2014年4月14日 カンティーネ デル ノタイオ社訪問

2014/04/14
突撃インタビュー
 
2014年4月14日 カンティーネ デル ノタイオ社 ジェラルド ジュラトラボッケッティ氏

アリアニコ デル ヴルトゥレの世界を変えた造り手カンティーネデルノタイオ突撃インタビュー

ジェラルド氏と集合写真
ワイン産地としてますます注目を集める南イタリアの中でその高いポテンシャルが際立つ「アリアニコ デル ヴルトゥレ」。2014年のヴィーニタリでいくつものヴルトゥレのワイナリーに会ってきました。その中で一番感動したのがカンティーネ デル ノタイオ。もっとよく知りたいと、バジリカータ州リオネーロ イン ヴルトゥレにあるワイナリーを訪問してきました。

リオネーロの市街地の地下にある1600年代の洞窟で熟成

樽の並ぶ地下セラー今回の訪問はまず、リオネーロの市街地にあるワイナリー(事務所)に隣接する地下セラーの見学から始まりました。1600年代にフランチェスコ修道会が実際に使っていたという古い洞窟を熟成庫として使っているのです。トゥーフォと呼ばれる火山性凝灰岩を掘って造られた洞窟は温度と湿度が年間を通して一定で、ワインを熟成させるのに最適な環境。いくつもの小さな部屋があり、その部屋同士が細い通路でつながっているこの洞窟は古くから「ファチーレ」と呼ばれた伝統的な建築だそうです。

洞窟の中にはクリスマスに飾られるプレセピオのようなものがありました。プレセピオはキリストの誕生を表現したものが一般的ですが、ここにあるのは普通の人たち。ジェラルド氏はかつてのヴルトゥレの人々の仕事の様子や暮らしぶりを表現して、ヴルトゥレの歴史を伝えたくてこれを造ったそう。その一つ一つが精巧に作られていて、必見です。

プレセビオと呼ばれる仕事の様子や暮らしぶりを表現した模型

洞窟(セラー)からワイナリーの事務所に移動して、お話を伺いました。

バジリカータの農業の発展に重要な役割を果たしてきたジェラルド氏が立ち上げたワイナリー

アリアニコは古代ギリシャ時代から知られた品種でヴルトゥレ山の斜面に栽培されてきました。カンティーネ デル ノタイオの畑もヴルトゥレ山腹の標高450~600mの高い位置にあります。プーリアとカラブリアに挟まれたバジリカータは南イタリアの温暖なイメージとは程遠い冷涼な気候で、イタリアの年間最低気温を記録するほど寒い土地。

ヴルトゥレのアリアニコはそのため、晩熟となり、だいたい10月中旬から11月中旬にかけて収穫することになります。火山性土壌の肥沃でミネラル豊富な土壌、そして地中はトゥーフォ(凝灰岩)という貯水性の高い地層が1m以上もあるため雨の少ない時期でもブドウ樹は地中から水分を吸収することができます。

 

ヴルトゥレに育つアリアニコは晩熟。ゆっくりと熟し、収穫は10月中旬から11月中旬

成熟したアリアニコアリアニコは古代ギリシャ時代から知られた品種でヴルトゥレ山の斜面に栽培されてきました。カンティーネ デル ノタイオの畑もヴルトゥレ山腹の標高450~600mの高い位置にあります。プーリアとカラブリアに挟まれたバジリカータは南イタリアの温暖なイメージとは程遠い冷涼な気候で、イタリアの年間最低気温を記録するほど寒い土地。

ヴルトゥレのアリアニコはそのため、晩熟となり、だいたい10月中旬から11月中旬にかけて収穫することになります。火山性土壌の肥沃でミネラル豊富な土壌、そして地中はトゥーフォ(凝灰岩)という貯水性の高い地層が1m以上もあるため雨の少ない時期でもブドウ樹は地中から水分を吸収することができます。

成熟具合によって収穫時期をずらして造られる個性の異なる4つのアリアニコ

カンティーネ デル ノタイオはアリアニコ デル ヴルトゥレ地区内の5つのコムーネ(リオネーロ、バリーレ、リパカンディダ、マスキート、ジネストラ)に30haの畑を所有、アリアニコを中心に、土着品種マルヴァジア、モスカート、フィアーノ、さらにシャルドネ、ソーヴィニョンを栽培。所有する畑ごとに土壌タイプや気候条件、畑の向きを分析。アリアニコに最適の畑を選別、個性の異なる3つのアリアニコ デル ヴルトゥレと1つのアリアニコIGTを造っています。
個性のあるワインを生産する土壌や気候条件の違う畑たち

