『ボルゲリ5人衆』の一人!スーパートスカンの黎明期を支えた偉大な生産者「ミケーレサッタ」

突撃インタビュー
2016年11月28日 ミケーレ サッタ社 ジャコモ サッタ氏

「ボルゲリ」の名を世界に轟かせた「ボルゲリ5人衆」の一人!
「オルネッライア」の栽培責任者も務めていたミケーレ サッタ

ミケーレ サッタ社 ジャコモ サッタ氏と
ミラノ大学で農業学を専攻、元々果樹園で働いていたミケーレサッタ氏。1983年、ブドウ栽培を始めるやいなや、類まれな独自の農業哲学でボルゲリ黎明期から存在感を示し、自身のワイナリーを持ちつつも、『オルネッライア』、『マッセート』では栽培の一切の管理を任される程。一つのワイナリーにとどまらずボルゲリ全体の発展に常に寄与し続けてきた偉大な生産者です。ボルゲリで唯一サンジョヴェーゼ100%で造る「カヴァリエーレ」を始め、テロワールと向き合い、深い知識と経験から産み出されるワインは「彼の指紋」と称され、他に真似の出来ない素晴らしい個性が表現されています。ミケーレサッタ氏の息子で栽培から醸造の一切に携わるジャコモ サッタ氏にお話を聞きました。

ボルゲリDOC最南端の村カスタニェート カルドゥッチ

地図ピサ大学農学部卒業後、果樹園で働く
北イタリア出身の父ミケーレ サッタが1974年、19歳の時ミラノ大学からピサ大学の農学部に転籍、トスカーナに移り住み果樹園で働き始めたのがこの地に根をおろすきっかけでした。当時のボルゲリの畑は殆どが野菜、果樹作物の畑で、ワイン用のブドウ畑は殆どありませんでした。7~8年果樹園で働いた後、1983年、同じボルゲリで畑を借りてブドウ栽培を始める事になります。場所はボルゲリDOC最南端の村、カスタニェート カルドゥッチです。ボルゲリでは早くからワイン造りを始めた生産者の一人です。「オルネッライア」の畑とは2キロ程しか離れていません。 

「サッシカイア」「グラッタマッコ」「オルネッライア」「グアド アル タッソ」らと並ぶ『ボルゲリ5人衆』
当時は折しも、この地で造られたスーパートスカンが段々と注目され始めている時期でもありました。その時に「チェルバイオーナ」や「ヴァルディカヴァ」といった銘醸ブルネッロのエノロゴ、アッテリオ パーリ氏と出会い「我が天職はワイン醸造」と悟り、愛する家族と力を合せワイン造りにさらに邁進していきます。ボルゲリの地で「サッシカイア」「グラッタマッコ」「オルネッライア」「グアド アル タッソ」らと共に『ボルゲリ5人衆』としてこの地の可能性を開拓し、1990年以降のボルゲリDOCスタートの立役者となりました。

『オルネッライア』、『マッセート』のブドウ栽培管理を務めたミケーレ氏の深い知識と経験

ミケーレサッタ氏父の農業への深い知識、経験はボルゲリ全体の発展に大きく寄与していきます。スーパートスカン『オルネッライア』が誕生した初期にはブドウ畑一切の管理を任されていました。自身の畑を持ちながらも1990~1994年までロドヴィゴ アンティノリから依頼を受け、あの『マッセート』の畑でメルローの栽培管理も務めるほどでした。父はあくまでもボルゲリの地の個性を生かした、この地だからこそ出来るブドウの味わいを深く追求していったのです。その縁で「オルネッライア」とは今もずっと良好な関係が続いています。

