2012年7月6日 カーサダンブラ輸出マネージャー ジュゼッペ マッテラ氏、サラ コンチェッタ ダンブラ氏来社

 
突撃インタビュー

2012年7月6日
カーサダンブラ輸出マネージャー ジュゼッペ マッテラ氏、サラ コンチェッタ ダンブラ氏来社

カーサダンブラとの記念撮影
温泉が有名で、観光客が途絶えない美しい島「イスキア島」。そのイスキア島最大のワイン生産者がカーサダンブラです。イスキアならではの土着品種で造るカーサダンブラのワインはしっかりとした個性をもった印象的なワインばかりです。今回、オーナーのお嬢さんでエノロゴのサラさんと輸出マネージャーのジュゼッペ氏からワインのことを中心に、イスキアの歴史や自然、観光スポットまで幅広いお話をお伺いすることができました。

カーサダンブラのラベルの偉大な生みの親。ルキーノ ヴィスコンティ監督とモエ エ シャンドン社長


ラベルサラ氏:
まず、私たちのワイナリーのことを簡単にご説明しますね。
カーサダンブラは、1888年に私の曾祖父フランチェスコ ダンブラがワイン販売の会社を設立して始まりました。当時はワインは造っておらず、量り売りのお店をしていました。その後、フランチェスコの息子のサルヴァトーレが1958年に初めてボトリングを行いました。現在のラベルデザインは、最初のボトリングの時のまま変わっていません。

このラベルデザインのモチーフを与えてくれたのが映画監督のルキーノ ヴィスコンティ氏です。彼はイスキアの「太陽」「海」「空」「家族」をラベルに描くようにアドバイスしてくれました。
そして、ラベルの形はドンペリニョンに使用されている盾形ですが、これはサルヴァトーレの兄のマリオダンブラがモエ エ シャンドンのシャンドン社長とナポリのバールで偶然会ったときに、この形を使っていいと言われたことがきっかけです。

トスカニー:そうなんですか。面白いエピソードですね。

「世界で一番美しい畑」とヴェロネッリが表したフラッシテッリ

フラッシテッリサラ氏:カーサダンブラがずっと続けていることがあります。まず家族経営であること。そしてその時代ごとに新しい醸造方法を取り入れていることです。例えば発酵の前にモスト(果汁)を冷やすこともいち早く始めました。これによりブドウのアロマを引き出すことができ、また、果汁を自然にろ過することができるのです。発酵の際に温度管理をすることは現社長で私の父のアンドレアが始めました。

また、アンドレアはクリュの概念を最初に取り入れたひとりです。アンドレアの友人でもあったルイジヴェロネッリ氏はカーサダンブラのフラッシテッリの畑を見て「世界で一番美しい畑」と表しました。それでこの畑のブドウだけでワインを造ることにしたのです。

サラ氏:カーサダンブラではイスキアの土着品種だけでワインを造っています。私たちのワインの味は他にはないので人によっては好みが分かれるかもしれません。でもこれがイスキアのワインなんです。

ジュゼッペ氏:イスキア島は人口6万人の島で、シチリア島、サルデーニャ島に次いで3番目に多い島です。火山活動で隆起してできた島なので火山性土壌でこれがワインを特徴づけています。イスキア最大の山は標高約800mのエポメオ山です。

凝灰岩土はこのような凝灰岩です。凝灰岩は通常白っぽい色をしていますが、イスキアは緑です。これは海水と火山土壌が混じってできているからなんです。イスキアの土壌は白ワインに向いています。

雨の多い北東部と雨の少ない南西部では土壌が全く違う

地図ジュゼッペ氏:凝灰岩はとても脆いのですが、ブドウにとっては大きなメリットです。雨が降るとまるでスポンジのように浸みこんでいき、水分を蓄えます。だから雨が少ない場所でも土の中に水分がある。これはとても重要なことです。

イスキア島は雨は北東部にしかたくさん降りません。そのため、北東部は有機分が多い土壌になります。一方、フラッシテッリなどの畑がある南西部は雨が少ないので有機分は少ないですが、その代わりにミネラル分が多い土壌です。イスキアは小さい島ですが、北東と南西では土壌は全く異なっています。

ジュゼッペ氏:栽培されているのは80%が白ブドウです。

ビアンコレッラはギリシャ帝国の植民地時代にも栽培されていたかも

ブドウトスカニー:カーサダンブラのワインはすべて土着品種ですよね。

ジュゼッペ氏:はい。島なので大陸からの影響を受けてこなかったんですね。国際品種を試した人もいたようですが、合わなかったのです。イスキアで最も重要なブドウはビアンコレッラです。イスキアはギリシャがイタリアの中で初めて植民地にした土地ですが、そのときにワイン造りがもたらされました。最近、島の南西部でギリシャ時代の農園の跡が発掘されたのですが、そこで見つかったブドウの種をボルドー大学が調べたところ、DNAがビアンコレッラに似ていることが分かりました。

トスカニー:当時からビアンコレッラが造られていたかもしれないんですね。

ジュゼッペ氏:3年前にはナポリ大学がイスキアのブドウ品種を調べたのですが、どれもイタリアの外では存在していないことがわかりました。私たちは全品種の遺伝子バンクを保存しているので勉強のためにイタリア全土から学生が訪れます。

さきほど北東と南西で天候も土壌も違うと言いましたが、このため収穫時期も違うんです。こんなに小さい島なのに、と思われる方も多いのですが、9月20日ごろから北東部で収穫が始まって、最後は10月10日ごろ。南西部のフラッシテッリの畑はだいたい最後ですね。

トスカニー:イスキア島の大きさってどれぐらいなんですか?南北で何kmぐらいあるのでしょう?

