2012年11月13日 モンテニドーリ社 エリザベッタさん来社

2012/11/13
 
突撃インタビュー

2012年11月13日モンテニドーリ社 エリザベッタさん来社

モンテニドーリ エリザベッタ 記念撮影
今回モンテニドーリさんの来社の報を受けてから正直少し落ち着かない時間を過ごしていました。というのも、トスカニーがインタネットでお店を始めた年に、あてもなく、初めてイタリアにワイン探しに渡航した際に、 現地で訪ねたワイナリーさんのひとつがモンテニドーリだったからです。

エリザベッタさんの来社

当時と変わらない、りんとしたご様子のエリザベッタさんがトスカニーの東京事務所にいらっしゃいました。 会うのが今日で2回目であることを伝え、和やかに話は始まりました。緑茶を出すと、大変喜ばれているご様子。
聞けば、エリザベッタさんは、20代のころに1年京都に滞在したことがあるそうで、大変な親日家でもいらっしゃ いました。 早速、ワイナリーの説明をと言ってアイパッドを取り出し、画像を何枚も見せて頂きました。

エリザベッタさん:「覚えてる?この像?」

とワイナリーに飾ってあるギリシャ神話の像を指差して

アッピ:「あ~~!覚えてる覚えてる。伺った時にも見せて頂いた。えっとなんて言う神様でしたでしょうか?」

エリザベッタさん:「アキレスです」

ギリシャ神話のアキレス
アッピ:「あ~~!そうそう。あの時そうおっしゃってました。」

エリザベッタさん:「私たちの土壌は2種類あります。ひとつはこれ。白い土でしょう。ここは大昔。約6500万年以上前の新生代には海だったのよ。このミネラル豊富に含んだ土地は力強い白ワインにとてもむいている土壌なの」」

アッピ「新生代ですか?はぁ。」(難しい単語に少々戸惑いながら)

白い土壌
   
エリザベッタさん:「そして、これを見て。これは赤い土壌。これは、Triassic period
の土壌。根がとても深く伸びて行くことができる土地。ここだは赤ワインを植えています。」

アッピ:「Triassic?」

エリザベッタさん:「ジュラ紀の前の時代よ」

赤い土壌
   
エリザベッタさん:「これはゴブレット仕立て。古い巨石もあるの。美しいでしょう。わざと畑に残して、ギャラリーみたいに見せているの。」

エリザベッタさん:「これは、小箱に積んだブドウよ。私の目を通らないで、醸造に入るブドウは1ケースも存在しません。」

ほほ笑むエリザベッタさん。

アッピ:「総生産本数は何本ですか?海外はどちらに出しているんですか?」

エリザベッタさん:「私たちの畑は全部で22ヘクタール。11種類のワインを作っていて年間総生産本数は10万本。アメリカ、イギリス、フランス、スイス、ドイツそして、日本に輸出しているわ。いいワインを作っ
ていると、いい人がついてくれる。私のワインを輸入している人たちはみんなそういう人たちよ。会うなりすぐに『いくら?』と聞く人もいるけど、まずは、試飲して、気にいってくれたら、聞いて欲しいわ。今は世の
中全てがお金や自分の都合ばかりいう風潮がどこにでもあるわね。今回日本に来て、日本は、モダンに、スマートに洗練されてるのを感じたわ。

私が訪れた50年前の日本は、戦後から復興してきたばかりで、何もなかったけど、もっと、深遠で、調和に満ち、もっと精神を重んじてて、すばらしかった。日本は少し変わったような気がするわ。でもそれは世界中どこも一緒ね。私は、拝金的な風潮や、洗練されたものよりも、大事なの
は違うことだと思っているのよ。
夫のセルジオとこのワイナリーを始めたときから、ここで、貧しい老人や子供たちと暮らしているの。彼らは、ワイナリーの従業員とかではなくて、家族なの。この家族は誰にでも開かれているの。もちろん、日本のみなさんにもよ。
私のワイン造りの根本は、愛でつながること。そのために、ワインを作っているのよ。良いワインが、良い人を連れて来てくれて、人生は豊かなものになるの。」

アッピ:「たしか、エリザベッタさんは、あの、アレグリーニのご出身ですよね?家族は反対されなかったんでしょうか?」

   
夫セルジオ エリザベッタさん:「ええ、私はアレグリーニの革命児でした。家族の反対を押し切って、当時貧しい人や子供を助ける活動をしていたセルジオと結婚しました。
私は、祖母にもらったお金で、この地に土地を買い、セル ジオと一緒にその活動を続けたんです。貧しい人を助け、導く活動です。セルジオは私の師です。が、彼は、この45年に続く活動ののちに先日亡くなりました。
私は彼の遺志を受け継ぎ、ワイン造りを続けています。 セルジオは生前、『幸せというのは、健康と純粋な魂の二つを備えることだ』とよく話していました。私も本当にそうだと思います。」

私はこのエリザベッタさんの話を聞いて、11年前に感じたわからなかった部分がわかったような気がしました。

当時ワイナリーに訪れた時、彼らの活動については全く知りませんでした。 ただ、エリザベッタさんが、アレグリーニを飛びだして、このワイナリーを始められたこと、また、エリザベッタさんがなにか困難に立ち向かって遂行しようとしている高い志があることが、ご様子から感じ取ることができていました。
でも、「なぜ?どんな?」みたいな部分が残ったまま、私は、この高貴で美しい女性にまた会いたいと強く思って帰国したの です。だから、この話を聞いたとき、かかっていた、雲が晴れたような、感じで喜んでしまいました。
さぞかしご苦労もあっただろうに、やわらかな笑顔で、今日ここにいるエリザベッタさんは11年前にあったとき以上に、穏やかな笑顔で、幸福そうに感じられました。
ブドウ畑の風景
エリザベッタさん:「エリザベッタさん:「私たちは大地を利用しません。土地を尊敬して、ぶどうを生かすように作るのです。完全な有機農法なのです。大量生産のワインはいつも同じです。でも、自然の営みは毎年違います。私たちはその自然の呼吸をそのままに生かしています。そういうワインは、生命力が違うんです。強くて透明感にあふれたものができます」

エリザベッタさんは、必ず、トスカーナのワイナリーにまた来るようにと何度もいい残して帰って行かれました。

  

インタビューを終えて

今回お別れに、とても素晴らしい年だったという2001年ヴィンテージの「ソノ・モンテニドーリ」を
頂戴しました。
2001年というのは、私たちが、彼女のワイナリーを訪問した年。とても嬉しい贈り物となりました。

開店したばかりで、あてもなく、雲をつかむように渡航した、イタリア訪問から11年。
手探りで今日までトスカニーを運営してきましたが、成長してエリザベッタさんにまた会えたこと。エリザベッタさんが当時にも 増して円熟した境地になられていることなどなど、互いの成長を喜びあえた嬉しい再会となりました。

モンテニドーリ 記念撮影

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