が付いています。これはクリュの名前ではありません。曾祖父の兄弟であったジョバンニ バティスタのピエモンテ方言での呼び名です。バティスタは「ブリッコ ロッカ」にブドウを植えた人物でワイナリーの歴史に欠かせない人物です。僕たちが今住んでいる家もバティスタが住んでいた家屋です。僕たちははまだ生まれていなかったので実際にはバティスタとはあった事はないけれど、カンティーナに飾っている写真でバティスタを知ったくらいですが(笑)

試飲コメント:偉大な年にのみ厳選した最高品質のブドウから造られるリゼルヴァ。オレンジがかったオレンジがかった艶やかなルビー色。バラやスミレ、レッドチェリー、赤スグリ、スパイス、ミント、タールのニュアンスが溶け合う深みのあるリッチな香り。口に含んだ瞬間、プラムやリキュール漬けのチェリー、ミント、トリュフ、キャラメルなど、複雑かつ芳醇。角のとれた丸みのある果実感があり、球体のような滑らかな舌触り。芯に感じる力強さは素晴らしいレベル。時間が経つにつれ温かみのある極めて優美な風味があふれだす。エレガントでバランスのとれた極上の味わい。肉料理全般や熟成チーズと。

バローロ ブリッコ ロッカ リゼルヴァ2010
インタビューを終えて
今回の試飲で、無理のない自然なブドウの厚み、豊かな風味がしっかりと活きたバローロのたおやかな味わいが印象的でした。

そこには「伝統派」や「モダン派」等のスタイルや解釈に捉われずに、「元来あるテロワール」を忠実に活かすカッシーナ バラリンの「農家の誇りと土地への想い」がしっかりと感じられるものでした。

エノロゴであるジャンニさんの素晴らしさが光るエレガントな味わいは抜栓2~3日後には更に後を引く深い味わいに。インタビュー後もスタッフ一同、そのポテンシャルの高さに驚かされました。特に抜栓3日後の「ブリッコ ロッカ」2010年の優美さは本当にウットリさせられました。

20代の若い兄弟ですが、知識や経験によるお話も実に見事なもの。時折日本語を交え話してくれたり、若いながらもホスピタリティ精神もしっかりと感じられました。特に異なる3つの畑の話になると、とても熱心に話してくれました。「農家の誇り」がしっかりと受け継がれた若き二人の兄弟の今後の活躍が益々楽しみな注目すべきワイナリーです。

トスカニーが輸入する同じラ モッラ村のバローロ「チャボット ベルトン」について聞いたら、「とても良く知っているよ!ワイナリーから3キロくらいしか離れていないよ。父親同士はお互いとても仲が良いんですよ」と笑顔で答えてくれました。土地にしっかりと根を張り、自然を敬い堅実にワイン造りを続ける「バローロの農民」カッシーナ バラリン。繊細かつ重厚で心躍るようなにじみ出る魅力に溢れています。是非多くの方に飲んで頂きたいバローロです。

カッシーナ バラリン社 アルベルト ヴィベルティ氏、アレッサンドロ ヴィベルティ氏とトスカニースタッフ
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