目覚ましい進化を遂げる偉大な名門バローロ「ボルゴーニョ」

2018/08/31
突撃インタビュー
2018年8月28日 ボルゴーニョ社 アンドレア ファリネッティ氏

天才醸造家アンドレア氏による伝統的醸造と有機栽培への回帰!
目覚ましい進化を遂げる偉大な名門バローロ「ボルゴーニョ」

ボルゴーニョ社 アンドレア ファリネッティ氏と
ボルゴーニョ社は1761年創業、ピエモンテで最も古い由緒あるバローロの造り手で、1861年のイタリア統一記念晩餐会の公式ワインリストにも載っているという名門中の名門です。そして恐らくバローロ地区全体の中で一番大きなオールドヴィンテージコレクションを持つワイナリーでバローロ地区全体で考えてみてもかけがえのない遺産を所有し、現在も飲み頃になった素晴らしいヴィンテージバローロを少しずつリリースしています。

2008年にファリネッティ家が所有して以来、古典的セメントタンク醗酵に切り替え、全て有機栽培へ転換、全て大樽熟成と、かつてボルゴーニョ社が伝統的に行いその揺るぎない地位を築いたクラシックな醸造スタイルに戻しました。ボルゴーニョ社のオーナー兼醸造を行う、才気あふれる天才肌の醸造家アンドレア ファリネッティ氏に進化を遂げる名門「ボルゴーニョ」の今について、じっくりお話を聞きました。

歴史に残る偉大な改革を行った天才「チェ―ザレ ボルゴーニョ」

歴史

1761年創業ボルゴーニョ社

こんにちは。アンドレア ファリネッティです。今28歳でボルゴーニョ社のエノロゴ兼経営を行っています。まずワイナリーの歴史についてお話しましょう。ボルゴーニョ社は1761年、バルトロメオ ボルゴーニョがワイナリーを創業、現在に至るまで260年近いワイン造りの長い歴史があります。バルトロメオは元々農家でブドウ栽培を行い、自家用と友人用にワインを造っていました。

ラベル1861年イタリア統一祝賀会においてボルゴーニョ社のバローロ1820年が選ばれる

1848年、息子のチェーザレ ボルゴーニョがワイン造りを引き継ぎ、自家でボトリングしたワインの販売を本格的に始めていきます。1861年、当時の国王ヴィットリオ エマヌエーレ2世と統一運動を進めたジュゼッペ ガリバルディを介したイタリア統一祝賀会の盛大なパーティーの場においてボルゴーニョ社のバローロ1820年が祝杯のワインとして飲まれました。

3つ偉大な改革を行った天才「チェ―ザレ ボルゴーニョ」

1920年にはチェーザレ ボルゴーニョ(バルトロメオの息子チェーザレとは違う人物)がワイナリーを引き継ぎ、3つの大きな改革を行いました。

1.良いヴィンテージは20年後に販売する

第一に、良い年のバローロに関して、20年後以降に販売する為にそのヴィンテージの約2万本をセラーでストックするように取り組みました。現在セラーの中には1961年からのヴィンテージバローロが眠っています。毎年、どのヴィンテージを何本リリースするか、その本数は細かく決められています。

2.各州に販売拠点を造る

第二に、当時としては新しいワインのディストリビューションモデルを造り上げました。当時ボルゴーニョ社はイタリア全土でも非常に著名なバローロの造り手となっていました。チェーザレは他のバローロを生産者を一同に集めてこう言いました。「ボルゴーニョの名前を使って良いので、僕からの紹介と言えば、色んなレストランがきっと簡単に扉を開けてくれるから。色んなレストランに自身が造ったワインをボルゴーニョ社の名前を使って販売してきて下さい。その代わりボルゴーニョのオーダーも少し取ってきてね」と。今までに無かったこの新たな取り組みが功を奏しロンバルディア州やヴァッレダオスタ州等、ピエモンテ以外の戦略的拠点となる各州に販売用ワインセラー(チャボット)を造りました。そのチャボットを拠点として、それぞれのエリアでバローロのセールスを伸ばしていきました。1920年代当時としてはとても画期的な販売モデルだったと思います。

