バローロ&バルバレスコで絶大な支持を得る実力派ピオチェーザレ

2017/12/27
突撃インタビュー
 
2017年11月29日 ピオ チェーザレ社フェデリカ ピオさん

「アルバの伝統」を守り続け世界中から絶大な支持を得る
バローロ&バルバレスコの実力派ピオチェーザレ

ピオ チェーザレ社フェデリカピオさんと
1881年創業のピオチェーザレ社はバローロ、バルバレスコ、バルベーラをはじめとするピエモンテの偉大なワインのポテンシャルと品質に信念と確信をもってワインを生産してきた草分け的存在です。古代ローマ時代に造られた城壁に囲まれたアルバ旧市街地内にある唯一のワイナリーで5世代にわたり「アルバの伝統」を家族経営で守り続けているワイナリーです。創業当時から130年近く変わらぬラベルデザインはまさに彼らの「自信と誇り」の現れ。バローロオルナート2013年が『ジェームズサックリング』98点をマークする等、いつの時代においても世界中のトップレストランやホテル、ワイン愛好家に絶大な支持を得ています。4代目ピオボッファ氏の一人娘で次期当主フェデリカ ピオさんにお話を聞きました。

1881年創業。城壁で有名なアルバ旧市街地の中にある唯一のワイナリー

フェデリカ&ボッファ

1881年創業。城壁で有名なアルバ旧市街地の中にある唯一のワイナリー
私はピオチェーザレの5代目です。今年63歳の父であるピオボッファが4代目です。私は一人っ子で、18年間ピオチェーザレで一緒に働く40歳の従弟がいます。私達は歴史のあるワイン産地、アルバでワイン造りを行っています。私達のワイナリーはアルバ旧市街地の中にある唯一のワイナリーです。アルバの旧市街地は今から約2000年前に古代ローマ時代に造られた城壁がある歴史的な景観を残す場所です。私達の一族は1881年からずっとこの城壁のあるアルバの旧市街地の中から移らずにワイン造りを行ってきました。

「チェーザレ ピオ」がワイナリーを設立
所有するブドウ畑は約70ヘクタールで全てバローロ、バルバレスコエリアの中にあり、全て自社畑管理となっています。収穫されたブドウは全てカンティーナに持ち込み、醸造、ボトリングを行います。1881年に初代当主「チェーザレ ピオ」がワイナリーを設立しました。当然ピオが苗字となりますが、その頃のイタリアは苗字→名前の順に読んでいたので「ピオ チェーザレ」と言う名前でワイナリーを立ち上げました。

バローロ、バルバレスコエリアに70ヘクタールの畑を所有

地図

バローロエリア5つの村に9つの異なる畑(クリュ)を所有
1900年代の初めにバローロを海外輸出した事で先ず有名になりました。私達はバローロエリアで造られてきたトラディショナルな方法でワインを造っています。私達はバローロエリアの5つの村に畑を持っています。セッラルンガダルバ、モンテフォルテダルバ、ラ モッラ、ノヴェッロ、グリンツァーネカヴールです。5つの村の9つの異なる畑(クリュ)でブドウを栽培しています。

Q.バローロエリアに畑は何ヘクタール位ありますか?

セッラルンガダルバにあるクリュ「オルナート」を単独所有
バローロ地区の畑は31.79ヘクタールの広さです。内20.69ヘクタールにバローロの為にネッビオーロを、残りはバルベーラ、シャルドネ、ドルチェットを植えています。それぞれの広さは上段に記載しています。セッラルンガダルバ(15.21ヘクタール)、モンテフォルテダルバ(9.7ヘクタール)、グリンツァーネカヴール(3.66ヘクタール)、ラ モッラ(2.3ヘクタール)、ノヴェッロ(0.92ヘクタール)です。セッラルンガダルバにある単独所有の単一畑「オルナート」が最大の面積で約10ヘクタールです。私達が造る「バローロオルナート」は「畑で一番熟したネッビオーロを厳選する」「収量を落とす」「7000本しか年間造らない」という3つの異なる段階で厳しいセレクションを行います。

