伝説の醸造家ジャコモ タキスの助言で名を馳せ、今やヴィーガンでのワイン造りを徹底する「クエルチャベッラ」オンラインセミナー

2021/10/14
突撃インタビュー
 
2021年10月5日 宮嶋勲氏、ジョルジョ フラジャコモ氏 Mr. Giorgio Fragiacomo

宮嶋勲氏が解説する「第二次黄金期を迎えるクエルチャベッラの進化系ワイン」!伝説の醸造家ジャコモ タキスの助言で名を馳せ、今やビーガンでのワイン造りを徹底する「クエルチャベッラ」オンラインセミナー

クエルチャベッラの畑
1974年に創設された「クエルチャベッラ」は、80年代に伝説の醸造家ジャコモ タキス氏と共に造ったスーパートスカン「カマルティーナ」と「バタール」で世界的躍進を遂げました。キャンティクラシコ地区の三つのコムーネに畑を持ち、繊細でエレガントなキャンティクラシコを生産しています。現在は、2代目オーナーのセバスティアーノ氏により、動物由来のものを完全に排除した独自のビオディナミ農法へと完全移行させ、ワイナリーとして第二次黄金期を迎えています。年々磨きがかかるクエルチャベッラの洗練さやエレガンスについて、オンラインセミナーでワインジャーナリストの宮嶋勲氏に解説していただきました。

言わずと知れた「サッシカイア」や「ティニャネロ」を造った伝説の醸造家ジャコモ タキスの助言で1980年代から名声を上げてきた「クエルチャベッラ」

伝説の醸造家ジャコモ タキスの助言で見つけたルッフォリ丘で類稀なるエレガントなキャンティクラシコを生産!

クエルチャベッラは、大のブルゴーニュワイン好きだったジュゼッペ カスティリオーニ氏が1974年に創設したワイナリーです。初代オーナーのジュゼッペ氏が、それに負けないエレガントなワインを造りたいという思いで設立しました。

ジャコモ タキス氏ジュゼッペ氏の友人である「スーパートスカンの父」こと、伝説の醸造家ジャコモ タキス氏に相談したところ、「あなたの希望を叶えるためには、内陸部かつ標高の高い土地にすべき」というアドバイスを受けます。そこで見つけたのが、トスカーナで二番目に高い山グレーヴェ イン キャンティのクエルチャベッラ山のルッフォリという丘でした。

キャンティクラシコの3つのコムーネにあるサンジョヴェーゼをブレンド
クエルチャベッラは、ルッフォリ丘がある「グレーヴェ」に加え、「ガイオーレ」、「ラッダ」の3つの代表的なキャンティクラシコのコムーネに畑を持っています。その畑を70区画に細分化し、それぞれの特徴が生まれるブドウをブレンドして、サンジョヴェーゼ100%のキャンティクラシコを生産しています。

「エレガントでみずみずしい洗練された味わい。抜群の安定感でリスクの少ないキャンティ クラシコの造り手」

宮嶋勲氏ワインジャーナリストの宮嶋氏は、クエルチャベッラの特徴をこう語ります。
「クエルチャベッラは、3つのテロワールを反映した歴史ある造り手です。タキス氏と共に手掛け、そしてタキス氏を代表するワインにもなったカマルティーナは、80年代スーパートスカンブーム時に話題となり有名になりました。90年代からのファンも多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人です。

クエルチャベッラのワインは、キャンティクラシコの中でも独自の個性を持ち、非常に洗練された味わいです。エレガントで繊細なタンニンがあり、決してパワフルで重たいワインではありません。どちらかというとラーモレ ディ ラーモレに似ていますよね。ヴィンテージによってばらつきのあるキャンティですが、クエルチャベッラの場合は全くそれがありません。リスクが少ない造り手の一つで、ワインは抜群の安定感とみずみずしさ、エレガントさが特徴です」

