イタリア屈指の白ワイン銘醸地フリウリ・コッリオで90年続く家族経営ワイナリー!ポンカ土壌の特徴を表現する単一品種ワインをノンマセラシオンで造り続ける「ヴェニカ エ ヴェニカ」

2019/11/12
  突撃インタビュー
 
2019年10月9日 ヴェニカ エ ヴェニカ社 ジャンパオロ ヴェニカ氏

イタリア屈指の白ワイン銘醸地フリウリ・コッリオで90年続く家族経営ワイナリー!「ロンコ デッレ メーレ」「ロンコ デッレ チメ」などコッリオの優れた単一畑の偉大なクリュワイン、ポンカ土壌の特徴を表現する単一品種ワインをノンマセラシオンで造り続ける「ヴェニカ エ ヴェニカ」

ヴェニカ エ ヴェニカ
ヴェニカ エ ヴェニカは1929年フリウリ ヴェネツィア ジュリアに創業した家族経営ワイナリー。創業以来90年、ヴェニカ家の当主が醸造を担当。今やイタリア白ワインを代表する造り手に成長しました。フリウリ特有のポンカ土壌の個性と品種の個性を引き出すことを大切にし、フリウリ自然派の代名詞でもある長期マセラシオンは一切行わない醸造を貫きます。4代目当主ジャンパオロ ヴェニカ氏にワイン造りへのこだわりをお聞きしました。

ヴェニカエヴェニカ4代目当主ジャンパオロ氏4代目オーナー、ジャンパオロ ヴェニカ氏
1929年創業のヴェニカ エ ヴェニカ4代目オーナー。20歳の頃からワイン造りに本格的に取り組み、イタリアだけでなく、コントラフォン等、ブルゴーニュでも学ぶ。ビオディナミに精通し、父親からワイナリーを引き継ぎビオロジックを導入。醸造は父ジャンニの時代と全く変わらないが、ワインは力強さを増している。

オーストリアとイタリア。2つの国の間で揺れ動いたフリウリ・コッリオで1929年創業。最初に自社詰めを始めた5つのうちのひとつ

フリウリの地図ヴェニカエヴェニカはフリウリヴェネツィアジュリア州のスロヴェニアとの国境にあるドレーニャデルコッリオにあるワイナリーです。現在カンティーナがあるのは第1次世界大戦中はオーストリア領でした。そこに畑を持っていた祖父のアデルギはオーストリアの兵士としてイタリアと戦い、戦争後イタリア領となったため手放すことを余儀なくされました。そして1930年に再びこの土地を買い戻し、ワイン造りを始めました。

当時は誰もが貧しく、ワインだけでは生計を立てることはできなかった時代です。ブドウ以外に野菜も造り、季節ごとに違う作物を育てていました。ワインはもっぱら栄養源として造っていましたが、祖父はトラットリアを経営し、そこでもワインを売っていました。

祖父は、お金を貯めては畑を少しずつ買い足しました。そのため畑の場所はバラバラで、スロヴェニアとの国境沿いに北のドレーニャデルコッリオから南東のサンフロリアーノデルコッリオにかけて60か所ぐらいに散らばっています。

1970年代からボトリングを始めました。私たちは自社詰めを始めた最初の5つのうちの一つです。自社詰めをしていたのはマルコフェッルーガ、リヴィオフェッルーガ、イエルマンなど、100ヘクタールを超える畑を持つ大規模なところがほとんどですが、私たちは35ヘクタールほどの小規模なワイナリーです。

フリウリ・コッリオの土壌「ポンカ」の個性をワインにダイレクトに表現したい

ヴェニカエヴェニカ土壌コッリオのワインを語る上で、ポンカ土壌は非常に重要です。ポンカはフリウリにしかない土壌です。コッリオは大昔は海だったところで、それが隆起した土地の海面部分にあたります。浅い海が長い間に堆積し泥灰土土壌が形成されました。粘土や石灰で造られ、固い土ではなく、比較的崩れやすい特徴があります。

何千年もの間に土地が動き隆起と沈下が繰り返されたので場所によって様々な方向に地層がねじれて存在しています。土壌に含まれる岩には空気の穴があり、ブドウの根が伸びてその中に入っていくのがポンカの特徴です。ミネラルを含んだ岩石に根が入っていき、ブドウにミネラルを与えるのです。

このポンカ土壌はその場所場所によって性質が違います。だからこそそれぞれの土地固有の特徴をワインにダイレクトに表現したいと考えています。造る人の個性ではなく、土地の個性を表現したいのです。

