「アルタランガ」「バローロクラシコ」の礎を築いたピエモンテの歴史的名門!「フォンタナフレッダ」突撃インタビュー

2024/01/16

2023/11/22

ロベルト ブルーノ氏 Mr. Roberto Bruno

「アルタランガ」「バローロクラシコ」の礎を築いたピエモンテの歴史的名門!本拠地セッラルンガダルバの自社所有クリュで偉大なバローロを生み出す「フォンタナフレッダ」突撃インタビュー

1878年創業、一世紀以上にわたりバローロを造り続けるバローロの歴史的名門「フォンタナフレッダ」。初代イタリア国王エマヌエーレ2世がセッラルンガ ダルバに土地を取得したことから歴史は始まります。息子のミラフィオーレ伯爵が土地を譲り受けると、本格的にワイン造りがスタート。バローロを先駆けて生産したり、バローロを初めて欧州外へ輸出するなど多くの功績を残してきました。昔ながらのブレンドで造る「バローロ クラシコ」や、大注目の高級メトドクラシコ「アルタランガ」の礎を築いてきた造り手でもあります。今回はCCO(最高顧客責任者)のロベルト ブルーノ氏をお迎えし、そんなバローロ クラシコやアルタランガ、クリュバローロについてお話を聞きしました。

1878年創業! バローロの世界的な名声を高めた歴史的名門

――ロベルトさん、お久しぶりです。お元気そうですね。

お久しぶりです。元気にしています。みなさんと試飲できる機会をいただけて嬉しいです。今回は改めてワイナリーの歴史と、ピエモンテらしさが表現された二つのDOCG「バローロ」と「アルタランガ」について話したいと思います。

初代イタリア国王の息子ミラフィオーレ伯爵がワイン造りを開始
フォンタナフレッダは1858年に創設されました。創業にはイタリア初代国王ヴィットーリオ エマヌエーレ2世が深く関係しています。イタリア国王になる前はピエモンテの王様でもありました。彼はセッラルンガ ダルバ村の土地を取得すると、狩猟のエキスパートとして狩りに勤しんでいたそうです。

当時のセッラルンガ ダルバは森林の多いエリアでしたが、すでにブドウ畑は存在しており、その頃にバローロが生まれたと考えられています。その土地(畑)を息子のエマヌエーレ アルベルト ミラフィオーレ伯爵が譲り受けると、1878年からフォンタナフレッダとしてのワイン造りが本格的にスタートしました。

セッラルンガ ダルバ村のMGAラッツァリート内のラ デリツィア畑

バローロ生産において多大なる功績を残したミラフィオーレ伯爵
ミラフィオーレ伯爵は多くの功績を残しました。バローロを先駆けて生産したことや、ランゲの中でも最大級に広い地続きの畑を所有していたこと、その畑から非常に多くのワインを生産していたこと、初めてバローロをヨーロッパの外に輸出したという実績もあります。

全村のブドウを用いてバローロ クラシコのスタイルを確立
――最初に取得したセッラルンガ ダルバの畑を中心にワインを造っていたのですか?

所有する畑はセッラルンガ ダルバに集中していましたが、契約農家がいたのでバローロ、ラ モッラ、ノヴェッロ、ヴェルドゥーノなど全エリアのブドウを使ってバローロを造っていました。各村のブドウをブレンドした調和の取れたバローロ、いわゆる「バローロ クラシコ」というスタイルを明確にして世界に示していきました。

もちろん私たちだけでなく、他の歴史的な生産者たちと共通認識を持ってバローロのアイデンティティを確立した結果、今のバローロの地位が築かれたと思っています。

バローロの本流!
老舗が踏襲した伝統スタイルで造るバローロ クラシコ

切っても切り離せない「バローロ」と「時間」の関係
さて、そのバローロについてお話をさせていただきます。私はバローロに対して「要求の多いワイン」だとよく言います。「これが理想の味わい」「何年寝かせて飲むのがベスト」「今飲んで美味しいものがいい」と、どうしてもお客様の期待値が大きくなってしまいます。

バローロは非常にシャイなワインです。自分から語りかけてくるワインではないので、グラスに耳を傾ける必要があります。そういう意味で「時間(期間)」は重要な要素です。セラーで寝かせる期間や抜栓してから楽しむ時間にゆとりを持って楽しむのがバローロだと考えています。そのようにして、みなさんの期待に応えるバローロが味わえると思います。

