世界の偉大な5人の醸造家!アルベルトアントニーニ氏が手掛ける高品質お値打ちシチリア「バーリョクラトロアリーニ」

2019/01/17
突撃インタビュー
 
2019年1月15日 バーリョ クラトロ アリーニ社 カルロ モンタルト氏

世界の偉大な5人の醸造家!アルベルトアントニーニ氏が手掛ける高品質お値打ちシチリア!「バーリョクラトロアリーニ」

バーリョ クラトロ アリーニ社 カルロ モンタルト氏と
バーリョ クラトロ アリーニ社は1875年創立、シチリアでは最も古い家族経営のマルサラの造り手です。現在は3代目であるロベルトとその息子リカルドが中心となってワイナリーを運営しております。マルサラの造り手ですが、スティルワインの生産にも力を入れており、「モダンな味わいかつ適正な価格の世界に通用するワインを造る」という目標を掲げ、エノロゴには『デカンター』誌で「世界の偉大な5人の醸造家」に選出された唯一のイタリア人、スーパートスカン「テスタマッタ」の産みの親であるアルベルト アントニーニ氏がワイナリーの全てのワインを手掛けています。天才醸造家が造る素晴らしいコストパフォーマンスのバーリョ クラトロ アリーニ社。セールスマネージャーのカルロ モンタルト氏にお話を聞きました。

生産の80%が輸出。海外での人気の高さを持つワイナリー

カルロモンタルト氏土地毎に異なる個性を反映した様々なワインが造られる「シチリア」
バーリョクラトロアリーニで20年務めています。2年に1回位は日本に来ています。バラエティ豊かなシチリアワインはワイン醸造においてはある種「パラダイス」のような場所とも言えますね。海岸沿い、内陸部、エトナ等、土地毎に異なる個性を反映した様々なワインが造られています。例えば、シチリアの土着品種であるカタラットはイタリア全土でみても生産量は第2~3位に位置する程、非常に多く栽培されているブドウです。イタリアは世界的にもトップクラス生産量を誇る国でありますが、その上位の生産量であるカタラットの約80%が西部シチリアで造られているのです。つまりシチリアの大部分の経済を支えているのが農業であり、ワインであると言えますね。

地図生産の80%が輸出。海外での人気の高さを持つ
バーリョ クラトロ アリーニはシチリア西部、マルサラ地区に位置するワイナリーです。1875年創立でシチリアでは最も歴史的な家族経営のマルサラを生産するワイナリーです。現在は3代目であるロベルトと息子のリカルドが中心となってワイナリーを運営しています。1975年の設立当時はもっぱらマルサラを造っていましたが、現在は赤白スティルワインも生産に力を入れていて、総生産本数は約300万本で、規模的にはシチリアで中規模クラスでしょうか。大規模ではないので、生産工程も全て自分達で管理が出来ています。造ったワインは国外輸出が主で生産の80%を輸出しています。もちろんマルサラも造っていて全体の約40%の生産量です。輸出が一番多い国はアメリカで、日本には輸出してもう15年以上になりますね。

50年前から先駆けて行ったモダンスタイルのワイン造り

集合

西部、中央部に五か所。合わせて140ヘクタールの畑を所有
所有する畑は140ヘクタールで西部マルサラエリアと中央部シチリアに大まかに分けて5ヵ所です。DOCマルサラエリアではインツォリア、カタラット、グリッロを、ジビッボはシチリア西部カンポレアーレ、シラー、カベルネソーヴィニョンの畑はシチリア西部トラパニに位置しネロ ダーヴォラの畑は中央シチリアのカルタニセッタ、クザティーノにあります。

ネロダーヴォラ畑標高が高く湖がある。ネロ ダーヴォラの成熟に適した環境
中央シチリアに所有するカルタニセッタ、クザティーノ地区の畑は標高が一番高い所で600メートルにもなるので、ゆっくりと成熟していくネロ ダーヴォラには適した環境と言えます。このエリアでネロ ダーヴォラ、そしてシラーを植えています。畑に近くに湖がある特殊なテロワールのおかげで暑くなり過ぎず、適度な湿度が保たれています。

50年前から先駆けて行ったモダンスタイルのワイン造り
マルサラを中心に造ってきた私達にとって大きな転機の一つが1970年にカナダのシーグラムグループから要請があり、イタリア国外向けにスティルワインを造る依頼があった事です。当時イギリスで最も販売力があったフランスワイン「ピアドール」に対抗できるようなラインナップです。シーグラムとのベンチャーで始まったワイン造りはカリフォルニア大学デイビス校出身のエノロゴであるラミュ氏がモダンなワイン造りを持ち込んでくれました。ブドウが熟しすぎない7~8月に収穫し、醸造に入る前にブドウを低温で保存する手法は当時イタリア国内でも珍しかったモダンスタイルのワイン造り。私達は50年前から先駆けてやっていました。シーグラムグループの提携はその後無くなりましたが、モダンスタイルの造りは今も続いています。

