イタリアトップクラスの白ワインの宝庫!フリウリの白ワイン その特徴とお勧め10選

2024/02/28

フリウリ、オスラヴィア景観
フリウリ‐ヴェネツィア・ジュリア州はイタリアの中でも白ワインの名産地として名を馳せています。赤ワインも近年高品質なものが生まれていていますが、生産量の約70%が白ワインとなっております。白ワインが注目された歴史としてはまだ新しく1970年代からですが、土着品種の宝庫と呼ばれるイタリアの中でも群を抜いて白ワインに使われるブドウが多い地域でもあります。

フリウリの白ワインは、その品質の高さから世界的に注目されています。またオレンジワインというジャンルも多く生産されている地域であることからも人気に拍車がかかっています。サスティナビリティな観点からも、フリウリはブドウの育つ環境が良く病気にかかりにくい地域なので、自然派の生産者が多いことも特徴的です。イタリアでの自然派白ワインといえば、フリウリの白ワインであることには他の追従を許さないほどに秀でています。

イタリア随一の白ワイン品種の宝庫 その多様性と味わいの傾向

フリウリ‐ヴェネツィア・ジュリア州は、イタリアの中でも、トップクラスに白ブドウの土着品種が多いです。多種多様な中でも芳香性の高い華やかなタイプと、果実味が豊かで厚みがあるタイプに分かれます。

香り華やかで芳香性の高いタイプ
・マルヴァジア・イストリアーナ
最も偉大なイタリアの白ブドウの一つです。クロアチア原産で特に芳香性が高く繊細な花やピーチなどの香りです。

・フリウラーノ
華やかでいて気品あるフリウリ品種の代表格。青リンゴにドライフラワー、柑橘系果実の香り。以前は「トカイ・フリウラーノ」と呼ばれていましたが、ハンガリーのトカイ種との混同を避けるため、現在の呼び名になりました。

・リボッラ・ジャッラ
伝統的に栽培されている品種で凛とした花の繊細な香りとのほかな白コショウ。黄色い花や柑橘のフレーバーにしっかりした酸が特徴的でオレンジワインにも良く使用されます。

マルヴァジア、フリウラーノ、リボッラ

果実感が豊かで厚みがあるタイプ
・ピコリット
伝統的な高貴品種で世界有数の甘口ワインになる品種。アカシアのハチミツやドライマンゴー、シュガージンジャーのようなスパイスとホワイトチョコのような密感が楽しめます。

・ヴェルドゥッツォ・フリウラーノ
2つのバイオタイプがあり、現在ほぼヴェルドゥッツォ・ジャッロ種が栽培されています。厚みある果皮からくるタンニンと濃厚な蜜の香り。トロピカルフルーツに甘いアーモンドの香りがします。

・モスカート・ジャッロ
黄色い花や甘いスパイス香、オレンジの花やライチのような甘さを思わせます。酸が穏やかなので、甘さを捉えやすいです。

・ヴィトフスカ
特にカルソDOCでの生産が多い。石灰質土壌を好み、酸が高いもの特徴です。柑橘や洋ナシのフレッシュなフレーバーも高く、味わいにミネラル感の塩味があります。

他にも、国際品種として有名なシャルドネやソーヴィニョン ブラン、ピノグリージョなども19世紀から植えられていて、古典的な造りからモダンな造りまで多様に展開しています。

カルソとポンカ 2つの特別な土壌と吹き下ろしの風ボーラ

白ワインに適した生産産地としての特徴的な要素がいくつかあります。土壌は石灰質土壌を基本としていて、高いミネラル感をワインに与えてくれます。特に南側のカルソ地域は石灰質台地になっており、標高も200-600mと酸味が豊かになりやすい環境です。スロヴェニアとの国境にある丘陵地帯コッリオではポンカ土壌と呼ばれる柔らかい泥灰土と砂岩の混じる石灰質土壌で、水はけも良いため適度な酸味と果実味の合わせた複雑なワインを産出できます。北側のアルプス山脈側は冷涼だが、全体的にアドリア海の影響で暖かくブドウが良く育ちます。

カルソ&ポンカ

特に高い品質を誇るコッリオは、元々海面であったこの地帯が隆起して出来た丘陵地帯です。ここにあるポンカ土壌は非常に重要な要素で、海のミネラルが積み重なった柔らかい泥灰土は元は砂なので脆くブドウ樹が深く根をはります。この辺は、降水量の多い地域ですが、ポンカ土壌が沢山の水を地下まで吸ってくれてブドウが水膨れすることも、枯渇することもない最高の水分バランスを保ちます。また、アルプス山脈からの吹き下ろすボーラという風はブドウの湿気を飛ばし病害から守り、かつ酸を保つように冷やしてくれます。南のアドリア海沿岸側では風速120kmの暴風にもなるほどの強風に守られて高い酸味が育つのです。