そのため、できるだけ化学的なものは使わないようにしています。畑は6~7年前からビオディナミに切り替えました。醸造ではSO2を極力少なくしています。法律上、最大200mg/リットルのところ、50mg/リットルに抑えています。ワインの酸化を防ぐためにはどうしても亜硫酸の力も必要ですが、味に影響を与えます。そこで、発酵中に発生する二酸化炭素を再利用するという方法を2002年から取り入れました。発生した二酸化炭素をタンクに入れ、モストと酸素が接触するのを防ぐという方法です。

私たちは、土地の個性を表現すること、そして品種の個性を表現することを最も大切に考えています。単一品種のワインであっても、なかなかその差が出ていないというワイナリーも見られますが、私たちは土地と品種の個性をリスペクトすべきだと思います。過度なマセラシオンでその個性が見えてこないワインもあり、残念に思います。マセラシオンを否定するのではなく、うまくやれば素晴らしいワインになります。ただ、昨今の傾向で「マセラシオンしたワイン=自然派」と解釈されることには問題があると考えます。

 

2つの優れた単一畑「ロンコデッレチメ」と「ロンコデッレメーレ」

ロンコデッレチメ
ヴェニカエヴェニカを代表する2つの単一畑が「ロンコデッレチメ」と「ロンコデッレメーレ」です。ロンコとはフリウリ地方で「丘」という意味です。

チメは、トップ、頂上という意味。つまりロンコデッレチメは「丘の頂上」という言葉になります。標高200mの北西向き斜面のフリウラーノから造ります。丘の上のブドウは熟す時期が違い、特に古い樹齢のものだとその差は顕著です。ただ、この畑の素晴らしいのは特に何もしなくてもブドウはしっかりと成熟してくれます。

ロンコデッレメーレとは「リンゴの丘」という意味です。昔、ここには1000本以上のリンゴの木を育てていましたが、戦争中に爆撃されて4ヘクタールあった畑が半分以下になってしまいました。ブドウとリンゴがずっと一緒に育っていた畑になります。

近年、ロンコデッレメーレの土壌を調査した結果、非常に素晴らしい特徴があることが分かりました。長い間、1つの畑で複数の作物を育てていたことが土壌によい影響をもたらしているのです。バイオダイバーシティの大切さを改めて感じました。

ロンコデッレメーレ

単一品種で造る5つのワインをブラインドテースティング

ヴェニカエヴェニカ比較試飲今日は、ヴェニカ エ ヴェニカの単一品種ワインのうち、スタンダードラインの、アロマティック品種以外の5つをブランインドで飲んで頂きます。当たらなくても全然気にしないでください。私もたまに自宅でブラインドで飲みますが、外すこともあります(笑)。

1つ目は「フリウラーノ」でした。トーストしたほろ苦いアーモンドのニュアンスが特徴です。酸がまろやかで甘みも感じますがもちろん辛口です。フリウラーノは若い樹齢はグリーンのニュアンスが強くなるのですが、このフリウラーノは樹齢20年以上あるのでそれは感じません。

2つ目は「ピノビアンコタリス」でした。タリスとはタンポポという意味です。春、タンポポの葉をサラダにして食べるのですが、ピノビアンコのほろ苦さによく合います。花のアロマ、きりっとした酸が特徴です。かつてシャルドネと似ていると言われていましたが全然違います。ピノビアンコは粒と粒が密接して病気になりやすいので東向き斜面にだけ植えています。

3つ目は独特の色をしているのですぐにわかりましたよね。「ピノグリージョ」です。果皮の色がすぐに出るので4時間程度のマセラシオンでこの色になります。多産なので1本から10kg造る生産者もいますが、私たちは1本から1kgと、非常に低収量で造っています。

4つ目は「リボッラジャッラ」でした。リボッラジャッラは粒が大きく、凝縮感があまり出ないため、酸をより強く感じます。マセラシオンを長くすると香りがはっきり出やすいのでする人は多いのですが、私たちはやっていません。どちらかというと、ミュスカデのようなカキにあうワインにしています。

最後は、これは唯一樽を使っているのでこちらもわかったかと思いますが「シャルドネ」です。

5品種飲んで頂きましたが、それぞれの品種が持っている個性のバランスを保つワインにすることが一番重要だというのがヴェニカ エ ヴェニカの考えです。

まろやかな酸とほろ苦さが特徴のフリウラーノ
フリウラーノ コッリオ2018
トーストしたほろ苦いアーモンドのニュアンスが特徴です。酸がまろやかで甘みも感じますがもちろん辛口です。フリウラーノは若い樹齢はグリーンのニュアンスが強くなるのですが、このフリウラーノは樹齢20年以上あるのでそれは感じません。

