南サルデーニャの実力派「パーラ」突撃インタビュー

2024/05/29

2024/05/16

ファビオ アンジュス氏 Mr. Fabio Angius

新たに品質向上させたスタンダードラインがリニューアル!
最高峰ヴェルメンティーノ「ステッラート」を造る南サルデーニャの実力派「パーラ」突撃インタビュー

1950年創業、サルデーニャ南部セルディアーナに拠点を置く家族経営ワイナリー「パーラ」。近年の研究でサルデーニャの起源だと判明した土着品種を中心に、抜群のコストパフォーマンスを誇るワインを生産しています。2019年より、お花の絵でお馴染みだったスタンダードラインがリニューアルされました。栽培や醸造、エチケットの見直しを行い、品種の個性がより表現される仕上がりになっています。上級ヴェルメンティーノ「ステッラート」も、『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリ常連である独自性を打ち出すべくDOCからIGTに変更されました。それらの経緯やワインの味わいについて、輸出マネージャーのファビオ アンジュス氏にオンラインでお話を聞きました。

土着品種で土地の個性を表現する南サルデーニャの実力派

――ファビオさん、お久しぶりです。本日はよろしくお願いいたします。

2018年以来ですね。あれから時を経て、パーラは新しいワインシリーズを造りました。今日は試飲をしながら、そのことについてもお話したいと思います。

パーラはサルデーニャの南西部、カリアリ湾が見えるセルディアーナに位置しています。1950年からワインを造る家族経営ワイナリーです。サルデーニャはイタリアで2番目に大きい島ですが、最大の島シチリアの人口が約500万人であるのに対して、サルデーニャは約150万人です。島の90%が山ということもあり、サルデーニャがいかに手付かずの自然で溢れているか理解いただけると思います。
(シチリアの面積:25,710km2、サルデーニャの面積:24,090km2)

近年の研究でサルデーニャが起源だと判明!
日本食と親和性の高いサルデーニャの土着品種

サルデーニャのブドウ品種について説明します。私たちはサルデーニャの伝統的なブドウを厳選し、この土地の特徴を表現したワインを生産しています。少し前までヌラグスやモニカはスペインが起源だと言われてきました。しかし、最近のミラノ大学の研究によるとサルデーニャが起源であることが判明しました。

そして、サルデーニャと日本は非常に親和性が高いと思っています。どちらも島で、食事や料理の手法がとても似ています。サルデーニャのワインは当然サルデーニャ料理と合うわけで、ひいては日本食とも相性が良いです。私は日本食が大好きなので、試飲の時に和食とのペアリングもお伝えしたいと思います。

安心・安全なワイン造りを徹底するパーラの哲学
ワイナリーとして安心・安全をお客様に届けることを重視しています。そのため、健康で綺麗なブドウの厳選、カンティーナ内の気温管理、動物性原料の不使用を徹底しています。

リニューアル&品質向上したスタンダードライン
最高峰ヴェルメンティーノ「ステッラート」がIGTに変更

 2019年から(ラベルに花の絵が描かれた)スタンダードラインが新しくなりました。各品種(キュヴェ)の個性を打ち出し、より高品質のワインに仕上げています。ラベルも変更し、世界的に有名なサルデーニャのデザイナー、マリア ヨーレ セッレーリ(Maria Jole Serreli)に描いていただきました。

より緻密な畑の整備を行い、100%自社専用酵母を使用
――栽培や醸造で変えたことはありますか?

まずは畑の整備です。温暖化の影響でアルコール度数が上がりすぎないようにブドウを太陽に直接晒さないような工夫をし、常にブドウをフレッシュな状態に保っています。ワインの造り方は年々変わっていているので、より注意を払っています。そして、自社で培養させた酵母を醸造時に使用するようになりました。外部から購入することはありません。

自然発酵は、私たちが想定しない酵母が働くことがあるので行なっていません。ヌラグスの酵母、ヴェルメンティーノの酵母といった具合で、100%自社専用の酵母を樽いっぱいに詰めて所有しています。

9年連続『ガンベロロッソ』最高賞の独自性を打ち出すべく
あえてIGTを名乗る最高峰ヴェルメンティーノ「ステッラート」

――ステッラートはIGT(イーゾラ デイ ヌラーギ)に変更されたのですか?