3.積極的に海外輸出に取り組む

第三に、海外輸出に取り組みました。チェ―ザレはまずアルゼンチンに行きました。それから南米大陸を北上し、アメリカ、カナダへとセールスを行いました。最後にヨーロッパ諸国を廻り、日本へは今から約35年前位に初めて輸出されました。チェーザレの天才的な才能からボルゴーニョはさらなる発展を続けて行きました。

2008年以降その歴史的名声を築いたクラシックな醸造スタイルへ回帰

世界的な一大ワイン産地「ブルゴーニュ」が、「ボルゴーニョ」に焦りを見せた

ボルゴーニョ社がイタリアのみならず世界中で有名になっていく最中、ある事件が起きました。1955年の事ですが、フランス・ブルゴーニュ地方のワイン団体からボルゴーニョの名前が「ブルゴーニュ」を模倣したものだとして訴えられたのです。イタリア語でブルゴーニュを「Borgogna」と記しますが、私達は「Borgogno」。ブルゴーニュのアペラシオンを「コピーしたんじゃないか」とされたのです。最後の「a」と「o」が違うから、きっとやきもちを焼いてきたのでしょね(笑)そんな言いがかりを付けられて裁判となりましたが、私達の名前が「ファミリーネーム」である事が証明できたので、裁判は私達が勝って終わりました。世界的な一大ワイン産地が、いち生産者である「ボルゴーニョ」にそんな焦りを見せた。とても興味深いエピソードだと思います。

ロマネコンティよりも高値が付いたバローロ1886年

もう1つ有名な話があって、1972年のワインオークションでボルゴーニョのバローロ1886年が53万リラ(当時の価格)で競り落とされました。当時の平均的な家庭の月給が3万リラ。平均月収の18倍近い金額で落札されました。当時はロマネコンティよりも高値が付いた事で、ボルゴーニョのバローロが「いかに素晴らしいのか」を証明できるエピソードだと思います。

Q.1886年ですか。非常に稀少なヴィンテージですね。今もそのヴィンテージはワイナリーにあるのですか?

1本だけありますよ。でも、ごめんなさい。販売はしていないんです(笑)1968年、天才的な経営センスを持ったチェ―ザレ ボルゴーニョが亡くなりました。彼には子供がいなかったので、奥様方の姪っ子のイダ氏とその夫であるフランコ ボスキス氏に引き継がれる事になります。

カンティーナ2008年にファリネッティ家がボルゴーニョを購入
ボルゴーニョ社は6代続いた家族経営だったのですが、ここで終わる事となります。その後フランコ ボスキス家が2代続く事になります。イダ氏とフランコ氏の間に3人子供たちがいましたが、ワイン事業を自分達のビジネスでは無い(現在はチーズの生産と販売を行っている)として、2008年に私達ファリネッティ家が購入する事になりました。

名声を築いたクラシックな醸造スタイルに回帰

その時私はまだ18歳で、まだアルバの醸造学校に通っていました。ボルゴーニョ社を購入した時の哲学は「何も変えない」事でした。しかし私は何も変えない為に、全てを変えました。矛盾しているようにも聞こえますが、ボルゴーニョ社が伝統的に行いその名声を築いたクラシックな醸造スタイルに戻しました。

セメント&樽土着酵母への転換、ステンレスタンクは全て売り、伝統的セメントタンク醗酵へ
2010年に醸造学校卒業後は直ぐに会社に入りました。伝統を守り、クラシックなバローロを造る事に注力していきました。その年にまず行った事は、それまで培養酵母を止めて、土着の野生酵母による醗酵に切り替えました。スターター的な培養酵母は使わずに自然に醗酵が起きるように取り組みました。そして、2012年にはこれまで使っていたステンレスタンクを全て売り、伝統的なセメントタンクをに切り替えました。醗酵は全てセメントタンク、マロラクティック醗酵までセメントタンクで行っています。熟成に関しては昔と変わらず、スロヴェニア産の大樽で行っています。

2015年からは畑の有機栽培化に取り組む
2015年からは畑の有機栽培化に取り組んでいます。除草剤や化学的肥料の使用を一切やめました。イタリアに戻ったらすぐに収穫が始まります。今年の収穫、2018ヴィンテージから有機認証がラベルに付く事になります。

「僕がやりたい事はこのワインに詰まっている!」1982年バローロとの運命的な出逢い

インタビューお父さんがワイナリーを購入する前からワイン造りに興味があったのですか?