二つの大きな転換期を迎えたクエルチャベッラ
「第二次黄金期を迎えるクエルチャベッラの進化系ワイン」

2004年にセバスティアーノ氏が2代目オーナーに就任
動物由来のものを排除し、徹底されたビーガンでのワイン造りを開始

オーナーのセバスティアーノ氏名声を手にしてきたクエルチャベッラですが、転機が訪れます。創設者であるジュゼッペ氏が亡くなり、息子であるセバスティアーノ氏がワイナリーを引き継ぐことになりました。そして、セバスティアーノ氏が完全菜食主義者のビーガンになり、その考えをワイン生産に持ち込んだのです。ワインを清澄する際の卵由来成分や、畑に散布する調合薬に使う牛の角など、動物由来の物質は一切使わなくなりました。

2010年にも大きな改革を行います。バローロの生産者として有名な「ヴィエッティ」のオーナー、ルカ クッラード ヴィエッティ氏を新しい醸造家として迎えたのです。

「もともとクエルチャベッラは1988年に有機栽培を始め、97年に購入したマレンマの畑ではビオディナミでの生産を開始しています。2000年からは、キャンティクラシコでもビオディナミを始めており、有機栽培、ビオの先駆け中の先駆け的存在です。セバスティアーノ氏が2代目に就任してからは、独自の信念に基づき、俺流のビーガンワインを輩出しています。そして、醸造家にバローロの造り手であるヴィエッティ氏を招き入れ、ピエモンテの血や感性が入ることでワイナリーはどんどん活性化していきます。今現在、クエルチャベッラは第二期黄金時代を迎えていると思います。

カマルティーナ今回試飲するヴィンテージは、そのセバスティアーノ氏とルカ氏の両者が手掛ける第二次最高期を迎えるクエルチャベッラの進化系ワインです。今後ワイナリーが目指す方向性や、現オーナーが見据える将来像を感じ取ることができると思います。ちなみに試飲する順番はキャンティクラシコから始まり、最後に白のバタールを飲んでいただきます。

彼らのワインは炭火焼によく合うんです。非常にエレガントで、食事の中で活躍するはずです。トスカーナの郷土料理にも合いますが、インターナショナルな料理にも最適です。高級レストランや鉄板焼きにもうまく溶け込みます。しかし、オーナーはビーガンなので従業員の方たちはお肉料理を少し避けているそうです(笑)」と宮嶋氏。

 

2022年から導入予定のエリア別呼称により3つのコムーネからグランセレツィオーネを生産できる「クエルチャベッラ」

キャンティ クラシコ協会は、地域の差別化を図り、消費者に特定の原産地をより知ってもらう目的でUGAプロジェクト(Unita Geografiche Aggiuntive/追加地理的単位)を始めます。このプロジェクトにより、醸造学的な認知度、歴史的な信頼性、知名度、生産量などの基準に基づいて11の地区が区分けされています。

キャンティクラシコ サブゾーン

宮嶋氏に、2022年導入予定のエリア別呼称の現状と将来予測について話していただきました。
「今話題のキャンティクラシコの村別呼称についてですが、キャンティクラシコ総会では承認されています。最終的にはEUを通すことが必要ですが、これが否決されることはないと思います。ですので、来年の2022年には名乗れるようになります。この制度が定着し、“ラッダのワイン”や“グレーヴェのワイン”といった具合に飲むようになれば、ボルドーのような村名での原産地呼称の時代が来るだろうと推測できます。そうすると、キャンティとキャンティクラシコを区別することもなくなるでしょうね。

そして、クエルチャベッラは「グレーヴェ」、「ガイオーレ」、「ラッダ」と3つのコムーネに畑を所有しているので、3つのエリアそれぞれを名乗るグランセレツィオーネが生まれる可能性があります。新サブゾーンは11のエリアに分かれているので、明確に特徴の異なる村が出てくると思います。しかし、今のところクエルチャベッラはグランセレツィオーネは生産していません。実は、彼らが造るリゼルヴァは、熟成期間を長く取っているため、本当はグランセレツィオーネと名乗ることはできるんです。キャンティクラシコも同様にリゼルヴァと名乗ることができます。2022年に新しく実施予定のエリア別呼称が導入されると、一つのコムーネからの生産となるので、規定が変わるまではコムーネ単体からは造らないというポリシーを持っています」

