淡い麦わら、黄色。熟成したものは、黄金色。若いものは、緑色を帯びていることもあります。果実や白い花にハーブや海のニュアンスも感じる豊かで繊細な香りが特徴的です。味わいはドライでクリーン。余韻にはアーモンドのような苦味が感じられます。美しい酸とミネラルは、ワインに骨格を与えており、熟成するとよりミネラルのニュアンスが強くなります。飲めば飲むほどこのワインの魅力に取りつかれてしまいそうになる、多くの人々が愛した納得の味わいです。
世界遺産「塔の街」サン ジミニャーノ
ワイン名と同じ名前を持つ品種「ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ」
DOCGヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノのワインは、同名のブドウ品種を主体に造られます。この品種は、1200年初頭。苗木業者のヴィエリ・デ・バルディという人物が、リグーリア州からサン ジミニャーノにヴェルナッチャ種を持ち込んだという説が有力ですが、スペインから、あるいはギリシャから持ち込まれたという説もあり、起源は謎に包まれています。
またサルディーナ州のヴェルナッチャ ディ オリスターノ種や黒ブドウのヴェルナッチャ種とは、全く異なる品種とされています。遺伝的には、フィアーノや他のカンパーニア品種の方に近いとされており、しっかりとした酸を保持することができます。ヴェルメンティーノやトレッビアーノ、もちろんシャルドネなど、トスカーナで育つ白ブドウは他にもありますが、ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ種は唯一無二の輝きを見せています。
サン ジミニャーノの名が付くDOP
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノDOCG
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ種85%以上。その他、推奨品種と許可品種の使用が認められている。トラミネール、ミュラー・トゥルガウ、モスカート・ビアンコなどのアロマの強い品種の使用は禁じられている。ソーヴィニヨン・ブランとリースリング・イタリコは、最大10%まで使用できる。
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ リゼルヴァDOCG
品種規定は同上です。リゼルヴァは、最低11ヶ月の熟成期間を定めており、そのうち最低3ヶ月は瓶内熟成。木樽の使用義務はなく、生産者に委ねられた選択肢をテロワールの真の表現としています。畑での仕事に定められた規定により、収穫の段階で”リゼルヴァ “の条件を満たさなければならない、非常に稀なイタリアワインのひとつでもあります。
サン ジミニャーノDOC
サン ジミニャーノの赤ワインとロゼワイン、ヴィンサントが認められ1996年に制定されました。白ワインが有名な地域ですが、生産量では、何世紀の間も赤ワインが白ワインの生産量を常に上回っていました。力強さが魅力のこの地の赤ワインは、白ワインとともに高く評価され、サン ジャミニャーノワインの黄金期を支えた歴史を持ちます。
赤ワインは、サンジョヴェーゼ70%以上。最低法廷熟成期間は、15ヵ月。リゼルヴァは、26ヵ月です。ヴィンサントは、辛口~中甘口の白と甘口のロゼ(オッキオ・ディ・ペルニーチェ)が造られています。※ヴィンサントは、干し葡萄から造られるワインです。
多くの著名人に愛された銘醸酒「ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ」
またミケランジェロの又甥が残したサン ジミニャーノのワインの詩は、今も語り継がれています。その味わいを「Bacia、 lecca、 morde,、picca e punge」と表現しており、直訳すると「キス、舐める、噛む、突く、刺す」となります。なめらかな官能的な魅力に溢れ、時にスパイシー、複雑でいて非常に辛口なワインの味わいが想像されます。
銘醸酒としての地位を確立していたサン ジミニャーノのワインは、16世紀に栽培面積が拡大され、17世紀には黄金期を迎えたとされています。その後、トスカーナのワインは、キャンティの人気が世界的に高まったことにより、造れば造るほど売れる時代がやってきます。サン ジミニャーノのワインの中にも、質より量を優先した粗悪なものが出回るようになりました。精彩を欠いたサン ジミニャーノのワインは、キャンティーブームの陰に隠れ、知る人ぞ知るワインとなり、表舞台から姿を消しました。