レストランではどうしても時間が限られているので、ぜひご自宅でバローロを楽しんでいただきたいです。テーブルの上で食事と楽しんで、食後は畳に移動して(笑)、ゆっくりとくつろぎなながら時間をかけて堪能してください。時間の経過とともに劇的に変化する味わいを感じていただけます。

各地のブドウをブレンド! バローロの歴史を物語るバローロ クラシコ
バローロの生産エリアは11の村に分かれていて、各地のブドウをブレンドしたバローロを「バローロ クラシコ」と呼ぶと先ほど話しました。そのスタイルを大切にしてきた歴史的生産者は多くいます。ピオ チェーザレやボルゴーニョが代表例です。私たちは彼らと一緒に協会に対して、ラベルにクラシコと表記できるよう要求し続けてきました。それはクリュが生まれる前からです。

――以前ピオ チェーザレにお話を聞いた時、たしかにバローロ クラシコに対して強く話されていましたね。

そうなんです。私たちは常にそういう話をしていました。可能なら現在のクリュのように、「バローロ クラシコ」「バローロ ストリコ」と記載したいところです。なぜなら、バローロが誕生した時からのスタイルですし生産者の強い思いがあるからです。残念ながら今のところ実現はしていません。スタンダードバローロやレギュラーバローロではなく、ぜひ「バローロ クラシコ」と呼んでくださいね。

テロワールを最大限に表現したクリュ バローロ3種
「ラ ヴィッラ」「ラ デリツィア」「ラ ローザ」

いち早くセッラルンガ ダルバに特化したバローロを生み出したフォンタナフレッダ
長い間バローロ クラシコが生産されてきた一方で、ここ数十年の間で脚光を浴び始めたのがクリュ バローロです。バローロはヴィンテージの違いはもちろんのこと、テロワールによっても全く異なる味わいを生みます。私たちは、クリュではないものの、先駆けて土地の特徴を最大限に表現した造り手でもあります。

一つのコムーネ(セッラルンガ ダルバ)のブドウを使用してワインを造った最初の生産者がフォンタナフレッダだと言われています。今となっては多くの生産者が地理名をラベルに記載していますが、私たちは1988年から行っていました。まだテロワールの話をする人間もいませんでした。

しかし、当時のセッラルンガ ダルバは全く知名度がなく、その頃に話題沸騰中だったバローロボーイズは1社もないような村でした。そんな誰も注目していないような場所で、私たちはテロワールに着目してワイン造りを始めたのです。今セッラルンガのバローロは非常に価値が高まっているので、これは劇的な転換期だったと言えるでしょう。

――当時はラベルに「セッラルンガ ダルバ」と記載できたのですか?

禁止事項ではありませんでした。そこから徐々にMGA(※)に広がっていきましたね。以降、周囲の生産者もテロワールに着目するようになり、私たちもその機運に乗じて複数のクリュを手がけるようになりました。それが今回試飲する「ラ ヴィッラ」「ラ デリツィア」「ラ ローザ」というクリュ バローロ3種です。

(※)追加地理言及、クリュ

左からラ デリツィア、ラ ヴィッラ、ラ ローザ

クリュ「パイアガッロ」で造るエレガントな「ラ ヴィッラ」
ラ ヴィッラは、バローロ村にあるMGAパイアガッロで造られています。2004年ヴィンテージから15年空いて2019年ヴィンテージから復活しました。(バローロ村の特徴である)トルトニアーノ土壌とエルヴェツィアーノ土壌が交わるところに畑があり、非常にバランスに優れたエレガントなワインに仕上がってます。よりモダン的ですね。

クリュ「ラッツァリート」で造る力強く厳格な「ラ デリツィア」
ラ デリツィアは、セッラルンガ ダルバ村にある注目度の高いMGAラッツァリートで造られています。力強く複雑で厳格さのあるワインですね。グラスに鼻を近づけると突き抜けるような香りが特徴的です。フローラルで果実味もあり、スパイシーなニュアンスがさらに現れます。

自社所有のクリュ「フォンタナフレッダ」で造る「ラ ローザ」
ラ ローザは、本拠地セッラルンガ ダルバのMGAフォンタナフレッダ(カンティーナ周辺)に広がる畑です。セッラルンガ ダルバにはあまりない砂質を含んだ土壌で、スミレやドライローズなどのフローラルなニュアンスをワインに与えてくれます。それに加えて完熟した果実味もあります。

