自然派ワインの先駆者「ヴィナイオータ」太田久人氏に聞く自然派トスカーナ「パーチナ」Part2

2018/09/06
突撃インタビュー
 
2018年5月16日 ヴィナイオータ 太田 久人氏

自然派ワインの先駆者「ヴィナイオータ」太田久人氏に聞く!
歴史的農法を守り抜く自然派トスカーナ「パーチナ」Part2

ボトル
ラ ビアンカーラ、マッサヴェッキア、フランクコーネッリッセン、ヴォドピーヴェッツ、カーゼコリーニらを始め綺羅星の自然派ワイン生産者を輸入するインポーター「ヴィナイオータ」さん。「自然派ワイン」というフレーズが無いに等しかった20年前から、情熱をもった造り手達を訪ね、ブドウ本来の豊かな味わいが詰まったナチュラルなワインを日本に紹介する先駆者的存在です。今回ヴィナイオータの太田 久人氏に歴史的農法を守り抜くトスカーナの自然派「パーチナ」を試飲しながら、太田氏とパーチナの出逢い、ワイナリーの歴史、生態系を尊重したパーチナのワイン造り、パーチナのこだわりが詰まった素晴らしいワインのエピソードについてお話を聞きました。

Part2ではパーチナのワインを試飲しながら、それぞれのワインの特徴とそれに寄り添う興味深いエピソードについて、太田氏にたっぷりとお話を聞きました。

「パーチナの白は、僕がけしかけた事で産まれたワイン」

試飲ワイン:パクナ ビアンコ(2014/2015)

実は売る予定の無いワインだった「パクナビアンコ」
パクナビアンコパクナビアンコは120本程販売させて頂き致しました。実は会社の方針としては売る予定の無いワインだったんですね。なぜかというと、200本パーチナからプレゼントされたんですよ。特にパーチナの白に関しては、彼らが自家用で100~200本造っていたワインを僕がいたく感動して「これ!日本に分けてよ!」と言ったことがきっかけで始まったんです。

元々彼らは甘口のヴィンサントを造っていた訳なんですが、ヴィンサントってブドウを陰干しするじゃないですか。ある意味「凝縮感」は否が応でも出てしまうので、だったらヴィンサントには樹齢が若いブドウ樹でもいいんじゃないかと考えるようになったんです。

「元々パーチナの白は、僕がけしかけた事で産まれたワイン」
だったら、樹齢30~50年の深みのあるブドウを使ってヒサトが好きな辛口の白を造るのはアリなんじゃないかと考えてくれるようになったんですね。僕がリクエストしてから白の0.5ヘクタールのヴィンサント用の区画を造って、生産体制になったらリリースしようと。それが「チェッレッティーナ」という白ワインです。元々パーチナの白は、僕がけしかけた事で産まれたワインなんです。これはヒサトにプレゼントするものなの」と。変な言い方ですけど、僕に感謝してくれて造ったワインがパクナ ビアンコです。

Q.美味しいですね。豊かなコクがありますね。陰干しをしているのですか?

陰干しは一切していません。中身はトレッビアーノマルヴァージアの樹齢の古いブドウの2013、2014年がブレンドされているスペシャルキュヴェです。通常の白「チェッレッティーナ」と違うのは、ヴィンサント等を熟成させる80リットルくらいの小さな樽で熟成させたもので、酸化防止剤完全無添加でボトリングされています。2013年が揮発酸が高くなってしまった事、2014年が強い年ではなかった事の2つのヴィンテージの特徴を上手くブレンドする事で造られたワインです。より辛口に造る事で、ブドウそのものの情報量が多い方が良いのではないかという点でも造られています。

太田氏白試飲「トスカーナにサッサイア見つけた!」位の気持ちになりましたね(笑)
イタリアではかつて生産量が赤9:白1位の割合の時もあったと聞いています。赤が圧倒的に多い時代があったと。その名残もあるのかどうか分かりませんが、イタリアの白ワインでコストパフォーマンスの良いものを見つけるのが難しいと感じています。赤ワインに関しては値段からしてクオリティのあるワインを見つける事は各エリアで出来たのですが、白ワインに関してはどうしてこんなに難しいのだろうと実感した事があります。

白ワイン「チェッレッティーナ」が、今や一瞬で無くなってしまう状況に
それは元々赤と白の生産量が全然違っていたという事に気づく訳です。それ以降はとある価格帯の白に関しては常に探しているような状況です。そんな時にパーチナが造るテーブルワインが僕からしてみたら「完全にストライク」な訳で。ある意味、「トスカーナにサッサイア見つけた!」位の気持ちになりましたね(笑)「じゃ、白ワインやろうよ!」と。「やってやって」と後押しするところから始まった白ワイン「チェッレッティーナ」が、今や一瞬で無くなってしまう状況に。僕の事を立ててくれて、今や生産量の半分を持つことになりました。

Q.オレンジワインについて、なかなか形容しづらい部分もありますが?