幾度となく、かつての栄光を取り戻す試みの重要性に目を向ける人もいましたが、サン ジミニャーノのワインは、長年忘れられた存在となっていました。転機となったのは、1972年のヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ協会の設立。生産量、品質ともに向上しました。一方、塔の街に集まる観光客にワインを売ることは容易だったため、本来の姿からは程遠いワインも造られ続けていました。真の実力が認められたのは、ここ20年ほどと言われています。2010年には、イタリアワインで初めて、ワインの特徴を変えるような特定のブドウ品種の使用を明確に排除した生産規則を制定。女王の名にふさわしい本来の姿への追及が行われています。
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノの楽しみ方
現地では、生野菜をオリーブオイルに付けて食べるピンツィモーニオやパンツァネッラ(パンのサラダ)、茹でた豚頭肉を冷やし固めたサラミなどの前菜をはじめ、パスタやスープ、メインディッシュまで日常的に楽しまれています。余韻に感じる苦味は、ほろ苦い野菜にも寄り添います。スパイシーさを感じるタイプには、ハーブや香辛料を効かせたお料理もいいですね。上品でふくよかな味わいのリゼルヴァタイプには、牡蠣や海老、キノコやブルーチーズなどの旨味の強い食材がおすすめです。
サンジミニャーノを代表する生産者「パニッツィ」が創業当時から造り続ける、キレとコクのあるヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ! |
パニッツィ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ |
サンジミニャーノを代表する生産者「パニッツィ」が創業した1989年ヴィンテージから生産されているワインです。ヴェルナッチャを主体にステンレスタンクで発酵。芳醇な果実味とまろやかな酸味、ミネラルが調和した、キレとコクのある味わいです。サンジミニャーノを愛してやまない「パニッツィ」のエントリーワインです。 |
長い歴史を持つヴェルナッチャの名手「ファルキーニ」の飲み心地に優れた優雅で上品な味わいの「ソラティオ」 |
ファルキーニ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ ヴィーニャ ア ソラティオ |
ファルキーニ家は、この地で何世代にもわたってブドウ栽培、ワイン醸造、オリーブ栽培に携わってきた歴史ある生産者です。名醸造家ジャコモ タキスとともに、低温発酵やステンレスタンクの導入など、ヴェルナッチャの近代化に多大な貢献を果たし、現地で最も尊敬を集める造り手のひとつでもあります。単一畑「ソラティオ」のヴェルナッチャ100%を使用。軽快なアロマとフレッシュな果実味。優雅で上品な味わいの非常に飲みやすいエレガントな味わいです。 |
サン ジミニャーノのビオロジックの造り手「レ カルチナイエ」爽やかなキレとコクが魅力のヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ |
レ カルチナイエ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ |
1995年から畑に化学肥料、除草剤、殺虫剤などを排したビオロジック栽培を続け、キャノピー マネージメントも重視したブドウ栽培で、サン ジミニャーノに高品質ワインを復活させた立役者の一人と称される「レ カルチナイエ」。瓶詰め直後は少女のように純粋で可愛らしく、熟成によって多彩な要素が美しいハーモニーを奏で、フェミニンでエレガントなワインを造り続けています。ヴェルナッチャの魅力の核心である美しく多層的な酸が魅力的です。 |
オーガニック生産者ポデーレ レ ヴォルーテの、豊かな感覚が口中に残るヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ! |
ポデーレ レ ヴォルーテ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ |
オーガニック(ICEA認証)栽培で育てられたヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ100%を使用。熟した桃や洋ナシ、白い花の香り。口の中に豊かな感覚が長く残る、フレッシュかつ、ドライな味わいです。将来的には、トラクターを利用せず馬ですべての作業をすることを目指し、ワイン造りを行う造り手です。 |
