2012年1月27日 テヌータ ディ トリノーロ社 フランケッティ氏来社

パッソピッシャーロ Passopisciaro
無名のテロワールから世界を驚かすワインを造り出したトスカーナの鬼才フランケッティ氏がシチリア・エトナ山で手掛ける世界から注目を集めるワイナリー
ネレッロマスカレーゼの美しいテラス畑の景色に魅了され始まったエトナ山でのワイン造りフランケッティ氏が次に挑んだのがシチリア・エトナのテロワール。シチリアを訪れていたフランケッティ氏が魅せられたのがエトナ山の美しい景色。「美しい景色が素晴らしいテロワール」と考えるフランケッティ氏はこのエトナ山の北斜面中腹に広がるテラス式の畑を迷いなく購入。5000年以上にさかのぼることができるブドウ栽培の歴史を持つエトナ山でのワイン造りをスタートさせます。
一般的なシチリアとは全く違うエトナ山のテロワールエトナは「シチリアとは全く違う」とフランケッティ氏は言います。イタリア最大の活火山で標高3323mのエトナ山は3月でも上部には雪が残り、スキーもできます。何度も繰り返されてきた噴火で流れ出た溶岩の地層が重なり、典型的な火山性土壌を造っています。

6000年前からブドウ栽培を行うほどの歴史のあるエトナ山も、質より量の時代が続き、そしてフランケッティ氏が土地を購入した2000年ごろはまともなワイン造りは誰もやっていませんでした。しかし、フランケッティ氏は樹齢60年~100年という古樹のネレッロマスカレーゼがテラス式の畑に植えられているのを見て、この土地のポテンシャルの高さを確信。そのことを証明して見せたのがネレッロマスカレーゼ100%で造るパッソピッシャーロです。

ブルゴーニュに通じる!エトナ山には昔からクリュの概念があった活火山のエトナ山には溶岩の流れた区画を「コントラーダ」と呼び、他の区画と区別する考え方が昔から存在しています 。冷えた溶岩が新しい土壌を造り、他の区画とは明らかに特徴が異なるためです。それはまさにブルゴーニュの「クリュ 」の考え方と同じです。エトナ山の「コントラーダ」はブドウ栽培のために生まれた概念ではありませんが、30以上ある コントラーダのうち、約15の区画でブドウ栽培がおこなわれ、フランケッティ氏もいくつか所有しています。それぞれの コントラーダ(クリュ)は噴火の時期も異なり、土壌のミネラル分が全く違うため、香りも味わいもそれぞれ全然違いま す。そのため、フランケッティ氏は各々のクリュのブドウを別々に収穫、発酵しています。 活火山のエトナ山でブドウ栽培がおこなわれているのは北斜面です。標高500m~1000m、およそ1500~2000haの畑があり 、一度は見向きもされなかったエトナ山のワイン造りでしたが、今では40社近くのワイナリーが存在しています。これも フランケッティ氏が素晴らしいワインを造り、注目を集めたことが理由。エトナの偉大なテロワールがこうして見直され ているのです。

ブルゴーニュのピノノワールと比較されるブドウ「ネレッロマスカレーゼ」

エトナのネレッロマスカレーゼは非常にエレガントなスタイルのため、しばしばブルゴーニュのピノノワールと比較されます。このような特徴が現れるのは標高600m以上で造られたものだけ。そして標高が高いところの畑ほど繊細さ、上品さやそして洗練さを表現することができ、さらにコントラーダによっても香りと味わいに違いが出ます。1m違うところの畑でも味が変わると言われるブルゴーニュのピノノワールと同じことがエトナのネレッロマスカレーゼでも言えるわけです。そして、フランケッティ氏は、エトナのネレッロマスカレーゼの起源は、その昔にフランスからもたらされたピノノワールである可能性もあると考えているそうです。実は、この2つの品種のDNAが似ているということが研究でも明らかになったそうで、ますますエトナのワインがイタリアの中でも特別なものに思えてきます。

2012年1月27日アンドレアフランケッティ氏がトスカニーを訪問。パッソピッシャーロとトリノーロのワイナリーについて、テロワールの話からワイン造りの考え方などのお話をお聞きしました。
●石灰質土壌がもたらす濃密で豊かな果実味を生かすために樽は控えめ
トスカニー:パッソピッシャーロの特徴について教えて下さい

フランケッティ氏:コントラーダと言うテロワールを生かしたワイン造りをしていることです。エトナには濃厚なスタイルのワインを造る人もいますが、それだと酸化が早く進み長くは楽しめないものになってしまいます。私は2001年からワインを造っていますが、当時はいまに比べて非常に濃かったんです。でも、エトナのテロワールを知り、個の特性を生かすには濃いワインではない、とわかり、今のようなエレガントなスタイルにしたのです。

トスカニー:コントラーダについてもう少しお話しいただけますか?

●最高の条件に恵まれたエトナ山の北側斜面

フランケッティ氏:(絵を描き始める)。見て下さい、これはエトナの北側斜面です。こんな風に噴火に伴って溶岩が流れ、長い年月をかけて冷えて固まります。このような溶岩の地層の区画がいくつもできています。これがコントラーダです。頂上から標高1000mの少し下ぐらいまで溶岩があります。あまり標高が高いとブドウは育ちませんから、ブドウ畑があるのはこの500~1000mのエリアです。

トスカニー:エトナ山は活火山だそうですが、この斜面は危険ではないのですか?

フランケッティ氏:大昔は溶岩が流れてましたが、今はほとんどありません。エトナ山の地形的に見て、溶岩が流れるのは東側になります。そちら側は確かに人も住んでいませんし、畑もありませんが北斜面は危険ではありません。北斜面と言うと一般的にはブドウ栽培に向かないと考えられますが、エトナ山においてはテラス式ですし、天候も安定しているので北側が最高の条件です。

コントラーダを私もいくつか持っていますが、毎年ワインを造っていてコントラーダごとに全く違うワインができるということを発見しました。パッソピッシャーロはいくつものコントラーダをブレンドしていますが、コントラーダごと、すなわちクリュごとにワインも造り始めました。

●トリノーロとは対照的なスタイルのパッソピッシャーロ

パッソピッシャーロ2009を飲みましたが、フランケッティ氏の言葉通り、非常にエレガントで上品。トリノーロの濃厚で迫力のあるスタイルとは本当に対照的。抜栓してしばらくたっていたため、香りも味わいも開き始めていたようで、フランケッティ氏も「開けたてはとても固いですが、このように時間がたっていくと本来の洗練された味わいが出てきます。このワインはもっと年月がたてばたつほど、成長していきます。」とおっしゃっています。

太陽が燦々と降り注ぎ、熱い南イタリアの土地シチリアというイメージとは全く異なるエトナ山。長い歴史の中で形成されていったテロワールを尊重してそれを最大限に引き出そうとしているパッソピッシャーロと、0からテロワールを造りあげたトスカーナのトリノーロ。2つのワインを飲み比べることで「鬼才」と呼ばれる完璧主義者のフランケッティ氏のことを少しわかったような気がしました。

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●パッソピッシャーロの突撃インタビュー(2012年1月27日)はこちら>>

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