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2017年5月12日 カステッロ デイ ランポッラ社 ルチアーノ ディ ナポリ ランポッラ氏
ダルチェオで100点獲得!キャンティにカベルネを持込んだ元祖「カステッロディランポッラ」 |
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1980年代に国際品種を使い、瞬く間にその実力を世界中に知らしめたトスカーナの雄「カステッロ デイランポッラ」。サッシカイアの産みの親、天才エノロゴである故ジャコモタキスにアドバイスを受け、リリースしたカベルネソーヴィニョン主体の「サンマルコ」、「ダルチェオ」はリリース当初から今も変わらず国際的な人気を誇っています。既に確固たる地位を築いていながらも、本格的なビオディナミ(無農薬)農法に新たに取り組み、これまでの素晴らしい果実の凝縮感に加えて、純度の高い優美さが寄り添うトスカーナ屈指の銘醸ワインとして更なる進化を遂げています。止むことの知らない情熱と探究心を持ち続ける、才気あふれる当主、ルチアーノ ディ ナポリ ランポッラ氏にお話を聞きました。 | |||||||||||||||
約300年続く歴史ある畑でキャンティクラシコを1975年に初リリース |
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キャンティ クラシコエリアに初めてカベルネ ソーヴィニョンを植樹 当初黒ブドウはサンジョヴェーゼのみでしたが、1980年代からカベルネ ソーヴィニョンを造り始めました。当時キャンティ クラシコエリアでカベルネを植えたのは、私たちランポッラが初めてです。(ちなみにトスカーナでカベルネフランを最初に植えたのはサッシカイアです:ルチアーノ氏) |
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1980年にスーパートスカン「サンマルコ」をリリース 1980年にカベルネソーヴィニョンを使って初めてボトリングしたスーパートスカン「サンマルコ」がアメリカをはじめ、世界各国で人気に火が付きました。続いて1991年にダルチェオの名前を付けた畑にブドウを植えました。しかしその一年後に父が亡くなり、ワイナリーの仕事を引き継ぎました。 |
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黄金の谷「コンカドーロ」が持つ多彩なテロワールと「天才エノロゴ」ジャコモタキス氏の存在 |
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![]() 黄金の谷「コンカドーロ」が持つ多彩なテロワール 私たちがワイナリーを構えるパンツァーノには「コンカドーロ」(黄金の谷)と呼ばれる程、様々なタイプの土壌と向きの異なる畑が存在し、数十メートル進んだだけでテロワールが変わります。 |
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![]() カベルネソーヴィニョンに適した「ダルチェオ」のテロワール トップキュヴェ「ダルチェオ」の畑は他の畑に比べ、標高が高く、土壌や畑の向きがカベルネソーヴィニヨンに非常に適しています。カンティーナを中心に様々な向きに畑が広がり、日照時間も異なります。ですので、同じサンジョヴェーゼ種一つとってみても、畑の位置により出来上がる味わいは異なります。カンティーナのすぐそばには白ワイン用のブドウが2ヘクタール植えられています。元々は自家用として造っていました。 |
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![]() 父のダルチェオはサッシカイアの産みの親である「天才エノロゴ」ジャコモタキス氏と親しい間柄でした。父がタキス氏に「サンジョヴェーゼをより力強く表現するにはどうしたら良いと思う?」と相談したところ、カベルネソーヴィニヨンをブレンドすると良いと教えてくれました。1979年に同じトスカーナ州でいち早くカベルネを植えていたカルミニャーノ地区のブドウ樹を持ち込み、接ぎ木し栽培しました。そしてサンジョヴェーゼとカベルネソーヴィニョンをブレンドした「サンマルコ」を1980年にリリースしました。現在ではカベルネのブドウ樹も成熟し、ブレンド比率が約80~90%に上がっています。 |
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1994年から「ビオディナミ農法」を始める |
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![]() 1994年からは農薬を使わない「ビオディナミ農法」を始めました。畑には草木や花が咲きます。それにより、すべての仕事がゆっくりと進むようになりました。(農薬を使わないので植物の動きがゆっくりと進むようになったから:ルチアーノ氏)
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エネルギーを集約するスパイラルシステム「フローフォームス」 |
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![]() 自然な素材「コンチェピスト」を醸造に使用 |