バローロ&バルバレスコ

バルバレスコは26.90ヘクタールの広さで内14.04ヘクタールがバルバレスコの為のネッビオーロを、残りがバルベーラ、シャルドネ、ドルチェット、ピノネーロを栽培しています。トレイゾ村(21.58ヘクタール)、アルバサンロッコ村(5.32ヘクタール)となっています。

※ピオチェーザレのカタログにはクリュのデータが詳しく纏められていてエリア毎の特徴が分かりやすく構成されていました。フェデリカさん自ら造ったそうです。

 

「ワイン造りに関しては伝統的であることが重要」

オールドボトル厳しいセレクションにより造られるクリュバルバレスコ「イル ブリッコ」
「バローロオルナート」同様、トレイゾにあるクリュバルバレスコ「イル ブリッコ」も厳しいセレクションにより造られています。ブリッコとはピエモンテの方言で「畑の中で一番高い場所」と言う意味があります。その名の通り、所有しているバルバレスコエリアの畑の中でも最も高い場所にある畑です。出来上がるワインは冷涼な気候を受けて出来上がる為、他のバルバレスコとは特徴が違い、どこかバローロ的なクールな要素を持っています。一般的にバローロは男性的で、バルバレスコは女性的と考えられていますが、私達が造るバルバレスコ イル ブリッコに関しては力強く骨太で、男性的な要素を持っています。

Q.「バローロ オルナート」「バルバレスコ イル ブリッコ」はいつから造っていますか?

「バローロ オルナート」はオルナートの畑を購入した1970年代の終わりから、「バルバレスコ イル ブリッコ」は1980年代の初めから造っています。私達はクラシカルなバローロ、バルバレスコを造っています、その際はエリアの違う畑のブドウをブレンドする事で特徴をミックスした味わいとなります。「オルナート」、「イル ブリッコ」に関してだけ単一畑で造るバローロ、バルバレスコとなります。

Q.以前、お父さんであるピオボッファ氏に「複数の異なる畑のブドウでブレンドして造るバローロこそ、真骨頂の魅力がある」と伺いました。

複数の畑をブレンドして造る伝統的製法のバローロが基本にあると考えています。飲む方によってはクリュ(単一畑)で造っているキュヴェの方が格上だと思う方もいらっしゃるかもしれません。だけどもバローロ、バルバレスコは当初から複数の畑のブドウをブレンドして造り上げられた歴史を持つワインです。「伝統的」であることが重要だと思っています。

Q.造り始めたワインはバローロの方が先ですか?

いいえ、創業の1881年からバローロとバルバレスコを造っています。自分たちにとってはバローロもバルバレスコも同じくらい重要なワインです。ですのでピオチェーザレは「バローロ」の造り手ではなく、「バローロ」と「バルバレスコ」の造り手なのです。

バローロラベルアルバ市の紋章をラベルに入れる事が許された唯一のワイナリー
私達は1900年代の初めにバローロを輸出した事で有名になりました。その時から同じラベルデザインです。変えたことがなく今も踏襲しています。そして私達のワイナリーが唯一なのですが、アルバ市の紋章をラベルに載せています。紋章は1881年から使わせてもらっています。それはピオチェーザレがアルバ旧市街地にある唯一のカンティーナだからです。その後にシャルドネも造り始めました。

シャルドネ「ピオディレイ」は私達にとって特別なワインです。何故ならバルバレスコエリアで造ったシャルドネだからです。2017年はピオディレイを造り始めて30周年を迎えました。

近年新たにモンテフォルテダルバのクリュ「モスコーニ」を購入
畑は少しずつ増やしていきました。モンテフォルテダルバのクリュ「モスコーニ」は一番最後に購入した畑で、父が60歳になった事を記念して9.7ヘクタールの畑を買い足しました。

セラー「10ヘクタール程の小さなプレゼント」だったのですが(笑)父はセッラルンガダルバとモンテフォルテダルバの両方に畑を持つことが出来てとても嬉しそうでした。

現在バローロエリアでは1ヘクタールで約150万ユーロ(10ヘクタールで約2億1千万円)取引されていますが、金額の問題以上に新しいブドウ畑を購入する事は年々大変難しくなってきています。もうひとつにはバローロ、バルバレスコエリアで生産量の規定が厳しくなっていることが挙げられます。新しくバローロの畑を造るという事は出来なくなってきています。最後に購入した畑「モスコーニ」は既に畑があった場所なので購入出来ました。私達が再度植樹し直して現在に至っています。

「初めてバローロを口にしたのは私がまだ生後6カ月の時」

Q.20歳でワインの勉強はどうやって?

