1580年から続くプーリア最大規模の家族経営ワイナリー「コンティ ゼッカ」

2018/03/12
  突撃インタビュー
 
2018年3月2日 コンティ ゼッカ社 マリオ ゼッカ氏、フェルナンド アントニオ ロマーノ氏

1580年から続くプーリア最大規模の家族経営ワイナリー!プーリアでいち早く自社詰めを開始、品質重視のワイン造りにこだわる「コンティ ゼッカ」突撃インタビュー

コンティ ゼッカ社 マリオ ゼッカ氏とフェルナンド アントニオ ロマーノ氏
コンティゼッカはプーリア州サレント地方の中心部レヴェラーノに構える、州最大規模の家族経営ワイナリーです。プーリアの土着品種ネグロアマーロ、プリミティーヴォを中心に、マルヴァジア、アリアニコ、さらにシャルドネ、メルロー、カベルネソーヴィニョンなどの国際品種からコストパフォーマンスに優れたワインを造っています。温暖な気候と豊かな土壌に恵まれたテロワールを生かし、新しい醸造技術を取り入れたワイン造りについて、オーナー
一族のマリオゼッカ氏と、醸造責任者のフェルナンド アントニオ ロマーノ氏にお聞きしました。

1580年にナポリから移住して以来、サレント・レヴェラーノで地元の農業に大きく貢献したゼッカファミリー

サレント地方の位置関係コンティゼッカは、1580年にナポリから移住してきたゼッカファミリーによるワイナリーです。サレント地方の中心部、レヴェラーノの広大な領地で農業を開始して以来、プーリアの温暖な気候と肥沃な大地を生かし、ブドウ栽培だけでなくオリーブ、小麦、果物、野菜類を大規模に栽培してきました。1884年には地元の農業への貢献が認められ、ローマ法王から伯爵号を授かりました。

レヴェラーノはプーリアの中でも南部に位置し、またイタリア半島でもっとも東に位置しています。つまりここは東方諸国の玄関口なんですね。そのためギリシャやアラビア、ビザンチン文化が入り、交易が盛んに行われ、その影響をうけて独特な文化が生まれています。

また、北からはシベリアやロシア方面からトラモンターナという冷たい風が吹き、南からはアフリカからシロッコという熱波が吹きます。暑い土地ではありますが、1年を通して風通しのよい、独特の気候条件があります。

北イタリアやヨーロッパへのバルク売りで発展したプーリア。その中でもいち早く品質重視のワイン造りに着手

コンティゼッカ初代カンティーナ御存じのとおりプーリアは温暖な気候で、広大な平野が広がる一大農業産地です。ワインについても北イタリアやフランスなどへのバルク売りで発展しました。コンティゼッカも1800年代以降、バルク売り事業を行ってきました。ヨーロッパの大部分がフィロキセラの被害を受けた時もプーリアは無事だったので多くのワインが輸出されました。しかし、1919年にはサレント地方にもフィロキセラがやってきて大きな被害を被りました。

フィロキセラの被害後、コンティゼッカは自社詰めを始めました。

コンティゼッカ古いボトルこの写真は1922年のボトルです。1935年には醸造所を整備し、本格的に自社のワインをボトル詰めして販売することを始めました。これは当時としてはとても珍しく、コンティゼッカはプーリアで最も早く品質を追求するワイナリーとしての一歩を踏み出したのです。1955年には「ドンナマルツァ」ブランドでボトリングを始めています(左から1922、1945、1953年の自社詰めワイン)。

 

全て自社畑のブドウから!「カンタルピ」「ドンナマルツィア」「サラチェーノ」「サント ステファノ」の4つのエステートでテロワールに相応しいワインを造る

コンティゼッカは全部で800ヘクタールの土地を所有しています。そのうち、320ヘクタールがブドウ畑です。それが4つのエステートになっています。コンティゼッカの造るワインはすべて自社畑のブドウからです。買いブドウはひとつもありません。栽培から醸造、ボトリング、そして出荷に至るすべての工程を自社で行っています。

コンティゼッカ4つのエステート
海と海に挟まれたサレント半島は東のアドリア海と西のイオニア海までの距離が40kmほどですが、海に近いエリアと比較的内陸のエリアとでは土壌のタイプが異なります。コンティゼッカのエステートもその場所によって特徴が違うので、それぞれのテロワールに適したブドウを植え、ワインを造っています。

エステートの中で最も広いのがサリーチェ サレンティーノ地区にある「カンタルピ」です。海と海に囲まれたプーリアの中では比較的内陸部にあたります。内陸部に行けばいくほど雨水が運んできた土壌が堆積していき、表土が厚くなります。砂礫、泥土、石灰岩が混じった肥沃な土地です。「カンタルピ(Cantalupi)」とはオオカミの鳴き声、つまりオオカミの遠吠えという意味なのですが、ここは中世の頃は森だったので、オオカミがたくさん住んでいて遠吠えがよく聞こえていたからこのような名前がついています。