『アントニオガッローニ』&『ルカマローニ』92点!
複雑で陰影に富んだクエルチャベッラのお値打ちキャンティクラシコ
キャンティ クラシコ 2017
キャンティ クラシコ 2017


クエルチャベッラが所有するキャンティクラシコの代表的なコムーネ「グレーヴェ」、「ガイオーレ」、「ラッダ」のそれぞれの特徴を生かした模範的なキャンティクラシコ。ラベルに描かれたシェフは「料理に合わせやすい」ということを表現しています。テロワールの特徴を見事に融合させたエレガントでバランスのとれた美味しさをゆっくりとお楽しみください。2017ヴィンテージは『ジェームズサックリング』で91点を獲得するなど、お買い得キャンティクラシコです!

「このワインは温度を低めにして飲んだほうがいいと思います。複雑で陰影に富んだ深みのある味わいです。熟成期間が長いので、本当はリゼルヴァとしての資格をすべて持っているワインです」と宮嶋氏は話します。

試飲コメント:鮮やかな明るいルビー色。赤い果実などのクリーンで繊細な香り。あとから奥のほうに鉛筆の芯のようなニュアンスを感じました。味わいも同様に繊細でタンニンが非常に細やか。赤い果実の風味と旨味が口いっぱいに広がり、非常に素敵でエレガントな味わいです。

『アントニオガッローニ』94点!
繊細さ、複雑さ、エレガンスを兼ね備えた最高峰キャンティ クラシコ リゼルヴァ
キャンティ クラッシコ リゼルヴァ 2017
キャンティ クラッシコ リゼルヴァ 2017


キャンティ クラシコ生産エリアの代表的なコムーネ「グレーヴェ」、「ラッダ」、「ガイオーレ」の最高区画で厳選したブドウのみ使用して造るリゼルヴァです。ピュアなサンジョヴェーゼの表現を突き詰めたクエルチャベッラこだわりをお楽しみください!

「炭火焼によく合います。非常にエレガントで、食事の中で活躍するワインです。ペアリングは郷土料理もいいですが、インターナショナルな料理にも最適です。高級レストランや鉄板焼きによく溶け込みますよね。これもまた陰影があり深みのある味わいです」と宮嶋氏。

試飲コメント:キャンティクラシコより少し色の濃い鮮やかな明るいルビー色。プラムなどの赤い果実やフローラルなアロマ。美しい酸とフルーティな味わいがあり、繊細なタンニンとのバランスに優れています。余韻も長く、心地よい後味があります。

『ジェームズサックリング』94点!
「クエルチャベッラ」のエレガンスを極めた理想形スーパートスカン
カマルティーナ 2016
カマルティーナ 2016


ファーストヴィンテージは1981年。フランスワイン好きだったオーナーが、それに負けじと造り始めたのがこのエレガントを極めたスーパートスカン「カマルティーナ」です。他のスーパートスカンに比べると生産量は年産1万本程度と少量。ベリー系の果実やスパイスなどが感じられる複雑なアロマ、イキイキとしたサンジョヴェーゼの酸と洗練されたタンニン、しっかりとした果実味の深みのある美味しさ。熟成を重ねるほどにエレガントさが増していく、長期熟成にふさわしい偉大な赤ワインです。

「キャンティクラシコ地区でも随分とカベルネが植えられていますが、ルッフォリ丘にもカベルネが植えられています。従来は非常にパワフルで青い印象がありますが、ここのカベルネは異なっており、タイトでエレガントなカベルネができます。

ワインにはカベルネソーヴィニヨンのきめ細かいタンニンが出ています。ボルゲリのようなドンとした感じではなく、エレガントな凝縮感があります。長期熟成可能なワインで、まだ飲むには若いですね。今の状態で飲むとしたら炭火焼、脂っぽいものが良いと思います。より複雑なニュアンスを楽しむには、あと5年から10年置いたほうがいいと思います。細身で内向的、シャープな酸が特徴です。エレガントな味わいで非常においしいです」と宮嶋さんは話します。

