世界中で愛飲されるモンド デル ヴィーノが手がけるアマローネ「ソプラサッソ」

2018/03/27
突撃インタビュー
 
2018年3月14日 モンド デル ヴィーノ社  ビルジェ デヴェチ ザッケローニ氏、ピエレンツォ ロアーニャさん

世界中で愛飲されるモンド デル ヴィーノが手がけるアマローネ「ソプラサッソ」突撃インタビュー

モンド デル ヴィーノ社  ビルジェ デヴェチ ザッケローニ氏、ピエレンツォ ロアーニャさんと
モンドデルヴィーノはピエモンテ、ヴェネト、エミリアロマーニャ、プーリア、ヴェネトを中心に8つの州にワイナリーを構え、高品質でコストパフォーマンスに優れたワインを造り、世界中に輸出するイタリアでもトップクラスに入る大規模ワイナリーです。優れた醸造家チームを組織した品質管理によって、大規模かつ高品質なワイン造りを成功させています。今回はアマローネのブランド「ソプラサッソ」を中心に、輸出担当のヴィルジェデヴェチさんにモンドデルヴィーノの取り組みについてお聞きしました。

イタリア各地にいくつものワイナリーを持ち、世界50ヶ国以上に輸出するイタリアトップクラスの生産者

モンドデルヴィーノ アワーズモンドデルヴィーノはイタリア各地にワイナリーを構えるワイン生産グループ会社です。ピエモンテ、ヴェネト、エミリアロマーニャ、プーリア、シチリアの5つの州にある5つのカンティーナは自社だけのワイナリーで、それ以外はパートナーシップを結んでワイン造りを行うカンティーナになります。

カンティーナごとに特徴は違いますが、モンドデルヴィーノとして統一された管理を行ってワイン造りを行っています。それぞれのカンティーナごとに担当のワインメーカーがいますが、彼らは全体で一つのワインメーカーチームとして活動していて、お互いの情報交換・情報共有を常に行っています。試飲も一緒にやったりしています。

ワインメーカーたちもカンティーナにいるだけでなく、マーケティングチームと一緒に営業の現場にも行きます。プロヴァインやヴィーニタリなど世界的な見本市にも同行して、実際の市場の要求や傾向などを肌で知るようにしています。

モンドデルヴィーノ全社で年間に5600万本生産しています。これは全イタリアの生産量の約1%ぐらいになります。毎年さまざまな国際コンクールでも高く評価されていて、生産量の95%を輸出しています。現在、50ヶ国以上で販売されています。アジアも大事な取引先で、日本が最も主力の取引先で約3%が日本に輸出されています。

ヴェネトのワインのブランド「ソプラサッソ」。ここで培ったアパッシメントの技術は他の州のワイン造りにも生かされている

モンドデルヴィーノ社設立メンバーソプラサッソはMGMという名前のカンティーナのブランド名になります。MGMは3人の創業者、Alfeo Martini、Roger Gabb、Christoph Mackの頭文字からきています。「ソプラサッソ」は「バランスのとれた石」を意味しています。

造っているワインはロッソヴェネト、リパッソ、アマローネの3つです。畑は全部で約90ヘクタールほどあり、畑の所有者と特別な契約を結んでいます。モンドデルヴィーノのエノロゴとアグロノモが全て管理を行っているので自社畑ではありませんが100%自社管理をした畑になります。醸造施設はヴァルポリチェッラ地区内にあります。ボトリングはヴァルポリチェッラ地区にはありませんが、私たちはDOCの規定ができるよりも前からここでワインを造っているのでエリア外であっても認められています。

ヴェネトの伝統的な陰干しによるワイン造りは他のイタリア各地でも近年用いられるようになっています。モンドデルヴィーノはピエモンテで陰干しバルベーラを造った最初の造り手です。2014年にDOCの規定が改定され、「ピエモンテ バルベーラ アッパッシメント」が認められました。2015年以降は他の造り手も造り始めています。

陰干しすることでブドウが凝縮し、糖度が増しますので甘みの強いワインができます。甘いタイプのワインはとても人気が出て、とりわけスエーデンやノルウェーなど北ヨーロッパの人々に好まれていますね。ただ、ここ1年から1年半は全般的に甘めのワインのリクエストは落ち着いてきたように思いますね。

 

アッパッシメントを行う場所は理想的な風通しと一定の温度が保たれる環境

モンドデルヴィーノ アッパッシメントソプラサッソのアッパッシメントはほぼ自然な環境で行っています。収穫は手摘みで、3~4kgの容量のプラスチック製の箱に入れてフルッタイアまで運びます。プラスチック製にしているのは木製よりも衛生面で優れていると考えているからです。フルッタイアはバルドリーノ近くのとても風通しの良い場所にあります。建物は、4つの壁のうち2つがない、とても広い廊下を連想していただくといいかと思います。つまり常に風が通るわけです。コンスタントに自然の風が流れ、ブドウの粒の湿気を飛ばしてくれるのでブドウを健康な状態で乾燥させることができます。これがとても大切です。

