フェッラーリ トレントDOCキャンプ2017 参加レポートPART 3

  突撃インタビュー
 
2017年9月21日 フェッラーリ社 ルネッリファミリー

イタリアンスパークリングワインを牽引するフェッラーリ社が主催するFerrari Trentodoc Camp 2017(フェッラーリ トレントDocキャンプ2017)参加レポート・・・Part 3

フェッラーリ社ヴィッラマルゴン
Ferrari Trentodoc Camp(フェッラーリ トレントDOCキャンプ 以下、フェッラーリキャンプと記載)は、「キング オブ スプマンテ」として知られるフェッラーリ社が、世界各国のワイン業界関係者(インポーター、酒販店、ソムリエ、ジャーナリスト等)を対象に開催しているプロモーション活動のひとつ。2017年9月、7回目となるフェッラーリキャンプに参加するためにトレンティーノ アルト アディジェ州のトレントに行ってきました。

Part3の3日目(9月22日)はルネッリファミリーが所有するヴィッラマルゴンでの座学から始まりました。まず、カミッラ ルネッリさんによる世界のスパークリングワイン市場の動向のプレゼンテーション。続いてトレントDOC協会のサブリナさんによるレクチャー。そして昼食をはさんでヘリコプターで上空からトレントDOCのテリトリーを視察、さらにbiodiversity(生物多様性)についての説明とフェッラーリの実際の畑での取り組みの様子を畑で見学、という盛り沢山のプログラムでした。

ワイン年間生産量はイタリア、フランス、スペインの上位3カ国は変わらず

フェッラーリ社カミッラルネッリさん2003年からのグラフですが、ご覧の通りワイン全体の生産量のトップ3はイタリア、フランス、スペインです。そしてアメリカと中国の伸びが目立ちますね。人口一人当たりの消費量はというと、2016年のデータによるとフランスが46.4リットル(50%)、イタリアが36.5リットル(56%)、アメリカは9.2リットル(10%)、日本は2.3リットル(10%)、そして中国は1.5リットル(16%)です。※( )内はアルコール全体に占めるワインの割合

次にワインの消費量ですが、アメリカと中国が非常に伸びているのがわかります。一方で、イタリアと日本は減少傾向です。では、スパークリングワインの消費量が一番多いのはドイツ、そしてフランス、イタリア。日本は3500万リットルでワイン全体の約5%です。

さらにスパークリングワインのうち、シャンパーニュが占める割合についてのデータをお見せします。フランスではスパークリングワインの消費量のうち34%がシャンパーニュですが、イタリアでは2%です。ワイン消費国の中では日本がシャンパーニュの占める割合が多くて27%になっています。

世界的にスパークリングワインの輸出量は伸びている

スパークリングワイン輸出量
スパークリングワインの全世界での輸出量について2006年から2016年までの推移を見てみると、量では6%、金額でも4.9%上昇しています。主要輸出国はフランス、イタリア、スペイン、ドイツです。

スパークリングワインの輸入の実情をみると、ドイツはイタリアからの輸入量が一番多く(36%)、続いてスペイン、フランスとなっていますが、輸入金額ベースでみるとフランス産が圧倒的に高い割合を占めています(56%)。これはシャンパーニュの金額が他のスパークリングワインに比べて高額なことの表れで、他の輸入国についても同じことが言えます。イギリスはイタリアからの輸入量が72%と極めて高い割合を占めていますが、金額ではフランスに抜かれています。日本はフランスが37%、スペインが26%、イタリアが17%です。当然ながら金額もフランスが80%と大部分を占めています。少し気になるのが日本はフランス、チリ、オーストラリアからの輸入は増加していますが、イタリアとスペインからは減少しています。

イタリアではDOCに認定されるスパークリングワインが増えている。世界の市場に占めるイタリアンスパークリングも増加

現在、405のDOP(DOCG:73、DOC:332)のうち、スパークリングワインは117あります。2016年から2017年の間に新しく2つのスパークリングワインのDOPが誕生し、17のDOPが新たにスパークリングワインのカテゴリーの認定を取得しました。

