フェッラーリ トレントDOCキャンプ2017 参加レポートPART 1

  突撃インタビュー
 
2017年9月21日 フェッラーリ社 ルネッリファミリー

イタリアンスパークリングワインを牽引するフェッラーリ社が主催するFerrari Trentodoc Camp 2017(フェッラーリ トレントDocキャンプ2017)参加レポート・・・Part 1

フェッラーリのカンティーナ外観
Ferrari Trentodoc Camp(フェッラーリ トレントDOCキャンプ 以下、フェッラーリキャンプと記載)は、「キング オブ スプマンテ」として知られるフェッラーリ社が、世界各国のワイン業界関係者(インポーター、酒販店、ソムリエ、ジャーナリスト等)を対象に開催しているプロモーション活動のひとつ。2017年9月、7回目となるフェッラーリキャンプに参加するためにトレンティーノ アルト アディジェ州のトレントに行ってきました。

フェッラーリキャンプの目的はもちろんフェッラーリのワインをより詳しく知ってもらうこと。フェッラーリ社のワイナリーの中での趣向を凝らした試飲に始まり、醸造施設と畑の見学、有機栽培および生物多様性への取り組み、トレントDOCのテロワールと豊かな食文化へのアプローチ、さらには世界のスパークリングワイン市場動向など、フェッラーリのワインの本質をより深く理解するための様々なプログラムが用意されていました。

さらに、試飲や講義だけでなく、ワインとのマリアージュに工夫を凝らした食事も今回のフェッラーリキャンプの重要なプログラムのひとつでした。食事の前のアペリティーヴォの演出も見事。このレポートの中でもご案内していきたいと思います。

ジュリオ フェッラーリ氏の「トレンティーノでイタリア産シャンパーニュワインを造る」という大きな夢を実現するために1902年に設立されたフェッラーリ。そして瓶内二次発酵スパークリングワインの生産を始めてからわずか4年でゴールドメダルを受賞

フェッラーリのあるトレンティーノの地図イタリア北部に位置するトレンティーノアルトアディジェ州の州都トレント

フェッラーリ社のトップキュヴェの名前にもなっているジュリオ フェッラーリは1879年にトレンティーノで生まれました。そしてサンミケーレアッラディジェ醸造学校で醸造学を学びます。その後、フランスのモンペリエ グランゼコールとドイツのガイゼンハイム醸造学校でも経験を重ね、シャルドネの苗木とともに地元に戻ったジュリオはここで「高品質のイタリア産シャンパーニュワインを造る」ことを決意しました。ジュリオにはトレンティーノがシャンパーニュのようなスパークリングワインを造るのに適していることが分かっていました。なぜならトレンティーノはワイン造りにおいても長い歴史があり、また、地中海性の気候でありながらもかつ昼夜の寒暖差が大きいという特徴があるからです。

1902年にフェッラーリ社を設立してメトドクラシコ(瓶内二次発酵)によるスパークリングワインの生産を始めたジュリオ フェッラーリ。アディジェ川の両側の畑に栽培されたシャルドネとピノネーロで造ったスパークリングワイン1906年にミラノエキスポで見事ゴールドメダルを獲得しました。

当時はまだまだ「質よりも量」の時代。そんな中で品質重視のポリシーを貫いたジュリオはイタリアワインのパイオニア的存在でした。

ジュリオ フェッラーリからルネッリファミリーへ。スパークリングワインの情熱が受け継がれ、さらにメトドクラシコのリーディングワイナリーとして発展させ続ける3世代目の4人

ジュリオフェッラーリとブルーノルネッリジュリオフェッラーリ氏とブルーノルネッリ氏

1952年、子供のいなかったジュリオ フェッラーリはトレントで酒屋を経営していたブルーノ ルネッリにワイナリーを委ねることにしました。当時のフェッラーリ社は規模は大きくはなかったもののワインに対する評価は非常に高く、ワイナリーを買いたいという人は大勢いました。ジュリオは酒屋経営者のブルーノにはワイナリーを発展させてくれる素晴らしいポテンシャルを秘めていると感じ、彼にワイナリーを売却することにしたのです。その後、ジュリオはブルーノと一緒にフェッラーリ社で過ごし、自分の選択が正しかったことを確信したといいます。

フェッラーリ社はブルーノから3人の息子フランコ、ジーノ、マウロへと引き継がれ、さらに現在はブルーノの孫である私たち、マルチェッロ、マッテオ、カミッラ、アレッサンドロの4人が中心となって経営しています。年間の生産本数は500万本でこれはイタリアで造られるメトドクラシコの約30%にあたります。51ヶ国に輸出していて世界中でフェッラーリのワインは飲まれています。

