2022年11月28日 アンドレア ロナルディ氏 Mr. Andrea Lonardi
2023年度版『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリー受賞!トレビッキエリ受賞のエレガントな上級クリュ ヴァルポリチェッラにも注目!エレガンスを追求し続けるアマローネの名門「ベルターニ」突撃インタビュー |
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2023年度版『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリーに輝いた「ベルターニ」。1857年の創業時から、長きにわたりヴェローナ周辺の重要な地域に畑を所有し、土地の個性を生かしたワイン造りを行っています。フラッグシップであるアマローネ クラシコが10年連続で最高賞トレビッキエリを獲得(2022年12月現在)、エレガントさを追求して造られる上級クリュ ヴァルポリチェッラ「オンニサンティ」が今回の2023年度版『ガンベロロッソ』でトレビッキエリを獲得するなど、アマローネ、そしてヴァルポリチェッラの名門として確固たる地位を築き上げています。今回は、COO兼統括エノロゴのアンドレア ロナルディ氏にオンラインでお話を聞きました。 | ||||||||||
2023年度版『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリーを受賞!
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アマローネの名門「ベルターニ」は、2023年度版『ガンベロロッソ』で年間最優秀ワイナリーを受賞しました。エントリーしたワイナリー数は2626社、ワイン数は2万5421本。その中から最高賞トレビッキエリに選出されたのが455本。そして、その455社の頂点に輝いたのがベルターニです。
ベルターニは、トレビッキエリの常連としても知られています。フラッグシップのアマローネは、10年連続、合計15回のトレビッキエリを受賞(2022年12月現在)。近年注力する上級クリュ ヴァルポリチェッラ「オンニサンティ」も、今回の2023年版でアマローネを抑え見事トレビッキエリを受賞しています(2021年版でも受賞)。 「ベルターニ(エレガント)スタイルを着実に守りながら前進し続けた結果の受賞」 ――それでは、始めましょう。よろしくお願いいたします。 そのスタイルとは、エレガントなワインであるということです。ベルターニは1950年代からエレガントスタイルを貫き、年々磨きをかけてきました。個人的な意見ですが、市場はエレガントさをもう一度求めるようになっていると思っていて、これはベルターニにとって運が回ってきたことになりますね。 しかし、リパッソとアマローネに焦点を当てると、ヴァルポリチェッラ全体では甘みを帯びたものや力強いワインが多いです。それらのワインの70~80%はイタリア国外に輸出されており、ワイン単体で消費する傾向があります。一方で、私たちのワインは60%が国内消費され、テーブルで食事と合わせながら飲むワイン、つまり地中海的スタイルのワインです。その考えで言うと、イタリアと同じような食事の取り方、食文化がある日本において、ベルターニのワインは存在感を放つでしょう。とりわけ日本は、食文化的に成熟していて、エレガントスタイルが浸透している国だと思います。 また、フルーティで生き生きとした果実味のあるヴァルポリチェッラは、今では私たちくらいしか造れないと思っています。誰でもできるようなスタイルのワインではありません。実は塩味もイタリアでは再度脚光を浴びていて、流行りのスタイルと言えます。ベルターニスタイルが市場で受け入れられていることは、非常に喜ばしいことです。 ベルターニとしては、アマローネに限らず、エレガントさを追求したヴァルポリチェッラ「レ ミニエーレ」、「オンニサンティ」というワインも知っていただきたいと思っています。 |
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2023年度版『ガンベロロッソ』最高賞トレビッキエリ受賞!
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私たちは、5~6年前から、ヴァルポリチェッラでエレガント&フレッシュの心地良いワインの生産を試みていました。そのアイディアをもとに、自社畑「テヌータ ノーヴァレ」の中から特別な区画を選んで造られたのが「レ ミニエーレ」と「オンニサンティ」です。オンニサンティの2020ヴィンテージは、今回の2023年度版『ガンベロロッソ』でトレビッキエリを獲得しています。
――そのアイディアはどこから来たのですか? ――そのスタイルを実現するための区画が「レ ミニエーレ」と「オンニサンティ」だったんですね。 しかし、25年が経ち地元に戻ると、思い出の味はどこにもありませんでした。あの時に飲んだヴァルポリチェッラを目指して、一から造ろうと考えたのです。「お前は何を考えてるんだ」という周囲からの声もありましたが、祖父の世代のブドウ農家やエノロゴは「正しい方向だと思う」と後押しをしてくれました。それから、自社畑のテヌータ ノーヴァレの土壌を研究し始めて、たどり着いたのが「レ ミニエーレ」と「オンニサンティ」の区画でした。 「レ ミニエーレ」とは炭鉱を意味し、鉱山の洞窟の上にある区画であることからそう名付けられています。カルカーリロッシ(赤い石灰質)というブルゴーニュのムルソーやピュリニー モンラッシェの間でよく見かける土壌質で、ほぼ同じと思っていただいて構いません。「オンニサンティ」の土壌はミニエーレとは異なります。チョークのような石灰質土壌で構成されていて、炭酸カルシウムが豊富なシャンパーニュのような土壌です。 ――テヌータ ノーヴァレは、ベルターニ社の中でどういう位置づけの畑なのですか? ベルターニ社として、様々な研究を行う特別なエリアでもあります。3年前からノーヴァレのクローンにフォーカスを当てるプロジェクトを行っています。ロマネ コンティでも活躍する接ぎ木職人と協力して、元来あるクローンを区分けして、新たにブドウ樹を植えています。 ――以前にノーヴァレという名のワインもありましたよね。 |