注目の厳選DOC生産地区

フリウリ全土で多様な白ワインが産まれていますが、特におすすめな産地をご紹介します。最も有名なコッリオ・ゴリツィアーノ/コッリオDOCはフリウリで最も古いDOCで、高い品質を誇る小規模生産者が多い丘陵地帯です。オレンジワインも多く生産されている地域です。特にリボッラジャッラやフリウラーノが注目されますがシャルドネやソービニョンブランも非常に高品質で世界レベルにあります。熟度が高く厚みのあるタイプが多いです。

コッリオの丘陵

フリウリ・コッリオリエンターリDOCは次に古い産地です。生産量も多く、中心的な存在です。高いレベルで安定した品質のワインを生産していて、特に甘口のものが有名な地域です。ここのピコリットによるデザートワインは秀逸です。

とても強靭で高いミネラル感を持つワインを多く産むカルソDOCも有名です。特にヴィトフスカで造られるワインはほぼこの地域だけといっても過言ではなく、マルヴァジアやシャルドネで造られても切れのある酸味が特徴です。唯一フリウリで海に囲まれている環境なので、飲み口に塩のミネラル感を感じるものカルソならではな味わいです。

カルソの沿岸部

フリウリの白ワインの変革と発展

1960年代に入り、フリウリの白ワインの名声は上がり始めました。マリオ・スキオペットの新しい発想により今まで従来の大樽での熟成や発酵を行っていた時代から、温度管理を行う発酵、ステンレスタンクの導入、収穫量の制限など徹底した最先端技術を取り入れた結果、各段に品質が向上しました。その後それに倣ったイエルマンも、アルコールが高く重いだけの白ワインから、アロマと酸味のバランスに優れたブルゴーニュのグランクリュを目指した国際品種にワインを造りだします。世界中を驚かせ、フリウリの白ワインの生産地としての地位向上へと繋がりました。

フリウリのコッリオの丘陵地帯はオレンジワインのジャンルでも世界的に名を馳せた産地ともいえます。元々ジョージアでは普遍的であったオレンジワイン。赤ワインと同様の造り方を行い白ブドウを使って生産したものになります。1990年代に入り、フリウリの自然派の生産者達が、普段造っていた白ワインよりも添加物を少なくして生産できることで着目し、いまではオレンジワインの代表的産地ともなりました。その先駆者としてヨスコ・グラヴネルの「赤ワインのような偉大な表現を、白ブドウで造りたい」という思いから超長期間での醸しを行う白ワイン造りが浸透していきました。

フリウリワインと料理

多様な品種があるフリウリの白ワインは非常に料理に合わせる幅が広いです。華やかなものから、高い果実味を備えたもの。非常に酸味が高い硬質的なものから様々です。現地の名物といえばサンダニエーレの生ハムと華やかな白ワイン、特にフリウラーノの華やかで甘いアーモンド香と後に残る苦みがハムの脂質ととても調和します。山よりでは仔牛のカツレツやロールキャベツ、トリエステの沿岸側ではフレッシュな魚、エビなどをよく食べるので、酸味が高いものは魚介に、果実味とアルコールのヴォリューム感がありミルキーなものは肉料理と合わせて楽しめます。

生ハムとカニ鍋

コッリオ周辺の自然派、オレンジワインなどは特に日本食。発酵食品との相性が良く、出汁や醤油のニュアンスとも合います。キノコや甲殻類といった旨味の強い食材にもおすすめです。タンニン感の残るタイプは、味噌や油脂を含んだ食材などこってりとした料理とも相性が良いです。フレッシュな味わいのタイプには、鮮度を活かしたお料理。旨味やおおらかな果実感があるものは火を通して食べ応えのある煮込み料理。フリウリの白ワインは多様性に富む日本の食卓を明るくしてくれます!

目覚ましい躍進を遂げるレ モンデのピノ ビアンコ

レ モンデ

ピノ ビアンコ フリウリ

ピノ ビアンコ フリウリ

恵まれたテロワールを最大限生かすために、積極的な設備投資で優美なワインを実現する新進気鋭のレ モンデ社。このピノ ビアンコも、ミネラル豊かでアロマが鮮明です。完璧に成熟した果実の芳しさ、生き生きとした味わいが魅力。圧巻のコストパフォーマンスでも注目を集めています。

伝統と新しいテクノロジーが共存するワイナリー「ディレナルド」の5品種のブレンドによる「Thanks!」

ディ レナルド

サンクス ビアンコ

サンクス ビアンコ

1800年初頭よりワイン造りの歴史を持つレナルド家。伝統に固執せず、常に新しいテクノロジーをいち早く取り入れる時代感覚に優れています。サンクスは、先代への感謝の気持ちを表現したトップキュヴェ。ブドウ品種はシャルドネ、マルヴァジーア、フリウラーノ、ソーヴィニョンブラン、ヴェルドゥッツォの5つ。5品種が造るクリーミーさとフレッシュさが調和したリッチな味わいです。