ボルゲリで多大な信頼を得ているミケーレサッタならではエピソード

家族写真オルネッライアから譲り受けたソーヴィニョンブランで造る白
ボルゲリで信頼される存在である父ならではエピソードですが、私たちの白ワイン「コスタジューリア」は当初ヴェルメンティーノ100%で造る予定でした。交流があったオルネッライアの伝説的エノロゴ、ミシェルロラン氏からソーヴィニョンブランをブレンドした方が良いとアドバイスを受けました。ロラン氏からオルネッライアの白「ポッジョ アッレ ガッツェ」の畑からソーヴィニョンブランのブドウ樹が渡されました。ミケーレサッタのブドウとオルネッライアのブドウがブレンドされた特別な白ワイン「コスタジューリア」が誕生しました。いわばミシェルロランとの共作となった白ワイン。父はその出来に非常に喜んでいました。 

新しい可能性を求めて多くの品種を実験する
探求心旺盛な父は、トスカーナの伝統的なブドウに限らず、新しい可能性を求めてフランスやスペインの品種の栽培実験を行うようになります。新たなブドウを求めてフランスのコート デュ ローヌ地方を訪ねた際、地場品種の赤ワイン品種シラーにボルゲリでの可能性を強く確信しました。その時、試しに持ち帰った白ブドウ品種ヴィオニエ100%でワインを造ってみました。

 

『ヴェロネッリ』が「白ワインの王様!」と絶賛したヴィオニエ100%白
畑
販売するつもりで造った訳ではなかったので、出来上がった2000、2001年のサンプルボトルを、友人だったルイジ ヴェロネッリ氏(『ヴェロネッリ』の創設者)送り、感想を聞こうと思っていたら、ヴェロネッリ氏から「ル ビアンコ!白ワインの王様と呼ぶべきワインだ!」と大絶賛され、伊新聞「コリエレ デラ セラ」紙上でその記事が大々的に取り上げられ大変な話題となりました。当初父は困惑していた様子でしたが、ヴェロネッリ氏の熱は収まらず、ついにはヴェロネッリ自ら「Giovin Re」(ヴィオニエ=Viognierの文字を入れ替えた名前)と名付ける程、父の造るヴィオニエのワインを大変気に入っていたようです。「オルネッライア」にも試飲してもらいましたが、素晴らしい出来ばえにミケーレサッタのヴィオニエが欲しいと言われたので、ブドウ樹を少し渡しました。

ボルゲリで唯一サンジョヴェーゼ100%のワイン「カヴァリエーレ」をリリース

カヴァリエーレボルゲリ全体で生産量僅か2%のサンジョヴェーゼ
そんな父が最も好きなブドウ品種がサンジョヴェーゼです。カベルネソーヴィニョンやメルロー、シラーといった国際品種が多数植えられているボルゲリではサンジョヴェーゼの生産量は全体の僅か約2%程にしかなりません。 

「父の指紋」ともいうべき他に真似の出来ないワイン父はトスカーナで伝統的に栽培されているサンジョヴェーゼでエレガント、ミネラル感のあるワインを造りたかったのです。ボルゲリではサンジョヴェーゼは適合しないという方が多数いましたが、決してそんな事はありませんでした。ルイジ ヴェロネッリの強い勧めもありボルゲリで唯一サンジョヴェーゼ100%で造る「カヴァリエーレ」1994年をリリースしました。これは『父の指紋』ともいうべき他に真似の出来ないワインです。サンジョヴェーゼの醍醐味と言うべき美しい酸とミネラル、円やかな旨みに満ちた充実の味わいがあります。

オルネッライアから譲り受けたソーヴィニョンがブレンドされ誕生したミケーレサッタの白「コスタ ジューリア」
コスタ ディ ジューリア2013
オルネッライアのコンサルタントであったミシェル ロラン氏からアドヴァイスを受け、ソーヴィニョン ブラン種をブレンドする事にします。そのソーヴィニョン ブランは、オルネッライアの希少な白「ポッジョ アッレ ガッツェ」の畑のブドウから持ち出されたものでミシェル ロラン氏の共作により出来上がったワインです。

 

試飲コメント:豊かな果実感と穏やかな酸味、塩味のある凛々しいミネラルが混じり合い、スタイリッシュで心地よい滑らかな飲み心地があります。バランスに優れ、余韻まで調和のとれた味わいが続きます。ソーヴィニョンのエレガンスとヴェルメンティーノの深みが楽しめる味わい深い一本です。魚介類のカルパッチョや、ムール貝や貝類の白ワイン蒸し、白身魚の塩焼き等魚料理全般との相性は抜群です。