フェデリカピオさんボトル説明今、私は経済の勉強をしている大学2年生です。先日誕生日を迎えて20歳となりました。学生の合間に仕事を行っています。ワインの事は小さな頃から父から学びました。初めてバローロを口にしたのは私がまだ6カ月の時でした。代々一族に伝わる洗礼式のようなもので、小さなグラスに入れたバローロを生後6か月の私の唇に沿わせる事でピオチェーザレの一員として迎えられました。今回は父と一緒に11/27に来日したのですが、別の仕事があり父は今朝先に日本を出発しました。

ピオチェーザレが単独所有するクリュバローロ「オルナート」
ピオチェーザレが単独所有するクリュバローロ「オルナート」は十分な日照量のある単一畑です。南、南東、南西向きのすり鉢状の畑で日が沈むまでずっと日が当たっています。セッラルンガの畑は長期熟成に向く骨格のしっかりとしたバローロになります。確りと熟したブドウだけを厳選して造っています。凝縮感がありながらも、現時点でも楽しめるバランスの良さがあります。と同時に確りとした力強さがあるので長期熟成にも耐えうるポテンシャルが感じられます。セッラルンガのエリアが持つ特徴が良く表現されたワインだと思います。特に畑仕事も気を配っていて、繁忙期だけ人を集めるようなことはせず、常に12~13人のチームで「オルナート」の畑を管理します。良い品質のブドウを得る為にグリーンハーベストを行います。「品質をいかに保つかを」考えています。特に2017年のように生産量が50%減の年でも、更にブドウを厳選して「オルナート」の質を保つようにしています。醸造法はバローロ、バルバレスコと同じく伝統的大樽と一部旧樽のバリック(15~20%)で醸造します。

オルナート畑

(毎年のように高評価を連発するバローロ「オルナート」。2013年は『ジェームズサックリング』98点、『ワインアドヴォケイト』95点のハイスコア獲得しています)
極めて上質なタンニンと輝かしい酸を備えた魅惑的な個性
『ジェームスサックリング』98点(2013ヴィンテージ)
「非常に複雑性があり、バラの花の茎、イチゴやマッシュルームのニュアンスを持つセッラルンガのテロワールを示している。オレンジピールが感じられ、極めて上質なタンニンと輝かしい酸を備えている。アロマから全てが読み取れる魅惑的な個性がある。味わいが和らぐにはボトル熟成による時間が必要だ。2021年以降に飲むのが良いだろう」

常に賞賛に値する目を見張る仕上がり
『ワインアドヴォケイト』95点(2013ヴィンテージ)
「2013年のバローロ オルナートにはパワーと凝縮感のあるセッラルンガダルバのブドウが使用されている。このワインは逞しい味わいがあり幅広く人気のある事が特徴だ。ピオ チェーザレはバリックの使用を控えめにし、より繊細なパンチダウンを行っている。(タンニンと苦味が増幅しがちな作業であるパンプオーバーの代わりとして)またマセラシオンの期間も長くしている。その結果は目を見張るものに仕上がっている。常に賞賛に値するワインであるばかりか、年々向上している実に喜ばしいワインだ。ダークフルーツとプラム、繊細なスパイス、レザー、甘草の風味が途切れなく続く」

「20年待って飲むような強すぎるバローロではなく、すぐに楽しめるバローロを造る事がピオチェーザレのワイン造りの根本にある」

Q.どのキュヴェもすぐに飲んで「素晴らしいバランス」と「あじわいの豊かさ」を感じます。醸造法で心がけている事はありますか?