プロのテイスターでも見誤るバローロの長期熟成ポテンシャル
先ほども「バローロは時間が必要なワイン」だと話しましたが、評価するにも時間が必要なワインです。私は1991年からフォンタナフレッダで働いていますが、30年以上経った今でもバローロが将来どのように発展を遂げていくかわかりません。バローロに精通したジャーナリストのアントニオ ガッローニも「バローロの評価は、少し時間を置いてから慎重にコメントしたほうがいい」と話されていました。

評価されなかったヴィンテージが10年後に大化けすることも
例えば、彼は2009年のリリース時に試飲した2005年ヴィンテージを良いヴィンテージだと評価しなかったんです。しかし、10年後に再度同じワインを試飲すると「とてつもなく優れた出来だ。バローロはどういう発展を遂げていくのか知りようがない」とコメントしたのです。彼が発表した論文にそう書かれてあります。

私も最近、2005年ヴィンテージを試飲しましたが素晴らしかったです。あまり評価されないヴィンテージだとしても、時間が経つと変わる可能性があるので、断言はせず余白のある評価をするのがベターだと。プロのテイスターでさえも時間を要するのがバローロというワインです。リリース直後のバローロが今度どうなるか評価はできないのです。それもバローロの魅力の一つです。今日みなさんとじっくりと時間をかけて話すことで、バローロへの理解や思いも醸成されていくと思います(笑)。

高級メトドクラシコ「アルタランガ」の地位確立に大貢献
フォンタナフレッダなしでは語れない誕生秘話

近年大注目のピエモンテ産メトドクラシコ「アルタランガ」
私たちが最も重要にしているもう一つのDOCG「アルタランガ」の話に移ります。アルタランガは、ストラクチャーとミネラル感に溢れていて、食中酒に最適なスプマンテです。最初から最後まで食事と味わっていただけるワインです。

現在アルタランガは非常に成功を収めていて、DOCGの中では最新のメトドクラシコですが、意外と歴史は古いです。実はピエモンテはシャルマ方式、メトドクラシコ問わず最初にスプマンテを造った州だと考えられています。

当時はピエモンテではなくロンバルディアのオルトレポ パヴェーゼのブドウで造っていました。そのため、フランチャコルタやトレントといったメトドクラシコの産地がDOCを名乗れる一方で、私たちが造るメトドクラシコはDOCを名乗れないという問題が起きたのです。そこで、1990年にフォンタナフレッダを含めた7つの生産者が集い、ピエモンテ産のブドウでメトドクラシコを造るための作戦会議を行いました。

そして、メトドクラシコに用いるピノ ネロとシャルドネに最適な産地としてアルタランガに辿り着きました。アルタランガは、クーネオ、アスティ、アレッサンドリアの3つの県にまたがる高標高のエリアです。1990年にゾーン分けを行い、実験がうまくいったので生産量を増やしていきました。

最初の収穫を行った1996年には、まだ「アルタランガ」という名前がついておらず「ピエモンテDOC」として考えていました。各所に申請を行い政府からの許可も得て、ファーストヴィンテージから6年後の2002年にようやくアルタランガDOCの認定を受けました。ですので、カンティーナには認定前の「ピエモンテDOC」と書かれたボトルが残っています。

DOC、 DOCG認定に大きく寄与したフォンタナフレッダの存在
――アルタランガの発起人であるフォンタナフレッダ以外のワイナリーも気になりますね。

ジョルジョ リヴェッティが手がける前のコントラットやバンフィなどが参画していましたが、それら6社は全て、1990年の会議から2002年のDOC認定までの間で撤退してしまいました。DOC認定後、本当に生産に注力していたのはフォンタナフレッダだけでした。

――そうだったんですね。フォンタナフレッダがいなかったら、アルタランガは誕生してなかったかもしれないということですね。

私たちがいなくても生まれてたかもしれないですが、今もこうして存在し続けてるのは私たちの貢献も少しあったからだとは思います。いかに自分たちのプロジェクトを信じ続けられるかが重要で、それができたからこそ今があるのだと思います。

取り巻く環境全ての利益を考慮し、世界中にピエモンテの魅力を伝える
――素晴らしいですね。

フォンタナフレッダ社の考え方の1つに、「自分たちの利益を追求するよりも、周囲と団結してピエモンテの良さを世界に伝えていく」というものがあります。アルタランガが成功したことで多くの生産者が参入することはとても嬉しいです。そのようにして、もっともっとピエモンテの良さが世界中に伝わっていくことを望んでいます。