ピエモンテのアルバに生まれていますから、環境的にワインが身近にありました。やはりワインには興味がありましたね。その好奇心から醸造学校でワインを学びました。勉強する毎、年を追う毎にワインを好きになっていきました。

醸造学校は14~20歳まで6年いました。最初の3年は座学で、最後の3年は醸造学校自体が畑を持っているので、畑に出て実際に栽培の勉強します。最後の2年間はセラーでテイスティングを行います。

1982バローロ「僕がやりたい事はこのワインに詰まっている!」1982年バローロとの運命的な出逢い
父のオスカーファリネッティは「イータリー」のオーナーを務めています。バローロ村の中心に位置するボルゴーニョ社のカンティーナに併設されたテラスで(360度バローロ村を一望できる見晴らしの良いテラス)2008年18歳だった私に父はこう言いました。「ボルゴーニョのワインは好きか?」と。「好きだ。素晴らしいと思う」と返したら、「お前は古いボルゴーニョを飲んだことは有るのか?」と。父はセラーからお気に入りだった1982年のボルゴーニョ・バローロを持ち出してきて、私に飲ませてくれました。それを口にした瞬間、誰から何を言われる事も無く「これが僕の仕事だ!」「僕がやりたい事はこのワインに詰まっている!」と直感的に感じました。とても運命的な出逢いだったと思いますね。

生物多様性を重視。環境を配慮した持続可能な有機栽培

ボルゴーニョ社は38.5ヘクタールの土地を所有しています。内畑が30.5ヘクタール、残りの8ヘクタールは森です。森の存在は重要で、バイオダイバーシティ(生物多様性)が森から産まれてくるからです。生物環境を守る上で重要ですね。森が無かったら私達が目指す有機栽培、畑を維持する事も出来ません。ワインは年産約22万5000本を生産しています。ドルチェットを植えている畑に隣接する森からはトリュフが取れます。10月1日から白トリュフのシーズンが始まりますが、新しいプロジェクトを考えていて、この森の中でトリュフのテロワールセミナーをやろうかと思っています。

創設時から所有する偉大な単一畑「カンヌビ」「リステ」「フォッサティ」

クリュバローロを商品化して販売しているのはいつからですか?

ボルゴーニョは、その創設時から、バローロ村で最良のエリアに位置する、最高の「単一畑」に自社畑を所有しています。バローロの昔ながらの伝統では、「完璧な」ワインを造るために、各単一畑で収穫されたブドウを全てブレンドをしていました。現在でもボルゴーニョは純粋な伝統を尊重し、「クラシコ」と「リゼルヴァ」には、全ての自社畑のブドウをブレンドしています。

地図2008年から3つの単一畑バローロを別々に醸造

しかし、2008年の収穫から、ボルゴーニョは将来を見据えて、所有する3つの単一畑のブドウを別々に醸造し、伝統的なバローロ・ボルゴーニョに加えて、それぞれの畑の心臓にあたる、中心部のブドウだけを使った「バローロ カンヌビ」「バローロ リステ」「バローロ フォッサーティ」を造ることを決めました。

カンヌビ大バローロ地区の中でも、最もエレガントで長期熟成能力の高い、特別な個性を持ったワインが産まれる「カンヌビ」

カンヌビの畑の土壌は、1100万年前にポー川の平野を覆っていた海からの堆積物によって形成されたものです。最も著名で評価の高いバローロのクリュで、その名は1700年代の歴史的文献にも記されています。粘土石灰質の土壌と非常に好ましい気候がもたらすテロワールから素晴らしい複雑性を持ったワインが生まれるカンヌビは、世界で最もワイン用ブドウの栽培に適した場所の一つで、バローロ地区の中でも、最もエレガントで長期熟成能力の高い、特別な個性を持ったワインが産まれます。ここに当社が所有する1.3ヘクタールの畑は、標高290~320メートルの南向きの斜面にあります。

リステ約6.75ヘクタールのクリュ「リステ」

リステの畑は約1300万年前に、土壌の浸食によって生まれたため、土壌構成は、ランゲ地区の他の場所とは少し異なります。ミクロとマクロの要素が完璧で、かつ融合していることから、ワインに複雑性のある独特な個性と長期熟成能力が生まれます。

バローロから古いラ ヴォルタの城へ向かう田舎道のヘアピン・カーブからよく見える、この約6.75ヘクタールのクリュは、標高270~330メートルの南東向きの斜面にあります。