そしてレヴェラーノにあるワイナリー本社に隣接している100ヘクタールの「ドンナマルツィア」エステート。ここは海岸からわずか8kmほどで、海の影響を受けたテロワールです。

そして、日本には輸出されていませんが、「サラチェーノ」と「サントステファノ」の比較的小規模のエステートがあります。

コンティゼッカ現カンティーナ

プーリアの主要品種ネグロアマーロとプリミティーヴォ。伝統的にサリーチェサレンティーノはネグロアマーロ、マンドゥリアはプリミティーヴォが主体

コンティゼッカ ネグロアマーロプーリアの黒ブドウでもっとも重要なのがネグロアマーロとプリミティーヴォです。コンティゼッカのあるサリーチェサレンティーノ地区は伝統的にネグロアマーロが主体で、特にレヴェラーノが最も素晴らしいネグロアマーロができる土地です。酸がしっかりあるのが特徴で、良いブドウになるには寒さと暑さの両方が必要です。特別な気候条件が必要なので、このエリアでしかうまく育たないのです。ネッビオーロなどもそういう品種ですね。

プリミティーヴォはその名前の通り早熟のブドウです。8月には成熟します。果皮が薄く、過熟気味になる傾向があります。プリミティーヴォの産地として有名なマンドゥリアは海沿いの場所で、砂地土壌です。そのため、乾燥しやすく過熟気味で糖度の高いブドウになりやすいのです。私たちは酸をしっかりと保ち、バランスがとれるように熟しすぎないように気を付けています。

コンティゼッカ プリミティーヴォプリミティーヴォは伝統的に単一品種で造られることが多く、一方、ネグロアマーロはタンニンが非常に強い品種なので他品種とブレンドさせて使われることが多いです。酸もタンニンもしっかりとあるので、ワインにとって瓶熟も非常に重要です。

私たちレヴェラーノではやはりネグロアマーロが最も重要です。栽培している黒ブドウのうち65~70%がネグロアマーロです。サリーチェサレンティーノは伝統的にロゼワインを造っていますが、それもネグロアマーロから造るのが伝統です。

新樽バリック熟成で造るリッチで華やかなエントリーラインのシャルドネ
ドンナ マルツィア シャルドネ オーク樽熟成2015
ドンナマルツィアのエステートのシャルドネで造る新しいワインです。モトックス社との共同開発で誕生しました。朝早く収穫したブドウを隣接するカンティーナにすぐに運び、低温の状態で発酵します。そしてアメリカンオークのバリック新樽で3ヶ月熟成させています。そのおかげで複雑味があるとともにフレッシュな味わいを実現しています。エントリーラインのワインではありますが、1,2年は熟成させて楽しめます。

このシャルドネに使ったバリックは赤ワインの熟成に使います。3年ぐらいは使いますね。だから十分コストに見合うだけの利用はしています。それに、赤ワインに真新しいバリックを使うよりも少し使った樽の方がいい影響を与えることもあります。いずれにしても当社は畑から出荷までを一貫して管理していますので、トータルでコスト管理ができるので、リーズナブルな価格を可能にしています。この点は買いブドウでワインを造るワイナリーとは違います。

試飲コメント:フルーティーで果実由来の酸との調和がとれた、バランスの良い味わい。バニラやココナッツミルクの香りなども感じられる。程よいコクと余韻に感じる樽のニュアンスが心地いい。

ドンナ マルツィア シャルドネ オーク樽熟成2015
長期熟成ポテンシャルもあるエレガントな樽熟白
ルナ2016
ルナはカンタルピエステートとドンナマルツィアエステートのシャルドネとマルヴァジアからセレクションしています。シャルドネは8月末、マルヴァジアは9月中旬に手摘みで収穫し、別々に醸造します。発酵はバリックで、そのまま6ヶ月間寝かせています。その間、バトナージュを定期的に行い、澱とワインを接触させていきます。こうすることでワインに複雑味を与え、まろやかな味わいをもたらします。

とてもリッチでコクのあるワインですし、長期熟成のポテンシャルもあります。もっとも熟成させるよりも前に飲まれてしまうことがほとんどですが(笑)。

試飲コメント:きれいな黄金色の外観。パイナップルやバナナなど南国フルーツの香りが広がりボリュームを感じさせる。しっかりとした酸とミネラルがまろやかな味わいに複雑味をプラスして奥行きの深いスタイルを造っている。樽のニュアンスも強すぎず、とてもエレガントにまとまっている。

