イタリアワインの王と名高い存在「バローロ」その特徴とおすすめ10選

2024/02/21

バローロはピエモンテ州を代表する銘醸赤ワインで、「王のワイン」とも呼称されるほど、力強く厳格なワインです。ピエモンテ州のクーネオ県に位置しており、北から西、南にアルプス山脈に囲まれた山脈地域です。入り組んだ丘陵地帯による様々な方向を向いた畑や標高の違いによって日照量などそれぞれ全く違う条件でブドウが育ちます。

非常に長期熟成能力に長けていて、まさにイタリアを代表するワインです。地元も方も普段はドルチェットやバルベーラを飲み、ハレの日には大切に保管していたバローロを飲むように、とても特別なワインとしての位置づけにあります。

世界に誇る偉大なワイン、バローロの製法 伝統と変革

バローロを名乗るには厳しい規制があります。ネッビオーロ100%使用することや最低3年熟成(内2年木樽使用)リゼルヴァは5年以上熟成させなければなりません。バルバレスコと比較するとより長い法定熟成期間を設けていたり、最低ALc%も1%高い13%を満たさなければならないなどの違いがあります。高品質さの追求の為の基準は高く、それだけポテンシャルが高いワインでもあります。
ネッビオーロ

銘醸ワインバローロを生む5つの村 それぞれに表れる特性

バローロでは11の村がありますが、1896年にイタリア農業省から施行された最初の5つの村が代表的です。決して一口にはまとめられない程、土壌や標高、畑の向きなど多種多様なミクロクリマの集合体ですが、大別して味わいの傾向をご紹介致します。
11の村の地図
西側エリア
西側は比較的温かく、年代の若い期の青い泥灰土で構成され軽やかな砂質の割合が多いです。マンガン、マグネシウムが多く華やかで熟成も早いタイプが多いです。

バローロ村 Barolo
銘醸畑 / カンヌビ 他
バランスがよく複雑性もある味わい。エレガントで華やかさがあり、他の村よりも割と早く開くタイプが多いです。

ラ モッラ村 La Morra
銘醸畑 / ブルナーテ、チェレクィオ 他
標高差があり範囲も広いです。高い所で500mあり、粘土質がやや多めになります。最も香りが高く、エレガント性に富み熟成も早い傾向にあります。

東側エリア
東側エリアはPhの低い、石灰質土壌で鉄分を多く含む赤褐色の土壌が多く見られます。アルプス山脈がより近いので、吹き下ろしの風や標高の高さでカビにくく冷涼なエリアになります。基本的に長期熟成に耐えうる力強いタイプが多いエリアになります。

セッラルンガ ダルバ村 Serralunga d’alba
銘醸畑 / ヴィーニャ リオンダ、フランチャ、オルナート 他
最も複雑で、力強いタイプが多いです。長期熟成に適したものが多く、若いうちは固く閉じているが熟成したもののパワーは偉大です。

モンフォルテ ダルバ村 Monforte d’Alba
銘醸畑 / ジネストラ、ブリッコ 他
バローロDOCGの中で南に位置していて実際は最も様々な土壌に富んでいます。東寄りか西寄りかでタイプは異なりますが、有名な畑は西側の赤土石灰土壌に多く一般的にはパワフルでエネルギッシュなバローロが多いです。

カスティリオーネ ファレット村 Castiglione Falletto
銘醸畑 / モンプリヴァート、ブリッコボスキス、ロッケ ディ カスティリオーネ 他
やや赤土よりの土壌でスパイシーさ、果実味に富んだタイプが多くあります。実直で安定感があり、熟成能力も合わせたら5つの村の中で一番バランスがよく安心して飲めるタイプが多いです。

バローロの大きな変革期「バローロボーイズ」

バローロボーイズとは、バローロに改革を起こしたといわれる熱意ある生産者達の事です(ドミニク クレリコ、エリオ アルターレ、パオロ スカヴィーノ、ルチアーノ サンドローネ他)。伝統的なバローロは長期熟成を必要とするタンニンの強固なタイプのワインです。親しみやすいワインが求められた時代、バローロの人気はなく不毛な時代が続いていました。1970年代、数人の生産者達がどのようにしたらバローロがより沢山売れるかを考えて行動し始めたのです。
ブドウと花畑