ピオ家「20年待って飲むような強すぎるバローロではなく、すぐに楽しめるバローロを造る事がピオチェーザレのワイン造りの根本にある」
クローンに因る所が大きいと思います。トリノ大学が発見した優良クローンのネッビオーロを使っています。もう一つ理由としては新樽を使わず、一部だけ旧樽のバリックを使って味わいを纏め上げている事にあると思います。自分たちの考えとして設立した1881年の当初から「20年待って飲むような強すぎるバローロ」ではなく、すぐに楽しめるバローロを造る事がピオチェーザレのワイン造りの根本にあるからだと思います。だからこそクローンの選定基準は決まっていました。

ピオチェーザレのバローロ、バルバレスコに共通するキメの細やかな上質のタンニン
ピオチェーザレのバローロ、バルバレスコに共通しているのはタンニンの質がキメ細やかである事です。長期熟成も可能なしっかりとタンニン分を感じますが、上質かつキメ細やかなので、現時点でも飲めてしまう特徴があります。今からでも、又は寝かせても楽しめるので、ワイン好きの方には実に飲む選択肢が多いのではないでしょうか。

フェデリカピオさん試飲2017年のブドウの出来はどうでしたか?

とんでもなく暑い難しい年でした。4ヶ月間雨が降らず、8月末にようやく雨が降ってくれて気温が下がりました。それによりなんとかブドウが成熟する段階まで達する事が出来ました。2017年は全体的に早熟になってしまいました。シャルドネで8月中旬に収穫、ネッビオーロで9月に収穫をしましたが、品質をキープする為にセレクションを行った結果、50%以上の収量が落ちました。

2012年と2013年の気候はどうでしたか?

実は2012と2013はそこまで変わりませんが、2012年の方が夏の暑さが緩やかでした。6、7月上旬はそこまで暑くなく、7月中旬以降に暑くなってきました。最初は2012年が良い年になるとは思っていませんでしたが。結果良いヴィンテージとなりました。

魅力的な果実感と清々しい口当たり!
名門ピオチェーザレが造り上げるフレッシュで
香り豊かなガヴィ
ガヴィ 2015
ガヴィ 2015


ガヴィ村の畑から造っています。非常にフレッシュで香り豊かなワインです。食前酒としても楽しめますし、特に夏に楽しんで頂けるような飲み心地です。日本の食事とも良く合うかと思います。代々ピオ家専属の契約農家からブドウを使用しています。樽は使わず全てステンレスタンク熟成で仕上げます。澱と共に熟成し収穫の次の年の3月にボトリングします。毎日デイリーに楽しめるワインです。
試飲コメント:明るい麦わらの色調です。西洋梨やリンゴを思わせる新鮮でクリーンな熟した果実の風味にハーブ、ミネラルの清々しいニュアンスが綺麗に重なります。飲むと目の詰まったジューシーでみずみずしい魅力的な果実感。心地よく広がる果実香。心地よい酸とミネラルがボディに走っているのでべた付かずクリーンな飲み心地です。良く冷やして心地よい果実感を楽しみたいワインです。

シャルドネとソーヴィニョンのブレンドでメリハリの効いた清々しい辛口白!
ラルトロ ランゲ シャルドネ 2016
ラルトロ ランゲ シャルドネ 2016


アルトロとは「他の」という意味です。元々ピオディレイシャルドネがあってもう一つのシャルドネという意味があります。アルトロにはシャルドネ90%にソーヴィニョンブランが10%ブレンドされています。ソーヴィニョンブランをブレンドする試みは2年前から始めました。ソーヴィニョンブランを加えたことで外交的で楽しいワインに仕上がっていると思います。ブドウ自体はバローロエリア、バルバレスコエリアの両方のブドウを使用します。とてもミネラリーで、フレッシュ感があります、ステンレスタンクのみで仕上げています。(上級白のピオディレイは1年間樽熟成)
試飲コメント:澄んだミネラルに白桃、西洋梨のフルーティーで穏やかな果実香にソーヴィニョンブラン由来のジュニパーやハーブ、仄かなスパイスのニュアンスが混じる洗練された清々しい香りが広がります。豊かなミネラルと伸びやかな酸味がありクリアーでキレのある味わい。中盤から果実の深み、口中に広がる上品なスパイス、ハーブのタッチがあり単調な味わいではなく、シャルドネとソーヴィニョンブランのブレンドにより、しっかりとしたメリハリを感じさせてくれるワインです。イタリアンは勿論、サラダ、刺身や寿司、若鳥のハーブグリル、魚介のフリット等。幅広く合わせる事が出来る使い勝手の良いバランスのとれた辛口白ワインです。

