バルバレスコの重鎮「カステッロディネイヴェ」

2017/10/31
突撃インタビュー
 
2017年10月17日 カステッロ ディ ネイヴェ社 イタロ ストゥピノ氏

ブルーノジャコーザにも卸してした偉大なクリュ「サントステファノ」を全て所有!
バルバレスコの重鎮「カステッロディネイヴェ」

カステッロ ディ ネイヴェ社 イタロ ストゥピノ氏と
このエリアを代表するバルバレスコの名手「カステッロ ディ ネイヴェ」。誰もが羨む銘醸クリュバルバレスコ「サントステファノ」の全てを所有しています。バルバレスコにおいて一つのクリュを単独所有する事は非常に稀な事で、あのブルーノジャコーザが「カステッロ ディ ネイヴェ」からブドウを買ってまでジャコーザラベルの「サントステファノ」をボトリングしていた程です。1700年代初頭から続くワイン造りの長い歴史を持ち、1970年代にはトリノ大学と共に白ブドウアルネイスの発展に尽力し、現在ピエモンテ全体の約90%のアルネイスがカステッロディネイヴェの畑で研究されセレクトされたクローンとなっています。赤白共にピエモンテを語る上で欠かす事の出来ない偉大な生産者カステッロ ディ ネイヴェ社のオーナー、イタロ ストゥピノ氏にお話を聞きました。

1964年にカステルボルゴ城を購入、本格的にワイン造りをスタート

イタロ氏と祖父1964年にカステルボルゴ城を購入、本格的なワイン造りをスタートさせる
この写真はブドウ畑で撮影された祖父と幼い時の私です。今思えば、この時から将来ワインを造る仕事に就く事を示唆していたのかも知れませんね。家族は皆ネイヴェの出身で、祖父はネイヴェの役所で働き、父は測量の仕事をしていました。その時からブドウも自家用、若しくはバルク売り用に少量造っていました。

父が1964年に1700年代初頭に建てられたネイヴェ中心部にあるカステルボルゴ城を購入後、本格的なワイン造りが始まりました。現在は私と兄弟がカステッロ ディ ネイヴェを運営しています。娘のカロリーナはロンドンでジャーナリズムを大学で専攻後、ロンドンで働いています。ワイナリーも手伝っていて、今は北米エリアを担当、ワイナリーの販促活動も行っています。

ピエモンテ州南部の丘陵地帯「ネイヴェ」

DOCG地図

ピエモンテ州南部の丘陵地帯「ネイヴェ」
カステッロ ディ ネイヴェの畑はピエモンテ州南部、タナロ川に分けられたアルバとロエロに隣接する丘陵地帯、ネイヴェ村に位置しています。

このエリアはタナロ川を挟むと土壌の質は異なってきます。アルバ側は凝灰岩、石灰質、石の多い土壌で、歴史的にも非常に古い土壌です。ロエロ側はアルバに比べ若い歴史となり、砂質主体の土壌となります。植えられるブドウが同じでもテロワールによって出来があるワインは異なります。

ネイヴェ地図

所有する畑はネイヴェエリアに点在
もう少し細かくネイヴェの地図を見てみましょう。紫で記されたエリアが「ネイヴェ」です。私たちが所有する畑はネイヴェエリアに点在しています、バルバレスコを産み出す「アルベザーニ」(単一畑サントステファノを含む)、アルネイスを植えている「モンテベルトット」、ネイヴェ中心部で所有する城のすぐ近くにあるピノネーロ植えている「イ コルティーニ」、急斜面でドルチェットを造っている「バザリン」、ネッビオーロとドルチェットを造っている「ヴァルトルタ」です。同じネイヴェでありながらも、それぞれのクリュによって標高や畑の向き等のテロワールが異なる為、そのクリュに適したブドウをセレクトしています。

カステルボルゴ城

1700年代初頭ワイン造りの為に造られたカステルボルゴ城
熟成庫は所有するカステルボルゴ城を使っています。この城は1700年代初頭、ワイン造りの為に造られた城で、建物の構造もワイン大樽が入るように造られており、ネイヴェが古くからワイン造りの歴史があった事を伝える重要な城となっています。昔は醸造と熟成庫として利用してきました。

新旧カンティーナ

2012年からは新たに別の場所に近代的な醸造所を造ったので、カステルボルゴ城は熟成庫、ゲストのレセプションルーム、私の住居として使っています。古城である為、メンテナンスも必要です。屋根だけもトータル1300平方メートルもありますから(笑)。そういった意味では良い点と悪い点もありますね。

