2015年7月3日 アルテジーノ社 グイド オルザレージ氏来社

   
突撃インタビュー
2015年7月3日 アルテジーノ社 グイド オルザレージ氏来社

エレガントなスタイルのブルネッロに定評のあるブルネッロの老舗の造り手

アルテジーノ社 グイド オルザレージ氏来社
ブルネッロの中でも老舗に入る1972年設立のアルテジーノ。北と南で特徴の異なるモンタルチーノにおいて両方に畑を所有、それぞれのバランスを考えながら毎年エレガントなスタイルのブルネッロを造っています。所有者が変わるなどの歴史を経ながらも常にアルテジーノらしさを追求するワイナリーの一貫したポリシーを感じました。

ブルネッロの中でも歴史が古い1972年、モンタルチーノの町の北部に設立

アルテジーノは1970年にミラノの実業家ジュリオ コンソンノがモンタルチーノのアルテジーノ農場を購入したことから始まりました。アルテジーノ農場は15世紀にトスカーナの貴族が所有し、様々な農作物を作るなどしてきました。1970年にコンソンノの所有になってからワイン造りに特化した農場になります。ワイナリーの建物は1441年に建てられた当時のものを改装して使っています。

1972年に初めてボトリングをしました。その頃、ブルネッロの生産者は15~20社程度で私たちも老舗に入ります。今は250社以上の生産者がブルネッロを造っています。1972年以降、アルテジーノは少しずつ畑を広げ、最新の醸造設備を導入するなどして規模を拡大していきます。現在、所有する土地は全部で80ha、そのうちブドウ畑は44haです。ブルネッロの生産者の中では中規模程度だと思います。

2001年、コンソンノが亡くなり所有者が変わりました。購入したのはイタリアでも有数の薬局「アルジェリニカ」を経営していたエリザベッタ ニューディ アンジェリーニです。彼女は薬局会社を売却し、ワインビジネスに転向しました。エリザベッタは、モンタルチーノのカパルツォ、キャンティクラシコのボルゴ スコペート、スカンサーノのラ ドーガ デッレ クラヴーレも所有しているほど、ワインに対する高い情熱を持っている人です。

アルテジーノ社カンティーナ

ブルネッロのエリアに点在して5つの畑を所有。特徴の異なる畑をブレンドすることでバランスの良いブルネッロが生まれる

アルテジーノの畑は、前オーナーのジュリオ コンソルノの時代に購入したものです。ワイナリーの周辺にある「アルテジーノ」と「マチーナ」、そして約25年前に取得したモンタルチーノ南部のカステルヌオーヴォ デッラバテにある「ヴェローナ」、15年前に取得した南西部にある「ピアネッツィーネ」、そして北部の「モントソーリ」です。

同じモンタルチーノの中にあっても畑のある場所で特徴が異なります。土壌のタイプはそこまで差はありませんが、ミクロクリマ(局地的気候)が異なります。南部の畑(ヴェローナとピアネッツィーネ)は暖かくなる傾向があるので凝縮感のあるブドウができ、北部にある畑(アルテジーノ、マチーナ)はエレガントなスタイルになります。収穫時期も南は北よりも約10日間ほど早くなります。

毎年、特徴の異なるブドウができるので常にバランスを意識します。寒い年、暖かいで使う比率を変えています。一般的には60%を北部の畑、40%を南部の畑としていますがヴィンテージによって変わります。ただ、エレガントなスタイルであることには変わりありません。

5つの畑の中で「モントソーリ」だけ土壌の特徴が異なり、ほぼガレストロ土壌になります。この個性を生かすため、モントソーリは単一畑でのクリュブルネッロを造っています。初リリースは1975年で、ブルネッロとして最初の単一畑産のワインになります。

 
畑の地図
5つの畑

畑は化学的なものは使わない有機農法を実践。ブルネッロは伝統的な大樽のみで熟成。

2002年にオーナーが変わりましたが、基本的なアルテジーノのワインのスタイルは踏襲されています。技術部門の責任者は設立当時からクラウディオ バズラが担当、エノロゴはピエトロ リヴェッラと、2006年からはパオロ カチョルーニャが加わりました。私はエリザベッタがオーナーになってからアルテジーノに入社してマーケティングとセールスを担当しています。

畑では化学的なものは一切使用していませんが、今のところオーガニック認定は取得していません。というのも、万が一の時に農薬を使わなくてはならない状況が発生した場合がこないとも限らないからです。

ブルネッロは5000リットル~10000リットルの大樽だけで醸造していますが、IGTワインにはバリックを使っています。エノロゴがパオロに変わってから大樽を取り換えたり、スキンコンタクトの時間を短くするなどの変更を行い、この年から香りがクリーンな感じに変化しています。