ルナ2016
3つの品種のいいとこどり!やわらかい味わいで気軽に楽しめる赤
トレ グラッポリ コンティ ゼッカ2016
赤ワインの試飲はこのトレグラッポリから始めて、メルロー、カベルネに行きましょう。トレグラッポリはその名前の通り、3つの品種のブレンドです。プリミティーヴォとネグロアマーロをメインに、少しカベルネソーヴィニョンを使います。やわらかい味わいで、気軽に飲めるというのがコンセプトで造りました。

プリミティーヴォはやわらかさ、ネグロアマーロは酸とタンニンとストラクチャー、カベルネからは香りとタンニン。それぞれの個性を表現しながら、バランスをとりました。

試飲コメント:気軽に楽しめるスタイルながら、プリミティーヴォ、ネグロアマーロ、カベルネソーヴィニョンの個性がうまく引き出されていることを感じさせる味わい。甘みが強すぎず、存在感のある酸が上手くとけあいシャープな印象さえ感じる。お手軽に上級感を味わえるカジュアルワイン。

トレ グラッポリ コンティ ゼッカ2016
サレントの恵みがもたらした完熟メルロー
ドンナ マルツィア メルロー オーク樽熟成2016
メルローは1980年代ぐらいから栽培を始めています。コンティゼッカは非常に広い土地を持っていますので土着品種以外の様々な品種を実験的に栽培することができました。その結果、メルロー、そしてカベルネソーヴィニョンもこの土地に適していることがわかりました。メルローは世界中で栽培されている品種ですが、場所によっては青っぽさが出る場合もあります。しかしここではとてもやわらかく、完熟した果実味が表現されています。

このワインには少しカベルネソーヴィニョンもブレンドしています。法律上85%以上使用していたらその品種名を表示していいことになっています。ヴィンテージによってその比率が90%になったりもします。カベルネを加えることでタンニンをもたらし、ストラクチャーを与えます。メルローだけではちょっとまろやかすぎることもありますが、カベルネでそれを補います。ボルドーワインと同じ考え方ですね。

試飲コメント:美しいルビーレッド。熟した赤い果実の香りが甘やかに広がるとともに、樽のニュアンスが感じられる。まろやかな味わいの中にスパイシーなニュアンスも。全体的には優しくエレガントな印象。

ドンナ マルツィア メルロー オーク樽熟成2016
デイリーに楽しめる新樽100%熟成のカベルネソーヴィニョン
ドンナ マルツィア カベルネ ソーヴィニヨン オーク樽熟成2016
こちらはカベルネソーヴィニョンが主体です。このヴィンテージではネグロアマーロが15%ですが、メルローを入れることもあります。ネグロアマーロを使うのは特に暑い年です。こういう場合は酸がしっかりとあるネグロアマーロが重要になります。

メルローに比べてより力強くタンニンをしっかりと感じると思いますので合わせる料理も変わります。よりしっかりとしたお肉料理が向いています。このワインは味わいがはっきりとしていてとても人気がありますね。

試飲コメント:しっかりとした濃厚な色合い。赤い果実味とバニラやスパイスの香り。豊かな果実感の中にしっかりとタンニンが感じられ、ストラクチャーのある力強い味わい。

ドンナ マルツィア カベルネ ソーヴィニヨン オーク樽熟成2016
マンドゥリアに比べよりエレガントで食事に合わせやすいサレントのプリミティーヴォ
プリミティーヴォ2014
ネグロアマーロとともに私たちにとって重要な黒ブドウがプリミティーヴォです。マンドゥリアから私たちのところまで20kmほど離れていますが、キャラクターは少し異なります。マンドゥリアでは伝統としてブドウ樹の葉を取り除き、より日射が当たって成熟させるようにして栽培するので甘みを残すように造ります。一方サリーチェサレンティーノではよりエレガントでバランスのとれた仕上がりをします。私たちはブドウの葉を残し、過熟させないように少し早目に収穫しています。

プーリアのプリミティーヴォは3つのタイプがありますね。糖度が高く濃厚で食後に楽しむようなタイプのマンドゥリア、バランスがとれたエレガントなサリーチェサレンティーノ、そしてプーリア北部の丘陵地のジョイアデルコッレ。ここはより香り豊かでデリケートなプリミティーヴォとなります。

この私たちのプリミティーヴォですが、熟成はバリックではなく3000リットルの大樽で行います。ブドウの個性をより表現するためです。

試飲コメント:熟したプラムやイチジクのジャムなどの濃密な香り。たっぷりとした果実味が口の中に広がりプリミティーヴォらしい甘みを感じさせる。力強さとともに上品なビター感のあるバランスのよい、上質感を感じる。