フォサッティ約3.2ヘクタールの畑「フォッサティ」

フォッサティの畑は、約600万年前にアフリカ大陸がイタリア半島を圧迫した後、ポー川の平野を覆った、海の堆積物から生まれました。この畑は比較的若い土壌で、かなり砂質の割合が高いため、素晴らしい花や赤い果実の芳しさを持ったワインとなります。

バローロからラ モッラへの田舎道はフォッサティの畑に沿って走っています。約3.2ヘクタールの自社畑は標高290~350メートルにある南東向きの斜面にあります。

これら3つのワインが、同じエリアのそれぞれがほんの数百メートルしか離れていない畑のブドウで造られていながら、いかに違ったワインであるかを発見できるのは、素晴らしいことです。これは、土地が持つ「生態系の多様性」の醍醐味であり、その唯一性を具体化したものが、「バローロ カンヌビ」「バローロ リステ」「バローロ・フォッサーティ」という3つのワインです。

リステの畑は1771年からあります。その昔は「バローロ ストリコ」と呼ばれていました。2002年にストリコの呼び方が廃止され「リステ」になりました。リステは以前から造っていましたが、フォッサティとカンヌビは私達がボルゴーニョ社を購入した2008年がファーストヴィンテージです。測った事はありませんがカンティーナから一番近い畑はカンヌビですね。リステが300メートル程遠いでしょうか。醸造も全てカンティーナに運んで行っています。

試飲2018年はどんな年ですか?

2018年は来週から収穫が始まります。その先は神に祈るばかりですが、約束できるほどの非常に良いヴィンテージになるだろうと思います。近年では2016、2013、2010年の素晴らしい年と同じようなブドウをつけました。

今回試飲したクリュの2009、2011、2012年は共に暑い年でした。特に2009年が暑かった凝縮感のあるヴィンテージです。2013年は非常に整った仕上がりとなりました。

コッリトルトネージ、ニッツァ、エトナで新たなワイン造りに挑戦

コッリトルトネージで白ワイン造りに挑戦

現在、ピエモンテ東部DOCコッリトルトネージで土着品種の白「ティモラッソ」の栽培を2015年から始めましたね。バローロとは全く無関係ですが。白ブドウ造りには最適な場所でリグーリアから吹き込む海風とピエモンテ北西部から吹く山風がぶつかり合う微気候が産まれるエリアです。DOCデルトーナで2016ヴィンテージが間もなく販売されます。「デルトナ」は白ワインにおけるバローロ的な揺るがない品質を持つエリアですね。

バルベーラ ダスティ地区の「カンヌビ」といわれる最良の畑を購入

アスティの近く、良質のバルベーラを産み出すニッツァ モンフェラートでビオディナミ栽培の新しいワイナリー「カッシーナ ヴァレ アジナーリ」を造りました。非常に標高の高いサンマルツァーノリヴェート(バルベーラ ダスティ地区の「カンヌビ」といわれる丘に上にある最良の畑)に新たにバルベーラを植えました。アジナーリという名前はロバだけを使った耕作を指しています。ですので機械は一切使っていません。

そして、ピエモンテから大きく離れ、シチリア州のDOCエトナのパッソピッシャーロ地区に新たにワイナリーを購入しました。場所はコントラーダ カランコと呼ばれるエリアです。ネレッロマスカレーゼ種でエトナロッソ、カッリカンテでエトナビアンコを造っています。

ボトル
いよいよ名門バローロ「ボルゴーニョ」試飲です!

ドルチェット ダルバ2016
ドルチェットは非常に魅力的なワインです。ピエモンテの食文化を表す上で欠かせないのがこのドルチェットだと思います。「農民のワイン」とも呼ばれていて、ピエモンテのどの家庭の食卓にもドルチェットが置いてあると言われる程、ポピュラーなワインです。ハーモニーがあり、気持ちが明るくなるようなワインですね。香りも花やフルーツの印象がありとてもフレッシュです。土地の特徴であるアーモンドの香りもあります。酸とタンニンも非常に優しいですね。ドルチェットの一部はクリュバローロ「リステ」の畑の下部に植えられています。バローロのテロワールから産まれるドルチェットです。