 

世界の偉大な5人の醸造家!アルベルトアントニーニ氏を招聘

アルベルトアントニーニ氏

世界の偉大な5人の醸造家!アルベルトアントニーニ氏を招聘
もう一つの転機が1990年後半に世界的醸造家アルベルト アントニーニ氏を招聘した事です。アルベルト アントニーニ氏はフレスコバルディ社やアンティノリ社で醸造家として活躍、さらにテスタマッタの生みの親として知られています。2015年7月『デカンター』誌においてDRCのオベール ド ヴィレーヌ氏、カリフォルニアリッジヴィンヤーズのポール ドレーパー氏、ワインコンサルタントのミシェルロラン氏、ブルゴーニュのジョルジュ ルーミエのクリストフ ルーミエ氏と並び「The World’s greatest winemakers」(世界の偉大な5人の醸造家)に選ばれています。アルベルトアントニーニ氏は今も私達と一緒にワイン造りを行っています。

シチリアの方言から名付けられたスタンダードライン「パッカモーラ」
バーリョ クラトロ アリーニでは上級ラインの「クラトロ アリーニ」、スタンダードラインの「パッカモーラ」、カジュアルラインの「ボルゴ セレーネ」と、顧客のニーズに合わせた3つの価格帯のワインを生産しています。

「パッカモーラ」とはシチリアの方言で「今」という意味があって、昔の農民がよく使っていた言葉です。その時々でそれぞれの人に大切な時がある時に使っていました。農民は朝早く起きて仕事に行きますよね。その時少し雲行きが怪しかったら「今はどうするべきか」考えますよね。その時に使う言葉がパッカモーラです。それから名付けられていて「今」を楽しむワインである事を指しています。

「温暖化の影響で年々収穫時期が早まっています」

インタビュー「温暖化の影響で年々収穫時期が早まっています」
シチリアでも温暖化の影響で年々収穫時期が早まってきています。2017年は9月中旬には全部の収穫が終わってしまった程です。ピエモンテのアンジェロガヤ氏が言った事なのですが「温暖化が進む中、生産者が何もしなかったら、ブドウは造れなくなるだろう。遺伝子的に温度変化にも耐えうるクローンのブドウを選別し栽培する事を考えていかなければならない。そうしないとピエモンテでバローロ、バルバレスコを造れなくなってしまうかも知れない」と。日本でも温暖化の影響で魚の収穫量に変動があるようですね。

「モダンな味わいかつ適正な価格の世界に通用するワインを造る」

洗練されたシチリア土着ワインとして掲載される等、「モダンな味わいかつ適正な価格の世界に通用するワインを造る」
バーリョ クラトロ アリーニは世界的な評価も高く『ワインアドヴォケイト』誌では「名前を覚えておく価値のある生産者」と称えています。『ワイナート』47号では洗練されたシチリア土着ワインとして掲載される等、「モダンな味わいかつ適正な価格の世界に通用するワインを造る」ワイナリーのポリシーが素晴らしい評価を受けています。

卓越した才能をワインの中に感じることが出来る
『ワインアドヴォケイト』#154
『マルサラの生産者だが、ネロ ダーヴォラの生産にも努力をしており名前を覚えておく価値のある生産者である』当ワイナリーのワインメーカーはトスカーナのアルベルト アントニーニであり、彼の卓越した才能をワインの中に感じることが出来る。

ワイナート47号洗練されたシチリア土着ワインのコンセプトとは?
『ワイナート』47号掲載(旧ワイナリ―名:ヴィラ トニーノにて掲載)
『そう!シチリアは気候に恵まれているからジャミーなワインになりやすいが我々は飲み心地のよいワインを造りたかったんだ。そして、もうひとつの目的はいろいろな市場に対応できるコストパフォーマンスのよいワインを造ること。また、長く同じ市場で販売できるようヴィンテージに左右されず、つねに安定したクオリティとスタイルを継承することも大事なんだ。』(掲載文章抜粋)

パッカモーラ グリッロ バーリョ 2016
パッカモーラ グリッロ バーリョ 2016


マルサラ北部DOCアルカモエリアで造られる白です。シチリアにあるDOCでも歴史の古いDOCです。カタラット種とグリッロ種で造り、ステンレスタンクで醗酵、熟成を行います。2016年は非常にフレッシュな状態で、力強いストラクチャーのワインではなく、飲み心地がとても良いワインです。白ワインのボトリングに関しては近年特に注力をしていて、先ほどお話した収穫時期もそうですが、収穫したブドウを酸化をさせないように、カンティーナ内でも空気との接触を極力避けています。
試飲コメント:淡く緑がかったペールイエロー。黄色や白色のフレッシュな果実香や花のエレガントかつ上品な香り。口中でも柑橘系のアロマが広がり、きれいな酸味やミネラルも感じられます。2016年は非常にフレッシュな状態で、力強いストラクチャーのワインではなく、飲み心地がとても良いワインです。