オレンジワインと言い始めたのはとあるアメリカ人、若しくはイギリス人という話です。オレンジワインで最も代表的な造り手をもし仮に挙げたとしたのなら、ヴィナイオータが扱っている生産者が幾つか出てくるとは思います。

それはラディコンであり、グラウヴネルであり、マッサヴェッキアでありと。しかし「オレンジワイン」という言葉は僕自身はあまり言葉として好きでは無くて、、、それこそヴィナイオータが扱う、とある生産者が言うには「白に女装した赤ワインだ」と。赤の特性を持った白ワインという事ですね。

醸し「皮ごと発酵させた方がスムーズに醗酵が進む事も体感的に会得していったのではないかと」
元々のワインの造り始まりの事を考えた時に、最初からブドウジュースだけで造る事って技術的に難しかったと思うんですね。なぜかと言うと、収穫仕立てのブドウはある程度ハリがありますから、人力によってブドウを潰す作業も今のプレス機を使うような搾り取り率は明らかに無かったと。

ですけど、最初の段階でブドウを軽く足で潰して、桶の中で醗酵させると、ある程度醗酵が進むと、ブドウの皮もモロくフニャフニャになってきます。その後搾ろうと思ったら、結構搾れたんじゃないかと。多かれ少なかれ、とある期間の間ブドウの皮ごと浸っている状況は白ワインであれ赤ワインであれ、そうしていたんじゃないかと思うんですね。ワイン自体を安全な水分として考えた際に、出来る限り搾り取りたかったんじゃないかと。あと、皮ごと発酵させた方がスムーズに醗酵が進む事も体感的に会得していったのではないかと思うんですね。

樽醗酵、樽熟成のロゼ「ラ ローザ」、艶やかな雰囲気「イル セコンド」

試飲ワイン:ラ ローザ ディ パーチナ 2015

赤ワインのクオリティを維持する為に産まれたロゼ
ローザ試飲初めて造られたのが2009ヴィンテージからになります。2009年はとても暑い年となりました。ステファノが、とある区画のブドウが果肉に対してものすごく果皮が薄いことに気づくのです。普段であればサンジョヴェーゼでもっとしっかりとした厚みのある皮のブドウが出来る所、とある区画のブドウは皮がとても薄い印象を受けたらしいんですね。

そのブドウをいつも通りに醸してしまえば、普段パーチナが持つ「凝縮感、タンニン」みたいなものが出来ないんじゃないかと。それで収穫したブドウをタンクに一晩入れて、タンク下のバルブを開けて、約1000リットル位のジュースを外に出しました。皮の量に対してジュースの量を減らしたことで、(フランスではセニエって言いますが、)皮の割合を高めようとしました。

樽醗酵、樽熟成でリリースされるロゼ
その際抜いた1000リットルの果汁を捨てるのは勿体無いので、その果汁だけで醗酵させたものがローザ パーチナ。ロゼを造る事が目的ではなく、彼らの考える赤ワインのクオリティを維持する為に、ブドウを別の形で利用したのがこのロゼが産まれたきっかけです。日本を含め、世界で好評となったこともあり、ロゼを造るようになりました。現在は取り出したモストを樽で醗酵と熟成を経てリリースされています。

Q.抜いたモストを樽で醗酵、熟成させるロゼはあまり聞いたことがありませんね。

ロゼボトル赤ワインを造る為のちゃんと完熟させたブドウでロゼとして造っている
一般的なロゼと言えば、言い方が正しいかどうか分かりませんがフレッシュ&フルーティー、ちょっと尖った酸味みたいなモノのあるのが多いと思うんですけど、(僕の憶測や推論でしかないのですが)多くのロゼワインは赤ワインを造るのが難しい年の黒ブドウを使って造ったものだと思うんですね。だから比較的、腐敗果とかが多く混ざっている年のブドウを赤ワイン的に普通に醸してしまったのならば、いわゆるバクテリアなどが活躍してしまい、造り手が望むものとは違った形でワインとなってしまう可能性が高い時に、使うブドウを選んでロゼワインに仕立てる事がほぼ9割がた全世界的にロゼワイン産まれたキッカケだと思っています。

それに対してパーチナのブドウは、赤ワインを造る為のちゃんと完熟させたブドウでロゼとして造っているので、他のロゼワインとは線が分かたれるポイントであると思います。ブドウが熟しているので尖った酸味とか一切ないですし、樽で醗酵しているので乳酸発酵も完全に終わっていて、とてもこなれた状態になっていますね。

Q.パーチナのロゼは一般的なロゼワインのイメージとは違いますね。

そうですね。私達が思う一般的なロゼのイメージっていったい何処から来ているのだろうと(笑)

全世界的に食事もライト化してきている傾向もあると思うので、ロゼがもてはやされてると思うのですが、まだ世の中に真っ当なロゼが少ないと思ってロゼを造る生産者もいると思います。ヴィナイオータが扱うモンタルチーノの「カンピ デ フォンテレンツァ」はいわゆるグリーンハーベストして、残したブドウ(ロッソ、ブルネッロ用)のテンションを上げる為に完熟前1ヶ月程で摘んだブドウを捨てるのも勿体ないので、自家用にロゼを造って残ったら売る、みたいな選択をする生産者もいます。イタリアが赤ワイン主体の歴史を持つ地である事も、新たにロゼワインを造る動きに関係しているとも言えますね。