規模は大きくなっても創業者、そして先代たちからの想いを受け継いだワイン造りを続けることが私たちのモットーです。トレンティーノという独自性のある唯一無二のテロワールと強く結び付いていること、畑で働く人の健康と労働環境を尊重し、社会的責任のある持続可能なワイン造りを行うこと、トレーサビリティの確保、そして全てにおいて最高を追求することです。
ルネッリファミリー

 

トレントDOCとは山のスパークリングワイン。これがフランチャコルタともシャンパーニュとも異なるワインを造る

フェッラーリの畑高い標高に位置するフェッラーリ社の畑

フェッラーリのスパークリングワインはすべて「トレントDOC」です。トレントDOCはメトドクラシコしかありません。使用可能なブドウ品種はシャルドネ、ピノ ネーロ、ピノ ビアンコ、ピノ ムニエです。ただし、フェッラーリ社ではピノ ムニエは栽培していませんので使っていません。

トレントDOCのエリアはヴェローナからオーストリアに向かって流れるアディジェ川の両側のアディジェ渓谷です。地理的にみると西南にイタリア最大の湖のガルダ湖があり、南はパダナ平野、北にドロミテの山岳地帯という位置にあります。トレントDOCの畑は標高が高く、800mにも達します。しかも日照量が多いため昼間は気温が上がりますが、標高が高いので夜はぐっと気温が下がる特徴があります。つまりトレントDOCは「山で造られるスパークリングワイン」で、同じメトドクラシコのフランチャコルタや、シャンパーニュとは異なる特徴を持つワインだということです。

フェッラーリの畑も標高は300mから800mという、さまざまな高さのところにあります。自社畑が100ha、そして500以上の栽培農家と契約をしています。トレンティーノは歴史的に小さな農家たちが多いのでそれぞれの畑も1ha程度です。栽培農家たちに私たちのアグロノモが指導して栽培をしてもらっています。

自社畑と、契約農家たちの畑、全て有機栽培を行っています。農薬は使わず、持続可能な自然な手法によって畑を管理しています。2010年は生物多様性の国際年で、そこで「Biodiversity friend」という証明書が導入されました。フェッラーリ社は2015年以来、「Biodiversity friend」の証明を受けています。

戦争中、はからずも放置されたボトルから長期熟成のポテンシャルを発見。ジュリオ フェッラーリ リゼルヴァの誕生へ

ジュリオフェッラーリボトル
山のスパークリングであるトレントDOCは非常にしっかりとした酸があるのが特徴です。しかし創業当時はスパークリングワインを熟成させるという概念がなく、若いヴィンテージのままリリースさせていました。第2次世界大戦中、ジュリオはカンティーナを閉め、トレントを離れることを余儀なくされました。そして戦争が終わった7年後に戻ったとき、残しておいたボトルを確認してみると非常に素晴らしい味わいになっていたことに気付いたのです。フェッラーリのワインが長期熟成のポテンシャルがあることがこうして分かったのです。

長期熟成で造るスパークリングのリゼルヴァ。誰もがやろうとすら考えなかったことにチャレンジし、生まれたのがジュリオ フェッラーリ リゼルヴァ デル フォンダトーレです。初ヴィンテージは1972年でした。このリゼルヴァが誕生した時、ブルーノの3人の息子たちは迷わず創業者のジュリオフェッラーリの名前を付けることにしました。こうして10年もの瓶内熟成を経て造られるスパークリングリゼルヴァが生まれました。

スパークリングワインプロデューサーオブザイヤー受賞で世界No.1のスパークリングワイナリーに!さらにルネッリグループとしてフェッラーリ以外にもイタリアの高品質ワイン、グラッパ、ミネラルウォーターもプロデュース

世界第1位スパークリングメーカー
世界で1番のスパークリングワインはシャンパーニュだとされていましたが、フェッラーリ社が2015年度のスパークリングワインプロデューサーオブザイヤーを受賞したことでその認識は変わりつつあると思います。それまでイタリアワインが世界的なワインコンクールで評価を受けるのはスティルワインしかありませんでしたし、世界の一流レストランでオンリストされるスパークリングワインはどこもシャンパーニュばかりでした。