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エレガントでフレッシュさが際立つベルターニスタイルが踏襲された逸品
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昔から変わらない安心感溢れるヴァルポリチェッラ! ピノネロ、ガメイ、シラーの特徴がミックスされたベルターニのコルヴィーナで造る 「ヴァルポリチェッラ」 ベルターニのヴァルポリチェッラのスタイルをわかりやすく表現するベースとなるワインです。私はヴェローナ出身で毎日のようにヴァルポリチェッラを飲んでいますが、昔から変わらない安心感がありますね。ボジョレーのような特徴があります。使用するコルヴィーナ種は、ガメイのフルーティさ、ピノネロのスパイス感、シラーの白胡椒感がミックスされている印象です。それがベルターニのヴァルポリチェッラだと思います。 もう一つ、ベルターニスタイルの特徴として塩味の存在があります。塩味のあるワインが食事に寄り添うワインに不可欠だと考えています。 「こんなにも完成度の高いワインであるとは自分でも驚いています」 ヴェローナやヴァルポリチェッラの土壌を世界に広めるという役割も大切ですが、私はベルターニでワインを造る上で、繊細さ、クリーンさ、細部のデティールまでこだわって仕事をしたかったんです。それをベルターニのワインチームに落とし込む上で「レ ミニエーレ」と「オンニサンティ」は最適でした。 ボトル1本に対して1本分のアマローネの搾りかすを使用して造る上級リパッソ 「カトゥッロ ヴァルポリチェッラ リパッソ クラッシコ スペリオーレ」 カトゥッロは、アマローネクラシコ1本分(の搾りかす)に対して、1本分のリパッソが造られます。ベースワインとなるのは、オンニサンティとミニエーレを造った後のコルヴィーナ種メインのワインです。リパッソはアマローネにも感じられるような熟したベリーやアルコール漬けのチェリーの香りが特徴です。 この飲みやすさ、飲み疲れしないような味わいが、ベルターニスタイルです。私自身も、このベルターニスタイルを強く望んで醸造しています。他のパワフルなリパッソとは違います。塩味が下支えするようなワインがリパッソのあるべき姿ですし、この違いはみなさんにもお分かりいただけると思います。 72ヶ月以上の樽熟成を経て造られるフラッグシップ&最高傑作! 「アマローネ クラシコ 2010&2012年」 2010年は優れたヴィンテージで、卒業論文のように様々な要素の詰まったワインだと思います。2012年のエレガントさ、2011年の肉厚さ、2009年の力強さ、2008年の複雑さ。それら全てが合わさったヴィンテージですね。 2012年は私が収穫から携わった最初のヴィンテージです。美味しくなかったら私のせいですね(笑)。2010年と比較すると、10年のほうがリッチで全体的に凝縮感のある仕上がりだと思います。2012年はエレガントさに長けています。今飲むのであれば2012年のほうが飲み頃だと考えています。線が細いわけではないですが、軽やかな重心を保ったエレガントさがとても秀逸なヴィンテージですね。塩味がしっかり感じられますし、ぜひ食事と合わせて味わっていただきたいです。 今年の陰干し期間はなんと60日でした。通常は90日間行いますが、暑すぎた影響で乾燥するのが早く、60日間でブドウを破砕するプロセスを開始しました。90日間という考えはベースにありますが、自然に対して柔軟に適応しベルターニスタイルを崩さないように生産しています。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
COO兼統括エノロゴのアンドレアさんからは、ワインに対する強い信念を感じました。
日常的におじいさんとヴァルポリチェッラを飲んでいたという原体験から、「あのヴァルポリチェッラの味わいを目指す」という方向性を示し、周囲の嘲笑をはねのけ、現在はかつてのエレガントな味わいを表現されています。さらには、将来に向けてクローンセレクションプロジェクトを行い、新たなワインを生み出そうともされています。このストーリーには、過去から現在、未来まで一貫して「ご自身が考える理想のワイン」というブレない基準があるのだと思います。それが、ベルターニスタイルというワイナリーが貫く指針にもつながっているのだと実感しました。 アンドレアさんから、締めの言葉として興味深いコメントをいただきました。ご紹介させていただきます。 彼の言葉を聞いて、以前読んだイタリアファッション誌の記事に書かれていた「ファッション業界のトップの人間はトレンドを追わない」という言葉を思い出しました。アンドレアさんをはじめ、ベルターニは、ブレることなく常に理想を追い求め、前進し続けた結果、『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリー賞、つまりイタリアの頂点に輝いたのだと実感しました。 エレガントなスタイルを追求し続けるアマローネの名門「ベルターニ」のワインを、ぜひご堪能ください。 |
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2023年度版『ガンベロロッソ』年間最優秀ワイナリー受賞!アマローネの名門「ベルターニ」突撃インタビュー
2022/12/23