試飲ワイン:イル セコンド 2014 パーチナ

イルセコンド飲ませてもらったら、すごく美味しくて。「これって何なの?」
このワインを造るように押したのは、もしかしたら僕かも知れません(笑)パーチナが住んでいるベラルデンガの街にちょっとしたワインバーがあるんです。そこのワインバー用に(日本向けとは全然違う赤いラベル)パーチナがワインで卸していたんですね。ヴィンテージ表記も無いワインで「パーチナロッソ」としか書かれていないようなワイン。

それを飲ませてもらったら、すごく美味しくて。「これって何なの?」って聞いたら、当時キャンティ コッリ セネージを造る為に一番良い表現力を持った選りすぐりの区画のブドウでワインを造ろうと思った時に、それ以外のブドウで造ったワインは地元で量り売りしていたんですよ。僕がパーチナに行った当初はまだ量り売りをしていたんですが、その需要自体がすぼまっていっていた事、僕が強烈にリクエストした事もあって実現しました。イルセコンドという名前は2006、2007年頃から呼ばれるようになりました。

パーチナ夫婦「ヒサト、ほんの少しの量ずつ始めようよ。それで問題がなければ徐々に増やしていこうよ」
ただ、このイルセコンドをボトリングして日本に輸出する際に、パーチナが恐れていた事があって。元々酸化防止剤も少ない量しか使わないし、ブドウ自体もある意味「ボディ」に欠けるとしたならば、輸送に耐えれるのかどうか自信がないと。

「ヒサト、ほんの少しの量ずつ始めようよ。それで問題がなければ徐々に増やしていこうよ」で始まったイルセコンドですが、すごく評判が良くて。ある程度量も買うようになって日本の為に多くボトリングするようになったら、今度は他の国のインポーターも飛びついみたいで。パーチナも量り売りは一切止めて、イルセコンドのワインを毎年造るようになりました。

イルセコンドは今や殆ど単一ヴィンテージで造っています
イルセコンドは今や殆ど単一ヴィンテージで造っていますが、ほんの少し前まではヴィンテージ表記も無く、別のヴィンテージをブレンドしていました。そうする事で毎回とあるレベルをキープしていました。雨がちの年もあれば、太陽に恵まれた年もある。バランスを取る為に異なるヴィンテージをブレンドして造られていた時代があります。彼らがワイン造りを進めていく中で、セカンドクラスのワインのニーズというものを知るようになり、今は単一ヴィンテージでボトリングしています。セカンドラインである「イルセコンド」とファーストラインである「パーチナ」の生産比率には決まった関係性は無く、天候に恵まれない年であったならば、パーチナの生産量が減ってイルセコンドが増える年もあれば、天候があまりにも良すぎた年はイルセコンドをどう造ったらいいか解らず、パーチナの生産量が増える年もあります。

この価格帯でなかなか味わえない「艶やかな雰囲気」が既に出ているかと
とあるタイミングでパーチナがDOCGキャンティから抜けてしまい、パーチナが造る「パーチナ」という名前になりました。ですのでイルセコンドには「IL SECONDO PACINA」(パーチナのセカンド)と記されています。2014年は雨がちな年で、ヴィンテージ的には凄い難しい年だったと思うのですが、ワインは程よい熟成感みたいなものが感じられると思います。この価格帯でなかなか味わえない「艶やかな雰囲気」が既に出ているかと。セカンドワインと言うと果実味があってシンプルなワインが多いと思いますが、2014年のイルセコンドは決してそういう訳ではありませんね。

 

ある区画のブドウだけが「ツヤツヤな綺麗なブドウ」を付けた「ヴィッラパーチナ」

試飲ワイン:ヴィッラ パーチナ 2013

ヴィッラパーチナセメントタンクで醗酵、熟成後そのままノンフィルターでボトリング
ヴィッラパーチナの名前で造られる3ヴィンテージ目となります。(2009、2011、2013)2010,2012年は造られていないワインです。このワインの醸造的な特徴はセメントタンクで醗酵、熟成した後そのままノンフィルターでボトリングされています。一切酸化防止剤も使わず、木樽での熟成も一切ありません。このワインに貫かれている特徴です。

2009年は物凄く暑い年で、夏がやたら乾燥して多くのブドウの樹が苦しんで干しブドウ的なワインが多くみられた年でした。パーチナもアルコール度数15%のあるようなワインが出来たんですね。パーチナの土地は太陽に恵まれていて、リッチなワインを産み出すエリアではあるんですが、ただ2009年はあまりにも暑さが強い年で、畑でもブドウの皮が既に乾燥が始まっている状態が多く見かけられた年でした。

物凄くストレスフルな年なのにとある区画のブドウだけが「ツヤツヤな綺麗なブドウ」を付けたんです
暑さから(ブドウの樹、ブドウからしてみたら)物凄くストレスフルな年なのに、樹齢の若い、とある区画のブドウだけが「ツヤツヤな綺麗なブドウ」を付けたんです。本当に美しくて、「何?ストレスって」って言う位、一切な苦しんだ跡すら見せない素晴らしく健全なブドウを成らせる区画があったんです。たまたま(地中に)水源があったのかどうかも解らず、彼らですら説明がつかない不思議な区画だったんです。健やかに育ったブドウを健やかな状態で収穫をして、いざ醸造したところ、醗酵、熟成共にまるで優等生のように何も問題も無くスクスクと進んでいったんです。

Q.その区画はどのヴィンテージも同じ区画ですか?