54のDOPがメトドクラシコ(瓶内二次発酵)によるスパークリングワインでDOCGが10、DOCが44です。しかし生産量はスパークリングワイン全体の5%ほどしかありません。昨年、メトドクラシコによるスパークリングの生産本数は3400万本でした。フランチャコルタが最も多く1750万リットル、トレントDOCは800万リットル、オルトレポーパヴェーゼが100万リットル、75万リットルがアルタランガ、300万リットルがそれ以外のDOPになります。そしてDOP認定を取得していないメトドクラシコは400万リットル造られています。

2015年のデータですが、イタリアのスパークリングワインの主要な輸出相手国はイギリス、アメリカ、ドイツです。そしてスイス、フランス、ロシアと続きます。

イタリアンスパークリングワインのマーケットシェアはこの10年で22%から42%に大きく伸びています。一方、フランスは33%から22%に、スペインは25%から21%に減少しています。

 

トレントDOCは山のスパークリングワイン。標高900メートル以上の畑で造る瓶内二次発酵スパークリングワインは全世界でもトレントDOCだけ

トレントDOC協会のサブリナさん(Ms. Sabrina Schench)からトレントDOCについてのレクチャーが始まりました。

トレントDOC協会サブリナさん
トレントDOCは1993年にDOCの認定を受けました。これは瓶内二次発酵で造るスパークリングワインとして初めてのDOC認定になります。トレントDOCには3つの重要なポイントがあります。1.長い伝統 2.独特な生産エリア 3.長期熟成ポテンシャル です。

イタリア初のDOC認定を受けた瓶内二次発酵スパークリングワインですが、150年以上前にはシャンパン方式のスパークリングワインが造られていて、20世紀初頭ジュリオフェッラーリ氏によって確立されたという長い歴史と伝統があります。

トレントDOCの生産エリアであるトレンティーノはその77%が標高1000メートル以上の山岳地帯です。そしてトレントDOCのブドウ畑もほとんどが標高900メートルを超える場所にあります。世界中のシャンパン方式スパークリングの中で、これほど標高の高いエリアで造られているのはトレントDOCだけです。これがトレントDOCが山のスパークリングワインと称している理由です。

トレントDOCの瓶内熟成期間はブリュットで15ヶ月以上、ミレジマートで24ヶ月以上、リゼルヴァで36ヶ月以上と規定されていますが、大部分の生産者は規定以上の熟成をさせていますね。リゼルヴァだと5,6年、中には10年以上の瓶内熟成をしているところもあります。トレントDOCに使うブドウは酸の値が高いので長期熟成のポテンシャルがあるからです。

トレントDOCの生産者は現在48社あり、全部で130種類のトレントDOCが生産されています。生産地はガルダ湖の北から、アルトアディジェの境界まで、約750ヘクタールの畑でブドウが栽培されています。

トレントDOC

ブドウ栽培と生物多様性(biodiversity)。フェッラーリの取り組み

生物多様性についてのレクチャーはジャンフランコ カオドゥーロ氏(Prof. Gianfranco Caoduro)とWBA会長パオロ フォンターナ氏(Mr. Paolo Fontana)。

WBAジャンフランコ カオドゥーロ氏
現在、地球上に何種類の生物が存在しているのかは分かりませんが、200万種の生物の存在が確認されています。そして、毎年17000種の新しい生物が発見されています。恐らく地球上には未発見の種も含めて1000万種存在し、そのうちの4分の3が熱帯雨林地域に生息していると考えられています。そして毎年、10万平方キロメートルの面積の熱帯雨林が破壊されています。これはほぼ北部イタリアの面積と同じ広さの土地が破壊されていることになります。これが地球上の生物多様性の現状です。

イタリアでは2004年4月に自然科学者、植物学者、動物学者、そして自然愛好家たちによって非営利団体World Biodiversity Association Onlus(WBA) を設立しました。そして2010年、国連世界生物多様年の年に「Biodiversity Friend」を提唱しました。これは私たちWBAの活動に共感し、生物多様性を保護するために私たちが定めた指針に沿った農業をおこなう企業団体に対して認証を与える取り組みです。フェッラーリ社は2014年にBiodiversity Friendの一員になりました。