バローロが出来たのが1850年です。ドルチェットはそれ以前より飲まれていたので、バローロよりも長い歴史を持っています。バローロはその昔、甘口でちょっと微発泡したスタイルで売られていました。その当時は「バローロを1ケース買ったらドルチェットを売ってあげるよ」とまで言われていた程です。今では逆になってしまったけれど。

試飲コメント:24~28度で12日間、酵母の添加なしの天然発酵を行います。軽く圧搾したあと、18度の温度下で、セメントタンクで4ヶ月熟成されます。1ヶ月瓶内熟成。この伝統的な醸造方法は、酸のフレッシュさとフルーツの香りを備えます。芳醇な香りと心地よいエレガンスを纏ったワインが出来上がります。フルーティさ、滑らかさ、果実感、バランス良い。フルーツと花束の華やかな香り。重々しさは無く伸びやかな印象。スミレの花、綺麗な果実感、柔らかな味わい。

ドルチェット ダルバ2016
バルベーラ ダルバ2015
バルベーラの一部はアルバのバルバレスコのエリア内にある標高「マドンナ ディ コモ」のブドウを使っています。この畑はバルバレスコエリアにありながら、バローロ的な性格を持つ珍しい特徴があります。畑は「ソリ デル マッティーノ」と呼ばれる東側を向いた丘の頂上にあります。朝一番の太陽が当たる場所です。バルベーラダルバはセメントタンク50~70%、30~50%大樽熟成したキュヴェをブレンドします。

バローロが「ワインの王様」であるとしたら、バルベーラは「ワインの女王」であるとも言えます。国際的にも受け入れやすい味わいと、最後まで続く柔らかさがあり、酸度もしっかりとしている。バランスのとれた魅力があります。

試飲コメント:24~28度で12日間発酵し、軽く圧搾したあと、18度の温度下で、50~70%はセメントタンクで10ヶ月、30~50%はスロヴェニア産の大樽で10ヶ月熟成されます。熟成の最後の段階で、この二つを合わせ、3ヶ月瓶内熟成。果実の厚みがありながら美しい酸が効いていて要所を外さない締まった味わい。中盤から広がる大樽のゆったりとした果実感と甘草やハーブのニュアンスが重なり、充実した厚みが感じられます。

バルベーラ ダルバ2015
ランゲ ネッビオーロ2015
ここからはネッビオーロの試飲です。全てバローロエリアからのネッビオーロから造られています。バローロが造れる村は11存在しています。東部に5つ、西部に5つ、そして中心部に位置する私達がカンティーナを構えるバローロ村です。東部は非常に古い地層を持つエリアで1300万年前に産まれた地層で、石灰と泥灰土が混じる土壌で非常にパワフルなバローロが産まれます。セッラルンガダルバが代表的なエリアです。

西部はまだ若く600万年前に産まれた土壌です。砂質土壌主体のエレガントで繊細なバローロが造られます。ラモッラが代表的なエリアですね。

バローロ村はその中間に位置しています。ボルゴーニョ社はバローロ村に5つのクリュを所有しています。その5つのクリュのブドウを使いネッビオーロ、バローロを造ります。道路、森に近い所からとれたネッビオーロをランゲネッビオーロに使用します。ランゲネッビオーロは「小さなバローロ」と言えます。このワインを飲めば、ボルゴーニョ社がどんなバローロを造るか想像できると思います。

試飲コメント:24から28度で約15日間セメントタンク発酵し、軽く圧搾したあと、18度の温度管理下でスロヴェニア産の大樽にて10ヶ月熟成されます。3ヶ月瓶内熟成。非常に繊細で重々しさが無くエレガントでフィネスがあり、甘美なニュアンスを備えた素晴らしいワイン。タンニンも滑らかで余韻に感じるビターな味わいがあり、バローロの特徴を有するランゲネッビオーロです。

滑らかな果実の厚み、抜栓2日後試飲でより豊かな表情に。シルキーさ、旨み、柔らかさが増してきます。ブルゴーニュグラスで楽しむとより美しいスタイルが感じられます。

ランゲ ネッビオーロ2015
バローロ2013
ボルゴーニョは、その創設時から、バローロ村で最良のエリアに位置する、最高の「単一畑」に自社畑を所有しています。バローロの昔ながらの伝統では、「完璧な」ワインを造るために、各単一畑で収穫されたブドウを全てブレンドをしていました。現在でもボルゴーニョは純粋な伝統を尊重し、「クラシコ」と「リゼルヴァ」には、全ての自社畑のブドウをブレンドしています。