2011、2013年は一緒の区画です。2009年は違っています。彼らは区画毎に収穫をします。大きな畑においてはブドウの熟度に見て何回も収獲を分けて行い収穫毎に仕込み樽が出来ます。その樽の状況から「イルセコンド」や「パーチナ」というようにキュヴェを分けていきます。

収穫して半年後のワインが持たないような「アダルトな雰囲気」が既にあった
サンジョヴェーゼ特有のアグレッシブなタンニンを和らげる為、パーチナではある程度空気と触れる事の出来る木樽熟成は大切だと考えているのですが、もしそのタンニンが既に柔らかさを持っているのならば、木樽で熟成させなくても良いと、同時に思っているのです。2010年の春に2009ヴィンテージをセメントタンクから試飲しましたが、既に美味しかったんですよ。果実の強く、渋味もそこそこにあるんですが、引っかかるような要素が無い。収穫して半年後のワインが持たないような「アダルトな雰囲気」が既にあったんですね。人間もそうですが、日本では20歳を過ぎたら大人と見なされますけど、中学の頃からお母さんを助ける為に新聞配達をする子は、15歳にして既に良い大人じゃないですか。だから、この「ヴィッラ パーチナ」って時々現れる「孝行息子」のように親を困らせる事無く、早い段階で自分自身に大人としての落ち着きのような物を身に付けたような存在でしょうか。

ブドウが健全な成長、醗酵、健全な熟成を経た時にだけ造られるワイン
「ヴィッラ パーチナ」のラベルなんですけど、元々ジョヴァンナのお父さんが使っていたパーチナのオリジナルラベルなんです。パーチナにするのも、イルセコンドにするのも勿体なく、(きっと)案が思いつかなったと思います。だから古いラベルをリバイバルした。このワインは狙って出来るワインでは無くて、天候、とある区画のブドウが健全な成長、醗酵、健全な熟成を経た時にだけ造られるワインです。2013ヴィンテージの後は2015ヴィンテージがリリース予定です。強さや濃さもあるんですが、すぅーと滑らかな飲み心地があります。

2009ヴィンテージでDOCGの官能検査を落とされ独自の道を進む「パーチナ」

試飲ワイン:パーチナ 2012

若干乾燥に苦しんだ2012年
パーチナ極端な暑さや何カ月も雨が降らないといった真夏日が何晩も続くような、イタリアではあまり起きる事の無かった事がけっこうな割合で最近起きています。ここ最近だと雨が多く「太陽」に恵まれなかった年って2014年位じゃないでしょうか。それとは逆に殆どの年が「太陽」があり過ぎて困っている年が多いように思います。2012年も若干乾燥に苦しんだ年です。

「2009ヴィンテージでDOCGの官能検査を落とされてしまった」
この元々DOCGキャンティ コッリ セネージというワインでしたが、2009ヴィンテージでDOCGの官能検査を落とされてしまったんです。その場合、一般的な造り手はローマの裁判所で3回位交渉すれば大体はOKをもらえる訳です。しかし、パーチナに関しては1回でプチンとキレてしまって(笑)。

「SO2を追加しなさい」と判断された
実際2009ヴィンテージのワインと言うのはアルクホリックで色も濃く若干ガーネットがかった部分があったんだと思います。糖度の高いブドウで醗酵も高い温度で進んでしまった。そこで、官能検査において判断されたのは「酸化のニュアンスがある。ついてはSO2を○○ミリグラム追加しなさい」と。

キャンティラベル「どれだけ飲み手の事を考えてSO2をギリギリまで減らせるかを考えているのに・・・」
そう言われた時に、いわゆる「ちゃぶ台をひっくり返したような!」感じになって(笑)パーチナにしてみたら「ふざけるな」と。「SO2をほんの少し使う事でさえ、私達がどれだけ飲み手の事を考えて、どうやったらギリギリまで減らせるかを考えているのに・・・」

「郷土愛に満ちた彼らが敢えて郷土のワイン名を使わない。そこにどれだけの心の葛藤があったのかと」
元々パーチナが使っているSO2の量だって極めて少ないんです。暑い年、涼しい年ありますが、その年の特徴をちゃんと反映した真っ当なワイン造りをしているにもかかわらず、「キャンティコッリセネージの特徴を備えていない」とか、彼らにとっては理解が出来ないという訳です。そういったことからDOCGキャンティから抜ける事にしました。郷土愛に満ちた彼らが敢えて郷土のワイン名を使わない。そこにどれだけの心の葛藤があったのかと。将来的に彼らのようなワインこそ、土地の名前を付けて欲しいと切に願っています。