試飲コメント:まろやかな酸が心地よい果実味にとけこんだやさしい味わい。程よい甘みのある飲みやすい美味しさ。

フリウラーノ コッリオ2018
クリーンな果実味とキリットした酸のピノビアンコ
ピノ ビアンコ コッリオ タリス2018
タリスとはタンポポという意味です。春、タンポポの葉をサラダにして食べるのですが、ピノビアンコのほろ苦さによく合います。花のアロマ、きりっとした酸が特徴です。かつてシャルドネと似ていると言われていましたが全然違います。ピノビアンコは粒と粒が密接して病気になりやすいので東向き斜面にだけ植えています。

試飲コメント:クリーンな花やリンゴなどの果実のニュアンス。しっかりとしたストラクチャーのある味わいでキリットした酸が効いている。

ピノ ビアンコ コッリオ タリス2018
美しい銅色が特徴のピノグリージョ
ピノ グリージョ コッリオ ジェセラ2018
独特の色(ラマート)が特徴のピノグリージョです。果皮の色がすぐに出るので4時間程度のマセラシオンでこの色になります。多産なので1本から10kg造る生産者もいますが、私たちは1本から1kgと、非常に低収量で造っています。

試飲コメント:銅色を帯びた淡いオレンジ。心地よい苦みとコクのある辛口。

ピノ グリージョ コッリオ ジェセラ2018
上品なアロマとしっかりした酸のバランスの良いリボッラジャッラ
リボッラ ジャッラ コッリオ ラデルキ2018
リボッラジャッラは粒が大きく、凝縮感があまり出ないため、酸をより強く感じます。マセラシオンを長くすると香りがはっきり出やすいのでする人は多いのですが、私たちはやっていません。どちらかというと、ミュスカデのようなカキにあうワインにしています。

試飲コメント:花や草花の繊細で好ましい上品なアロマ。程よいボディの辛口で独特の酸と苦みが心地いい。

リボッラ ジャッラ コッリオ ラデルキ2018
程よい樽のニュアンスが果実味と調和するシャルドネ
シャルドネ コッリオ ロンコ ベルニッツァ2018
ブラインドテイスティングをした5本の中で、唯一樽を使っているのが「シャルドネ」です。一部大樽で発酵、熟成させています。

試飲コメント:熟した果実と甘やかな花の香り。酸と果実の調和がとれた、まろやかで厚みのある味わい。樽のニュアンスが強すぎず、フレッシュさも感じられる。

シャルドネ コッリオ ロンコ ベルニッツァ2018
印象的なミネラルとフルーティーさが味わえるマルヴァジア
マルヴァジア コッリオ ペトリス2018
マルヴァジアにはたくさんの亜種があります。ここで造っているのはマルヴァジアイストリアーナという、あまりアロマティックではないタイプのものです。ギリシャからアルバニア、そしてクロアチアから1200年代にフリウリにもたらされました。

モモやアプリコットのアロマとスパイシーなニュアンスの香り。飲むとグリーンや花のトーンが広がるやわらかな味わい。塩気のあるミネラルが印象的。

試飲コメント:モモやアプリコットのアロマとスパイシーなニュアンスの香り。飲むとグリーンや花のトーンが広がるやわらかな味わい。塩気のあるミネラルが印象的。

マルヴァジア コッリオ ペトリス2018
豊かなアロマが際立つ冷涼な土地に育つトラミネールアロマティコ
トラミネール アロマティコ コッリオ2018
トラミネルアロマティコの畑はフリウリの中でも冷涼な場所にあります。2018年は2003年の猛暑に匹敵するぐらいの暑さでしたが、非常に香りが豊かなものになりました。これほどの高いアロマはアルトアディジェぐらいでしかできないのではないかと思います。

試飲コメント:品種の個性を感じるくっきりとした華やかな香り。なめらかな口当たりながらしっかりとしたコクも感じられる。

トラミネール アロマティコ コッリオ2018
複数の畑をブレンドし深みを出したソーヴィニョン
ソーヴィニヨン コッリオ チェロ2018
12か所に分かれている畑のソーヴィニョンをブレンドしています。収穫時期も1カ月ほど異なります。それぞれに特徴が違うのでこれをブレンドすることで深みを出したいと考えています。