豊かな骨格と
濃密な果実感の美しい調和!長期熟成にも耐える特別なバルベーラ!
バルベーラ ダルバ 2015
バルベーラ ダルバ 2015


これは特別なバルベーラで、アルバの周辺の村から来たバルベーラではありません。使用されるバルベーラの約30%がバローロエリア、約20%がバルバレスコエリアのバルベーラが使われた特別なバルベーラなのです。それにより、このバルベーラは長期熟成にも耐えるポテンシャルを持っています。バルベーラと言えば、酸が特徴的なワインですがそれが強く前面に出ていないのはやはりバローロ、バルバレスコエリアの特徴が出ていたバルベーラに由来しているからだと思います。
試飲コメント:完熟プルーン、スミレの花、スパイス、甘草、ハーブのニュアンスが綺麗に重なる豊かなアロマがあります。厚みのある豊かな骨格と濃密な果実感があり、軽く10年以上の長期熟成のポテンシャルが伺える質感の強さと複雑性を備えています。中盤からは滑らかな果実味と心地よい酸と粒子の細やかなタンニン、スパイス、葉タバコ、品の良い樽の風味が重なり、存在感がありつつも洗練された見事なバランスが楽しめる秀逸なバルベーラです。ハンバーグやシチュー、ステーキ等のお肉料理と全般との相性が良く、和食だと焼き鳥との相性は抜群です。

バローロ、バルバレスコエリアの樹齢50年ネッビオーロも使用!上品さと滑らかさを備えた純度の高いネッビオーロランゲ
ネッビオーロ ランゲ 2014
ネッビオーロ ランゲ 2014


バローロエリアとバルバレスコエリアのネッビオーロもブレンドしています。バローロ、バルバレスコで50%、残りのエリアから50%のネッビオーロを2年間大樽で熟成しています。このネッビオーロは若い時からでも楽しめる要素があります。それでいて熟成能力もあります。このネッビオーロには樹齢50年のネッビオーロも使用されています。
試飲コメント:若いネッビオーロに感じられるような浮ついたタンニンやアルコールのブレも無く、純度の高い果実感としなやかな飲み心地が印象的です、時間が経つにつれ、じんわりと広がる赤、黒果実の穏やかな果実香と上品なミネラルとスパイス香、バローロでもバルバレスコにもない純度の高いネッビオーロの魅力が詰まっています。キメ細やかなタンニンの質は流石ピオチェーザレと思える出来映え。上品さと滑らかさを備えた美しいネッビオーロです。熟成させても興味深いワインです。

通常のバルバレスコより長い36ヶ月樽熟成!優美さと品格に秀でた素晴らしいバルバレスコ
バルバレスコ 2013
バルバレスコ 2013


バルバレスコは3万5000本しか造っていません。トレイゾ、サンロッコ、アルバの村にある小さな畑のブドウを使用しています。バローロとバルバレスコは同じ醸造法で造られます。法的にはバルバレスコの熟成期間は2年間(バローロは3年)となっています。私たちのバルバレスコはバローロと同じ3年の歳月をかけて熟成を行います。なぜ熟成に時間をかけるかと言えば、ネッビオーロは「時間と手間がかかるブドウ品種」だからです。
試飲コメント:熟したチェリーの深い果実香にミントやスパイス、葉タバコの複雑な要素が綺麗に溶け合う魅力的なアロマがあり、バルバレスコの特徴である華やかさが感じられます。濃密なボディとタンニンは感じられますが、継ぎ目のないウルトラスムーズな飲み心地があります。粒子の細やかなタンニンにより、粗さやブレも無い洗練されたボディを形成しています。濃密で優美、美しい酸味と強さが見事に調和するクラシックスタイルの素晴らしいバルバレスコだと思います。デリケートな風味があり、ワイン単体でも完成された味わいとなっていますが、お肉料理全般と抜群の相性ですが、和食とも是非合わせてみたい精妙さがあります。エレガントなバルバレスコの良さがしっかりと表現されたピオチェーザレの傑作バルバレスコです。