ロゼ アルタランガ「コンテッサ ローザ」

1967年のバローロが加えられた世界に一つだけのアルタランガ ロゼ
「コンテッサ ローザ」というロゼのアルタランガは、ランゲ地方の豊かさを表現したいという思いが込められているワインです。その思いは、「門出のリキュール」(※)に隠されています。偉大なシャンパーニュがドサージュの際にコニャックなどを入れるという文化から着想を得ました。
(※)最終工程でリキュールを加えること

では、何を用いてランゲを表現するのか。行きついた答えはバローロでした。今回試飲する2014年ヴィンテージには1967年のバローロが少量添加されています。ラベルの右上に「1967」と記載されています。バックヴィンテージのバローロが入ったメトドクラシコは世界中探してもないと思います。昔のヴィンテージを多く保有するフォンタナフレッダだからこそ実現できたことですね。

――1967年ヴィンテージ! 1本あたりどれくらいの量が入っているのですか?

およそ6~7滴です。きちんと公証人の立ち会いのもと添加作業をしないといけないんですよ。

フレッシュな酸が食欲をそそるエントリーラインのアルタランガ

アルタランガ スプマンテ リミテッド エディション 2018

アルタランガ スプマンテ リミテッド エディション 2018

ブルーノ氏
「エントリーラインのアルタランガです。75%ピノ ネロ、25%シャルドネで造られています。30ヶ月熟成。アルタランガの特徴であるフレッシュ感や酸、喜ばしい飲み口がストラクチャーと調和しています。飲んでるとお腹が空いてきますね(笑)。舌の側面に感じる酸が食欲を掻き立てます」
試飲コメント:黄金よりの麦わら色。フレッシュで軽やかな果実とトースト香のアロマが広がります。口に含むとレモンや柑橘系の果実が口中に広がります。凝縮した果実のニュアンスもあり、白身のお肉料理と最適な印象です。鋭いながらも心地よい酸が最初から最後まで長く持続します。

1967年ヴィンテージのバローロが添加された60ヶ月熟成のロゼ アルタランガ

コンテッサローザ ロゼ アルタランガ 2014

コンテッサローザ ロゼ アルタランガ 2014

ブルーノ氏
「ロゼのアルタランガです。60ヶ月熟成なので、表記はしていませんが実質リゼルヴァといえます。ピエモンテやランゲの豊かさを表現するために、門出のリキュールとして1967年のバローロを極少量だけ添加しています。最初は若いバローロを使用していましたが、若いネッビオーロは少量だけでもタンニンが強烈なので、徐々にヴィンテージを下げていった経緯があります」
試飲コメント:淡い玉ねぎの皮色。イチゴや花が広がるクリーミーな香り。酸と果実感が溶け合うほどよいボリューム感。全体的にフレッシュでエレガントな味わいです。

フィネスとエレガンスが際立つ伝統的バローロ クラシコ

バローロ 2019

バローロ 2019

ブルーノ氏
「私たちが長く造り続けるバローロ クラシコです。昔ながらのブレンドによるバローロの造りを踏襲このバローロこそがこの地区の歴史を物語っています。フィネスやエレガントさがずば抜けていますね。2019年の気候は2016年と似ていて、バローロ生産者としては好意的な年になりました。2016年よりは控えめな印象ですね」
試飲コメント:淡いガーネット。赤い果実や果実のリキュール漬けを感じる明るく洗練された香り。非常に柔らかい口当たりで洗練されたアタックがあります。果実のピュア感がありつつも奥行きのある味わい。タンニンはしなやかで繊細で心地よい味わいが長く持続します。

複雑ながらフレッシュでバランスに優れたセッラルンガ ダルバ2019年

バローロ セッラルンガ ダルバ アートラベル 2019

バローロ セッラルンガ ダルバ アートラベル 2019

ブルーノ氏
「コロナによる空白の期間が3年間ほどあったと思います。その期間、私たちはワインのヴィンテージごとにテーマを設定することが必要だと考えました。この2019年ヴィンテージは、Fiducia(信頼)です。その2019年はクラシコと比較すると、力強さやストラクチャーが全く異なって増していると思います」
試飲コメント:ガーネット色。フレッシュな赤系果実と凝縮した果実、若干の黒系果実、ミントを感じる複雑な香り。口に入れた時のアタック感、力強さ、タンニン、酸、果実味の全ての要素がバランスよく調和しています。複雑でありながらフレッシュな味わいの余韻が持続します。