ジュゼッペ氏:私の自宅のあるイスキアの町(北東部)から会社のあるフォリオディスキア(南西部)まで13kmです。毎日通っているから分かります。夏はスクーターで山道を越えてきます。風が冷たくて快適ですよ。

トスカニー:結構アップダウンが激しそうですね。

ジュゼッペ氏:ええ。モトチクリスタ(自転車選手)が練習しに来るぐらいです。冬は私はこの道ではなく、海岸線を車で通勤してますけどね。

トスカニー:所有されている畑は南西部にあるのですか?

ジュゼッペ氏:はい、6haの自社畑は南西部にあります。それ以外に150軒の農家と契約していてブドウを購入しています。農家ひとりが所有する畑はとても小さくて、中にはかご5つ分ぐらいしか持ってこないところもあります。

畑からの風景
カーサダンブラの畑から見たパノラマ
試飲が始まりました。


イスキア ビアンコ

DOCとして2番目に認定されたイスキアビアンコDOC

イスキア ビアンコ2010

サラ氏:イスキアビアンコはDOCとして2番目に認定されたDOCです。
北東部の畑で栽培されたフォラステラとビアンコレッラのブレンドで造っています。アルコール度数は低めです。香りには火山性土壌のニュアンスが出ています。フレッシュでミネラルをよく感じます。シンプルにモッツァレッラと合わせると美味しいです。

イスキアビアンコはビアンコレッラの比率が40%ですが、一つ上の「ビアンコレッラ」は85%がビアンコレッラです。ビアンコレッラの比率が高くなると上品さが出てきます。


世界で一番美しい畑フラッシテッリ

テヌータ フラッシテッリ イスキア ビアンコ2010

テヌータ フラッシテッリ イスキア ビアンコ
サラ氏:フラッシテッリの単一畑のビアンコレッラ100%です。標高400~600mの段々畑で、すべて南西向きです。1日中太陽の光を受けて育つおかげで、アルコール度数の高い、濃密な味わいになります。また、昼夜の寒暖差も大きいので酸もしっかりあります。

トスカニー:酸もミネラルもしっかりありますが、まろやかな味わいですね。バランスがとてもいいです。

サラ氏:酸味があるということはリンゴ酸も多いのでマロラクティック発酵によってクリーミーな味わいになります。味わいの広がりもあり余韻も長く、とてもデリケートなフィニッシュです。1990ヴィンテージに『ガンベロロッソ』でトレビッキエリを獲得し、それ以降はずっと最終選考に残っています。

フラッシテッリは前菜からメインまで、食事を通して楽しめます。イスキア名物のウサギ料理ともよく合います。

トスカニー:イスキアはウサギをよく食べられているんですよね。

サラ氏:はい。島だから魚介と思われがちですが、実は肉料理が多いですね。斜面地なので牛を飼うのは向かないですし、1家族で食べきれるウサギが好まれています。


初めてのDOC認定を受けた赤ワイン

ペッレ パルンモ イスキア ロッソ2010

ペッレ パルンモ イスキア ロッソ border=
サラ氏:ペッレパルンモとは「ハトの足」という意味です。小花梗の色がハトの足の色と似ているからそう呼ばれています。ペッレパルンモは「ピエディロッソ」とも言いますが、イスキアのペッレパルンモとカンパーニャの他のエリアで造られているピエディロッソとはDNAが違います。

このワインは、タンニンの渋みをワインに出さないよう、花梗と種を極力取り除いて搾っています。そのおかげで果実味のしっかりとした味わいとなります。フレッシュ感もあるので少し冷やして、魚料理にも合います。

トスカニー:確かにフルーティーで渋みが少なく、飲みやすいですね。

サラ氏:イスキアロッソは赤ワインとして初めてDOCに認定されたワインなんです。DOCとしては2番目ですが、最初のDOCのサンジミニャーノは白なので赤はイスキアロッソが最初です。

トスカニー:歴史のあるワインなんですね。知りませんでした。

サラ氏:イスキアDOCは2011ヴィンテージからボトルにDOC認定を示す帯テープを付けることになっています。これは消費者にイスキア産のワインであることを保証するものです。実は他の場所で造ったワインをイスキア産と偽って販売する人が多いのです。イスキアには世界中から観光客が訪れるのでそれだけワインも売りやすいのです。

トスカニー:イスキア島には有名な人もたくさん訪問されていますよね。

ジュゼッペ氏:クレオパトラの撮影にも使われていますし、他にも色々な映画の舞台になっています。Maccheroni(邦題:マカロニ)やAvanti(邦題:お熱い夜をあなたに)など、カーサダンブラのワインが出てくる映画もあります。温泉にはサッカー選手もよく来られます。最近ではインテルの選手たちも来ていました。

トスカニー:じゃあ、長友選手も来ていたのかもしれませんね!行ってみたいです。

ジュゼッペ氏:(笑)ぜひいらしてください。待っています。


インタビューを終えて

カーサダンブラは栽培農家の人たちとの結びつきがとても強く、ワインはブドウから造るものだけど、その背景にはブドウを育てる人の情熱がある、と強調されていました。
長年カーサダンブラのブドウを育て続け、3年前に亡くなったひとりのおじいさんのエピソードを話して下さったのですが、彼はもはや目が見えなくなっていたにもかかわらず長年の経験とブドウの香りで最後の収穫をやり終えたそうです。それだけブドウ栽培に一生をかけた人たちが造っているカーサダンブラのワインからイスキアを感じて頂けると思います。
カーサ ダンブラとの記念撮影
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