「北の巨匠」ヴィエディロマンスの樽熟ソーヴィニョン「ヴィエリス」

ヴィエ ディ ロマンス

ヴィエリス ソーヴィニヨン ブラン

ヴィエリス ソーヴィニヨン ブラン

フリウリを「イタリア屈指の白ワイン産地」として世界中に知らしめた北の巨匠ヴィエ ディ ロマンス。樽を使った醸造で人気を誇るのがこの「ヴィエリス」です。ソーヴィニヨン ブランの豊かなアロマとふくよかでとろみを感じる舌触り、きれいな酸とミネラルが一体となるまろやかな果実味が心地の良い味わいです。

コッリオの土壌のスペシャリスト「ロンコ・デイ・タッシ」のマルヴァジア

ロンコ デイ タッシ

マルヴァジア コッリオ

マルヴァジア コッリオ

家族経営の小規模ワイナリー「ロンコ・デイ・タッシ」。コッリオの土壌の特質を熟知していたファビオが造るマルヴァジアからは、ポンカ特有のミネラルを感じることができます。ブドウ本来の持つ複雑で深みのある香りとそれに相する整ったボディが魅力です。

フリウリ カルソDOCの第一人者「カンテ」の上級キュヴェシャルドネ「ラ ボーラ ディ カンテ」

カンテ

シャルドネ セレツィオーネ ラ ボーラ ディ カンテ

シャルドネ セレツィオーネ ラ ボーラ ディ カンテ

イタリア最高の白ワインの造り手の一人とも称えられるカンテはトリエステの程近く、カルソに位置する生産者です。上級キュヴェシャルドネ「ラ ボーラ ディ カンテ」は、緻密で厳格なミネラルの風味を持ちます。カルソ地区のテロワールを鮮明に表現しています。

進化する注目の造り手「ロンコ セヴェロ」の魅惑的なリボッラジャッラ

ロンコ セヴェロ

リボッラ ジャッラ

リボッラ ジャッラ

近年、洗練された雰囲気と心地よい飲みごたえと躍動感に溢れる素晴らしい自然派ワインの造り手に成長した「ロンコ セヴェロ」のリボッラジャッラ。ポンカ土壌によるミネラルを軸とする圧倒的な構成力に、長期マセラシオンで造られた豊かなボリューム感とリボッラジャッラの上品なアロマが感じられる魅惑的な1本です。

ミスターストイック「ヴォドピーヴェッツ」が造る「ヴィトフスカ」

ヴォドピーヴェッツ

ヴィトフスカ

ヴィトフスカ

ワインに関する一切の妥協を拒否、労を惜しまず、リスクを恐れない「ミスターストイック」こと、パオロ ヴォドピーヴェッツは、次代のフリウリを担う素晴らしい生産者です。ヴィトフスカのみを栽培しています。この「ヴィトフスカ」は、アンフォラで発酵・熟成後、大樽で熟成。熟成を重ね素晴らしい変貌を遂げています。今もこれからも楽しみな偉大なワインです。

「イエルマン」が4つの畑の最高のシャルドネで造る白ワインの王様「ワードリームス」

イエルマン

ワー ドリームス

ワー ドリームス

イタリア最高峰の白ワインの造り手「イエルマン」の「ワードリームス」は、4つの畑の最高のシャルドネから造られます。美しいコクがありながら繊細でエレガントな味わいです。ワードリームスは、イエルマンにとっての白ワインの王様であり、イエルマンの世界を体現できるまさに記念碑的作品となっています。

フリウリワインのパイオニア「スキオペット」のコッリオ フリウラーノ

スキオペット

コッリオ フリウラーノ

コッリオ フリウラーノ

フリウリが白ワインの銘醸地としての名声を得ることができた“最大の功労者”スキオペットの基幹ワイン「フリウラーノ」。アーモンドや果実、タンポポの花など複雑でいて柔らかい香り、幾重にも重なる豊かな果実味としなやかさと伸びのある酸味。高いミネラル感は、熟成ポテンシャルを感じさせます。

品種個性の具現化と絶滅危惧品種の復活にかけた先駆者「ドリゴ」の甘口ピコリット

ドリゴ

コッリ オリエンターリ デル フリウリ ピコリット

コッリ オリエンターリ デル フリウリ ピコリット

品種の持つ個性を忠実に再現することに注力する生産者「ドリゴ」は、絶滅危惧品種の復活に情熱をかけた先駆者でもあります。ドリゴは、かつて王侯貴族や富裕層の間でもてはやされたこの地のデザートワイン「ピコリット」を見事に復活させました。12本の葡萄の樹でようやく1リットルのワインが出来上がる希少ワイン。熟成により複雑な味わいを示します。