城内とラベル

ナポレオン帝政時代の強さを表現したラベル
カステルボルゴ城自体は1700年代のものですが、内装は1800年代のものです。ナポレオン帝政時代の内装を残しています。ナポレオンがエジプトに進み、戻ってきた時代に流行って造られたデザインの調度品が今も残されています。帝政時代の調度品のデザインをラベルの枠として取り入れています。ナポレオン帝政時代の強さ、歴史を私達が造るワインにも表現したいと思い取り入れています。これが私達カステッロ ディ ネイヴェのラベルの始まりなのです。

ユネスコ世界遺産に認定されたランゲ地区のブドウ畑
2012年から造った新しい醸造所はステンレスタンクと大樽が並んだ近代的な造りとなっています。また、ピエモンテのランゲ丘陵地帯のブドウ畑の景観がユネスコ世界遺産にも認定されて、ピエモンテに訪れる観光客も増え世界中から注目を集めています。ランゲの景観は世界中何処を探してもそうは無いと思います。イタリアはトスカーナ州のフィレンツェばかりでなくて、ピエモンテにも素晴らしい名所があるので是非来てみて下さいね。そして城壁の街として名高いネイヴェにも是非足を運んでください。

 

ブルーノジャコーザにも卸してした偉大なクリュ「サントステファノ」を全て所有

最も大切にしている畑がクリュバルバレスコ「サントステファノ」
1964年に父が城を購入した時に同じくブドウ畑も購入しました。それがクリュ「サントステファノ」と「マルコリーノ」です。畑を購入してからもブドウだけを売っていましたし、またバルク売りをしていました。そして1970年に1967ヴィンテージのワインを初めて自社でボトリングして世に送り出しました。

1970年当時、私はワイン造りを進めている一方、エンジニアの仕事も兼務していました。従業員50人程のパッケージング会社をトリノで経営していました。1970年に私の父が亡くなった時に兄弟と役割分担をしながら、トリノの会社も経営し、ワイナリーの経営を続けました。一番最初にボトリングした記念すべきカステッロ ディ ネイヴェ1967ヴィンテージはパッケージング会社のお客様たちにクリスマスプレゼントしてお贈りして喜んで頂いた事がとても良い思い出です。
現在トリノの会社は甥に任せていて、私は今100%カステッロ ディ ネイヴェに精力を注ぎ込んでいます。1960年代当時、私たちが建てたトリノの会社の場所は郊外だったのですが、その後トリノの街が急速に発展し、現在その場所一帯が高級住宅地になっています。その土地は売り場所を移して新しいビルを建てて甥が会社経営しています。

サントステファノ

以前ブルーノジャコーザにも卸してした偉大なクリュ「サントステファノ」を全て所有
最も大切にしている畑がクリュバルバレスコ「サントステファノ」です。歴史のある畑で1700年から「カッシーナ ディ サントステファノ」という名でブドウ栽培が行われていました。私たちはクリュ「サントステファノ」を全て所有しています。昔ブルーノ ジャコーザが「サントステファノ」というワインを販売していましたが、それは私たちがブドウを売っていたからです。2012年にブルーノ ジャコーザにブドウを卸す事をやめた為、それ以降私達が造るワインのみが「サントステファノ」となっています。

4つのクリュ

「サントステファノの畑だけは既に雪が解けている」
「サントステファノ」の畑は標高260メートル、総面積は8.22ヘクタールです。雪が降った2日後の写真ですが、見て分かるように他の畑は雪がまだ残っているのに「サントステファノ」のエリアだけは特別なミクロクリマが存在し、既に雪が解けています。ブドウのオフシーズンである冬場の写真一つとってみてもテロワールの素晴らしさをしっかりと証明しています。

「素晴らしいサントステファノだからこそ、素晴らしいバルベーラが育つ」
クリュ「サントステファノ」はバルバレスコとなるネッビオーロを6.72ヘクタール、残り1.5ヘクタールは畑の下部、上部の一部にバルベーラを植えています。他の生産者は「素晴らしいクリュバルバレスコの畑でバルベーラを植えるなんてどうかしているよ!」と言われましたが、私は「素晴らしいサントステファノだからこそ、素晴らしいバルベーラが育つ」と確信していました。