まず変えたのは栽培方法です。ネゴシアンにブドウを沢山売って生計を立てるため、農薬も多く使いながら収量を求めていました。彼らはこれでは良いブドウが出来ないと思い、ブドウ樹の密植や仕立て方を変えて収量を70~80hlあったものから25hlを目指し抑えようとしたり、農薬を控えて育てられるように土壌から見直すなど改革を始めます。更に、世界的に成功しているワイン名産地(ブルゴーニュなど)に行きワイン造りを学び、新しい醸造方法を取り入れました。ブドウの質を改善したことで、短い発酵期間でのアロマを抽出が可能になり、過剰なタンニンを抑えました。小樽(バリック)やロータリーファーメンテーター(回転式発酵樽)の導入は、果実味がありタンニンの柔らかいワインをつくる大きな手助けとなりました。ロータリーファーメンテーターとバリック

世界にバローロがヒットした立役者にはもう一人います。ワイン商のマルク ディ グラツィアの登場です。ワイン商である彼は生産者達の考えに共感し、一緒に新しいバローロを売り込もうと動きました。アメリカを中心に生まれ変わったバローロを売り込みにいった事で、彼らは新しいバローロの流れを作ったのです。バローロボーイズというフレーズはカリフォルニアのワイン商達が、彼らのワインや取り組みに興味を持ちバローロボーイズTシャツを作った事をきっかけに使われるようになりました。世界の著名評論家達に次々と評価されて、当時は早くから飲み楽しめる「モダン派」と、昔からの長期熟成を良しとする「伝統派」にバローロのスタイルが別れていきました。現在ではそれぞれの良さを取り入れて独自の造り方をする生産者であったり、様々なスタイルによってバローロが生産されています。
バローロボーイズ

バローロに合うお勧め料理

バローロボーイズ達が起こしたムーブメントは、ランゲ地方をイタリアきっての美食観光地としました。バローロと合わせる最大の贅沢とされているのが白トリュフ。シーズンになると白トリュフを削ったパスタや鴨肉のソテー、ウズラにフォアグラを詰めたものなど豪華なお料理とともバローロを楽しむ観光客の姿が良く見られます。
白トリュフ

ピエモンテの人々は、ミートソースのパスタやラビオリ、牛肉の赤ワイン煮込みなどと楽しみます。鉄分の強い食材と合いますので、フィナンツェーラ(内臓の煮込み)も人気があります。手間のかかるお料理が多いですね。ピエモンテの人々にとっても、バローロは特別な日のワインです。

ご家庭でのお勧めはリゾットです。ブルーチーズとの相性も良いのでチーズのリゾットまたキノコをつかったリゾット、乾燥のポルチーニを使えば一気にピエモンテと距離が縮みます。しっとりと焼いたお肉にトリュフ塩。こちらも旅行気分が高まります。バローロボーイズの話は映画にもなっていますので、ピエモンテの美しい風景を見ながらヘーゼルナッツや熟成されたチーズとともに楽しむのも良いですね。

バローロを知る上で外せない造り手「フォンタナフレッダ」のスタンダードバローロ

フォンタナフレッダ

バローロ 2018

バローロ 2018

1世紀以上にわたりバローロを造り続けるバローロのリーダー的存在のフォンタナフレッダ。バローロの顔とも呼べる名門のスタンダード バローロは、由緒ある歴史に恥じぬよう今日も名門でありつづけるために基本を大切にしたまさに手本となるようなバローロです。

「最上の畑で、最上の酒しかつくらない」が信条の名門チェレットが1967年から造り続けるスタンダードバローロ

チェレット

バローロ 2018

バローロ 2018

名門大手の「チェレット」。畑を第一に考え、大きな醸造所は設けずに、各ブドウ畑にそれぞれの醸造所を所有する徹底ぶりです。このバローロは、自社畑と一部購入したブドウを使い、複数のエリアのもので造っています。熟成は、小樽と大樽を併用しています。リリース後からすぐに楽しめる飲み心地に優れたバローロです。

生産者協同組合だからできる衝撃のコストパフォーマンス!複数の畑のネッビオーロをブレンドすることで高品質を実現するテッレ デル バローロの「バローロ」

テッレ デル バローロ

バローロ 2016

バローロ 2016

全11コムーネに畑を所有する協同組合テッレ デル バローロの「バローロ」は、複数の畑をブレンドしバランスの良いバローロをつくっています。協同組合ならではの、安定した高い品質のバローロです。なかなか手が出ないイタリア最高級赤ワインですが、このテッレ デル バローロのバローロはそんな私たちの願いをかなえてくれるとっても嬉しいバローロです。