ただ、スパークリングワインというのは品質がいいだけでは十分ではないのも事実です。フェッラーリは芸術、ファッション、映画、スポーツなど様々な分野とのコラボレーションを通して、ブランド力を上げる活動にも力を入れています。また、世界各地の空港に「Ferrari Spazio Bollicine」を出店したり、ヴェネツィアのホテルダニエリや、サルデーニャのPHI BEACHなどイタリアの優れたロケーション地に「Luoghi Ferrari」を展開してプロモーション活動を行っています。

私たちはフェッラーリのトレントDOC以外にイタリアの優れた製品のプロデュースにも取り組んでいます。まず、テヌーテルネッリの名前で3つのワイナリーを所有しています。トレンティーノの「テヌータマルゴン」、トスカーナの「テヌータポデルノーヴォ」、そしてウンブリアの「テヌータカステルブオーノ」です。

そして1861年創業のトレンティーノの老舗グラッパメーカー「セニャーナ」。トロミテ国立公園に源泉があるミネラルウォーター「スルジーヴァ」はミネラル分が非常に少ない軟水の柔らかい味わいであることからイタリアソムリエ協会の公式ミネラルウォーターとして認定されています。また、プロセッコの名門であるビソル社ともパートナーシップを結んでいます。
ルネッリグループ

フェッラーリの歴史を象徴するノンヴィンテージブリュット
ブリュットNV
フェッラーリの歴史的ワインであり、「ハウススタイル」のワインでもあるのがこのノンヴィンテージブリュットです。ノンヴィンテージですので、複数のヴィンテージワインをブレンドして造ります。ブドウはシャルドネだけです。

34ヶ月間の瓶内熟成をしています。トレントDOCの法定基準は最低15ヶ月以上ですので、それよりもかなり長い熟成を行っています。

試飲コメント:フレッシュで心地よい果実の香りと上品な酵母のニュアンスが感じられる。やわらかく繊細な辛口で洗練された味わい。熟した果実やパンの耳のニュアンスも。

ブリュットNV
高い標高の畑のピノネロとシャルドネで造る淡いピンク色のロゼ
フェッラーリ ロゼNV
60%ピノネロ、40%シャルドネで造るロゼです。このワインはピノネロが主役になります。どちらのブドウも標高の高い畑で造っています。こちらも34ヶ月間の瓶内熟成です。消費者から甘さについてのリクエストがあるのでは?と聞かれることもあります。確かに、国によってその傾向はありますが、それに迎合するのはフェッラーリのスタイルではありません。

試飲コメント:サーモンよりもオレンジに近いピンク色。柔らかな果実の香りが広がった後、酵母のニュアンスを感じる。森の果実の上品な味わいでほんのりと甘みも感じられる。余韻も長く、しっかりとしたドライなフィニッシュ。

フェッラーリ ロゼNV
世界中からの高い支持を受けるブランドブラン
ペルレ ミレジム2010
シャルドネ100%で造るブラン ド ブランで、最低5年間以上の瓶内熟成を経て造られます。ペルレはフェッラーリの中でも国内外で最も成功しているワインのひとつです。多くの高級レストランがバイザグラスとしてペルレを採用しています。「ペルレ」は創業者のジュリオフェッラーリがネーミングしたものです。ワイナリーを立ち上げた時代はトレントはオーストリアハンガリー帝国の統治にあり、“泡の多いワイン”という意味の「スプメッジャンテ(spumeggiante)」という単語は「perlend」とドイツ語に訳されていました。そこから、厳選したシャルドネから造ったこのスパークリングワインを「Perle」と呼ぶことにしました。

ペルレは現在、リゼルヴァラインも造っています。けれども、1971年から造り続けているこのペルレはフェッラーリの歴史が詰まっている大切な存在であることに変わりありません。

試飲コメント:桃やリンゴの上品な果実のニュアンスとほんのりとスパイシーなニュアンスのある香り。熟した果実のやわらかな味わいとフレッシュな酸のハーモニーが素晴らしい。ビロードのような口当たり、シロップ漬けのオレンジのニュアンスも。美しく上品な甘みにうっとり。

ペルレ ミレジム2010
5年以上の長期熟成で造られるペルレラインのロゼリゼルヴァ
ペルレ ロゼ リゼルヴァ2011
100%自社畑のピノネロとシャルドネから造ります。比率はピノネロが80%、シャルドネが20%です。これも最低5年以上瓶内熟成を行います。

試飲コメント:しっかりとした香ばしいアロマでサクランボやベリー系の果実の香りが華やか。味わいはしっかりとした辛口で力強い骨格が感じられ、引き締まっている。

ペルレ ロゼ リゼルヴァ2011
フェッラーリが初めて造ったブランドノワール
ペルレ ネロ リゼルヴァ2009
2002年に創業100年を記念してフェッラーリが初めて造ったブラン ド ノワールです。少なくとも6年間の瓶内熟成をしています。自社畑の中でも最も標高の高い部分にある畑のピノネロだけをセレクトしています。