そんな時、ジョヴァンナからこんなメールが来たんです。「ヒサト、DOCGから(脱退)出ようかと思っているんだけど、キャンティが付かない事で日本のマーケットでヒサトが売りに困ったりすることにならないか?」と。

「これは素晴らしいネタでしかない!有り難うと思いましたね!」
そのメールを読んだ時に「これは素晴らしいネタでしかない!有り難うと思いましたね!そう、抜ければいいんだと」。キャンティというワインは何千銘柄とあって、もの凄く大きなワインを産み出すゾーンで、数えきれないほどのワイナリーがあります。否定するつもりはないですが、同じゾーンで産まれるキャンティでも若干ピンキリ感というものがあると思うんですね。そのような「あまりにも広い海」に属している必要はないと考えた彼らの意思は正しいと思うし。

太田氏試飲赤「ゾーンがワインを造るのではなく、人がワインを造る」
そして僕自身もさんざん言っている事なんですが、最終的に「ゾーンがワインを造るのではなく、人がワインを造る」ものだと思います。そう考えるとDOCGを抜けて良かったんじゃないかと。日本だけでなく、全世界のインポーターがパーチナの意思をちゃんと理解してくれているようで、販売にも大きなブレーキがかかる事無く進んでいるようです。

パーチナに関しては現在、2013、2014ヴィンテージが瓶内熟成中です。彼らは瓶に入れてより長く熟成させてからリリースした方がより味わいが柔らかくなると気づくようになったからかも知れません。大体2~3年の瓶熟後にリリースしています。2013年はパーチナとしては生産量が多かった年なので、売り切るまでの時間がかかった分、その後の2014年は更に遅いリリースとなります。熟成スペースに限りがある中でも、出来るだけ熟成させてからリリースさせる事を良しとするパーチナにとってはそれもまた良い事ではないかと。

Q.パーチナのような素晴らしいワイナリーが将来的にキャンティコッリセネージと名乗る事が出来たら本当に良い事ですね。

そうですね。そしてキャンティの世界って、どうしても「クラシコ」が付いた方が良いという「クラシコ至上主義」的な所があるじゃないですか。クラシコと比較して考えたとしても、パーチナがコッリセネージで自分たちの信じるワインを造っていた事はとても良い事だと思うんですね。

土地の「力」の表現力を追求していった時に行きついた。それが「ナチュラルなワイン造り」だった
コッリセネージとキャンティクラシコのエリアは直線距離だと1キロも離れていないんです。彼らはクラシコが名前に付かない事で頑張っている。それはイタリアに限った事では無くて、フランスでも同じことがあると思います。いわゆるブルゴーニュのピノノワールの土地ではなくて、ボジョレーやロワール、ラングドックだったり。そういう所に比較的ナチュラルなワイン造りを目指す生産者が多いように思いますね。土地そのものに強いブランド力が無いので、自分自身が強い発信力を持たないといけない事、そしてその土地の「力」の表現力を追求していった時に、畑での仕事の仕方だったりとか、醸造の仕方がとある方法に行きついた。それが「ナチュラルなワイン造り」だったと思います。

あと小さな事なんですが、パーチナが瓶詰めするボトルってあまり高くない瓶を使っているんです。ボトルを見てもらえれば解ると思うんですけど。当然のことながら、ボトルが重いってことは「ガラスの厚さがある」って事ですから、重量に比例して瓶価格が高くなります。彼らは味わいの内容の割に安い瓶を使っているのは「価格を抑えている」という部分もあると思います。ワインだけではなくボトルからも彼らの良心が感じられますね。

唯一シラーを使う「ラ マレーナ」、そうそう現れない特別なワイン「パクナ ロッソ」

試飲ワイン:ラ マレーナ 2013

パーチナで唯一植えている外来品種シラーを使っているワイン
パーチナで唯一植えている外来品種シラーを使っているワインがラマレーナです。2007年までシラー100%で造っていました。とある区画で地質調査をしたところ、もの凄くフランスのローヌの畑と似ていた事、その時たまたまローヌのシラーの苗木が割と簡単に手に入った事が重なりシラーを植えるきっかけとなりました。しかしローヌと比べて「より強い太陽」がある為、以前のラ マレーナやたら肉々しく、固く飲み頃を迎えるまでに時間のかかるようなワインでした。それこそ2004年とか今飲んだらすごく柔らかくて美味しく飲めたりしますが、シラー100%の時代のラマレーナって若干飲み心地に欠けていた部分もあったと思うんですよ。

シラーに土着品種「チリエジョーロ」をブレンド
シラーを少しずつ植え替えるタイミングに来た時、抜いてしまって歯抜けになった畝のシラーの場所に、キャンティの補助品種として良く使われる「チリエジョーロ種」を植えていったんですよ。2013年はシラー80%、チリエジョーロ20%ですね。ジェントルで優しさが特徴のチリエジョーロが入った事でこのワインは格段に飲み心地が良くなりました。果実の優しい円やかさに見たいなものがチリエジョーロから産まれているんだと思います。