果実味豊かで凝縮感に溢れるセッラルンガ ダルバ2015年

バローロ セッラルンガ ダルバ 2015

バローロ セッラルンガ ダルバ 2015

ブルーノ氏
「2019年よりも暑い年でインターナショナルなワインに仕上がりました。果実味豊かな香りで凝縮感があります。フィニッシュにかけてバルサミックなニュアンスやユーカリ、リコリス、メントールの雰囲気も漂ってきます。タンニンはパワフルですが、ビロードのようななめらかさとしっかりと溶け込んでいます」
試飲コメント:ガーネット色。ドライフラワー、凝縮果実、フレッシュな赤系果実が香る複雑で華やかなアロマ。香り同様の味わいがあり、洗練されたクリーンな味わいです。しっかりとしたタンニンによりエレガントな味わいがじわじわと持続する心地よい余韻。後からリコリスなども現れます。

15年の時を経て復活!
バローロ村の単一畑「パイアガッロ」で造るクリュ バローロ「ラ ヴィッラ」

バローロ パイアガッロ ラ ヴィッラ 2015

バローロ パイアガッロ ラ ヴィッラ 2015

ブルーノ氏
「ラ ヴィッラはバローロ村の横に隣接する形の畑です。畑はずっと所有していましたが、2004年以降、15年間造っていませんでした。それが2019年ヴィンテージから復活しました。非常にバランスが取れてエレガントなタイプのワインに仕上がってます」
試飲コメント:輝くガーネット色。抜栓直後は閉じていますが、赤系果実や花が香る華やかで濃厚なアロマが現れてきます。やや甘やかなニュアンスもあります。香り同様の赤系果実のニュアンスと華やかかつ凝縮感のある味わい。それでいて繊細な側面もあり、口の中でエレガントな余韻が長く持続します。

力強く複雑で厳格な味わい!
セッラルンガ ダルバ村の単一畑「ラッツァリート」で造るクリュ バローロ「ラ デリツィア」

バローロ ラッツァリート ラ デリツィア 2019

バローロ ラッツァリート ラ デリツィア 2019

ブルーノ氏
「ラ デリツィアは、セッラルンガ ダルバ村にあるラッツァリートの畑で造られています。広さは5.64ヘクタール。鼻を突き抜けるような香りが特徴的です。力強く複雑で厳格、フローラルで果実味もあります。『ワインエンスージアスト2023』でTOP100(53位)に選ばれています」
試飲コメント:ガーネット色。果実感や華やかさ、ハーブのニュアンスが綺麗に調和した香り。力強さもあります。香り同様の味わいで、軸がしっかりとした繊細な味わい。エレガンス溢れる余韻が持続します。

凝縮感とエレガンスが溶け合う洗練された味わい
セッラルンガ ダルバ村の単一畑「ラッツァリート」で造るクリュ バローロ「ラ ローザ」

バローロ ラ ローザ 2016

バローロ ラ ローザ 2016

ブルーノ氏
「セッラルンガ ダルバのMGAフォンタナフレッダ(カンティーナ周辺)にある畑がラ ローザです。4.5ヘクタールの広さで、南向きの畑です。セッラルンガ ダルバには、あまりない砂質を含んだ土壌で、スミレやドライローズなどのフローラルなニュアンスをワインに与えてくれます」
試飲コメント:やや濃いガーネット色。ドライフラワーや熟した果実の力強い香り。時間が経つとぎゅっと詰まった凝縮果実の香りが広がりを見せます。香り同様に味わいに加え、時間の経過とともに厚みのある味わいが現れます。シルキーで滑らかなタンニンが、エレガントで洗練された余韻を演出します。

インタビューを終えて

終始笑いの絶えないインタビューとなりました。しかし、ブルーノさんの解説は大変勉強になるものばかりで、今回の記事には書き切れないほど多くの貴重な話をしていただきました。「アルタランガ」「バローロクラシコ」「クリュバローロ」と、各ワインの特性を存分に堪能させていただきました。

1967年ヴィンテージのバローロが添加されたロゼ アルタランガ「コンテッサローザ」、バランスに優れ奥行きのある味わいの「バローロクラシコ」、各畑の個性が光る「クリュバローロ」。どれも共通して、エレガントで洗練された味わいで素晴らしかったです。

二つの高級銘柄「アルタランガ」「バローロ」の立役者「フォンタナフレッダ」のワインをご堪能ください。