バルバレスコのサブゾーンで「サントステファノ」を含むこの辺り一帯が「アルベサーニ」と呼ばれています。「サントステファノ」はその中で一番大きなクリュバルバレスコとなっています。新たに制定された法律によりサブゾーンである「アルベサーニ」をラベルに記載義務が発生しました。実のところ、私の中では「サントステファノ」だけ記載すれば十分だと思っているのが本音です。「アルベサーニ」であるかどうかはカステッロ ディ ネイヴェにとってはそこまで重要ではないのです。それだけ「サントステファノ」に誇りを持っています。

サントステファノの畑は急な斜面で構成されています。日が当たらない最下部にはブドウを植えずに代わりにヘーゼルナッツを植えています。たとえ優秀なクリュであっても確実でないところにはブドウは植えていません。(ブドウ畑にナッツ?と思ましたがそこで採れるヘーゼルナッツも絶品でとても美味しいそうです)

個性の異なるクリュに合わせてブドウを植え分ける
クリュ「マルコリーノ」はなだらかな丘陵地帯となっています。南東部にはドルチェット、南西部にはバルベーラとアルバロッサを植えています。本来「マルコリーノ」はバルバレスコのネッビオーロを植えるべき場所なのですが、私は違う品種を植えています。ネイヴェの南に位置するクリュ「ヴァルドルタ」にはネッビオーロとドルチェットを植えています。その南にあるクリュが「バザリン」です。私の父が1930年代に購入したエリアです。非常に急に険しい丘に位置し、風が強く吹く畑でネッビオーロよりもドルチェットの方が向いていると父は考えました。長期熟成型の高品質のドルチェットが植えられています。

ピエモンテ全体の約90%のアルネイスがカステッロ ディ ネイヴェのブドウ畑でセレクトされたクローン

白ワインしか飲まない奥様の為に造ったアルネイス
ここでアルネイスの話をしましょう。白ワインであるアルネイスが中心に植えられている「メッソイラーノ」「モンテベルトット」の畑は父が1932年に購入した畑です。私は1970年に結婚したのですが、結婚した彼女が白ワインしか飲まない女性でした。今でこそ、白ワインのアルネイスを造っていますが、当時赤ワインしか造っていなかったので、友人であるフリウリのスキオペットやフェッルーガに白ワインの醸造について相談しました。

ブルーノジャコーザのロエロアルネイスに感激し、ネイヴェでアルネイスを造る事を決意
国際品種であるシャルドネは植えたくなかったので、土着品種に着目しました。そこでブルーノ ジャコーザが造っているロエロ地区のアルネイスを飲んだ時に「なんて美味しいのだろう!」と感激し、そこでアルネイスを自分のネイヴェの畑に植えようと思い造り始めました。

アルネイス

トリノ大学と共同でクローン選びから始める
私は高校の同級生が働くトリノ大学に相談に行き、「新たにアルネイスを植えたいので、テクニカルデータが欲しい」とお願いしました。しかしその当時はトリノ大学にはアルネイスのテクニカルデータは全く無く、クローンを選ぶ作業からトリノ大学と共同で始めました。

1000株のアルネイスから分析、厳選した3つのクローンに辿り着く
畑の図にあるように1000株のアルネイスを植えました。図にはクローン別にナンバーが刻まれています。その中から20のクローンを厳選していきました。3年後にはワイン用のブドウとして育ちました。収穫された20のクローンをそれぞれ別々に少量ずつ醸造しました。その後約3年間分析、試飲を続け、ようやく完成に至ったクローンがアルネイス15、19、32番となりました。

現在ピエモンテ全体の約90%のアルネイスがカステッロ ディ ネイヴェの畑でセレクトされたクローン
私たちがトリノ大学を共同で調べあげたアルネイスのクローンがピエモンテのオフィシャルなクローンとして認められ、現在ピエモンテ全体の約90%のアルネイスがカステッロ ディ ネイヴェのモンテベルトットのブドウ畑で研究されセレクトされたクローンとなっています。なので、私は自分の事を「アルネイスの父」と言っているんですよ(笑)。

そしてクローン研究の時学生だった若者が、今はトリノ大学の教授となってワイン産地発展の為に貢献しているのです。私は元々エンジニアでしたので、ワイナリー内外の素晴らしい英知のおかげと、畑やセラーで働く人達のハードワークがあったからこそ、カステッロディネイヴェは関わる全ての人々と共に成長を続けてこれたのです。
(この後、アルネイスクローンを発見した権利はあるのですか?と聞いたら「それが、無いんだよ」と返ってきました。自身のワイナリーだけの発展ではなく、ピエモンテの白ワイン発展の為に尽力したイタロさんらしいエピソードだと思いました。イタロさんとトリノ大学の当時の取り組みにより、今では年間約450万本ものアルネイスがピエモンテで生産されています)