パッカモーラ インツォリア 2017
パッカモーラ インツォリア 2017


フルーティーでフローラル、イキイキとした酸も感じられます。インツォリアの特徴であるフローラルさ、柑橘系フルーツのニュアンスが感じられます。インツォリアは8月中旬に収穫しますが、マルサラ用に使うインツォリアは9月末~10月上旬にかけて糖度の高い状態で収獲します。
試飲コメント:西洋梨や白桃、パイナップルの果実味溢れるアロマが広がり、さらに透明感ときれいな
酸味がワインに上質さを加えています。シチリアの土地の個性を十分に引き出している白ワインです。

クラトロ アリーニ ジビッボ 2016
クラトロ アリーニ ジビッボ 2016


私達のワイナリーを代表するワインの一つです。エノロゴのアルベルトアントニーニ氏の特にお気に入りの一本でもあります。もちろんバーリョ クラトロ アリーニの全てのワインがお気に入りですけれども(笑)。ジビッボは古いアラブ語で「小さな果実」という意味があります。畑は西部イタリアに位置するカンポレアーレのガリアルデッラにあります。
試飲コメント:マンダリン、ローズマリー、オレンジ等地中海に育つあらゆる果実やハーブを連想させる香りが感じられます。香りは甘やかですが、スッキリとした辛口です。飲むと特徴的なオレンジを思わせる風味が広がってきます。2016年はとてもフレッシュで心地よい飲み心地で香りが豊かです。

パッカモーラ ネロ ダーヴォラ 2015
パッカモーラ ネロ ダーヴォラ 2015


フルーティーでジューシーなネロ ダーヴォラです。飲みやすく柔らかいボディが感じられます。パスタと一緒に楽しむには最適なワインです。肥沃で暑さもあるシチリアの地では、ある意味、簡単にブドウが成熟し、凝縮されていきます。私達はブドウを凝縮させ過ぎず、飲み心地の良さを大切にしています。凝縮したブドウから造る濃厚なワインは美味しくはなるのかもしれませんが、飲み飽きてしまいがちです。
試飲コメント:華やかかつあたたかみのある香りに、肉付きがよく雑味がないきれいな飲み口です。適度に心地よい酸味とタンニンの非常にバランスがよく、さらに驚くほど滑らかなフィニッシュが特徴。

パッカモーラ カベルネ ソーヴィニヨン 2016
パッカモーラ カベルネ ソーヴィニヨン 2016


南の温暖なエリアらしい特徴が出たカベルネソーヴィニョンです。パプリカやスパイスのニュアンスが香りに感じられます。しっかりとしたタンニンがあるのはネロダーヴォラとの決定的な違いです。カベルネソーヴィニョンらしいタンニンが特徴的なワインです。
試飲コメント:赤色系の果実香に、パプリカ、スパイスのヒントが感じられます。口中ではリッチな果実味がまろやかな酸と
力強いタンニンと共にバランスよく広がります。

クラトロ アリーニ ネロ ダーヴォラ 2014
クラトロ アリーニ ネロ ダーヴォラ 2014


中央シチリアに所有するカルタニセッタ、クザティーノ地区に畑はあります。標高は一番高い所で600メートルにもなるので、ゆっくりと成熟していくネロ ダーヴォラには適した環境と言えます。このエリアでネロ ダーヴォラ、そしてシラーを植えています。畑に近くに湖があるテロワールのおかげで暑くなり過ぎず、適度な湿度が保たれています。
試飲コメント:紫がかった濃いルビー。
ブラックベリーや赤色果実、チョコレートなどの香り。
濃厚な果実味の中にスパイスのニュアンスも感じられます。
タンニンは滑らか。酸も非常に綺麗に感じられエレガントな味わいです。
バリックで9~10カ月間熟成をさせています。過去『ワインスペクテーター』でTOP100にも入ったワインです。
インタビューを終えて
世界の偉大な5人の醸造家アルベルトアントニーニ氏が手掛けるスタンダードライン「パッカモーラ」の完成度の高さを改めて知るインタビューとなりました。日本ではトラットリアやレストランを中心に安定した人気を誇るシリーズで、ヴィンテージに左右されない抜群の安定感がありました。1000円台で見逃せない素晴らしいコストパフォーマンスを持つデイリーユースに最適なシチリアワインです。

上級ライン「クラトロ アリーニ」のジビッボ、ネロ ダーヴォラは品質の高さと美しいボディバランスが共存し、こちらも2000円台前半とは思えない出来映え。「モダンな味わいかつ適正な価格の世界に通用するワインを造る」バーリョ クラトロ アリーニ。重すぎない味わいが癖になりそうなシチリアワインです。是非お試しください。

バーリョ クラトロ アリーニ社 カルロ モンタルト氏とトスカニースタッフ
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