試飲コメント:香りと味わい、そのどちらからも濃密さと厚みを感じる。リッチで熟した果実やスパイス、そしてミネラルのニュアンス。口に含むとしっかりとした骨格の中に洗練されたクリーミーな泡が広がり、果実感とミネラルのコクが存在感をもってやってくる。力強い個性のあるスパークリング。

ペルレ ネロ リゼルヴァ2009
長期熟成に相応しい厳選したシャルドネだけで造る上級ペルレ
ペルレ ビアンコ リゼルヴァ2007
ペルレは先ほどもお話しした通り、フェッラーリにとってもっとも成功したワインのひとつです。セレクションのシャルドネがコンセプトですが、さらにそれを発展させたリゼルヴァラインの生産もスタートしました。そのひとつがこのペルレビアンコリゼルヴァです。初ヴィンテージが2006になります。2006年はフェッラーリの歴史の中でも最高ともいえる素晴らしい年となりました。自社畑のシャルドネの中からより厳選したものだけを使い、104ヶ月間の瓶内熟成という非常に長い時間かけて造ったリゼルヴァです。

試飲コメント:非常に複雑で華やかなアロマ。柑橘系のシロップ漬けに爽やかな果実、そしてスパイシーなパンのニュアンス。しっかりとした辛口のシャープな味わいという第一印象から、のびやかな酸とミネラルが現れ、長く、厚みのある余韻へとつながっていく。まだまだこれから熟成させたいと思わせる印象。

ペルレ ビアンコ リゼルヴァ2007
創業当時の醸造方法の木樽発酵を用いた重厚感のあるリゼルヴァ
リゼルヴァ ルネッリ2008
これは木樽発酵のワインをベースにしています。フェッラーリが創業した時代はステンレスタンクなどがなかった時代です。つまり醸造は木樽で行っていたわけです。リゼルヴァルネッリはその時代へのオマージュとして伝統的な40HLのオーストリアのオーク樽で発酵したシャルドネで造ったスパークリングワインです。

試飲コメント:華やかで広がりのある果実のアロマ。味わいを印象付けるしっかりとした辛口、そしてそこから始まる複雑で厚みのある旨みとスパイシーなニュアンス。きめ細やかな泡の広がりに圧倒され、さらに樽から由来する力強くリッチな味わいがそのまま長い余韻へと続く。

リゼルヴァ ルネッリ2008
イタリアンスパークリングワインの頂点に輝く「キング オブ スプマンテ」
ジュリオ フェッラーリ リゼルヴァ デル フォンダトーレ2006
フェッラーリのトップキュヴェであり創業者の名前を付けたジュリオフェッラーリは1972年が初ヴィンテージです。その時代はフレッシュで若いスパークリングが当たり前の時代で、熟成させた泡など皆無でした。しかし、ジュリオフェッラーリはトレンティーノのスパークリングワインが長期熟成のポテンシャルを持つことを証明したのです。

自社畑の中でも標高の高いところにある南西向きの単一畑「マゾピアニッツァ」のシャルドネだけを使って造ります。10年間の瓶内熟成を経て造ります。

試飲コメント:華やかで上品なアロマ。ハチミツや柑橘類、さらにスパイスやチョコレートのニュアンスなど複雑な香り。ビロードのような柔らかくも力強さを感じる味わい。香りから続くハチミツのニュアンスとともに熟した果実味と繊細な泡が口の中に広がり、長い長い余韻へとつながっていく。

ジュリオ フェッラーリ リゼルヴァ デル フォンダトーレ2006
1日目を終えて

到着日にパラッツォ ロッカブルーナ(Palazzo Roccabruna)で開催されたウエルカムディナーの翌日の9月22日に行われたプログラムの約半分のレポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?ウエルカムディナーのアペリティーヴォはフェッラーリブリュットでスタート。はっきりとした酸とミネラルから山のスパークリングであることをまさに表現していると実感。

フェッラーリ社のあるトレントは日中は日がさして9月下旬でも比較的暖かいのですが、日が落ちるとぐっと冷え込んで、寒暖差の大きい土地であることを肌で感じました。ワインが造られる土地でワインを飲むという貴重な時間を過ごさせてもらっています。

ウエルカムディナーのアペリティーヴォ
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