そうなんです。ヴェルメンティーノ ディ サルデーニャDOCのワインは山のようにあり、スーパーマーケットでは3ユーロから30ユーロのものまで売られています。同じ銘柄なのに、ここまで価格の幅があるとお客様に混乱を与えます。サルデーニャにとどまらずイタリアの重要な白ワインとしても認識されるステッラートと、廉価なヴェルメンティーノを同じワインと認識してほしくないという理由でIGTに変更しました。

サッシカイアを例にとってみましょう。彼らは政府に働きかけてサッシカイアという単独のDOCに昇格しましたよね。多様なものをひとまとめにするのではなく、ステッラートとしての独自性を打ち出すためにヴェルメンティーノ ディ サルデーニャDOCと名乗るのをやめたのです。

1948年植樹、カンティーナ周辺に根付くヴェルメンティーノの畑
ヴェルメンティーノの畑はカンティーナ周辺に点在して、合計26ヘクタールあります。1948年に植樹された畑を長年育て続けています。ソプラソーレは3つの畑からなっています。小さな丘が連なるエリアで、標高は110~220メートル、土壌は石灰質やマールと様々です。ステッラートは、最も標高の高い単一畑で造っています。カリアリの中でも高いほうで、涼しい場所です。ちなみに、ミッレルーチ(ヌラグス)も1つの畑で造っています。

「このエリアでしか造られない」古代品種ヌラグス100%白ワイン

ミッレルーチ ヌラグス

ミッレルーチ ヌラグス

ファビオ氏:
「ヌラグス100%で造る白ワインです。ミッレルーチとはたくさんの光という意味で、水面に輝く様々な光を表すワインです。ラベルには海に浮かぶ船と漁師の親子が描かれています。ヌラグスは紀元前3500年からあったと言われていて、このエリアでしか造られない品種です。また、ヌラグス100%のワインはほとんどありません。ヌラグスは皮が厚くタンニンもあるのでマセラシオンは行いません。白い花のニュアンスや甘み、タンニン、丸みを感じる味わいです。イタリア料理ではカルパッチョ、日本食では寿司はもちろんウナギやトンカツにも合います。飲むと食べ物を洗い流してくれるような個性を持っています」
試飲コメント:輝きを持つ麦わら色。黄色い果実、南国果実、レモンなどの柑橘系のフレッシュな香り。横断的に広がるフレッシュな酸と果実に満たされる心地よい味わい。あとから苦味もやってきます。

地中海を想起させるローズマリーの香り!
華やかでエレガントなヴェルメンティーノ

ソプラソーレ ヴェルメンティーノ ディ サルデーニャ

ソプラソーレ ヴェルメンティーノ ディ サルデーニャ

ファビオ氏:
「ヴェルメンティーノ100%で造る白ワインです。ソプラソーレは太陽の上という意味です。パーラが所有する土地に適したヴェルメンティーノクローンを使用しています。他のヴェルメンティーノと比較すると、その違いがわかっていただけると思います。ローズマリーやケッパーのニュアンスがある複雑で華やかな香り。柔らかい甘みも感じると思います。3ヶ月シュールリーをしているので、酸を柔らかくしています。まさに地中海をイメージしたワインですね。ボンゴレスパゲッティに最適です。日本食では天ぷらやエビにも合わせられますし、アペリティーボとしても最適ですね」
試飲コメント:輝きを持つ麦わら色。白い果実、黄色い果実、甘やかさ、ミネラル感、ハーブの香り。ほどよいボディを感じます。口当たりは非常に柔らかく、エレガントな味わい。口中を満たすフレッシュな酸と塩味が長く持続します。

樹齢70年超え!長期熟成ポテンシャルを秘めた最高峰ヴェルメンティーノ

ステッラート ヴェルメンティーノ

ステッラート ヴェルメンティーノ

ファビオ氏:
「ステッラートは、サルデーニャだけでなくイタリアの重要な白ワインとしても認識されるヴェルメンティーノです。樹齢70年を超えるヴェルメンティーノを使用しています。ステンレスタンクでシュールリーを6ヶ月行っています。より長期熟成ワインになることから、他のキュヴェよりも2倍長くしています。しっかりとしたストラクチャーで、複雑味とエレガントさがあり上品な味わいです。4、5年熟成させるとリースリングのようなアロマが現れるので、熟成させることもお勧めします。脂の乗った料理や、伊勢海老やウニと最適です」
試飲コメント:濃い麦わら色。果実やハーブの要素がギュッと詰まった複雑な香り。まろやかな口当たりから始まり、目の詰まった風味が広がります。フレッシュかつ豊潤な味わいが溶け合っていて、口の中を満たし続けます。ミネラル感が際立つ後口も特徴的です。

ヴェルメンティーノ、シャルドネ、マルヴァジア サルダ!
豊かな香りが広がる上級キュヴェ

エンテマーリ

エンテマーリ

ファビオ氏:
「エンテマーリはヴェルメンティーノ50%、シャルドネ30%、マルヴァジア サルダ20%で造る上級ワインです。ぜひ大きめのグラスで味わってください。マルヴァジア サルダは一般的なマルヴァジアとは違ってアロマティックな品種ではありません。3品種は、別々に収穫し醸造します。シャルドネは8月20日、ヴェルメンティーノは9月中旬、マルヴァジアが9月末から10月頭にかけて収穫します。温度管理のもと発酵を行った後に、3品種を一緒にして12ヶ月間ステンレスタンクでシュールリーさせます。その後、6ヶ月間の瓶内熟成を経てリリース。