フェッラーリ社マッテオルネッリ氏
なぜオーガニック栽培をするのかという質問に対してフェッラーリ社のマテオ氏からこのような説明がありました。オーガニックをする必要があると考えたのではなく、まず個人としてオーガニックをやりたいと思ったのです。そして会社として考えた時、消費者の意識を含めたワインビジネスの現状として、オーガニックは重要だという結論になりました。もちろんコスト面を検証することも重要です。オーガニックにすることでコスト的に会社がつぶれてしまったりすると問題ですが、そこまでの影響はありませんでした。そして、オーガニックを続けたほうが将来的にワインにとって良い環境が得られることがわかったのです。

ブドウ畑の一角にミツバチの巣箱を設置。生物多様性にどのような効果があるのか実験を行う

生物多様性を保護するうえで欠かせないのがミツバチです。ミツバチは花から花へ飛び回って受粉を助け、新しい種が生まれるサイクルで重要な役割を果たしていますが、近年、その数が激減していることが問題になっています。これは農業活動にとっても、私たち人類の食糧事情にとっても深刻な問題となっています。というのも世界中の食物の90パーセントは農業作物で、そのうちの70パーセントがミツバチの受粉活動によって得られているものだからです。

WBAでは、身近なところで養蜂の普及に取り組んでもらおうというプロジェクトを始めました。家庭養蜂と呼んでいて、規模の小さい巣箱を設置してもらい、生物多様性にとってのミツバチの重要性を認識してもらうとともに、その効果を検証してもらっています。フェッラーリでも自社畑の一角にミツバチの巣箱を設置してモニタリングを始めています。

さて、生物多様性のレベルの高さは土の中に何種類の生物が存在しているかで測ります。Biodiversity Friendのメンバーは、定期的に土を採取し、そこで見つかった生物の種類と生体数でポイントをつけています。

フェッラーリ社の生物多様性への取り組み

生物多様性をさらに推進するためのフェッラーリの取り組み

フェッラーリ社緑肥ヴィッラマルゴンから徒歩でフェッラーリ社のマルゴンの畑へと移動しました。そこには先ほどの説明に合ったミツバチの巣箱が設置されていて、ハチミツが作られていました。引き続きブドウ樹の根元の土を採取してマルゴンの畑の生物多様性レベルを計測するデモンストレーションを見ました。ミミズや蟻やコオロギなどの虫が採取した土から次々と見つかるのですが、やはりその数は季節によっても多少上下するそうです。

ブドウ畑が両側に広がるなだらかな坂を登っていくと、フェッラーリが5年ほど前から取り組み始めた新しい区画が見えてきました。標高が高い場所ながら大きなテラス状の平らな土地にある約15ヘクタールの畑でシャルドネとピノネーロを植樹しています。この畑にライ小麦や大麦、ソラマメなど様々な種を蒔いて、この畑のブドウの生育にどのような影響があるのかを観察していくことにしています。

フェッラーリ社畑

3日目を終えて

周りには森とブドウ畑しかないような自然豊かな環境の中でフェッラーリのブドウが栽培されていることが実感できた1日でした。すべて有機栽培を実現しているフェッラーリが、さらにブドウ樹にいい影響をもたらす「生物多様性」に力を入れていることもよくわかりました。ヘリコプターに乗って上空から、“山のスパークリング” トレントDOCのエリアを視覚的に体感できたことも素晴らしい経験となりました。

ロカンダマルゴンディナー
ディナーはロカンダ マルゴンでペルレ2010からスタート。そしてプリモには「スパゲッティ フェッラーリ ペルレ スタイル」というなんとも贅沢なパスタが!パスタに絡めるのはフェッラーリ ペルレとトレンティングラーナ(チーズ)とエクストラ ヴァージン オリーブ オイルをブレンドしただけのスペシャルソース。シンプル イズ ベストと片付けるには畏れ多いほどの、素晴らしいパスタでした。さすがミシュラン2つ星・・・。

さらにサプライズ。ルネッリファミリーのプライベートセラーから銘醸ワインのバックヴィンテージがふるまわれました。ピオ チェーザレのバローロ1980、サン レオナルド2005、アッレグリーニのアマローネ1983、イゾレ エ オレーナのキャンティ クラシコ1992、ビオンディ サンティのブルネッロ ディ モンタルチーノ1971、フォッサーティのヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ1968。フェッラーリキャンプに集まってきた世界中のワイン関係者たちがそのテーブルにあっという間に群がって感動を口にする様子に、やっぱりワインラバーは万国共通と感じました(笑)。

フェッラーリ社長マテオルネッリ氏と
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