僕個人としてはシラー100%の時よりもチリエジョーロが入った方が、飲んでいてすごく楽しさを感じますね。ステンレスタンクないし、セメントタンクでの醗酵後、3週間~数ヶ月にわたるマセラシオン後、ステンレスないしセメントタンクに、もう一度戻し、乳酸発酵が終わったのを確認してから、木樽に入れて熟成後、瓶熟させてからリリースしています。白に関しては赤に比べ1年位ボトリングが早いですね。

Q.チリエジョーロは色はけっこう濃いですが柔らかい味わいがありますね

その昔、キャンティに白ブドウを混ぜていた時代って、サンジョヴェーゼのアグレッシブさをソフトにする為に元々使われていました。それ位サンジョヴェーゼってタンニン質にとある「固さ」みたいなものがあって。補助品種がある事で比較的早い段階から飲み頃を迎えるようになるんだと思います。

ワインが「生活に根ざしたモノ」と考えた時に、早い段階で飲み頃を迎えるに越した事はなかった
ワインが本当に「食品」だった時代には早い段階から飲み心地があるに越した事はなかったと思うんです。現在のワインの世界における「熟成のポテンシャル」とか嗜好品的なコンセプトよりも、「生活に根ざしたモノ」、いわゆる実用的なのかと考えた時に、早い段階で飲み頃を迎えるに越した事はなかったと思うんですよ。その機能性みたいなものを高める為に「どうやったらワインをソフトに出来るのか」って考えた時に産まれたのがサンジョヴェーゼに白ブドウをブレンドさせる方法だったんじゃないのかと。

試飲ワイン:パクナ ロッソ2011

一部ブドウの収穫を諦めてしまったほど困難を極めた2011年
パクナロッソ2011年はものすごく暑かった年で、区画によっては樹の上で勝手に「干しブドウ化」してしまって。ワイン醸造としては一部ブドウの収穫を諦めてしまったほどの年で、収穫自体は凄く困難を極めた年でした。干したブドウが多くなってしまうと、ブドウに残っている糖分がずっと在るような状態となるんです。ありとあらゆる醸造家が恐れる事として「極端なアルコール醗酵期間の長さ」みたいなものがあって。特に酸化防止剤を使わないような生産者にとっては、とてもリスキーな事なんです。

パーチナは2011年のワインを造るにはものすごく選りすぐった「本当に完熟したブドウ」だけを使わなければなりませんでした。それでも「パーチナ」2011年はアルコール度数が15.5%もなってしまったんです。本当に干しブドウ化したブドウは「干しブドウ」として彼らは食べていたと言っていましたね。

樹齢の古い区画では「とあるフレッシュさを残した」不思議なブドウが生った
それに対して、樹齢の古い区画では干しブドウのようになりながらも「とあるフレッシュさを残した」不思議なブドウが生ったんですね。そのブドウだけで仕込んだものがこの「パクナ」になります。アルコール16.5%と書いていますが、ほぼ17%に近い数値です。こういったアルコール度数だとイタリアでは「リキュール」と見なされてかねないし、天然のアルコール度数が15%以上のワインは基本的に存在しないと思われています。そこまで糖分を酵母が食べる事が出来ないって思われているからです。だから「アルコール添加しているんじゃないかって」疑われたみたいですね。もちろん「パクナ」は何も加えていません。

酵母が100%仕事をして限界まで糖分を食い切ったからこそ出来たワイン
パーチナはいわば「ブドウの持つ力を信じてあげる」ような醸造方法ですから、こういったワインも産まれるって事なんです。アルコール度数が高く、ほんの少し糖分を感じますが、ほぼ辛口に仕上がっています。酵母が100%仕事をして限界まで糖分を食い切ったからこそ出来た味わいだと思います。

太田氏試飲赤「こういったワインはそうそう現れないと思いますね」
面白いことに、ものすごく「ストレスフルな年」だったにもかかわらずですよ。少し暑さの影響を受けて、(ブドウの)見た目が少し老けちゃったんだけど、ブドウはしっかりと「若さ」「エネルギー」を持ち合わせていたので、醗酵の段階ですごく頑張ってくれた。だからこそ、完全なワインとなったんです。こういったワインはそうそう現れないと思いますね。パーチナは「パクナ」をスペシャルキュヴェとしてリリースしている訳です。

ある意味「2011ヴィンテージがプレゼントしてくれた」ものだと思うんです。
すごく強い味わいで、ある意味アマローネ的な要素がありますが、舌に纏わる「重苦しく無さ」みたいなものが感じられると思います。これはしっかり「酸」があるからなんだと思います。収穫したブドウを陰干ししたものと、樹上に生ったまま半乾燥したブドウを比較した時、後者の方が枝を通じて地中からの水分を吸い上げているんです。ですからブドウのフレッシュさは極端に失われないと思います。こういったワインって、ある意味「2011ヴィンテージがプレゼントしてくれた」ものだと思うんです。僕達に「あぁ、こういった年だったんだ」と思い出させてくれる「シグニチャーワイン」のようなものだと。

Q.パクナは2011年以前にも造られていたんですか?