品質にこだわり国外市場に向けたワイン造りが評価される「フォンタレオーニ」柔らかな深みのある味わいのヴェルナッチャ |
フォンタレオーニ |
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ |
非常に小さなカンティーナですが、ヴェルナッチャ協会のブラインド テイスティングにおいて優秀な成績を収めたり、様々な雑誌でヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノの優良な造り手として紹介されていたりと、評価の高いワイナリーです。有機農法によって育てたブドウを完全手作業で収穫。爽やかな果実味と土壌由来のミネラルが光る、柔らかな深みのある味わいです。 |
ビオロジックの理想郷でつくるモルモライアのエントリーヴェルナッチャ「 スアヴィス」 |
モルモライア |
ヴェルナッチャ ディ サン ジミニャーノ スアヴィス |
モルモライア社は、100haの荘園を所有し、そのうちの35haを葡萄畑、10haをオリーブ畑とし、残りはトスカーナの自然をそのままに残し、動物も多く飼育しながら、アグリトゥリズモを営んでいます。周囲の環境に影響を受けないビオロジックの理想郷ともいえる環境です。みずみずしく華やかで、伸びのあるミネラルたっぷりの酸に支えられた、透明感の高い味わいです。 |
熟成ポテンシャルの高さを体感できる最高峰のヴェルナッチャ!モンテニドーリが造るふくよかな樽熟白「カラート」 |
モンテニドーリ |
カラート ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ |
モンテニードリはアマローネの名門アッレグリーニ一族に生まれたエリザベッタ・ファジョーリ氏が1965年に創業。ゆるぎない大地への慈愛を持ち、本来この地のワインが持っていた味わいを再現しています。モンテニドーリが世界的な注目を集めるきっかけとなったのがこのワイン。1995年にボルドーのヴィネクスポで89年のカラートが1400もの白ワインの頂点に選ばれました。アリエ産新樽を30%と2年目、3年目35%ずつ使用し12ヶ月熟成を行います。ふくよかでヴォリュームのある酸味と満足感のあるアルコールが高い次元で均衡していまて、長い余韻とミネラル感を持ち、長期熟成に耐えうるポテンシャルが存分に感じられます。 |
上品で魅惑的な風味が持続する別格の単一畑ヴェルナッチャ「リゼルヴァ ソラティオ」 |
ファルキーニ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ リゼルヴァ ソラティオ |
ファルキーニが単一畑「ソラティオ」のヴェルナッチャ100%を使用して造るリゼルヴァです。225Lの小さなオーク樽(カラート)で約8~10ヶ月熟成されます。瓶内熟成は長く、収穫後5年から8年後のリリースとなります。心地よい熟成感とフレッシュな果実の風味が溶け合う上品さが魅力です。 |
「イル パラジョーネ」がシュールリーで手掛ける長い余韻にミネラルとフレッシュさを楽しめる1本! |
イル パラジョーネ |
オリ ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ リゼルヴァ |
自然や人に優しいワイン造りを心がけ、このエリアならではのヴェルナッチャの魅力を引き出す「イル パラジョーネ」のオリ リゼルヴァです。ミネラルが豊富なジョルジョ氏の畑は、突出した華やかな香りを持ったヴェルナッチャを生みだします。シュールリーやバトナージュなどの作業により、より豊かで複雑な魅力を引き出しています。豊富なミネラルとフレッシュさ、柔らかい口当たりと長い余韻を持ちます。 |
パニッツィが合計43ヶ月熟成させた長熟タイプのヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ リセルヴァ! |
パニッツィ |
ヴェルナッチャ ディ サンジミニャーノ リセルヴァ |
標高400メートルの凝灰岩質の台地にある単一畑のヴェルナッチャを使用。もっとも状態の良いブドウのみをセレクトしています。バリック+ステンレスタンク+瓶内の合計43ヶ月熟成を行っています。凝縮感があり、香ばしく、豊かな酸味とミネラルを感じる完璧にバランスが取れた味わいです。パニッツィの造る長熟タイプのヴェルナッチャで、1998ヴィンテージが『ガンベロロッソ』にてヴェルナッチャDOCGとして初めてトレビッキエーリを獲得したワインでもあります。 |