コスタ ディ ジューリア2013
『ヴェロネッリ』『オルネッライア』が絶賛したヴィオニエ100%白バリック熟成の圧倒的な存在感
ジョヴィン レ2012
友人である『ヴェロネッリ』のルイジ ヴェロネッリ氏にサンプルとして送ったところ、「ル ビアンコ!白の王様と呼ぶべきワインだ!」と絶賛し、伊新聞の『コリエレ デラ セラ』紙にその記事が大々的に掲載され大変話題になりました。ヴェロネッリ氏はこのワインに「Giovin Re」(Viognierの文字を入れ替えた名前)と名前を付ける程、大変気に入っていたようです。

 

試飲コメント:黄桃やカリンを連想させる果実香にバリック由来の香ばしさ、分厚いミネラルが溶け合う、圧倒的な存在感を放つインパクトがあります。ボリューム感はありますが、滑らかで心地よい飲み口と口中で広がる豊かなフレーバーの美しい調和があります。トスカーナ海岸線リボルノの名物料理「カッチュッコ」、和食だと銀鱈の塩麹漬けの旨みのある魚料理、サルティンボッカ等と相性が良いです。

ジョヴィン レ2012
チャーミングでみずみずしい果実感!ミケーレサッタの心地よい飲み口のロゼ
ボルゲリ ロザート2014
DOCボルゲリで初めてロザートを造ったのはアンティノリ家で、ボルゲリの中ではロゼは古い歴史を持ちます。私たちが造るロザートはシンプルで「毎日飲んでも楽しめるワイン」がテーマです。サンジョヴェーゼを主体にメルロー、シラーがブレンドされていて、醸しは3時間以内でほんのり色が付くかつかない位の早いタイミングで引上げ、飲みやすいさを保ちつつも、黒ブドウ主体によるメリハリの効いた味わいがあります。

 

試飲コメント:赤スグリや木苺の赤い小さな果実のフレッシュな印象が心地よく、涼しげなミネラル香が相俟ってチャーミングな香りです。みずみずしい果実感と穏やかな酸味、伸びやかなミネラルが感じられます。飲み飽きのこないメリハリの効いた味わいとなっています。生ハムや冷前菜と相性が良いです。またアスパラのベーコン巻きやマグロとアボカドのワサビ醤油味等、軽やかな創作和食料理とも抜群の相性を魅せてくれます。

ボルゲリ ロザート2014
力強さとエレガンスが溶けあう秀逸なボルゲリ!5種のブドウの絶妙ブレンドで世界中に知られる人気キュヴェ
ボルゲリ ロッソ2012
ボルゲリ ロッソには自分たちが育てている赤ワイン用のブドウを全てブレンドしているミケーレサッタを代表するキュヴェです。北イタリア出身の父は以前から面識のあったサンミケーレの醸造学校やミラノ大学の醸造学科の権威からアドバイスもあり、ストラクチャーも強く色も濃い北イタリアの土着品種テロルデゴをトスカーナで唯一栽培ブレンドしています。

 

試飲コメント:ダークチェリー、スパイス、ハーブのアロマが美しく溶け合っています。飲むと、みずみずしい果実感と確りとした骨格とミネラルを擁す味わいの厚みがありながらも、飲み口はとても均整が取れていて無理のない自然な厚みが感じられます。ミケーレサッタを代表するバランスの取れたキュヴェです。仔牛肉のグリルや牛肉のアスパラ巻等と非常に相性が良いです。

ボルゲリ ロッソ2012
ボルゲリ最南端ミケーレサッタのスーパートスカン!力強い果実感とバリック熟成の素晴らしい調和
ピアストライア2012
ミケーレサッタ人気キュヴェ「ボルゲリ ロッソ」の兄貴分に当たるピアストライアはメルロー、シラー、サンジョヴェーゼ、カベルネソーヴィニョンがそれぞれ1/4ずつのブレンドから成り立つワインです。ブドウ品種ごとに分けて収穫、醸造を行い最終的にブレンドされて完成します。