プリミティーヴォ2014
ゼッカファミリーがこよなく愛するネグロアマーロ主体の熟成サリーチェサレンティーノ
カンタルピ サリーチェ サレンティーノ リゼルヴァ2013
カンタルピエステートで造るサリーチェサレンティーノリゼルヴァです。DOCの規定ではネグロアマーロを75%以上使用することになっています。ネグロアマーロはサレント地方のほとんどのワインのベースとして使われています。ネグロアマーロはとてもタンニンが強いブドウなので、伝統的に他の品種とブレンドさせてワインにします。一方、プリミティーヴォは伝統的に単一品種で使われることが多いです。このカンタルピはネグロアマーロ75%、マルヴァジアネーラ15%、カベルネソーヴィニョン10%、モンテプルチアーノ5%で造っていますが、年によってセパージュは変わります。

ネグロアマーロはしっかりとしたタンニンと酸があるのでプリミティーヴォに比べるとより長い熟成をさせる必要があります。瓶熟成も必要です。先ほどもお話ししましたが、カンタルピエステートは比較的内陸にありますので表土に厚みがあり、深いです。だから熟成に向くブドウができるのです。3000リットルの大樽で14ヶ月間熟成させています。カンタルピは私たちのテロワールを表現した、ゼッカファミリーにとっても、最も重要なワインのひとつです。

試飲コメント:ガーネットを帯びた濃厚な色合い。ベリー系ジャムやスパイスのアロマ。飲めば凝縮された果実がエレガントに口の中に広がる。ドライで上品、そして濃厚。じっくりと味わいたいスタイル。

カンタルピ サリーチェ サレンティーノ リゼルヴァ2013
土着品種ネグロアマーロを世界中に知らしめた「スーパープーリア」
ネロ2012
土着品種ネグロアマーロを国際的に知らしめた革新的なワインです。ネグロアマーロとカベルネソーヴィニョンのブレンドでバリック熟成で造っています。カベルネソーヴィニョンは1980年代から試験的に栽培してきてこの土地に向いていると判断しました。

ワインの名前の「ネロ(黒)」はネグロアマーロを表現しています。「ネグロ」「アマーロ」はどちらもラテン語(Niger)とギリシャ語(Mavros)で「黒い」という意味で、ネグロアマーロが非常に濃い黒のブドウであることからこの名がつきました。

コンセプトとしてはスーパートスカンと同じです。ティニャネッロやアンティノリでジャコモタキス氏が始めた土着品種と国際品種の融合ブレンド、そしてバリック熟成ですね。それがプーリアにももたらされ、このネロはいわば「スーパープーリア」です。ジャコモタキス氏の弟子のジョルジョマローネがコンティゼッカで長年コンサルタントとして働いています。

1997年にトライアル的な初リリースで、オフィシャル的に初めて市場に出したのが1998ヴィンテージです。あっという間に様々なワインガイドが高く評価してくれました。2003年は最近飲みましたがとてもフレッシュな果実味があって、まだまだこれから伸びていきそうですし、1998年もとても素晴らしい状態です。本数は少ないのですが、バックヴィンテージとしてストックしています。

試飲コメント:完熟果実の香りとカカオやコーヒーの魅力的なアロマとともにスパイシーなニュアンスが広がり、香りからも奥行きの深さを感じさせる。香りの印象がそのまま味わいへとつながり、果実のなめらかな凝縮感が心地よい酸と調和して力強くも伸びやかなスタイルを造っている。

ネロ2012
インタビューを終えて

旨安ワインの宝庫として人気の高いプーリアですが、コンティゼッカももちろんそのひとつ。ずっと長く取り扱いをさせて頂いていますが、今回改めてワイナリーの歴史や現在、そして今後の取り組みなどのお話をお伺いして、限りのないポテンシャルの高さを再認識しました。

500年近い歴史を誇る伯爵家の一族のワイナリー、ということでまさにプーリアの農産業の歴史を担ってきたゼッカファミリー。これだけ長い年月、絶やすことなく継続できたのは一族の勤勉さはもちろん彼らのために一緒に働いてきた多くの農家がいたから。醸造責任者のアントニオ ロマーノ氏もコンティゼッカのもとで親子代々働いてきたという一族だそうで、今後もこの関係が続くのだろうなあと温かい気持ちになりました。

ブドウ栽培をするのにはこれ以上にないほどに恵まれたテロワールのプーリアで、より抜きんでた存在になるには研究と改革が欠かせません。プーリアでいちはやく「量から質へ」転換を図ったコンティゼッカ。大人気となっている新樽バリックシリーズを始め、今後も新しい革新的なワインが誕生してくると思います。

コンティ ゼッカ社 マリオ ゼッカ氏とフェルナンド アントニオ ロマーノ氏
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