キャンティ ルフィナ、キャンティ クラシコ、ヴィーノ ノービレ、ブルネッロ。フレスコバルディによる4つのサンジョヴェーゼDOCG比較試飲セミナー

2024/04/23

2024/03/18

アルベルト オレンジャ氏 Mr. Alberto Orengia

キャンティ ルフィナ、キャンティ クラシコ、ヴィーノ ノービレ、ブルネッロ。フレスコバルディによる4つのサンジョヴェーゼDOCG比較試飲セミナー

フレスコバルディは現在、トスカーナの中に9つのエステートを所有しています。それぞれのテロワールは土壌や気候、標高などが異なり、フレスコバルディはこの9つのエステートを通してトスカーナの多様性を表現しています。その中の4つのエステートで造られるサンジョヴェーゼDOCG比較試飲セミナーに参加。それぞれのテロワールの特徴の違いをフレスコバルディ社輸出マネージャーのアルベルト オレンジャ氏に解説して頂きました。

サンジョヴェーゼとは

サンジョヴェーゼの起源は南イタリアにあり、チリエジョーロとカラブレーゼ ディ モンテヌオーヴォの交配によって生まれたと言われています。サンジョヴェーゼ(SANGIOVESE)の名前の由来は、Sangue di Giove(サングエ ディ ジョーヴ:ローマ神話に登場する気象現象を司る神、ジュピターの血)で、血の色のようなワインが造られていたことからその名前が付いたとされています。

サンジョヴェーゼには多くのクローンが存在します。房の大きさにより大きく2つのグループ(サンジョヴェーゼ グロッソとサンジョヴェーゼ ピッコロ)に分けられます。ブルネッロとプルニョーロ ジェンティーレはサンジョヴェーゼ グロッソのそのエリアでの呼び名です。

トスカーナはもともと海の底だった土地で様々な土壌が存在ます。そのため、ワインはクローンの種類の違いよりも、どの土地で造るのかによって大きく違ってきます。

フレスコバルディがトスカーナに所有する4つのサンジョヴェーゼDOCGワイン

■キャンティ ルフィナDOCG
~カステッロ ニポッツァーノ~

キャンティDOCGの中で最小のサブゾーンがキャンティ ルフィナです。サブゾーンの中で最も標高が高い場所にあります。フレスコバルディの「カステッロ ニポッツァーノ」は240ヘクタールを所有しています。

標高が高いため、タンニンがあり、柔らかく、酸もしっかりとあり、熟成にも向くワインができます。最近、1993年のニポッツァーノ リゼルヴァを飲みましたがまだまだフレッシュで、素晴らしい味わいでした。

今日飲んで頂いているのは2018ヴィンテージのリゼルヴァです。熟成のトーンも感じて今十分美味しいですが、これからのさらなる熟成もできます。ワイン通に好まれる味だと思います。

■キャンティ クラシコDOCG
~テヌータ ペラーノ~

キャンティ クラシコ地区で2014年にスタートした新しいエステートがこの「テヌータ ペラーノ」です。フレスコバルディが初めて手掛けるキャンティ クラシコになります。

ガイオーレ イン キャンティにあり、ガレストロとシスト土壌の痩せた土地です。西向き斜面の畑で、9月でも夜近くまで日照があります。黒系果実のアロマを持つ、ジューシーなワインが造られます。飲みやすく、わかりやすいタイプの味わいだと思います。

フローラルでスパイシーなニュアンスの香りが特徴的です。滑らかな口当たりのエレガントでミネラルを感じさせる味わいです。

■ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノDOCG
~テヌータ カリマイア~

フレスコバルディの最新のエステートがこの「テヌータ カリマイア」です。モンテプルチアーノは非常に美しい場所で、500年前の風景がそのまま残っている土地です。フレスコバルディが初めて手掛けるヴィーノ ノービレになります。このエステートは元々大手食品メーカーのオーナーが自己消費のために所有していた農園でした。2021年にフレスコバルディ家が購入してよりサンジョヴェーゼに注力するようになりました。樹齢はだいたい15年ぐらいになります。

実は、フレスコバルディ家には1390年にモンテプルチアーノの市長を務めたリオナルド ディ ニッコロという先祖がいるのです。フレスコバルディ家が重要な役割をしていた土地に再び戻ってきたという形です。

エステートの名前のカリマイアは、その当時の羊毛組合「カリマラ」にちなんでいます。ワイナリーのロゴは毛織物組合の紋章の象徴的な羊、羊毛仕上げ組合の紋章の翼と布のボルト、フレスコバルディ家の権力と支配を象徴する要塞からインスピレーションを得ています。