ピエモンテで初めて辛口ネッビオーロが造られた「ネイヴェ」

サントステファノ古地図ピエモンテで初めて辛口ネッビオーロが造られた「ネイヴェ」
1850~1870年頃、カステルボルゴ城の伯爵が所有していたブドウ畑に植えられていたネッビオーロは微発泡の甘口ワインとして造られていました。当時ピエモンテでは甘口が一般的であり、辛口ネッビオーロを造る生産者はいませんでした。

辛口スタイルのネッビオーロが国際ワイン展示会で金賞受賞
カステルボルゴ城の伯爵がフランスから招聘した醸造技師ルイ オダール氏は通常より長く醗酵を進め、当時として初めて辛口ワイン仕立てのネッビオーロのワインを造り上げました。オダール氏によってピエモンテで一番最初に造られた辛口スタイルのネッビオーロは1872年、ロンドンで行われた国際ワイン展示会に出品されるやいなや、いきなり金賞を受賞しました。

ネイヴェ金賞受賞から30年後に「バルバレスコ」に名前が変わる
実はその時出品したワイン名は「ネッビオーロ」ではなく、「ネイヴェ」として出品され、世界中に「ネイヴェ」の名前を知らしめる機会となりました。それから約30年後に「バルバレスコ」と名前が変わり、改めて世界に発信される偉大なワインとなりました。辛口ネッビオーロの歴史の起源が所有するネイヴェから産まれた事を誇りに思っています。

1000株のアルネイスから厳選され優良クローン!ピエモンテアルネイスのルーツ「モンテベルトット」
ランゲ アルネイス モンテベルトット 2015
ランゲ アルネイス モンテベルトット 2015


アルネイスは気温の上がらない朝方に収穫を行います。収穫されたブドウはドライアイスを使い、傷まないように温度管理をし、カンティーナに運びます。これにより、ブドウはしっかりとアロマを残し、出来上がるワインからもブドウ本来の香り、味わい、アロマがしっかりと感じられるようになります。
試飲コメント:青リンゴ、ハーブ、ミネラルの涼し気なタッチの香りがあり、軽快かつ伸びやかな香りが印象的です。飲むと、みずみずしくクリアーな果実感と澄んだミネラル、心地よい酸味が綺麗に重なる洗練されたスタイルがあります。中盤からナッツやハーブの魅力的な風味が広がる、完成度が高くエレガンスに溢れるアルネイスです。素材の味わいを活かした新鮮な魚料理、サラダ、オードブル全般と合わせる事が出来ます。

僅か1.25ヘクタールの単一畑で造るピノネロ
イ コルティーニ ランゲ ピノネーロ 2015
イ コルティーニ ランゲ ピノネーロ 2015


イ コルティーニはネイヴェ中心部にあるカステルボルゴ城下にある僅か1.25ヘクタールの南向きの斜面にある畑に植えられたピノネロ100%で造られるワインです。1904年には既にこのエリアにピノネロが植えられた記録があります。1996年からイ コルティーニの生産が始まりました。
試飲コメント:輝きのあるルビーの色調です。ラズベリーやジャム、甘草、ヴァニラの香りが印象的でスパイスやミネラルのニュアンスが重なる複雑な香りがあります。リッチで非常に滑らかな果実感があり、エレガントで豊かな味わいが楽しめるピノネロです。お肉料理だけではなく、脂ののったサーモンやマグロとも合わせられそうです。

エレガントなカステッロディネイヴェらしいスタイルが楽しめるスタンダードバルバレスコ
バルバレスコ 2014
バルバレスコ 2014


(試飲は2013ヴィンテージ)私たちが所有する畑はネイヴェエリアに点在しています、バルバレスコを産み出す「アルベザーニ」(単一畑サントステファノを含む)、アルネイスを植えている「モンテベルトット」、ネイヴェ中心部で所有する城のすぐ近くにあるピノネーロ植えている「イ コルティーニ」、急斜面でドルチェットを造っている「バザリン」、ネッビオーロとドルチェットを造っている「ヴァルトルタ」です。それぞれのクリュによって標高や畑の向き等のテロワールが異なる為、そのクリュに適したブドウをセレクトしています。
試飲コメント:成熟したベリーやドライフラワーのデリケートな香りの中にスパイスのニュアンスが仄かに広がります。パワフルなタンニンを備えていますが、果実味、酸とのバランスに優れ、洗練され、エレガントなカステッロディネイヴェらしいスタイルが楽しめるスタンダードバルバレスコです。