乾燥ブドウで造るアリアニコ
イル シジッロ アリアニコ デル ヴルトゥレ
イル シジッロ アリアニコ デル ヴルトゥレ


フラッグシップのイルシジッロ2009年が『ワインアドヴォケイト』誌で95点のハイスコアを獲得しています。「言い様のない程素晴らしいワインだ。重厚なワインだが、ずば抜けた美しさが感じられる。単一品種でこれほど多様性をもったワイナリーを他に思いつかない」と手放しで大絶賛されています。
試飲コメント:森の果実のジャムやチョコレート、黒コショウのニュアンスのある濃密で深みのある香りが華やかに広がります。甘みのあるたっぷりとした、そしてエレガントな味わいで、タンニンがとてもきれいに溶け込んでいるまろやかでなめらかな口当たり。フィニッシュはとても長く、スパイスやリコリス、ブラックチョコレートを感じます。圧倒的に優美な美味しさ、そして乾燥ブドウならではの複雑味と濃密感。

「アリアニコのアマローネ」、じっくりと味わってください。

十分に熟したアリアニコで造るビロードのようななめらかさのあるワイン
ラ フィルマ アリアニコ デル ヴルトゥレ
ラ フィルマ アリアニコ デル ヴルトゥレ


ラフィルマの2010年は『ガンベロロッソ』2015で最高賞トレビッキエリを獲得しました。「偉大な厚みを感じさせる赤だが、何よりもその優美さが際立っている。かぐわしい赤い果実の香りに続くスパイシーなニュアンス、味わいはまろやかで濃密感にあふれ、調和のとれたイキイキとしたスタイル。長い余韻には黒鉛やボワゼが感じられる。」と大絶賛しています!

南イタリアながら標高400mから500mとの高く冷涼な畑に育つアリアニコ。このフィルマのアリアニコはなんと11月上旬に収穫。

試飲コメント:十分に熟して凝縮されたブドウから造られたことに納得する力強さと、驚くほどに洗練されたビロードのような滑らかな味わいを持つ、存在感あふれるワインです。

アリアニコの力強いタンニンに圧倒されるとともに、バランスのとれた上品な美味しさに包み込まれる心地よさ。「唯一無二」「ワイン愛好家たちにとって、はずせない存在」と評される、「ラ フィルマ」は、アマローネやバローロにも引けをとらないスケール感と力強さを秘めています。ジビエ、煮込み肉料理、熟成したチーズと素晴らしいマリアージュをお楽しみいただけます。

アリアニコらしい果実味が楽しめる
イル レペルトリオ アリアニコ デル ヴルトゥレ
イル レペルトリオ アリアニコ デル ヴルトゥレ


「イル レペルトリオ」2013は『ガンベロロッソ』2016で最高賞トレビッキエリを獲得して土着品種アリアニコでイタリア最高峰の素晴らしい評価を得ています!

また国際的評価も高く、『ワインアドヴォケイト』誌においても90点以上を連発する実力を持ち、「甘美な香りで魅力的な仕上がり」「素晴らしい価値のある完成されたワイン」と絶賛されています!

収穫が始まるのは10月頃で、イルレペルトリオは、成熟の完璧なタイミングを見計らった10月中旬~下旬にかけて収穫したアリアニコから造られます。

試飲コメント:力強いルビーの色調に熟したチェリーやプラムのエレガントな香りに甘草やスパイスのニュアンスが溶け合っています。アリアニコらしい豊かな果実味が口いっぱいに広がる味わい。香りの印象そのまま感じる果実感と心地よいタンニンが素晴らしいバランスを成しています。ヴルトゥレで育つアリアニコの個性を存分に楽しむことができる素晴らしいワインです。お肉料理全般と相性が良いですが、牛や羊などのローストした肉料理とは抜群です。サービス温度は18度程度、ボルドーグラスでお楽しみ下さい。

フレッシュ感と同時にアリアニコのしっかりとしたボディを表現
ラット バジリカータ
ラット バジリカータ


ハイレベルなエントリーラインの濃厚アリアニコ「ラット バジリカータ」 2014が『ルカマローニ』で93点を獲得しています!「南のバローロ」と呼ばれるアリアニコ デル ヴルトゥレの最高峰の造り手らしい群を抜く高い完成度があり、上級ラインにけっして引けを取りません!
試飲コメント:10月上旬頃、熟し始めのタイミングで収穫したアリアニコから造られます。マセラシオンも約6日間と短く、フレッシュな果実味と同時にしっかりとしたボディを楽しむことができます。
インタビューを終えて
今回、カンティーネ デル ノタイオのすべてのワインを飲ませていただきました。アリアニコで造るメトドクラシコ(瓶内二次発酵)のスプマンテに始まり、アリアニコで造るロゼ スプマンテ、アリアニコと白ブドウのブレンドで造る2つの白、そしてロゼ。どれもとても美味しくて、アリアニコと言うブドウの素晴らしさを改めて実感できました。

そして、アリアニコの真骨頂、アリアニコ デル ヴルトゥレ。地理的にはイタリアの南端ですが、プーリアやカラブリアとは全く違う気候条件で、火山に由来するミネラル豊かな土壌と標高が高く寒暖差の激しい土地。知れば知るほどその奥深い魅力にひきこまれるワインです。

色々なアリアニコを飲み比べてきましたが、ノタイオのアリアニコは別格。ヴルトゥレの最高峰の素晴らしさをぜひ味わっていただければと思います。

ヴルトゥレ山腹に広がるブドウ畑の風景
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