ブルネッロの世界的名声を築いた偉大な名門バルビ

突撃インタビュー
2016年11月1日 ファットリア バルビ社 ラファエラ グイディ フェデルゾーニ氏

元祖スーパートスカン「ブルスコ デイ バルビ」を誕生させたブルネッロを代表する偉大なファットリア デイ バルビ

バルビ社ラファエラ グイディ フェデルゾーニ氏と
1352年(日本では室町時代)に既にモンタルチーノにブドウ畑を所有していたシエナの貴族コロンビーニ家によって1790年に設立されたファットリア デイ バルビ社。1892年、ビオンディ サンティとほぼ時を同じくして、初めてブルネッロ ディ モンタルチーノのボトリングを開始しました。それ以降、現在に至るまでブルネッロの世界的名声を築き上げる事に多大なる貢献をしてきました。1960年代から有機肥料を使い始め、1968年にはイタリア初の単一品種グラッパ「グラッパ ディ ブルネッロ」を手掛ける等、いつの時代においても常にブルネッロの新しい可能性を示し、数多くの生産者から指標として尊敬され続けている偉大な存在です。トスカーナのみならずイタリアワイン界をリードする高貴なブルネッロ、ファットリア デイ バルビ社の輸出部長であるラファエラ グイディ フェデルゾーニ氏にお話を聞きました。

1790年設立のファットリア デイ バルビ

バルビ1892シエナ出身の一族で銀行家として財を成したコロンビーニ家
ファットリア デイ バルビは1790年に設立されました。シエナ出身の一族で銀行家として財を成したコロンビーニ家は1352年から現在まで約7世紀にわたってモンタルチーノでブドウ畑を所有している歴史的な一族です。1892年、ビオンディ サンティらとほぼ時を同じくして、初めてブルネッロ ディ モンタルチーノのボトリングを開始、以降ブルネッロの世界的名声を築き上げる事に多大なる貢献をしてきました。現存するボトルこそ少ないですが、当時のコンクール等での多数の受賞記録が残っています。ちなみにビオンディサンティが初めてブルネッロをボトリングしたのは1880年で、ともにブルネッロの創成期を経験しているカンティーナです。

 

「小さな鳩」を意味するコロンビーニ家の紋章
バルビロゴ
家名のコロンビーニとは「小さな鳩」を意味しています。既に1200年代にコロンビーニ家の紋章が小さな鳩であると記した文献が発見されています。バルビのブルネッロには小さな鳩が描かれており、コロンビーニ家を象徴する欠かせないトレードマークとなっています。ブルネッロとはbruno(黒)から付けられた名前です。モンタルチーノ内でボトリングされた赤ワインの総称として何世紀も前から使われてきました。1960年に「ブルネッロディモンタルチーノ」としてDOC、1980年にDOCGに昇格しました。

ビオンディサンティらとともにブルネッロを世界に知らしめたジョヴァンニ氏

ジョヴァンニ コロンビーニ氏モンタルチーノ市長も務めたジョヴァンニ コロンビーニ氏
先々代のオーナーで祖父にあたるジョヴァンニ コロンビーニ氏はブルネッロの歴史を語るうえで欠かせない重要な人物でした。彼は10年間、モンタルチーノの市長を務めた程の影響力を持つ人物でした。

 

イギリス王室や各国大使に販売されたブルネッロ
1900年代に入ってジョヴァンニ氏やビオンディ サンティらの努力によってボトリングされたブルネッロはイタリアのみならず、世界的に広まりつつありました。コロンビーニ家は主にイギリス王室や各国の大使等にブルネッロを販売していました。

 

戦後ブルネッロの黎明期を支えてきた一族がモンタルチーノを去る事に
しかし、時代は第ニ次世界大戦に突入し、私たちのワイン造りも一時期途絶えてしまいました。終戦後、町は復興しつつありましたが、新たな生活を求め都市部に移る人々が急増しました。ブルネッロの黎明期を支えてきたいくつかの一族もモンタルチーノを去る状況になりました。戦前は経済的に豊かであったモンタルチーノから人がいなくなり町の様相は一変しました。

 

畑モンタルチーノの新しい可能性を常に示し続ける
コロンビーニ家はモンタルチーノに残り、ワイン造りにその力の全てを注いでいくことを決意しました。畑、カンティーナ、従業員の住まいから皆が食事出来るレストラン「タヴェルナディバルビ」を造り、残った従業員が皆で力を合せてワイン造りに注力していきました。1960年代からは、いち早く環境を考慮した有機肥料を使い始め、1968年にはイタリア初の単一品種グラッパ「グラッパ ディ ブルネッロ」を手掛けました。1970年代に入るとアメリカに輸出を始めるようになりました。7世紀も続くコロンビーニ家の伝統は、バルビのワイン造りにおける革新の連続により引き継がれる事になります。他の生産者からも尊敬の念を集めるバルビはモンタルチーノの新しい可能性を常に示し続けた、真に偉大な生産者と言えます。