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自然なエネルギーを集約するスパイラルシステム「フローフォームス」 畑に使用する水、カンティーナで樽から樽へのワイン移し替えの際は「フローフォームス」を取り入れています。2007年頃から取り入れた手法です。ビオディナミ農法の一つで「ディノミザシオン(攪拌)」の原理に沿っています。 攪拌することにより、大気中の存在するエネルギーを取り込む事を目的としていて、アメリカ等で湖の浄化の為に用いられていた方式です。液体をスパイラル上に流し入れる事で外気に触れる表面積を増やし、エネルギーを取り込みやすくしています。一般的なタンク熟成だけでは得られない効果があります。(ワインの香りや味わいを引き出す時にグラスを廻すでしょう?それもスパイラル効果によるものと言えます:ルチアーノ氏) |
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ブドウのイキイキとした生命力が感じられる この作業を畑とカンティーナで行う事で、「フローフォームス」を一つに繋げています。ヴィンテージの特徴によってはフローフォームスを年に2~4回行います。(味わいが閉じこもりがちなヴィンテージであれば多めに行います)年によっては必要に応じてタンクも使います。フローフォームスを経たワインとそうでないワインを飲み比べると、明らかに前者の方がブドウのイキイキとした生命力が感じられます。つまり、ビオディナミ農法が自然とカンティーナ、人間との関わり方を変えてくれたと言えます。 |
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自然と向き合い、受け入れ「ワイン造りの感性を磨く」 |
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健全な精神を持つ造り手からは健全なワインが産まれる 私たちは「どうしたらより良いワインとなるか」を常に考えています。ワインは、造る人間のコンディションも大切です。健全な精神を持つ元気な造り手からはワインもそうしたキャラクターを持ったものに自然となっていくと思っています。 |
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![]() 自然の力を活かして体と心も鍛え、醸造理論だけではない「ワイン造りの感性を磨く」ことが大切です。「畑が今何を必要としている事を感じ取る」事が重要です。しかし畑からしてみれば、「そんなに手を加えなくてもいいよ」ときっと言っている事でしょうね(笑)。ビオディナミ導入以前、春になったら畑を耕す必要がありました。今考えると、まるで人間の皮膚をひっかくような作業をしていましたね(笑) |
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管理するという視点だけではブドウは健全に育ってくれない 今では土に手を加えずとも花や草が共存する健全な畑となりました。管理するという視点だけではブドウは健全に育ってくれないのです。人間は自然の一部であり、自然は変化しているという事に気づかせてくれます。例えば、雨が多い年でもブドウの周りに草木があれば、水をすいあげて緩和してくれます。自然の生態系がブドウ樹を助けているのです。 |
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■インタビューを終えて | |||||||||||||||
世界的で絶賛されるカステッロ デイ ランポッラのワイン。当主のルチアーノさんは実に気さくでオープンな方で、息子のマルティーノさんとの絶妙なトークの掛け合いで、終始和やかなムードでお話も進みました。サンマルコ2011年の試飲の時「これはきっと良い生産者だね!誰が造ったのだろう?」とその茶目っ気溢れるコメントに、居合わせた一同みんな笑顔に!しかしワイン造りの核心に迫ると、「理論ではなく感性を磨く」「ワイン自身は心をもっているから、開けて楽しまれる事を望んでいる」「自然について考えると自分がその小さな一部であると気づかせてくれる」「畑が何をして欲しいか耳を傾ける」と非常に詩的でシンプル、かつとても深い表現でした。テクニックや理論ではなく、自然の本質を常に考えているルチアーノさんの真っすぐで熱い思いが言葉の節々から伝わってきました。
今回、トスカニーオフィスでの試飲で「靴を脱いでワインを飲む」事にいたく喜んでくださったようで、「リラックスしてワインを飲む事は素晴らしいですね。イタリアに帰ったら靴を脱いでワインを飲むよ。よりリラックスしてワインを楽しめば、もっとも美味しいワインが出来るようになると思うからね」と、とてもポジティヴで常に前を向いている印象がありました。
ビオディナミ農法で、より自然に回帰した手法をとっていますが、栽培におけるリスクも大きく、科学的に実証されていない点も多く、懐疑的な見方もあります。
しかし、ランポッラが造るダルチェオ2010年は『アントニオガッローニ』で100点満点、世界最高得点をマークしました。「言葉で表現しがたい息を呑む崇高なワイン」と最大級の賛辞が送られています。2010年は世界中で争奪戦となり現在入手困難なワインとなっています。今回試飲した2011年ダルチェオからも極めて純粋で力強くも深く滑らかな舌触り、美しく広がる風味にただただ圧倒させられました。理論や醸造テクニックだけではない、もっと深い部分の「ワインの凄み」を感じさせてくれました。トスカーナの自然は勿論、純粋で情熱的な人柄がワインにもしっかりと現れているように思いました。 |
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珠玉のトスカーナ「カステッロ デイ ランポッラ」突撃インタビュー
2017/05/18