卓越した気品をもつ偉大なカンティーナ「ピオチェーザレ」古典的魅力に溢れた
壮大なバローロ
バローロ 2013
バローロ 2013


バローロは9つの異なるクリュから造っています。私達が考えているのは、今飲んで楽しめるバローロ、バルバレスコである事です。10〜15年待たなければ飲めないようなワインではなく、「今飲んでも楽しめるワインでなくてはならない」という事です。2013年は凄くクラシカルな年で、いわゆる「ビッグヴィンテージ」と呼ばれる気候となった年です。すごく夏が暑く、冬と春は雨が多く冷涼な気候でした。冬から春にかけて雨が多かった事で、地中に水分を蓄える事が出来ました。香りが出ている年であり、すぐに楽しめると特徴があります。
試飲コメント:新樽を多用した現代風の味わいは避け、スロヴァニア産のオークの大樽で熟成させることにより、ネッビオーロの特性を尊重した柔らかみのある味わいを表現しています。ドライフラワーを思わせる香りにスパイシーなニュアンス。味わいはなめらかで非常にエレガンスを感じます。たっぷりとした豊かなボディとタンニン。気品あふれる味わいとさらなる長期熟成の可能性を感じる1本です。

常に賞賛に値する目を見張る仕上がり!ピオチェーザレ単独所有
クリュバローロ「オルナート」
バローロ オルナート 2013
バローロ オルナート 2013


十分な日照量のある単一畑「オルナート」のバローロです。確りと熟したブドウだけを選んで造っています。凝縮感がありながらも、現時点でも楽しめるバランスの良さがあります。と同時に確りとした力強さがあるので長期熟成にも耐えうるポテンシャルが感じられます。セッラルンガのエリアが持つ特徴が良く表現されたワインだと思います。特に畑仕事も気を配っていて、繁忙期だけ人を集めるようなことはせず、常に12〜13人のチームで「オルナート」の畑を管理します。
試飲コメント:ブラックベリーの豊かな果実感にスパイスとレザーのニュアンスが綺麗に重なります。力強く厚みがある果実感は、緊張感と美しさに満ちていて隙が無くエレガントなスタイルです。タンニンは豊富ですが非常にキメ細やかで、若いうちからも楽しめるバランスの良さがあります。中盤からバニラやスパイスの風味が広がり、タンニンとオークの風味が心地よく溶け合っています。長期熟成で更なる向上が期待できる芯の強さも備えた偉大なバローロです。
インタビューを終えて
20歳のフェデリカさんの知識量、熱量の高い説明に驚かされました。インタビュー中ずっとカンティーナについて熱心に話してくれました。その姿は大学生の傍らセールスプロモーションに来たとはとても思えない程。カンティーナの歴史、醸造、ヴィンテージの特徴、クリュの特徴に至るまで、私達が聞きたいことの全てを即座に返してくれました。

更に驚かされたのがフェデリカさん自ら造ったワインカタログ。クリュバローロ、バルバレスコについて事細かに記されており、非常に分かりやすく見事な完成度。彼女の情熱がヒシヒシと伝わってきました。幼少時代から父ピオ ボッファ氏から帝王学を受けた彼女の実力に終始圧倒されるインタビューとなりました。間違いなく10、20年後イタリアワイン界を代表する人物となりうる非常に才気あふれる若き実力派です。

彼女の言葉で印象的だったのが、「設立した1881年当初から「20年待って飲むような強すぎるバローロ」ではなく、すぐに楽しめるバローロを造る事がピオチェーザレのワイン造りの根本にある」という言葉でした。タンニン分が強いネッビオーロ種においてすぐに楽しめて、かつ熟成もできるというのは相反するような要素にも思えますが、試飲したワインからは豊富なタンニンがありながらとても粒子が細かく、継ぎ目の無い滑らかさがあり、若くともしっかりと楽しめました。

特にバルベーラダルバ2015年はインタビューの1週間後に改めて飲みましたが、非常に滑らかな旨み溢れる液体に変化していました。バローロ、バルバレスコだけではない老舗の「ブレない凄み」をまざまざと見せつけられました。

改めて飲んでその素晴らしさを再確認した「ピオチェーザレ」のワイン。次期当主フェデリカさんのこれからの手腕も非常に楽しみです。ピエモンテを知る上で是非飲んで頂きたい生産者です。

ピオ チェーザレ社フェデリカピオさんとトスカニースタッフ
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