厳選されたスペシャルブレンド!84ヶ月以上の熟成を行ったバローロリゼルヴァ「コルダーナ」

コーペラティヴァ フラ プロデュットーリ

バローロ リゼルヴァ コルダーナ 2013

バローロ リゼルヴァ コルダーナ 2013

「コーペラティヴァ フラ プロデュットーリ」は、生産者協同組合という組織力を生かし、安定した品質と優れたコストパフォーマンスを誇ります。こちらのバローロは84ヶ月以上熟成。法定熟成期間は62ヶ月を軽く超えています。ブドウにもそれだけの長期熟成に耐えられるポテンシャルが必要になってくるため、 よりよい出来栄えの樽を厳選し、ブレンドして造られています。

飲み心地を追求するロベルト サロットのフラッグシップバローロ「アウダチェ」陰干しブドウで造る唯一無二のバローロ

ロベルト サロット

バローロ アウダチェ 2018

バローロ アウダチェ 2018

飲み心地の良さにとことんこだわる造り手ロベルト サロットのフラッグシップバローロ「アウダチェ」。バローロ本来の長期熟成力を保ったまま「早く飲み頃になるバローロ」をつくるべく、試行錯誤した結果、出した答えが「アッパッシメント」だったのです最低2ヶ月間かけてゆっくり陰干。陰干しのブドウを使う比率は毎年異なり、ブドウの状態を正確に理解した安定の味わいが評価されています。唯一無二のバローロです。

進化を遂げる名門「ボルゴーニョ」がつくる 5つの銘醸畑からなる“クラシック ”バローロ

ボルゴーニョ

バローロ 2019

バローロ 2019

1761年創業のピエモンテで最も古い由緒あるバローロの造り手”ボルゴーニョ”。所有する5つの銘醸畑で収穫された葡萄のブレンドによる、伝統的醸造で造られた「バローロ」です。有機栽培へ転換とともに更なる飛躍をみせました。名門中の名門は、時代の流れとともに柔軟にあります。彼らの進化はこれからも続いていきます。

古典的バローロを代表する造り手ジュゼッペ マスカレッロが単独所有するバローロ最高峰の畑「モンプリヴァート」 群を抜くエレガントさと滑らかさを持つ「王道」バローロ

ジュゼッペ マスカレッロ

バローロ モンプリヴァート 2018

バローロ モンプリヴァート 2018

「ジュゼッペ マスカレッロ」は創業130年を数える歴史あるワイナリー。栽培から醸造まで一切妥協のない仕事による、完璧で気品に溢れた唯一無二のバローロとして、世界中のワイン生産者からも尊敬されています。100年以上単独所有する畑「モンプリヴァート」は、バローロ最高峰の畑で、1600年代からブドウ栽培の歴史が残っている貴重な畑です。この畑から生まれる偉大な年のワインは丸みを帯びて各要素が完璧なまでに調和します。

偉大な生産者ピオチェーザレの単独所有クリュバローロ「オルナート」

ピオチェーザレ

バローロ オルナート 2018

バローロ オルナート 2018

1881年創業の偉大な生産者「ピオ チェザーレ」が単独所有する「オルナート」のブドウから造られたバローロです。優良年のみ ボトリングされます。熟成には、伝統的大樽と一部旧樽のバリック(15~20%)を使います。タンニンとオークの風味が心地よく溶け合っています。若いうちからも楽しめるバランスの良さもありますが、長期熟成で更なる向上が期待できる芯の強さも備えた偉大なバローロです。

「よいワインはよいブドウから」モダンスタイルに転換したピラー社のバローロ カンヌビ

ピラー

バローロ カンヌビ 2019

バローロ カンヌビ 2019

バローロ造りに長い伝統のあるピラー社。モダンスタイルに転換し注目を集めました。ブドウの持つ力強さや優雅さの魅力を完璧なバランスで表現しています。モダンな醸造技術に目が行きますが、土壌に敬意を持って栽培に取り組む姿勢こそ、銘醸畑「カンヌビ」で最高品質のブドウが育ち、最高級のバローロをつくります。

単一畑「クリュ」の概念をバローロで最初の確立したといわれるルチアーノ サンドローネの看板バローロ「アレステ」

ルチアーノ サンドローネ

バローロ アレステ 2017

バローロ アレステ 2017

単一畑「クリュ」の概念をバローロで最初の確立したといわれるルチアーノサンドローネの「アレステ」。1978年に誕生したバローロ「カンヌビ ボスキス」が、2013ヴィンテージより「アレステ」と名前をかえました。しなやかさとバローロらしい品格を兼ね備えたワインには、美しいネッビオーロ本来の味わいを大切にし、純粋な表現を求めるサンドローネの信念が詰まっています。