5つのクリュバローロのブドウをブレンドして造るのがこのバローロクラシコです。約12日間のセメントタンク醗酵後、約30~35日間のマセラシオン。マロラクティック醗酵後、4500リットルのスロヴェニア産の大樽で3年間熟成、1年間の瓶内熟成を経てリリースされます。

試飲コメント:発酵は最初は22~29度、終盤は29~30度で12日間行われました。マセラシオンは29度で30日間、樽に移行したあとマロラクティック発酵が22度で15日間行います。ワインは4500リットルのスロヴェニア産オーク樽で4年間熟成。その後、6ヶ月の瓶内熟成。緻密で隙の無い香り。力強さだけではない優美さ、清らかさを感じる。第一印象から中盤にかけて伸びるような酸と果実味とタンニンの力強さがありつつも、総じてバランスがとれていてすばらしい完成度。抜栓2日後は全てが溶け合う美しい味わいに。

バローロ2013
バローロ フォッサティ2012
フォッサティの畑は、約600万年前にアフリカ大陸がイタリア半島を圧迫した後、ポー川の平野を覆った、海の堆積物から生まれました。この畑は比較的若い土壌で、かなり砂質の割合が高いため、素晴らしい花や赤い果実の芳しさを持ったワインとなります。
バローロからラ モッラへの田舎道はフォッサティの畑に沿って走っています。約3.2ヘクタールの自社畑で標高290~350メートルにある南東向きの斜面にあります。クリュ「フォサッティ」の土壌は砂質中心でエレガントです。クリュ「リステ」の土壌はバローロ西部の古い土壌に似ていてます。フォッサティと非常に近い畑ですが、特徴が異なります。なぜこのような事が起きたかと言うと、400万年前にフォッサーティの土壌が崩れ、リステの土壌を押し上げたんです。押されたリステの土壌の層がひっくり返ってしまったんです。元々砂質が上部にあったんですが、ひっくり返った事で砂質が下部になり、石灰と泥灰土が上部になってしまったのです。フォッサーティとリステは土壌の色が全然違います。

試飲コメント:22~29度で12日間醗酵行いました。マセラシオンを22度で30日間、樽に移行したあと、マロラクティック発酵は22度で15日間。ワインは4500リットルのスロヴェニア産オーク樽で4年間熟成後、6ヶ月間の瓶内熟成。エレガントでフェミニンなワイン。砂質土壌の特性をしっかりと感じる優美さがあります。丸みのあるタンニンと酸が果実味と溶け合う柔らかな味わい。しなやかな深みが感じられ、力強くも総じて滑らかさが際立っています。

バローロ フォッサティ2012
バローロ リステ2011
男性的です。まさにピエモンテーゼ(ピエモンテの男)ですね。とても真面目な性格で知るまでに時間のかかるワインですが、一度知ってしまうと非常に情熱的でおおらかな性格です。リステにもこの特徴に通じるものを感じます。香りをとってみても最初は無口な印象でバルサミックな香りが主体ですが、数分もすればグラスの中で段々と香りと味わいが開いてきます。と同時に垂直に落ちるような「力強さ」が感じられると思います。実にピエモンテの男性のイメージと似通うワインだと思います。僕は少し違うけどね(笑)

ミクロとマクロの要素が完璧で、かつ融合していることから、ワインに複雑性のある独特な個性と長期熟成能力が生まれます。バローロから古いラ ヴォルタの城へ向かう田舎道のヘアピン カーブからよく見える、この約6.75ヘクタールのクリュは、標高270~330メートルの南東向きの斜面にあります。

試飲コメント:22~29度で12日間醗酵。マセラシオンを22度で30日間、樽に移行したあと、マロラクティック発酵が22度で15日間行います。ワインは4500リットルのスロヴェニア産オーク樽で4年間熟成。その後、瓶内で6ヶ月熟成されます。香りの第一印象は厳格で複雑。完熟したチェリー、スミレの花、甘草、ハーブ、ヨード、タバコのニュアンス。熟した果実感にタンニンと酸の力強さが重なる。