 

試飲コメント:カシスやプラム、チェリーリキュール、ローズマリーにスパイス、レザー、タバコニュアンスが入り混じる、力強くも華やかな香りが印象的です。充実した果実感と骨格の確りとしたボディの逞しい構造が感じられますが、細部に至るまで粗さやブレが無くキメ細やか、タンニンも滑らかで既に素晴らしい調和が見られます。スペアリブ等赤身肉との相性は抜群です。

ピアストライア2012
ボルゲリ地区唯一のサンジョヴェーゼ100%!熟成した円やかな旨みと深い飲み心地の2009年!
「騎士」の名を持つ「カヴァリエーレ」
カヴァリエーレ2009
ボルゲリで唯一サンジョヴェーゼ100%で造られるワインが「カヴァリエーレ」です。トスカーナらしいエレガントさ、ミネラルの味わいを表現したいと思い造られたワインです。2009年は暑い年でアルコール感が確りとでたスタイルになりました。ミケーレサッタはヴィンテージの個性を尊重し、カンティーナでは出来る限り手を加えずに、ワインに表現しています。

 

試飲コメント:カヴァリエーレには熟成したサンジョヴェーゼの醍醐味が詰まっています。熟した黒スグリやチェリー、レザー、タバコ、スパイスのアロマが複雑に絡みあいます。サンジョヴェーゼの美しい酸としなやかに伸びる果実感、円やかな旨みに満ちた充実の味わいがあります。タンニンは絹のようにシルキーで継ぎ目無くスムーズ。芯に感じる濃密な果実感は健在で、今後の熟成のポテンシャルも感じられる逸品です。

カヴァリエーレ2009
スーパートスカン『マッセート』と同じ粘土質土壌で造られる
ミケーレサッタ最高峰単一畑
「イ カスターニ」
ボルゲリ スペリオーレ イ カスターニ2007
イ カスターニの畑はミケーレサッタが栽培責任者を務めた事もあるスーパートスカン『マッセート』と非常に似通う粘土質土壌です。出来上がるワインは華やかでフレッシュ、凝縮感のあるものとなります。良い年にだけボトリングし、近年では2010、2011年をボトリングしました。2012年はボトリングしていません。エノロゴは入手困難ブルネッロの「サルヴィオーニ」、「ヴァルディカヴァ」でその手腕を発揮する実力者アッテリオ パーリ氏が務めています。

 

試飲コメント:濃いルビーの色調です。ブラックチェリーやプラム、スパイスの力強いアロマがあり、飲むと凝縮した果実感と滑らかなタンニンが溶け合い、濃厚ながらも実にエレガントな仕上がりです。エキス分のある旨みが感じられ、中盤から余韻かけてブラックベリーや杉、レザーの風味が広がります。仔牛のグリル、子羊のソテー、サーロインステーキ等の味わいの確りとしたお肉料理との相性は抜群です。

ボルゲリ スペリオーレ イ カスターニ2007
インタビューを終えて
スーパートスカン「オルネッライア」、「マッセート」の黎明期を支えたミケーレ サッタ氏。今もボルゲリ全体に影響を与え続ける偉大な人物です。彼のワインにはボルゲリらしい果実の豊かさ、凝縮感もありながら、ブドウそのもの品質の素晴らしさを感じるバランスに優れた心地よい飲み口がありました。ボルゲリのテロワールを表現する『アルティジャーノ』(職人)という言葉がピッタリです。イタリア国内、特にイギリスで高い評価を得ているのも頷けます。今回試飲した中で「カヴァリエーレ」の深い味わいは、一流のブルネッロと何ら変わらないスケール感と凄みがありました。高品質な味わいは勿論、ボルゲリの歴史を知る上でも、ミケーレ サッタのワインは是非試して頂きたい逸品です。
ミケーレ サッタ社 ジャコモ サッタ氏とトスカニースタッフ
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