サッシカイアより先に存在した「スーパートスカン」

ブルスコディバルビイタリアの元祖スーパトスカンと呼ばれたワイン
ブルネッロと共にバルビの名を世界に知らしめたワインが「ブルスコ ディ バルビ」です。
1969年に著名なワイン評論家で『ヴェロネッリ』の創始者である故ジーノ ヴェロネッリ氏がこのワインを試飲し、ブルネッロらしさがありながらも極めて飲み心地の良いトラディショナル造りのワインで、その斬新なスタイルから「スーパートスカン」という当時誰も使っていなかった新しい言葉で表現したのが発祥です。
(1978年、英デカンター誌のブラインドテイスティングでシャトーマルゴーを抑え、一躍世界的な名声を得て、熱狂的なブームを引き起こしたサッシカイアがスーパートスカンと本格的に呼ばれ始めたのは1980年代に入ってからの事です)
『ヴェロネッリ』創始者が1969年に名づけた元祖スーパートスカン!
ブルスコ デイ バルビ2014
1969年に著名なワイン評論家で『ヴェロネッリ』の創始者である故ジーノ ヴェロネッリ氏がこのワインを試飲し、ブルネッロらしさがありながらも極めて飲み心地の良いトラディショナル造りのワインで、その斬新なスタイルから「スーパートスカン」という当時誰も使っていなかった新しい言葉で表現したのが発祥です。

 

試飲コメント:スミレやプラムの心地良くスマートで綺麗な香りが印象的です。滑らかなタッチで広がるみずみずしい果実感、伸びのある酸味、しなやかなタンニンが感じられます。ブルネッロのようなスケール感、派手さはありませんが、標高の高いエリアの女性的なキャンティクラシコを彷彿させるエレガンスに溢れています。トマトソースやお肉料理といった食事との相性の良さがあります。

ブルスコ デイ バルビ2014
ボトル10年熟成も可能!幅広く食事と楽しめる秀逸ロッソ!
ロッソ ディ モンタルチーノ2013
ブルネッロに使う若樹のサンジョヴェーゼを使用して造られるのがロッソです。ブルネッロとは違うフレッシュな魅力を持ちますが、10年近いボトル熟成も可能です。食事とも幅広く楽しめラビオリ、ラザニア、煮込み肉料理、魚料理にも合わせられます。

 

試飲コメント:チェリーやラズベリーの赤い果実のイキイキとした香りに、ミントやユーカリ、ミネラルの清々しいニュアンスが綺麗に重なります。トマトを使った料理や赤身肉料理、魚料理にも相性が良いです。

ロッソ ディ モンタルチーノ2013
ブルネッロの老舗バルビが真に輝きを放つ魅力的な2010年!
ブルネッロ ディ モンタルチーノ2010
バルビにとって一番重要なブルネッロで『青ラベル』と呼んでいます。3年間の大樽熟成の後ステンレスタンクへ移し品質を安定させてから瓶内熟成を経てリリースします。2010年は素晴らしい年で落ち着くまで時間がかかりました。今ようやく安定してきています。ゆうに30年は熟成出来るワインです。

 

試飲コメント:ダークチェリーやプルーンの力強さに甘草やタバコ、スパイスのニュアンスが混じりあう豊かな印象です。密度のある果実感と奥行きを感じるスケール感、サンジョヴェーゼ特有の酸味とタンニンを感じます。今飲んでも十分に楽しめますが、10数年寝かせて飲み頃を迎えた時のバルビのブルネッロが奏でる滑らかな質感、旨味、エキス分が見事に凝縮された風味と癖になる心地良い酸味は忘れがたい印象を残します。

ブルネッロ ディ モンタルチーノ2010
多様な香りが層を成す張り詰めた美しさ!良年のみ生産のリゼルヴァ
ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ2005
リゼルヴァは良年のみ生産します。生産量はバルビのブルネッロ全体の僅か5%のみです。リゼルヴァはノーマルブルネッロよりもっとゆっくりと販売していきます。2005年のリゼルヴァは2010年の7月にボトリングしました。エレガンスに富み、複雑性があります。」

 

試飲コメント:レッドチェリーやプラムスパイスと、タバコ、甘草の複雑な要素が混じり合うう力強い香りです。飲むと、古典的ブルネッロの味わいの魅力を堪能できる深い味わいがあります。中盤から後半にかけて広がる豊かな風味が長く残ります。あと数年もすると、味わいも円やかに成熟していきます。

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ2005
インタビューを終えて
1998年からバルビ社で働くラファエラ女史はコロンビーニ家と1985年から付き合いがあり、コロンビーニ家の偉大な歴史の細やかな部分を丁寧に紹介してくれました。イタリアでは「卵が先か?ニワトリが先か?」という言葉と同じく「ブルネッロが先か?バルビが先か?」という表現がある程。ブルネッロの歴史を語る上ではバルビは欠かす事の出来ない生産者です。バルビが造るノーマルのブルネッロ2010年『ジェームズサックリング』で96点のハイスコアを獲得していますが、20万本もの莫大な生産量です。裏を返すと、20万本という途方もない本数を世界最高レベルのワインに仕立てる素晴らしいブドウ畑とカンティーナを有しているという事になります。歴史の深さだけではない、他の追随を許さない圧倒的なバルビの凄みをまざまざと見せつけられたとても興味深いインタビューとなりました。
バルビ社ラファエラ グイディ フェデルゾーニ氏とトスカニースタッフ
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