バローロ リステ2011
バローロ カンヌビ2009
バローロが1850年に産まれた時は甘口の微発泡ワインだったとお話しましたが、1754年にはカンヌビ地区で辛口ネッビオーロのワインが既に造られていた歴史が残っています。「カンヌビオ」という名前でボトリングされ、今は博物館にそのワインが保管されています。個人的にカンヌビはバローロでは無く、カンヌビはカンヌビと呼ぶべき特別な個性があると思います。エレガントさもありながら力強さ、甘美さもあります。これがまさしくカンヌビの特徴で、これは他のバローロからは見つからない唯一無二の特徴だと思います。僕はいつも街に例えるんですが、「ニューヨーク」の事を「ニューヨーク」って皆さん呼びますよね。敢えてニューヨークをアメリカって呼ばないですよね。カンヌビも一緒です。カンヌビは他のバローロには無い個性を持った特別なワインだからです。

カンヌビの畑の土壌は、1100万年前にポー川の平野を覆っていた海からの堆積物によって形成されたものです。 最も著名で評価の高いバローロのクリュで、その名は1700年代の歴史的文献にも記されています。
粘土石灰質の土壌と非常に好ましい気候がもたらすテロワールから素晴らしい複雑性を持ったワインが生まれるカンヌビは、世界で最もワイン用ブドウの栽培に適した場所の一つで、バローロ地区の中でも、最もエレガントで長期熟成能力の高い、特別な個性を持ったワインが生まれます。ここに当社が所有する1.3ヘクタールの畑は、標高290~320メートルの南向きの斜面にあります。

試飲コメント:22~29℃で12日間醗酵。マセラシオンを22度で30日間、樽に移行したあと、マロラクティック発酵は22度で15日間行いました。ワインは4500リットルのスロヴェニア産オーク樽で4年間熟成。その後、瓶内で6ヶ月熟成されます。緻密で充実した隙の無い香り。チェリー、スミレ、ハーブ、甘草、タバコの仏雑なニュアンスが美しいバランスで層を成しています。飲むと力強さと優美さの調和が見事。舌に残る素晴らしい風味と長く続く余韻。実にクラシックなスタイルでブドウの豊かな味わいがダイレクトに楽しめる。熟成により更なる期待が持てる1本。

バローロ カンヌビ2009
インタビューを終えて
28歳にして、バローロの歴史と伝統を熟知しているアンドレア氏。1761年から続く伝統的ボルゴーニョの名声をさらに高めんとする彼の活躍は、1920年代に数々の改革を成し遂げた天才「チェ―ザレ ボルゴーニョ氏」のエピソードとオーバーラップするような、「これから何かを成し遂げるであろう」とする素晴らしい情熱に満ち溢れていました。

2010年からオーナー兼醸造を務めるアンドレア氏の徹底した自然な栽培と伝統的セメントタンク醗酵への回帰で、ボルゴーニョのスタイルは粗さやブレも無く実に滑らか。力強くも優美さが光っていました。

まず驚かされたのが、試飲1本目のドルチェット2016年。ドルチェットらしい柔らかい果実感に美しい酸がボディに走る何とも軽やかで心地よい口当たり。純度の高い果実のストレートな味わいが楽しめるワイン通好みな逸品。バローロ2013年は5つのクリュのブレンドながらその緻密さと隙のない構成、力強くも滑らかさ味わいには思わず頬も上がる美味しさ。若くともアンドレア氏の素晴らしい実力を知るに最適な1本。カンヌビ2009年は完成された味わい。「カンヌビはカンヌビ」と呼ぶべき特別な個性と言う通り、強さとエレガンスが共存する調和の取れた魅惑的な味わいでした。

アンドレア氏から「今日飲んだワインの中で、もし無人島に持っていくならどれがいい?」とこれまた面白い質問が(笑)。私達がカンヌビ2009、バローロ2013年と答えると「僕はリステ2011年。だって一番熟成に向くからね」と。どんな場所であれ、常に飲むタイミングを考える「根っからのワイン好き」、「ワイン愛」が伝わってきました。

現在はSo2添加をしていますが、段階的に少なくし、将来的には無添加でバローロを造りたいと、さらなる意欲を見せるアンドレア氏。その日もきっとそう遠くはないと思います。若き天才アンドレア氏により、年々進化を続ける偉大なカンティーナ「ボルゴーニョ」。今後ますます見逃せなくなりました。

ボルゴーニョ社 アンドレア ファリネッティ氏とトスカニースタッフ
ボルゴーニョのワインはこちら⇒
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