機械を使って乾燥させている生産者もいますが、モンドデルヴィーノでは90%ぐらいは自然な風の流れを活用しています。風の量もほぼ一定で温度もほぼ一定の環境を保っています。あと、造り手によってはプラスチックではなく木製の棚を積んでそこで陰干しをしたり、醸造設備のあるところと同じスペースで行っているところもあるようですが、私たちは陰干し専用の部屋で行うことにこだわっています。

アッパッシメントのブドウを使うのはロッソヴェネトとアマローネです。ロッソヴェネトで4~6週間、アマローネで6~10週間陰干しをします。期間はヴィンテージによって変わります。そして、それぞれのワインは同じブドウの量から造られるワインの量が違います。100kgのブドウからロッソヴェネトは65~70リットル、アマローネは35~40リットルぐらいです。

2014年と2015年は対照的なヴィンテージ

2014年と2015年は非常にキャラクターの違う年でした。降水量と気温と言う2つのポイントで特徴が異なっています。2014年は雨も雪も少なく、夏の気温も低いものでした。一方、2015年は冬にいい具合に雪が降り、そのおかげで地中には水を貯めておくことができました。そして暑い夏となりました。これはヴェネトだけでなく、イタリアのほぼ全土でこのような傾向が見られました。

その結果、2014年はエレガントなヴィンテージ、2015年はリッチでしっかりとしたヴィンテージとなりました。

陰干しブドウの風味を備えたコストパフォーマンス抜群の赤
ソプラサッソ アパッシメント 2014
ソプラサッソ アパッシメント 2014


使うブドウはすべてアッパッシメントを行ったブドウです。ヴァルポリチェッラ地区内のブドウも使いますが、地区外のブドウの方が多いです。品種はアマローネ、リパッソと同じです。

収穫後、4~6週間陰干しします。そしてステンレスタンクでアルコール発酵を行った後、木樽で6ヶ月間熟成させます。使えるブドウの量を十分確保できることから、100%陰干しブドウのワインながらこの価格で造ることができています。

試飲コメント:プルーンやブラックチェリーなどの果実の香りやドライフルーツなどの凝縮した風味も。やわらかく滑らかな口当たりで心地よい果実の凝縮感と酸、タンニンのバランスが調和。2014年はアッパッシメントのニュアンスがチャーミングに感じられる。2015年はヴィンテージの特徴からもより凝縮感が強く感じられる。(2015年からラベルデザイン変更)

アマローネの搾りかすを使い、陰干しブドウの風味やアロマが感じられるベイビーアマローネ
ヴァルポリチェッラ リパッソ 2014
ヴァルポリチェッラ リパッソ 2014


リパッソの造り方はご存知ですよね。普通に収穫したブドウをまず通常の方法でワインを造ります。そこへアマローネの搾りかすを加えることで、その中に含まれる糖分が再度発酵を始めます。つまり2回発酵するのでリパッソと呼ばれています。

アマローネのアロマや成分がワインに抽出されることでアマローネの風味がワインに加わります。アマローネのレベルとまでは言いませんが、その近いところまでいくので「ベイビーアマローネ」と言われています。

試飲コメント:乾燥ブドウのニュアンスとエレガントな果実味。上品なタンニンが心地よい優しい味わいの辛口。

心地よい凝縮感を堪能できる芳醇アマローネ
ソプラサッソ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ 2014
ソプラサッソ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ 2014


収穫したブドウを6~10週間(期間はヴィンテージによって変わる)陰干ししたブドウから造られます。発酵後、オーク樽で2年から2年半熟成させます。糖分が凝縮されているので凝縮感のある甘みを感じるワインとなります。

熟成に使う樽の大きさはいくつかありますが、小さい樽が多いです。フランス産のものがだいたい65%、残りはアメリカ産オークです。

試飲コメント:しっかりとした凝縮感のある果実とスパイシーなニュアンスが感じられる複雑なアロマ。濃密さとまろやかさが程よくバランスがとれたなめらかな口当たり。上品なアマローネ。
インタビューを終えて
モンドデルヴィーノは「コストパフォーマンスに優れた飲み心地のよいワインを数多く造っている生産者」というイメージでしたが、伝統的な方法で、一般
的な小さな造り手と変わらないやり方でワインを造っていることがわかりました。規模は非常に大きいですが、ひとつひとつのカンティーナには優秀なエノロゴとアグロノモのがいて、丁寧なワイン造りを行っている姿が見えてきました。

アッパッシメントも実に自然な方法。機械化を導入している造り手も多い中、ほぼ自然の風だけというのも逆に新鮮。陰干しブドウによるワインを身近に楽しませてくれるコストパフォーマンスの素晴らしさも消費者を喜ばせています。

世界中で飲まれているのはその安定した品質があるから。期待を裏切らないワインだと思います。

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