試飲コメント:濃いルビー色。やや閉じている印象でした。主に黒い果実の香りがあり、奥のほうに赤い果実やフローラルなアロマを感じます。クリーンで美しく力強さを持った味わい。香り同様のブラックベリーやブルーベリーなどの黒い果実が、最後の余韻まで一貫して長く持続します。それでいて、エレガンスを感じる逸品でした。

『ジェームズサックリング』94点!
偉大な長期熟成力を持つ、これぞ白のスーパートスカン!
バタール 2017
バタール 2017


世界的に名声を得た白のスーパートスカンがこのバタール。毎年、世界各国から生産量の倍の注文が入る大人気イタリア白ワインです!偉大な赤ワインのように、ゆうに10~15年の熟成のポテンシャルも持ち合わせています。今飲んでも十分美味しいですし、しばらく寝かせてから、バタールの奏でる、清らかで深く美しい味わいを楽しむこともおすすめです。

「ブドウが本来持っている要素を表に出したいという意向により、以前に比べてバトナージュの回数をかなり減らしました。それによりワインは引き締まり、ミネラルが表に出ています。バタールの個性は、ピノ ビアンコ50%とシャルドネ50%のブレンドにこそあります。シャルドネ100%でも70%でも引き出すことはできません。2019年に飲んだ2002年のバタールが記憶に残っています。当時のバタールはトスカーナでは珍しいピノ ビアンコ100%だったんです。17年熟成されたものでしたが、非常によかったことを今でも覚えています。長期熟成に向いてる証拠ですね」と宮嶋氏は語ります。

試飲コメント:輝きを持った淡い麦わら色。ミネラルのアロマが力強く、花などの香りがあります。わずかに柑橘果実の皮のニュアンスを感じます。温度を少し下げた状態で試飲すると、ミネラル由来の塩味や旨味がぐんと増しました。クリーミーで滑らかな舌触り。熟した果実とミネラルに富んだ味わいの余韻が長く続きます。
インタビューを終えて
宮嶋勲さんの解説で始まったクエルチャベッラのオンラインセミナー。ワイナリーの歴史から始まり、テイスティングをしながらのワイン解説、そしてQ&Aといった流れで行われました。途中でグローバルセールスディレクターを務めるジョルジョ フラジャコモさんがサプライズで登場し、今年の天候について話していただきました。今年の夏は乾燥してとても暑かったそうですが、セミナーが行われた前日にようやく恵みの雨が降ったそうです。ブドウは、暑く乾燥していたため凝縮感がありとても良い状態とのこと。

クエルチャベッラのワインを試飲してみると、4本とも共通して奥行きのある味わいでとても印象的でした。宮嶋さんがおっしゃっていたようにラーモレ ディ ラーレのキャンティクラシコと似たエレガントさがありました。キャンティクラシコは、ラーモレと比較すると酸が少し抑えられている分、旨味がある印象です。タンニンが細やかで、赤い果実の風味と旨味が口いっぱいに広がる繊細でエレガントな味わいです。非常に美味しかったです。

2022年から導入予定の「エリア別呼称の未来予想について」の話も印象に残っています。キャンティクラシコが持つ多様なテロワールを広めるために導入される11のサブゾーン。エリアがより細分化されることで、その土地の特徴を認識した上でワインを飲む人が増え、ボルドーのような感覚で「ラッダのワイン」や「グレーヴェのワイン」といった具合に消費されていくだろう、という未来予想をされており大変説得力のあるお話でした。

そして、3つのコムーネに畑を持つクエルチャベッラは、それぞれのコムーネでグランセレツィオーネが生産可能になります。そんなクエルチャベッラが、今後どういった個性を持つキャンティクラシコを造るのか大変興味がわきました。「ブルゴーニュワインにも負けないワインを造る」という情熱のもとワイナリーとしての歴史が始まり、そして2代目オーナーの改革により更なる躍進を遂げ「第二次黄金期」を迎えたクエルチャベッラ。今後目が離せないクエルチャベッラのワインをぜひお楽しみください。

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