単独所有するクリュ バルバレスコ「サントステファノ」緻密でブレの無いエレガンス溢れる味わい
バルバレスコ サント ステファノ 2013
バルバレスコ サント ステファノ 2013


サントステファノ」の畑は総面積は8.22ヘクタールです雪が降った2日後、他の畑は雪がまだ残っているのに「サントステファノ」のエリアだけは特別なミクロクリマが存在し、既に雪が解けていました。ブドウのオフシーズンである冬場の写真一つとってみてもテロワールの素晴らしさをしっかりと証明しています。
試飲コメント:バラやスミレ、スパイス等が複雑に入り混じる複雑な香り。グラスを廻すと、森の下生えやヨードのニュアンスが感じられ、時間と共にその印象も変化していきます。豊かなタンニンが感じられます。粗さやブレの無いエレガンスが際立っている為、若いヴィンテージながら既に調和の取れたスタイルが感じられます。ゆうに10~20年の熟成は可能な緻密さがあり、セラー熟成も期待できます。ロースト、グリル、蒸し煮にしたお肉料理、ジビエ、熟成したチーズと相性が良いです。

単一畑のサントステファノから造られた長期熟成のリゼルヴァ
バルバレスコ サント ステファノ リゼルヴァ 2004
バルバレスコ サント ステファノ リゼルヴァ 2004


(試飲は2007ヴィンテージ)「サントステファノ」は非常に歴史のある畑で1700年から「カッシーナ ディ サントステファノ」という名でブドウ栽培が行われていました。2011年まではブルーノ ジャコーザが「サントステファノ」というワインを販売していましたが、「カステッロ ディ ネイヴェ」から卸したブドウで造られたワインです。2012年にブルーノ ジャコーザにブドウを卸す事をやめた為、それ以降、「サントステファノ」と名乗れるワインはカステッロ ディ ネイヴェのみとなっています。
試飲コメント:輝く深いルビーの色調です。エステルやバラ、チェリー等の複雑な香り。熟した豊かな風味と滑らかさが傑出した実に優美なバルバレスコです。時間をかけて飲む事でその真価が発揮されます。ジビエやお肉料理との相性が非常に良いです。
インタビューを終えて
今回のインタビューで「ネイヴェ」地区の素晴らしさを改めて知るとても良い機会でした。

「バルバレスコ」が誕生するずっと前の時代に、ピエモンテで初めて辛口ネッビオーロを造り世界的に評価を得た事、あのブルーノジャコーザにもブドウを卸していた、バルバレスコきっての銘醸クリュ「サントステファノ」を全て所有している事、今も熟成庫として活躍する1700年代に造られた歴史的な古城を所有しこのエリアを代表するカンティーナである事等、カステッロ ディ ネイヴェの歴史が「ネイヴェのワインの歴史」と言っても良い程、強い影響力のある偉大な生産者だと再認識しました。

「ネイヴェ」の赤ワインの素晴らしさもさることながら、白ブドウ「アルネイス」クローン発見の話もとても印象に残りました。赤ワインしか造っていなかったのに、赤ワインが飲めない奥様の為に、新たに白アルネイスを造る事を決意。研究、分析を重ね2000株の中から僅か3つのクローンを厳選。今ではピエモンテの約9割、州全体で年産450万本もの造られるアルネイスにイタロ氏が発見したクローンが使われています。

まるでドラマのようなサクセスストーリーを地で行くイタロ氏の情熱的なお話にすっかり聞き入ってしまいました。サントステファノとアルネイス。歴史的重鎮「カステッロディネイヴェ」を知る上で外す事の出来ない偉大な赤と白です。2012年のサントステファノ リゼルヴァは『ガンベロロッソ』2018で最高賞トレビッキエリを獲得しています。いつの時代においても、このエリアの先頭に立つ素晴らしい生産者です。バルバレスコを語る上で是非飲んでおかなければならない生産者だと改めて思いました。

カステッロ ディ ネイヴェ社 イタロ ストゥピノ氏とトスカニースタッフ
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