2003年から「パクナ」というワインは少しずつ造られてはいたんですが、これまで造られた「パクナ」は2011年のような個性のあるワインではありませんでした。これまでの「パクナ」はパーチナとしてリリースされるワインの中で、とある樽が他のキュヴェと違った方向性を持っていて、その樽をもう少し時間を置いてリリースした方がいいんじゃないかという判断からマグナムボトルのみに詰めてリリースする事で始まったワインです。

2016年のパクナロッソは傑作!「トスカーナのカーゼコリーニ」
2011年以降の「パクナ」に関しては明かに違う内容の物がリリースされていくと思います。
今後の話ですが、2016年のパクナロッソは傑作だと思いますよ。「トスカーナのカーゼコリーニ」ですね!本当にカーゼコリーニの「バルラ」と同じような雰囲気を持ったサンジョヴェーゼですね。ワイナリーで飲んで、思わず「ゾクッとする」ほどでしたね!

太田氏のリクエストから産まれた白
チェッレティーナ 2015
チェッレティーナ 2015


元々彼らは甘口のヴィンサントを造っていた訳なんですが、ヴィンサントってブドウを陰干しするじゃないですか。ある意味「凝縮感」は否が応でも出てしまうので、だったらヴィンサントには樹齢が若いブドウ樹でもいいんじゃないかと考えるようになったんです。だったら、樹齢30~50年の深みのあるブドウを使ってヒサトが好きな辛口の白を造るのはアリなんじゃないかと考えてくれるようになったんですね。僕がリクエストしてから白の0.5ヘクタールのヴィンサント用の区画を造って、生産体制になったらリリースしようと。それが「チェッレッティーナ」という白ワインです。
試飲コメント:果実の豊かな風味、滑らかさ、心地よい酸と旨みが感じられる白(2014ヴィンテージ)

2013、2014年がブレンドされているスペシャルキュヴェ
パクナ ビアンコ(2014/2015) NV
パクナ ビアンコ(2014/2015) NV


陰干しは一切していません。中身はトレッビアーノマルヴァージアの樹齢の古いブドウの2013、2014年がブレンドされているスペシャルキュヴェです。通常の白「チェッレッティーナ」と違うのは、ヴィンサント等を熟成させる80リットルくらいの小さな樽で熟成させたもので、酸化防止剤完全無添加でボトリングされています。2013年が揮発酸が高くなってしまった事、2014年が強い年ではなかった事の2つのヴィンテージの特徴を上手くブレンドする事で造られたワインです。
試飲コメント:濃密で豊かな色調の白。熟したフルーツの芳醇さにミネラルが溶け合う。非常に旨みの強いワインで数日後により滑らかさを増す。数年寝かせてみたいワイン。

滑らかな飲み心地と深い味わいのロゼ
ロザート 2015
ロザート 2015


収穫したブドウをタンクに一晩入れて、タンク下のバルブを開けて、約1000リットル位のジュースを外に出しました。皮の量に対してジュースの量を減らしたことで、(フランスではセニエって言いますが、)皮の割合を高めようとしました。その際抜いた1000リットルの果汁を捨てるのは勿体無いので、その果汁だけで醗酵させたものがローザ パーチナ。ロゼを造る事が目的ではなく、彼らの考える赤ワインのクオリティを維持する為に、ブドウを別の形で利用したのがこのロゼが産まれたきっかけです。
試飲コメント:完熟した果実、豊かな風味を感じるロゼ。豊かな酸がボディを引き締めていて豊かな味わい。グラスの中で温度を上げていくと表情が豊かになっていく。その変化も楽しいロゼ。

この価格帯でなかなか味わえない「艶やかな雰囲気」が既に出ているかと。
イル セコンド 2014
イル セコンド 2014


現地のワインバー向けに造っていたワインを飲ませてもらったら、すごく美味しくて。「これって何なの?」って聞いたら、当時キャンティ コッリ セネージを造る為に一番良い表現力を持った選りすぐりの区画のブドウでワインを造ろうと思った時に、それ以外のブドウで造ったワインは地元で量り売りしていたんですよ。僕がパーチナに行った当初はまだ量り売りをしていたんですが、その需要自体がすぼまっていっていた事、僕が強烈にリクエストした事もあって「イルセコンド」というワインが実現しました。
試飲コメント:香りに熟したニュアンスがあり、落ち着いた深みある印象。軽やかですっきりしたこれまでのイメージに心地よい厚みと滑らかさがより強く感じられる。サンジョヴェーゼの心地よい飲み口としなやかな深みが楽しめる。

セメントタンクで醗酵、熟成後そのままノンフィルターでボトリング
ヴィッラ パーチナ 2013
ヴィッラ パーチナ 2013


ヴィッラパーチナの名前で造られる3ヴィンテージ目となります。(2009、2011、2013)2010,2012年は造られていないワインです。このワインの醸造的な特徴はセメントタンクで醗酵、熟成した後そのままノンフィルターでボトリングされています。一切酸化防止剤も使わず、木樽での熟成も一切ありません。このワインに貫かれている特徴です
試飲コメント:熟した豊かな果実感。厚みがありながらも、重々しさはなく緻密で滑らかに口中に広がる。複雑味のありつつも、固さのない旨みに満ちた味わい。ブドウの良さがダイレクトに楽しめる逸品。

