「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏が厳選!
「ロエロの伝統と革新」を味わう新世代ピエモンテワイン

突撃インタビュー
2016年4月1日 「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏

「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏が厳選!
「ロエロの伝統と革新」を味わう新世代ピエモンテワイン

市橋孝浩氏
バローロで名高い伝統的なワイン産地、ピエモンテでは従来の保守的なスタンスから、世代交代により、他の生産者とコミュニケーションを取り活発な意見交換を行なう等、柔軟な考え方をもつ若い醸造家が増えてきています。
イタリア現地でワイナリーに赴き、試飲を重ね、綺羅星の実力を持つ新世代ワインを発掘している「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏にピエモンテ若手ニューウェーブ実力派の2つのワイナリーのお話を聞きました。

「イタリアワインの達人」市橋孝浩氏

本場イタリアで伊ソムリエ協会認定ソムリエを取得し、日本ではワインスクール「アカデミー デュ ヴァン」でイタリアワインの講師も務めています。彼の情熱的なトークと関西出身の明るい人柄はファンが非常に多く、イタリアワイン好きから絶大な支持を得ています。イタリアに情熱を注ぎ、イタリア文化とイタリアワインの魅力について熱く語る市橋氏はイタリアに毎年のように足を運び、生産者からの信頼も絶大です。

ピエモンテの銘醸地「ロエロ」を知り尽くす実力派生産者「デルテット」

カルロデルテット「デルデット」はこのロエロ地区で1953年に創業、4世代に渡ってワイン造りをしています。中心地カナーレで生まれ育ち、ロエロを知り尽くす1983年生まれの若き現当主カルロデルテット氏。瓶内2次醗酵のスプマンテ造りにも挑戦し常に新しいものを取り入れようとする柔軟な思考を持つワイナリーです。
カルロの奥様はなんとバルバレスコの名門「カ デル バイオ」のパオラ女史!バルバレスコとロエロ。お互いに尊敬しあい、良いワインを造るためにコミュニケーションは欠かすことが無いそうです。

 

バローロ、バルバレスコにも勝るとも劣らないネッビオーロを産み出す土壌
畑の特徴とブドウの個性を見極め、適材適所でブドウを植えるこだわりを持っています。ロエロ地区は基本的に砂質土壌です。その中で石灰や粘土などが複雑に混じり合うポテンシャルの高い土壌でバローロ、バルバレスコにも勝るとも劣らない土壌と評価されています。

 

ダイヴェイワイナリーの目の前ある、カナーレ村のアーチ状に広がる4ヘクタールの畑「ダイヴェイ」はピエモンテの言葉で「古くからの」という意味です。ワイナリーで最も歴史のある白ワイン「アルネイス」が植えられています。土壌は砂質がより多く含まれていて、香りの豊かさや味わいのシャープさを最大限引き出しています。
一方、10キロ圏内にある僅か1ヘクタールのサント ステファノ ロエロ村は全く性格の違う石灰質の土壌。大地も白っぽくなっています。急斜面に植えられ太陽の受けが非常に良いです。ここでは長期熟成を目指したネッビオーロが植えられています。「ブドウ品種に合わせて植える村が違う」というこだわりに、上質なワインを産み出す秘訣があるようです。

ピエモンテの次世代を担うニューウェーブ!独創的発想ワイナリー「ムステラ」

デムステラルテットネッビオーロ「ムステラ」はバルバレスコに程近いトレッツォ ティネッラ村に1978年に設立したワイナリーです。元々は栽培農家で、モスカート ビアンコ種に特化したワイナリーでしたが、徐々に別の品種にも着手。2003年には自社にて醸造と瓶詰めを行なうようになります。
2003年からワイナリーで働くようになった1981年生まれのジュリアーノ イウオリオ氏は土着品種に国際品種をブレンドしたり、異なるブドウを全て一緒に混醸する等独創的発想と高い品質で既に各方面から注目されつつある期待のピエモンテの新星です。

 

強いパッションを持つ男、イウオリオ氏
イウオリオ氏を一言でいうと、まさに「自己流」。所有する畑の半分はバルバレスコというのに、DOCGバルバレスコのワインは一切リリースせず、完熟白ブドウに黒ブドウを混醸して造るDOCランゲ「ジョヴィネ」等、斬新でアウトサイドな考え方をもち、ワイナリーに新しい息吹を投入した挑戦者です。「他と同じ」を嫌いウニコ(唯一)という言葉をよく使い、自らのスタイルを貫く強いパッションを持ち、そして、とにかくしゃべりだしたら止まらない情熱的な性格の持ち主!

 

ムステラ畑化学肥料は一切使用しない健康的な畑
ムステラでは1987年から一切化学肥料を使っていません。農薬も基本的には撒かない方針ですが、雨が多い年はブドウのケアが必要なので状況に応じて対処するそうで、その年は有機認証は取りに行かないそうです。
特にこだわりだと言うのが、完熟ブドウを得るためにブドウが日陰にならないように畝の間隔、植樹率を見事にコントロールしている事。一見シンプルな事のようですが、標高、斜面の位置、生育具合を個別かつ的確に把握してこそ出来る難業だとか。どれだけ注意深く畑仕事を行っているかが伺えるムステラならではのエピソードです。

「ロエロの伝統と革新」対照的な味わいの2つのワイナリーが切磋琢磨

若手意見交換会味わいもスタイルも対照的な2つのワイナリーですが、実はとっても仲が良いとの事!二人はピエモンテの若手の生産者が集まる意見交換会で伝統派、革新派の他の生産者とも積極的にコミュニケーションをとっています。回を追うごとに参加者が増え、今では写真をとっても収まりきらないほど!今、世代交代を迎えるワイナリーが多く、月に1回以上若い世代の醸造家で会合を開き、お互いの持つ情報を共有しているとのことです。参加者はバローロの「ジョゼッタ サッフィーリオ」をはじめ、「デルテット」や「ムステラ」で、一昔前の保守的なイメージの生産者とは違い、若手が一体となってワインのクオリティの向上に取り組んでいる様子が伝わってきます!