冬は寒く夏は暑い大陸性気候。若い土壌で砂や石灰が多く、パワフルなワインを生みます。

2020年は暑い年で、凝縮感が感じられます。香りは華やかでスパイスやミネラルも感じます。果実味が乗っていて凝縮されていて、若いタンニンがあります。骨格もあり、ノービレのいいところが表現された、モダンで華やかなワインですね。熟成にはタイプの違う2つの樽を使っています。
※テヌータ カリマイアは2024年6月頃入荷予定です。

■ブルネッロ ディ モンタルチーノDOCG
~カステルジョコンド~

カステルジョコンドは1800年代に最初にブルネッロを造った4つの生産者のひとつです。全部で240ヘクタール所有していて、標高が300~400メートルで南西向きの畑になります。標高の低いところにメルローを植え、高いところはサンジョヴェーゼに向いています。

本日飲んで頂いているのは2018年のブルネッロ ディ モンタルチーノになります。2018年は冷涼で難しい年でしたが、それだけ造り手の技量がわかるヴィンテージとなりました。

今日飲んで頂いている4つのワインのうち、ブルネッロだけがサンジョヴェーゼ100%のワインになります。そのため、よりサンジョヴェーゼを表現したワインと言えます。色合いもガーネットがかっています。

キャンティ最小のサブゾーン「キャンティ ルフィナ」に構えるニポッツァーノ
長期熟成ポテンシャルのあるリゼルヴァ

キャンティ ルフィナ ニポッツァーノ リゼルヴァ 2018

キャンティ ルフィナ ニポッツァーノ リゼルヴァ 2018

今日飲んで頂いているのは2018ヴィンテージのリゼルヴァです。熟成のトーンも感じて今十分美味しいですが、これからのさらなる熟成もできます。ワイン通に好まれる味だと思います。
試飲コメント:ベリー系果実の香りにハーブやスパイスのニュアンス。やわらかな果実を感じる滑らかな口当たりでタンニンもまろやか。エレガントなミネラルと酸のバランスのとれた心地よい美味しさ。

フレスコバルディの新しいエステート「テヌータ ペラーノ」
滑らかな口当たりのエレガントなキャンティクラシコ

キャンティ クラシコ 2020

キャンティ クラシコ 2020

ガイオーレ イン キャンティにあり、ガレストロとシスト土壌の痩せた土地です。西向き斜面の畑で、9月でも夜近くまで日照があります。黒系果実のアロマを持つ、ジューシーなワインが造られます。飲みやすく、わかりやすいタイプの味わいだと思います。
試飲コメント:フローラルな香りにスパイシーなニュアンス。飲むとジューシーな果実味で、ひっかかりのない滑らかな味わいが広がる。ミネラルを感じる長い余韻が印象的なエレガントな味わい。

ブルネッロの歴史ある畑「カステルジョコンド」
サンジョヴェーゼの複雑味と重厚感を感じさせるブルネッロ ディ モンタルチーノ

カステルジョコンド ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2018

カステルジョコンド ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2018

今日飲んで頂いている4つのワインのうち、ブルネッロだけがサンジョヴェーゼ100%のワインになります。そのため、よりサンジョヴェーゼを表現したワインと言えます。色合いもガーネットがかっています。
試飲コメント:上品な果実の香りに様々なスパイスを感じる複雑なアロマ。幾層にも重なりながらも滑らかでエレガントな味わいは全てにバランスがとれている。

インタビューを終えて

フレスコバルディが所有するエステートのうち、サンジョヴェーゼで造る4つのDOCG「キャンティ」「キャンティ クラシコ」「ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ」「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」にしぼった興味深い比較試飲でした。

それぞれのワインを一言で表現するのは難しいのですが、キャンティ ルフィナ ニポッツァーノ リゼルヴァはバランスが良く、落ち着きのあるエレガントな印象。キャンティ クラシコ テヌータ ペラーノはジューシーで滑らかな口当たりを持つわかりやすい味わい。ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ テヌータ カリマイアは凝縮した果実味の華やかでモダンなスタイル。そしてブルネッロ ディ モンタルチーノ カステルジョコンドはさすがの複雑味と重厚感でした。

「テヌータ カリマイア」のヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノは今回が日本初お披露目。販売が開始されるのは今年の6月頃なので、揃ったらぜひ飲み比べて楽しんで頂ければと思います。