DOCGを抜け独自の道を進む「パーチナ」
パーチナ 2012
パーチナ 2012


元々パーチナが使っているSO2の量だって極めて少ないんです。暑い年、涼しい年ありますが、その年の特徴をちゃんと反映した真っ当なワイン造りをしているにもかかわらず、「キャンティコッリセネージの特徴を備えていない」とか、彼らにとっては理解が出来ないという訳です。そういったことからDOCGキャンティから抜ける事にしました。郷土愛に満ちた彼らが敢えて郷土のワイン名を使わない。そこにそれだけの心の葛藤があったのかと。
試飲コメント:厚みがありながらも口当たりの柔らかさ、しなやかさが素晴らしい。タンニンと酸が溶け合い、味わいの立体感も楽しめる。濃密な香りですが、重々しさはなくとてもスムーズな飲み心地。

国際品種シラーとチリエジョーロのブレンド
ラ マレーナ 2013
ラ マレーナ 2013


パーチナで唯一植えている外来品種シラーを使っているワインがラマレーナです。2007年までシラー100%で造っていました。以前のラ マレーナやたら肉々しく、固く飲み頃を迎えるまでに時間のかかるようなワインでした。それこそ2004年とか今飲んだらすごく柔らかくて美味しく飲めたりしますが、シラー100%の時代のラマレーナって若干飲み心地に欠けていた部分もあったと思うんですよ。シラーを少しずつ植え替えるタイミングに来た時、抜いてしまって歯抜けになった畝のシラーの場所に、キャンティの補助品種として良く使われる「チリエジョーロ種」を植えていったんですよ。2013年はシラー80%、チリエジョーロ20%ですね。
試飲コメント:シラーのふくよかさ、スパイスの香りにチリエジョーロの柔らかさが調和。やや濃い目の色調にスパイスのニュアンスと香ばしさが感じられます。心地よい凝縮感とほろ苦さがありつつも、チリエジョーロの効いた飲み心地の良さが魅力的。数年待って飲んでみたいワイン。

こういったワインはそうそう現れない
パクナ ロッソ 2011
パクナ ロッソ 2011


樹齢の古い区画では干しブドウのようになりながらも「とあるフレッシュさを残した」不思議なブドウが生ったんですね。そのブドウだけで仕込んだものがこの「パクナ」になります。アルコール16.5%と書いていますが、ほぼ17%に近い数値です。こういったアルコール度数だとイタリアでは「リキュール」と見なされてかねないし、天然のアルコール度数が15%以上のワインは基本的に存在しないと思われています。そこまで糖分を酵母が食べる事が出来ないって思われているからです。だから「アルコール添加しているんじゃないかって」疑われたみたいですね。もちろん「パクナ」は何も加えていません。
試飲コメント:抜栓直後の力強さと骨格の厚みにも驚かされましたが、数日経って、より滑らかさを増した時の絶大な風味、アルコール度数の高さを全く感じさせない酸の効いたボディ構成は他のワインでは感じられない独自の個性。それでいて決して難しいワインでは無く懐の深さ、おおらかさを感じる。是非試してもらいたいワイン。
インタビューを終えて
パーチナの素晴らしさをたっぷりと知る事が出来た素晴らしいインタビューとなりました。昨年2017年、11月にイベント「ヴィナイオッティマーナ」で来日したパーチナのジョヴァンナさん、娘のマリーアさんにお会いした時のお二人の温かい雰囲気、試飲した「ヴィッラ パーチナ」の素晴らしい風味と滑らかさが思い起こされました。

土地にストレスを与えないようにブドウ、農作物を有機的に栽培、その土地のテロワールを表したワインを造りながらもDOCGの官能検査で落とされてしまい、キャンティを名乗る事が出来ず、DOCGから抜けたエピソードを太田氏から改めてお聞きして、パーチナのような素晴らしいワイナリーこそ将来的にDOCGキャンティコッリセネージを名乗って欲しいと思いました。

それ(以前も)以降も、変わらず素晴らしいワインを造けているパーチナ。太田氏の「ゾーンがワインを造るのではなく、人がワインを造る」と話されていた事が印象に残りました。試飲した全てのワインからは一般的なキャンティのイメージをに明らかに超えた、緻密で滑らかな素晴らしい味わいがありました。「イルセコンド」はパーチナを知るにふさわしい抜群の飲み心地。「パーチナ」は果実感、香りの深みレベルは見事なもの。作為感のないブドウの飲み心地がありながらも、風味は絶大で心地よさが長く余韻に残ります。

トスカーナで素敵な家族が造る、温かくて深い味わいのワイン「パーチナ」。是非多くの方に日常の食事とゆっくりと楽しんでもらいたいワインです。

ヴィナイオッティマーナ
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