ワインは畑で造られる。いいヴィンテージではなく、難しいヴィンテージの時こそ造り手の実力が問われる

ブルネッロはここ最近はいい年が続いていますが、2014年ヴィンテージは6月に雨が多かったり、気温が上がらなかったりで難しい年で苦労しました。ちゃんとブドウの世話ができた造り手とそうではなかった造り手の差が出てくるかと思います。

例えば、2010年は最高にいい年だったので特に苦労することなく素晴らしいワインができた年です。2010年に美味しいブルネッロができなかったとしたら、それは職業を変えた方がいいかもしれません(笑)。

今日飲んでいただく2008年は雨が若干多かったのですがよくできたと思います。2009年は比較的早くから飲み頃になるヴィンテージとなりました。2011年は暑く、モンタルチーノの南部の生産者は少し難しかったかと思います。2012と2013はとてもバランスのとれたヴィンテージです。

モンタルチーノでワインを造る為の権利

(ブルネッロの造り手が40年前と比べて15倍以上になったという話を聞き、いったいモンタルチーノの土地代はどれぐらいなのだろう、と質問しました)

モンタルチーノの土地代は1haあたり50,000ユーロぐらいです。ですが、土地を購入するよりも実はブルネッロを造る権利を取得することのほうが大変なのです。1haのブルネッロの畑に植樹をする権利代は300,000ユーロです。今、ブルネッロの畑は全体で2000ヘクタールほどです。モンタルチーノの中にあるからと言ってブルネッロを造っていいわけではないのです。大前提として、いいサンジョヴェーゼが造られる土地かどうか、であることが肝心です。だから、植樹する権利は今現在の生産者たち全員が所有し、新しく植樹したい人はその生産者から権利を購入しなければならないのです。これは、ブルネッロの品質を守るためのものであると同時に、イタリア各地のワイン産地が廃れることのないようにするためのものです。コントロールなしにブドウ栽培を認めていたらみんなブルネッロなどの有名ワインの土地を欲しがるでしょうからね。このような権利はブルネッロだけでなく、イタリアのすべてのDOCにも存在します。

ここから試飲をしました。

デイリーに楽しめるトスカーナ白
アルテジーノ ビアンコ トスカーナ 2012
ワイナリーの周辺の畑で造られるシャルドネ、ヴェルメンティーノ、ヴィオニエをブレンドして造るデイリータイプの白ワインです。ステンレスタンクだけで醸造しています。

試飲コメント:フレッシュな果実味をストレートに感じる。フレッシュな酸味とミネラルがきれいに調和。余韻には心地よいアーモンドのニュアンス。すいすい飲めるタイプ。

アルテジーノ ビアンコ トスカーナ 2012
サンジョヴェーゼのエレガントさを楽しめるステンレスタンクだけで仕上げた飲み心地抜群のデイリー赤
アルテジーノ ロッソ トスカーナ 2011
ステンレスタンクだけで造るデイリータイプの赤です。サンジョヴェーゼとメルロー、カベルネのブレンドです。4つの畑の若い樹齢(4年~12年)のサンジョヴェーゼを使って、毎日飲める飲み心地の良さをテーマに造っています。カベルネとメルローも使っていますが、サンジョヴェーゼのエレガントさを覆い隠すことのないように意識しています。

試飲コメント:新鮮な果実を思わせるクリーンなイメージの赤。サンジョヴェーゼのエレガントな旨みが心地いい。

アルテジーノ ロッソ トスカーナ 2011
アルテジーノらしいエレガントなブルネッロ。とてもクリーンでなめらかな美味しさ
アルテジーノ ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2008
2008年のブルネッロです。今、一般的にリリースされているのは2010ヴィンテージなので2008を今飲めるのはとてもラッキーだと思います。2008年は先ほども言いましたが雨が少し多かったのですがいい状態に仕上がっています。クリュ「モントソーリ」以外の4つの畑のサンジョヴェーゼをブレンドして造っています。

試飲コメント:果実味とともに感じるハーブやスパイスのニュアンス。とてもしっかりとした強い香り。とてもなめらかで引っ掛かりの無いエレガントな味わい。タンニンも甘くこなれている。

アルテジーノ ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2008
インタビューーを終えて
モンタルチーノの各地に畑を所有しているメリットをいかし、エレガントで飲み心地の良いブルネッロを造っているアルテジーノ。デイリーの赤白も、ブルネッロにも共通してクリーンなイメージを感じました。

ワイナリーが設立された1970年代当時は15~20社程度だったのが、現在は250社以上にもなっているという話はモンタルチーノの人気が急激に高まったことを示しています。アルテジーノは老舗になるわけですが、所有者が変わるなどの歴史を経ながらも常に「アルテジーノらしさ」を追求するワイナリーの一貫したポリシーを感じました。

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