 

そんな仲の良い二人に影響を与えた、又は師匠とする人は?と聞いてみました。
『デルテット』
「アントニオ(父)ですね。ということで、アントニオの師匠はカルロ(祖父)になります。我々のような家族経営のワイナリーは「親から子へ」が基本ですので、この感覚(尊敬の念)は不変です。」

 

『ムステラ』
「正直なところいません。自分なりのオリジナルな手法を取り入れています。でも、色んなワイナリーの人とコミュニケーションを取ることを大切にしています。自然にそういったところからヒントを得ているかもしれませんね。」

回答からも2つのワイナリーの個性が確りと感じられます。情熱的な新世代醸造家が造るワイン、これからが本当に楽しみです!

「イタリアワインの達人」市橋氏の話にすっかり魅了され、いよいよ試飲です!

キレとエレガントさが共存した模範的なアルネイス
ロエロ アルネイス ダイヴェイ2014
平均樹齢17年の畑は4ヘクタールで1ヘクタール当たり60ヘクトリットルの収穫量です。伝統的なセメントタンクで18度で醗酵、ステンレスタンク熟成を経てリリースされます。試飲コメント:フレッシュな口当たりでシャープな酸味と滑らかな果実感が上品に溶け合うクラシカルで落ち着いた旨味、軽やかながらも要所を外さない味わいの深さも感じられます。砂質土壌由来のキレとエレガントさが共存した模範的なアルネイス。抜栓2日後も酸と果実のバランスが崩れておらず、使い勝手の良いコスパ大な白ワイン。 ロエロ アルネイス ダイヴェイ2014
年産僅か5000本!
大樽24ヶ月熟成の上質ネッビオーロ
ロエロ ロッソ2011
栽培面積は僅か1ヘクタールのみで年間5000本のみ生産。畑の標高は200~300メートルで土壌は砂質に石灰岩、粘土質が混じる急斜面の土壌で日照条件の良い畑となっています。ステンレスタンク醗酵で35ヘクトリットルのスロヴェニア産の伝統的な大樽で24ヶ月間長期熟成後リリースされます。

 

試飲コメント:ふんわりとした優しい果実の深みとソフトでしなやかな酸と滑らかなタンニンが見事に溶け合い、非常にエレガントなスタイルが魅力的です。市橋氏も 「先日の試飲会でも濃厚な南イタリアワインに混じって、この繊細な味わいのロエロがアンケート上位にはいった程」と述べています。

ロエロ ロッソ2011
黒ブドウ「ピノ ネロ」の美しい酸と完熟白ブドウの抜群のハーモニー
ランゲ ビアンコ ジョヴィネ2014
ソーヴィニョンブラン70%、シャルドネ20%になんと黒ブドウのピノ ネロ10%ブレンド。独創的なブレンドで白ブドウの完熟感に早摘みのピノ ネロでフレッシュな酸味を補います。一般的にはブドウの品種毎に分けて醸造を行ないますが、ムステラは全てを一緒に混醸して造ります。ムステラ曰く、「シャンパーニュでもやっているし、各国でもピノから造った白ワインはそう珍しくないので、取り入れている」 との事。

 

試飲コメント:グラスにすい込まれるような完熟ブドウの充実した香りと樽の香ばしいインパクト、ハーブの爽やかなニュアンスがとても魅力的です。飲むと濃厚で円やかで複雑なボディですが、ピノ ネロの綺麗な酸が全体を見事に引き締め、実に美しいシェイプです。余韻には清々しさと豊かな風味が混じり合う奥深さもあり、抜群のハーモニーを奏でる堂々たる存在感です。

ランゲ ビアンコ ジョヴィネ2014
素晴らしい力強さと果実感に溢れる贅沢バルベーラ!
バルベーラ ダルバ ルビア2012
畑は泥灰土に凝灰質が混じる土壌で収穫されたバルベーラは果実感に溢れ、と同時に素晴らしい強さも兼ね備えています。ステンレスタンクと一部オーク樽による醗酵がなされます。、新樽比率30%の225リットルオーク樽で15ヶ月間熟成後リリースされます。

 

試飲コメント:完熟したバルベーラのプルーンやブルーベリーの豊かなフルーツ香にバニラやカカオの香ばしいニュアンスが豊かに重なります。飲むと、果実感やバリックの風味はありますが、重々しさやもたついた感はなく、筋の通った酸と力強さが見事に共存しています。ゴージャス感溢れる贅沢バルベーラです

バルベーラ ダルバ ルビア2012
インタビューを終えて
新しいスタイルと伝統的なスタイルの二つの対照的なワイナリーの試飲でしたが、どちらも納得出来る味わいの豊かさに驚かされました。ワインにかける若き情熱が伝わってきます。
今後、大化けしそうな雰囲気を漂わせていて、ますます目が離せない生産者です!これからの季節のお食事ととても良い相性の4本です。飲み比べも一興です。是非一度お試し下さい。
最後に市橋氏と
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