2012年9月21日 リニャーナ

2012/09/21
突撃インタビュー
 
2012年9月21日 リニャーナ

コジモさんと
グレーヴェ イン キャンティで飲み心地の良いキャンティクラシコを造るリニャーナを訪ねてきました。地図を見ればリニャーナに行く道はひとつしかなく、ワイナリーの周りは何もない!念のために、高速を下りてすぐの小さな町のバールでリニャーナへの道を聞いて、教わったとおりに走っていったのですが、「本当にこんな道を行っていいの?」というようながたがた道。おっかなびっくり進んでいくと小さな教会が見えました。これがリニャーナのシンボルマーク「ハリネズミ」の由来となった教会です。

コンカドーロ(黄金の盆地)と呼ばれる最高の条件の畑

コンカドーロ(黄金の盆地)と呼ばれる畑
トスカニー:すごい場所ですね。このあたりの畑は全部リニャーナの畑ですか?

コジモさん:全部で120haの土地がありますが大部分は森です。ここはタベルネッラヴァルディペサとカステッリーナに挟まれている場所で、「コンカドーロ(黄金の盆地)」と呼ばれている、とても条件の良い土地です。畑はすべて南東か南西向きです。

トスカニー:いつからここを所有されているのですか?

コジモさん:私の父が1965年に購入して以来です。父は1922年にドイツからイタリアに来ました。私が1999年に受け継いで、その後9haの畑にブドウを植えました。今は14haがブドウ畑、5haがオリーブで、残りは森です。

トスカニー:今年の夏は暑かったと聞きましたが、どうでしたか?

コジモさん:90日間雨が降りませんでしたが、いいブドウができています。状態のいい物だけを残して、全体の30%程度は先に収穫してよそに売ってしまいます。来週の月曜日ぐらいにこの作業をやって、そのあと2週間ぐらいしてから私たちのワインにするブドウの収穫をします。 今年の暑さは植樹したばかりの若い樹の成長に影響が出てしまいました。ブドウの苗はどうやって植えるか知ってますか?フィロキセラに対抗する強い木に私たちの木を接木します。もう少ししたらフランスの苗木会社に木を送る予定です。 それと、2年前から私たちは有機栽培を行っています。来年には認証がおりる予定です。

収穫はすべて手摘み。醸造はキャンティクラシコの伝統的なやり方

バリック庫畑から醸造所に移動しました。

コジモさん:収穫は全部手摘みです。収穫したブドウをここまで運び、圧搾して、タンクに入れます。醸造方法はキャンティクラシコの伝統的な方法です。今このタンクには2日前に収穫したメルローが入っていますが、発酵前に周囲に冷水をまわして果汁を冷やします。こうすることで香りを引き出すことができます。

そしてここはバリック庫です。サンジョヴェーゼは全部バリックを使っています。キャンティクラシコは1年間バリックで熟成させています。

ロゼ、キャンティクラシコ、リゼルヴァ、そしてメルロー100%で造るリッチョ試飲をさせていただきました。

コジモさん:サンジョヴェーゼとカナイオーロで造っているロゼです。

トスカニー:酸がしっかりしていますね。

コジモさん:マロラクティック発酵はやっていないんです。このロゼにはトスカーナ伝統のサラミやしっかり味付けした魚料理が良くあいます。

コジモさん:ロゼはスクリューキャップにしていますが、このロゼは北欧でよく売れています。彼らはコルクにこだわりがあまりないので、開けやすいスクリューがいいんです。保守的なフィレンツェの人にはだめですけどね(笑)
そのほかのワインはコルクですが、フランスのディアムという会社が開発したものです。完璧に滅菌をしているのでブショネが決して起こらないようになっています。

トスカニー:2009と2010のキャンティクラシコについてはどうですか?

コジモさん:2009はサンジョヴェーゼにとってはそれほどいい年ではなかったのでリゼルヴァは造っていません。メルローは良かったですよ。

テイスティングルームトスカニー:リゼルヴァと通常のキャンティクラシコはどこで分けているのですか。

コジモさん:収穫のときに分けています。リゼルヴァは2年間バリックで熟成させていて、より、インターナショナルなスタイルに仕上げています。

トスカニー:先ほど、有機認定のお話が出てましたけど、このあたりは有機に取り組んでいる人はどれぐらいいるのですか

コジモさん:この地区(パンザーノ)で組合を造っていて、それに入っている20社のうち80%が有機をやっています。私は最初は有機に懐疑的だったのですが、いいと思って使っていた農薬が実は悪いものだった、ということもありますしね。それにここは自然に囲まれている場所だから有機にするのには何の苦労もなかったです。
パンザーノは土地がやせていて、栄養分が少ないんです。だから結果的に強いワインができます。今飲んでいただいているリッチョ2009はメルロー100%ですが、パンザーノのキャンティ地区のテロワールを表現したくて造りました。2009はリゼルヴァを造るのをやめた代わりに、このメルロー100%を造りました。まさに、やせた土地の力強いメルローができました。

 

インタビューを終えて
南向きに広がる雄大な斜面が続く一角にあるリニャーナの畑は見ていてとても素晴らしく、この畑で育つブドウは間違いなく美味しいワインになることがわかります。あまり手をかけず、と言うよりも逆に、できるだけ手を加えずに伝統的な方法に則って造ることが重要なのだと理解しました。
シンボルマーク「ハリネズミ」の名前の由来となった教会内部
狩猟が趣味だというコジモさん。ワイナリーの中には彼がしとめた鹿や猪の頭がいくつも飾ってありました。リニャーナはアグリツーリズムも経営していて、庭にはプールがあり、そこからの眺めはとても素敵でした。広いお庭があり、教会もあるので結婚式に使う人も多いのだそう。日本人カップルも式を挙げるそうです。
「今度来るときには必ずここに泊まらないと怒るよ」とコジモさんに言われてしまったので次はぜひここに泊まりたいと思います。

(右の写真はシンボルマーク「ハリネズミ」の名前の由来となった教会。小さな美しい教会で、結婚式もできます。)

シンボルマーク「ハリネズミ」の名前の由来となった教会外観
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