ソーヴィニョンの個性を表現するために醸造はステンレスタンクだけで行っています。

試飲コメント:落ち着きのあるエレガントなアロマ。まろやかな口当たりの柔らかさと心地よいヴェジタブルなニュアンスのある美味しさ。

ソーヴィニヨン コッリオ チェロ2018
“丘の頂上”という名の単一畑に育つクリュフリウラーノ
フリウラーノ コッリオ ロンコ デッレ チメ2018
ロンコは丘、チメは、トップ、頂上という意味。つまりロンコデッレチメは「丘の頂上」という言葉になります。標高200mの北西向き斜面のフリウラーノから造ります。丘の上のブドウは熟す時期が違い、特に古い樹齢のものだとその差は顕著です。ただ、この畑の素晴らしいのは特に何もしなくてもブドウはしっかりと成熟してくれます。

試飲コメント:繊細で複雑な果実のアロマ。心地よいミネラルがエレガントな果実味と調和した飲み心地抜群のフリウラーノ。

フリウラーノ コッリオ ロンコ デッレ チメ2018
“リンゴの丘”という名前の単一畑。力強いソーヴィニョン
ソーヴィニヨン コッリオ ロンコ デッレ メーレ2018
ロンコデッレメーレとは「リンゴの丘」という意味です。昔、ここには1000本以上のリンゴの木を育てていましたが、戦争中に爆撃されて4ヘクタールあった畑が半分以下になってしまいました。ブドウとリンゴがずっと一緒に育っていた畑になります。

試飲コメント:ソーヴィニョンらしいはっきりとした強い香り。味わいも濃密で、果実由来の甘みをより強く感じられる。

ソーヴィニヨン コッリオ ロンコ デッレ メーレ2018
フリウリの地に適したエレガントなメルロー
メルロー コッリオ2017
フリウリはナポレオンが通過した場所。そのおかげでフランス品種がフリウリに残されました。フリウリの緯度はほぼボルドーと同じです。実はフリウリの人は赤をよく飲むんですよ。

フリウリは10月によく雨が降るので、メルローなど早熟で9月に収穫するブドウに向いています。一方フリウリの赤の土着品種にとっては難しい面があります。フリウリは年間雨量がイタリアの中でも多く、そのため無農薬で栽培するのが難しい土地です。

試飲コメント:酸と果実のバランスが美しくまとまっているエレガントなメルロー。後味に残るコクが印象的。

メルロー コッリオ2017
完熟したカベルネフランで造るバランスのとれた赤
カベルネ フラン コッリオ2017
9月最終週に種子まで完璧に熟した状態で収穫しています。

試飲コメント:ヴェジタブルなニュアンスと心地よいボディ。若干まだ若い印象ながらバランス良くまとまっている。

カベルネ フラン コッリオ2017
野性味と凝縮した果実。ボリューミーながら飲みやすいレフォスコ
レフォスコ ペドゥンコロ ロッソ ボッタ2013
フリウリの土着品種レフォスコはどこか、土臭いと言いますか、そんなブドウです。遅摘みで、寒い時期に収穫しています。とても強い品種なのでSO2の量も非常に少なくて済みます。個性的なブドウですが、凝縮感とボリュームも出せています。

試飲コメント:野性味も感じられるが、凝縮した果実味があり、ボリューミー。飲みやすさもあるレフォスコ。

レフォスコ ペドゥンコロ ロッソ ボッタ2013
インタビューを終えて

今、脚光を浴びているフリウリ自然派白は長期マセラシオンによる「褐色の白」。そしてヴェニカ エ ヴェニカはテロワールと品種の個性を表現するために長期マセラシオンをしないというポリシーを貫いています。マセラシオンに反対するのではなく、自分たちのワインのスタイルとしてやらない。そうして造られるヴェニカ エ ヴェニカの白はピュアで優しい果実味が心地よい強さとなって表れる、洗練された味わいになっていると感じました。

スタンダードラインの5つの単一品種白のブラインドテースティングも非常に興味深かったです。個性の強いピノグリージョとシャルドネ以外は、その差は繊細。でも、ヴェニカ エ ヴェニカとしての品種の特徴の説明を聞いて再度試飲することでその繊細な味の違いを感じ取ることができるので、ぜひ試してみて頂ければと思います。

ヴェニカ エ ヴェニカ
ヴェニカ エ ヴェニカのワインはこちら⇒
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