3つの品種それぞれの特徴が複雑に絡み合っているのがわかると思います。ヴェルメンティーノのフレッシュ感、シャルドネの柑橘のニュアンス、マルヴァジアのアーモンドの苦みや杏のニュアンスがあります。非常に豊かな香りが広がります。ステッラートよりも長い熟成が可能です。より味付けをしっかりしたような料理に合うと思います。伊勢海老もいいですね」

試飲コメント:輝きのある麦わら色。パイナップルなどの南国果実、ドライフルーツ、スパイス、甘やかさのある香り。重厚感と複雑さがあります。香り同様の複雑でボリューミーな味わい。柔らかい口当たりで、果実味、酸、塩味、苦味が見事に調和しています。

優しいタンニンが引き出された軽やかな味わい!

オルトレルーナ モニカ

オルトレルーナ モニカ

ファビオ氏:
「土着品種モニカ100%で造る赤ワインです。モニカは優しくスパイシーで塩っ気のある品種です。40日間マセラシオンを行なって、ワインが一体化するような優しいタンニンを抽出させています。その柔らかいタンニンと果実由来の甘みがある味わいが特徴です。軽やかで飲みやすいワインだと思います。モルタデッラやウナギ、天ぷら、鶏肉、しゃぶしゃぶ、松茸に最適です。個人的にはピッツァと合わせるのが大好きです」
試飲コメント:ルビー色。華やかさと果実感、スパイスをともなう複雑で凝縮した香り。柔らかい口当たりで、香り同様の要素に加えてクリーンな味わいです。エレガントかつ凝縮感のある風味が長く持続します。

カンノナウの個性をクリーンに表現した心地よい味わい

チェントセーレ カンノナウ

チェントセーレ カンノナウ

ファビオ氏:
「100の夜という意味のチェントセーレは、ステンレスタンクだけで造るカンノナウ100%赤ワインです。40日間のマセラシオンによって引き出されたタンニンが非常に重要な役割を持っています。しっかりとしたストラクチャーがありながら、フレッシュでフルーティさも持っています。バラやドライフラワー、スパイシーなニュアンスがあります。神戸牛や焼き鳥などのお肉料理と相性がいいです。私はビステッカと合わせます。ラム肉もいいですね。このカンヌナウは他と違って、品種の個性がそのまま出るようにクリーンに造っています。ワイン自体はとてもエレガントで心地よい味わいです。酸とのバランスも素晴らしいです」
試飲コメント:ガーネットよりのルビー色。フレッシュさと重厚感のある複雑な香り。明るい赤系果実とドライフラワー、スパイスのニュアンス。口に含むと、最初にまろやかさと軽やかさを感じますが、華やかかつ濃厚な風味が広がっていきます。徐々にボディの優れた芳醇な味わいへと変化します。

グランクリュに位置付けられた区画で造る最上級赤ワイン

サライ

サライ

ファビオ氏:
「サライはグランクリュのような位置付けの最も古く最も重要な畑で造られるワインです。サライは区画の名前でもあります。カンノナウ、カリニャーノ、ボヴァ―レの3品種で造っていて、その順番で収穫して別々に醸造しています。40日間マセラシオンをした後、旧樽のバリックで14ヶ月熟成させます。その後、瓶内で6ヶ月間熟成させます。大きなグラスで飲むことをお勧めします。空気に触れさせることで、スパイスやコーヒー、チョコレート、革、ユーカリ、ミントのニュアンスが現れます。すごくしっかりしたタンニンがあります。果実からくる甘みとアルコールから来るグリセリンによって、甘さを感じてもらえると思います。合わせる料理は神戸牛がいいでしょう。個人的にはブラックチョコレートのさくらんぼ添えソースのような、ワインからも感じられるニュアンスに合わせたりします。マグロの鉄板焼きと合わせるのも好きです」
試飲コメント:濃いルビー色。潰した花やチェリーのコンポート、凝縮果実が香り、後からスパイス感が現れます。重厚感があります。香り同様の味わいで、柔らかくフレッシュな果実と酸が綺麗に溶け合っています。タンニンとコーヒーなどのニュアンスも相まって、持続性のある味わいです。

インタビューを終えて

パーラのワインは飲み心地が良く、赤白問わず暑い時期でも存分に楽しめる味わいだと感じました。抜群のコストパフォーマンスも特徴の一つで、味わい同様に気軽さに満ちたワインでした。モットーとする「サルデーニャらしさを大切にし、特別ではないけれども家族と友人と楽しめるワイン造り」を存分に堪能することができました。

それでいて、どのワインも食事と合わせたくなる味わいでした。ファビオさんがソプラソーレに対して「地中海のイメージにぴったりなので、合わせる料理はボンゴレスパゲッティですね」と話された時には、つい大きく頷いてしまいました。赤ワインは、肉料理だけでなく魚料理にも合わせられるような汎用性の高さを感じました。